原料・商品・顧客がそれぞれ多様であり、製造段階や加工度などにより複数カテゴリに分類される
化学品卸は化学品全般の流通を担う業界であるが、その特徴として、商品の多様さが挙げられる。化学品の多くは、中間財として他業界の製品の原料・部品になる商品である。そのため化学品卸は、原料に近い製品で無機物・有機物ともに幅広い分野の製品を取り扱うだけでなく、最終製品の販売先については、製造業をはじめとするほぼ全ての業界を顧客としている。また、化学品業界では業界内の製品の流通も多いため、化学品卸はその各製品を取り扱うこととなる。
化学品卸が取り扱う化学品の分類方法は、以下のように様々である。
・製造段階による分類:原料/中間原料/1次製品/最終製品
・加工度による分類:素材型化学品/加工型化学品、基礎化学品/機能性化学品
・物性による分類:有機化学工業製品/無機化学工業製品
これらの分類は相互に関連しており、製造・加工の初期段階にあたる中間原料は(加工度の低い)素材型化学品・基礎化学品とされることが一般的であり、製造段階が進んだ1次製品や最終製品は加工型化学品・機能性化学品に分類されることが多い。また、有機化学工業製品/無機化学工業製品は、原料や中間原料の物性による分類であるため、加工度の低い素材型化学品・基礎化学品をさらに分けた内訳という位置づけとなる。
素材型化学品は汎用品としての性格が強く、価格への感度が高い。加工型化学品は、商品・顧客の多様性が高いため、ニーズに合わせた提案が求められる
化学品卸が取り扱う商品の特徴は、素材型化学品(基礎化学品)と加工型化学品(機能性化学品)で大きく異なる。
素材型化学品は、取り扱う商品としての付加価値が比較的低く、販売時は価格の安さが重視されやすい。そのため、取引先となるメーカーは大規模プラントで効率的に大量生産をおこなう大手企業が多く、化学品卸に対してもコスト削減が求められる。また、原料調達においては、原料価格や為替の相場変動への適切な対処が必要となる。
加工型化学品においては、多様な業界が顧客となり、取り扱う製品も多岐にわたるため、化学品卸はユーザーとなる顧客のニーズに合わせて適切な提案をおこなう。製品そのものだけでなく、専門性やカスタマイズされた提案が付加価値につながるほか、顧客情報の重要性が高いという点も特徴となる。