人材ビジネスの提供サービスとして主なものは人材派遣と人材紹介。両者で雇用リスクの取り方と収益構造が異なり、事業をおこなうには厚生労働大臣の許可が必要
人材ビジネスの提供サービスとして、人材派遣、人材紹介、人材教育、人事コンサルティングの4つの領域がある。特に、業界の多くの領域を占める人材派遣、人材紹介について詳しく触れる事とする。
人材派遣や人材紹介は、表面上は同じように求職者(労働者)と求人者(雇用主)をマッチングさせるビジネスであるが、その収益の基盤は人材派遣が派遣料金を収益基盤とする一方で、人材紹介は紹介料を主な収益とする点で異なっている。2つの人材サービスの違いは雇用契約を結ぶ対象である。人材派遣の場合は、労働者と派遣会社が契約を結び、派遣会社から雇用主へ労働者を派遣するという形式をとる。指揮命令については雇用主に権利があるものの、人材管理や教育、福利厚生などの責任は派遣会社が持つかたちとなる。一方で、人材紹介は労働者の求職申し込みと雇用者の求人申し込みを紹介会社がマッチング、契約をあっせんする形式をとる。契約は労働者と雇用主が直接結ぶことから、労働者に付随する管理業務は雇用主がおこなう責任をもち、紹介会社はマッチングフィーを収益とする。両者は雇用リスクのとりかたと収益の得方が異なっているが、人材派遣はリスクをとる一方で安定的なストック収入を得られるモデル、人材紹介はスポットでの紹介料を積み上げる必要がある一方で雇用リスクは抱えないモデルであるという違いがある。
人材派遣、人材紹介ともに営業には厚生労働大臣の許可が必要であり、順守すべき規制も多い。特に派遣業者には労働者の教育訓練や雇用安定化措置が義務付けられる。