復興・防災計画への子どもの声の反映、平時からの子どもの意見表明の機会確保を提案
子ども支援専門の国際NGO、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(理事長:井田 純一郎、以下「セーブ・ザ・チルドレン」)は、能登半島地震から半年が経過した7月に、被災地の子どもたちに「国・自治体の大人や地域の人たち、保護者らにいま伝えたい思い」を聴くために、小学4年生~高校生世代を対象にアンケート調査を実施しました。
この集計結果や子どもたちの声を集約した報告書の速報版を、8月29日(木)に石川県知事、石川県教育委員会などに提出し、今後の復興計画や防災計画への子どもたちの声の反映を提案しました。
本アンケート調査では、社会や国・自治体への要望や意見、震災を受け感じていること、また、まちの復興に向け自分たち自身がやりたいことなどを子どもたちに尋ねました。アンケート用紙やオンラインフォームを通じて、7月1日から31日の間に、主に石川県七尾市、穴水町、能登町、珠洲市、輪島市の5地域に在住する、小学4年生から高校生世代の子ども2,053人から回答を得ました。
アンケート結果速報(全文)はこちら →
https://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/report-notochildrenvoice2024.pdf
<アンケート結果からセーブ・ザ・チルドレンが特に注目する点>(有効回答数:小中高生世代 2,053人)
1. 能登半島地震やその後の生活について大人や社会に伝えたいことがあるかをたずねたところ、「はい」を選択した子どもが36.8%いた。伝えたいこととして、「地震が起きたときのこと」「被災した自分のまちのこと」「自分の住むまちの復興のこと」を選択した子どもがいずれも3割を超えていた。
2. 上記で「いいえ」を選択した子どもが39.8%、「わからない」が22.2%いた。理由の内訳を見ると、「何を話したらいいかわからない」が36.7%と最も高かった。一方、「話しても何も変わらない」 が16.6%いるなど、潜在的には被災に関連して何かを伝えたいと思っていても、その環境が整っていないため伝えられない、言うことをあきらめた子どもたちが一定数いることが推察される。
3. 今後の復興に向けて何か行動したいという選択肢を1つでも選択した子どもは64.0%(1,313人)と6割を超え、復興に関する選択肢のうち1つでも選択した子どもが21.2%(435人)いた。また、大人や社会に伝えたいことの有無について「いいえ」「わからない」を選択した子どもであっても、何か行動したいという選択肢を選んでいる子どもが一定数いた。これらの結果から、復興のために何かしたい・話したいと思う子どもたちに、今後、大人側が何らかの機会を提供していくことが重要だと考える。
4. 自由記述では、学びや暮らしが大きな制約を受けていることへの悲しみや苛立ち、そのために学ぶ環境や経済的支援、子どもが過ごせる場の環境整備を望む声など具体的な子どもたちの願いや訴えが少なからずあった。さらに復興が進んでいないことへの驚きや疑問、能登を見捨てないでほしいといった切実な訴えもあった。
5. 子どもの意見を聴いてほしいという意見もあった。「直接、大人たちと話しあい、子どもの意見や思いを取り入れてほしい」という声は、少数であったとしても子どもの権利保障の観点から重要である。こうした声を地域の大人が尊重することによって、今後の復興や防災に子どもたちが主体的に関わっていこうという思いの醸成につながるだろう。
〈本アンケート結果を受けたセーブ・ザ・チルドレンの今後の活動〉
セーブ・ザ・チルドレンは、国や石川県、関連自治体に今回の結果を報告し、各地の復興や防災計画に子どもたちが参画する機会を設けること、子どもの意見を尊重し計画に反映することなどを求める。また、子どもたちの声を社会に広く伝え、今後の災害における子どもの意見表明の取り組みを強化するよう働きかけていく。
また、本アンケート結果については子ども向け報告書、自由記述をさらに多く掲載した完全版を作成する予定である。
アンケート概要
〈回収期間〉2024年7月1日から7月31日まで
〈回収方法〉対象地域の各自治体の教育委員会を通じて各小中学校や一部の高校へ、アンケート用紙の配布・回収、またはオンラインフォームの案内チラシの配布を行った。また、特別支援学校や、一部の高校・放課後児童クラブ、地域の支援関係者を通じて、アンケート用紙の配布・回収、またはオンラインフォームの案内チラシの配布、ウェブサイトの告知を行った。このほか、セーブ・ザ・チルドレンのウェブサイトやSNS(Facebook、X、Instagram)で回答の募集を行った。