2022/01/28

2021年度 第3四半期 決算説明会質疑応答要旨

マクセル 株式会社 

2021 年度第 3 四半期決算説明会 質疑応答要旨
2022 年 1 月 28 日

Q. 原材料費高騰に対応した値上げのペースや考え方について教えて欲しい。

A. 値上げのペースはまだ不足していると考えており全力で交渉している。一方で、購入と販売のずれが生じるので、早期に売価に転嫁できるよう進めている。値上げに対する考え方については、なるべく社内のコスト改善を行い、顧客に迷惑をかけないことを最優先するという考え方をこれまでどおり持ち続けるが、足元の原材料費高騰は急激に拡大しており、自助努力だけで収益確保はできない。退路を断って顧客にお願いするしかない状況であり、強く交渉を進めている。顧客側の理解も感じており、フェアに自信をもって交渉を進めていく。

Q. 説明資料の P14 において 2022 年度では 100%の価格転嫁をめざすとことだが、前提として現在の高い水準で価格高騰が横ばいになるとみているのか、あるいは原材料価格は上がり続けており更に高騰したとしても、その都度顧客に負担を求めていくのか。考え方を教えて欲しい。

A. 材料によって傾向は異なるが、特にリチウム、コバルトなど電池材料、石油由来の材料など、上り止まりが見えていない。値上がりのレベルを想定して交渉していると、交渉中に更に材料費が値上がりすることにもなりかねず、労力を要するが都度都度、材料相場と連動した形で売価に反映すべく交渉していく。

Q. 短期的に半導体不足や原材料価格高騰の影響があると思うが、一方で構造改革もほぼ終了して収益を出せるベースができ、今後はトップラインを伸ばして利益を出していけるかどうかだと考える。一方で民生用 LIB がピークアウトすることも考えられるので、成長製品が貢献することが重要と考える。成長製品のなかで、苦労している製品や、取り組みを教えて欲しい。

A. 電池関連では、車載向け耐熱コイン形リチウム電池、コイン形リチウム二次電池は、拡販も含め順調。一方で、スマートメーター向けの筒形リチウム電池は、部材が揃わない状況もあり、顧客に迷惑がかかるなど、当初想定と比べて苦戦している。但し、製品の競争力や市場の伸びについては、2023 年に向けしっかりと挽回すべく進めている。一方で、ライフソリューションの健康・理美容事業については、考え方を変えて競争力のある製品を生み出すべく、業務プロセスも含め見直しを進めている。

Q. 説明資料 P13 の Q4 で想定しているリスクの説明について、Q4 の 9 億円の営業利益については、数量差異、半導体不足、原材料価格高騰の影響によるとのことだが、大きめに影響を想定しているのか、確からしさはどの程度か?今回業績予想を修正していないことと併せて教えて欲しい。

A. 特に原材料価格の高騰が厳しく、余裕があるということで業績予想を出しているという状況ではない。但し、原材料価格の高騰については交渉によってリカバリーできる部分もあると考えている。95 億円の営業利益予想は、必ず実現するという強い思いで進めている。2022 年度以降、需要の回復や原材料価格の売価への転嫁などは、しっかりと挽回していくことができると考えているが、Q4 でどこまで挽回できるかはかなりチャレンジングである。Q4 の価格高騰はほぼ見えており、覚悟を持った交渉でこれをカバーしていきたい。

Q. 現状の自動車関連の市況について、耐熱コイン形リチウム電池、光学部品を中心に回復状況を教えて欲しい。

A. タイヤ空気圧センサー向けの耐熱コイン形リチウム電池は、2020 年度 Q1 の前半でかなり需要が落ち、2020 年度としても需要減となったことと比べると、2021 年度は 2-3 割は回復する見通し。もともとシェアが高いことに加えて、新しい案件も獲得でき、非常に好調に推移している。車載カメラ用レンズユンニットは、主力工場がマレーシアにあり、2021 年夏にロックダウンの影響もあったが、2021 年度としては 2-3 割の回復を見込んでいる。自動車の需要より、当社や当社の顧客がどれだけ生産対応できるかという要因が大きい。LED ヘッドランプレンズは、2020 年度の需要の下落が自動車需要の下落と比べて緩やかであったこともあり、車載カメラ用レンズユニットや耐熱コイン形リチウム電池と比べると 2021年度の回復度合いは小さいが、売上は 10%弱程度は伸びる見込み。自動車市場向け全体としては好調に推移している。

Q. 2022 年度に向けた成長シナリオを実現するための生産能力増強など、投資計画について教えて欲しい。

A. エネルギーセグメントでは、スマートメーター向け筒形リチウム電池は顧客側の半導体不足もあり、足元の需要の伸びが弱いが、将来間違いなく拡大する。このため規模はさほど大きくないが現在増産投資をしている。また、医療用途向けリチウムコイン電池も、投資をしているが、設備用の部品・材料の入手に苦労している状況があり、当初計画より遅れている。全固体電池については、当初現在の中計期間中は本格的売上ではなく、開発フェーズあるいは少量のビジネスをスタートする考えであったが、足元の状況が良いため、量産機の前倒しを検討している。半導体関連需要に対しては、メタルマスク用の投資が2022 年 2 月に完成予定。また、半導体関連組込みシステムについては、開発人員の確保と併せ、生産能力向上のための投資の検討をしている。

Q. Q3 の営業利益は 24 億円とのことだが、セグメント別の当初計画と比較してどのように推移したか教えて欲しい。

A. Q3 は 2021 年 10 月の業績予想修正時点と比べて、若干上振れとなった。原材料価格高騰の影響もあったが、マイクロ電池などが想定より少し上回った。セグメント別では、エネルギーは LIB が落ちたが他の製品が上振れ。光学・システムも上振れとなった。機能性部材料、ライフソリューションはほぼ想定内であった。

Q. 2020 年度との営業利益偏差+57 億円のなかで、事業改革で+20 億円、原価低減で+29 億円とのことだが、これらの中でプロジェクターに起因するものはどの程度か?また、光学・システムセグメントについて、同様の営業利益偏差の内訳を教えて欲しい。光学・システムだけで+48 億円の偏差が出ているので。

A. 事業改革には、2020 年度で実施した早期退職、事業撤退、減損などの影響が入っている。原価低減については、固定費が削減された影響が大きい。プロジェクターについては、主に事業改革に入っている。プロジェクターの 2021 年度 Q1、Q2 が想定以上に好調だった影響もある。光学・システムだけの偏差分析は手元になく詳細についてはご容赦いただきたいが、プロジェクター関連の一時的要因、ヘッドアップディスプレイ中心に、開発費も含めた売上計上もあり、損失が減った要因もある。

Q. 塗布型セパレーター、ヘッドアップディスプレイの状況・見通しについて教えて欲しい。

A. 塗布型セパレーターは収益認識基準の変更があり、売上の連続性が見えなくなったが、前年同期比で 30%程度の増収。2020 年度は自動車の需要減少があり厳しかったが、足元は HEV、EV など電動化加速もあり、急回復している。2022 年度以降もこの傾向を受け、しっかりと成長を確保していけると見ている。ヘッドアップディスプレイは、2021 年 4 月から中国顧客向けの販売を開始している。AR型のヘッドアップディスプレイについては、当社と欧州系のメーカーに供給している他社があり、シェアとしては各々50%程度となっている。売上規模はまだ 10 億円から 20 億円程度で小さいが、しっかりと売上が立ってきており、2022 年度以降は、新モデルへの展開や、光学・システムの派生事業のディスプレイ事業についても案件や引き合いが増えており、伸ばしていきたい。収益を最大限確保しながら、取捨選択をしつつ、強みを発揮できる製品や案件に特化して開発を加速していく。

Q. 電鋳(EF2)について、競合状況や製品と、2021 度の設備投資の規模について教えて欲しい。

A. EF2 は、メタルマスクの場合、メッキを積み重ねて、非常に精度の高い小さい穴があいたものをメタルで積み上げていく製品です。競合他社は、メッキ以外の方法でマスクを作っていくので、数も多く完全に把握できない。メッキの強みはミクロ単位の精度であり、他社のパンチングなどで穴をあける方式に比べて優れている。但し、メッキでメタルのマスクを積み上げる工数がかかるため、少しコスト高になる。コストが高くても精度が求められる有機 EL パネル用のマスク、半導体製造装置用部品などで強みを発揮していく。2022 年 2 月に予定している設備投資額は数億円レベル。いろいろな工程があり一つの装置ではない。

Q. 全固体電池は 2022 年春から小野工場で生産開始の計画であったと考えるが、現時点の予定を教えて欲しい。また、前倒し傾向となっている要因は産業機器やウェアラブルなど既存案件の拡大によるのか、車載領域などの案件も出てきているのか教えて欲しい。

A. 現在はパイロット的な生産ラインが小野工場にある。サンプル用プラスアルファ程度のものではあるが、出荷はしている。インフラ用途や、高耐熱性の FA 用途で需要の大きい案件も見えてきたため、もう少しスケールの大きい設備の導入を考えている。当初は 2024 年以降で数量が増えた後の投資を考えていたが、少し前倒しすることを検討している。


Q. 原材料価格高騰額についてどの程度か教えて欲しい。また、取り組み内容とどの製品で価格転嫁が実現するのか教えて欲しい。

A. 価格高騰額については、イメージではあるが、当社の売上は 1,300 億円程度。これに対して 2-3%程度の原材料費高騰額となっていると考える。値上げについては、1 月 11 日に当社としてリリースを出し、公に宣言し、覚悟を持って交渉を開始している。値上げ実績については、粘着テープなどは既にQ1 から実績となっている。現在の課題は、金額の規模と、対象となる顧客が急激に拡大していることであり、Q4 以降しっかりと進めていきたい。

Q. 半導体不足による 2022 年 3 月期の売上高と営業利益への影響額を教えて欲しい。

A. 半導体不足による影響額については準備しておらず、ご容赦いただきたい。

Q. 全固体電池について、前倒しを考えているとのことだが大きな設備などどのような規模の投資を考えているのか。また、2023 年度までの中計期間においてどの程度の売り上げを考えているか。

A. 投資額について正確な数字は回答できないが、小型の電池であり、数億円あるいはプラスアルファか更に大きくなる可能性もある。中計期間中の売上目標については、具体的な数字は精査中。なるべく早期に実売上が立つように進めていきたい。 (最後に) 本日はご参加有難うございました。2021 年度の業績は全体として過去にない良い水準で推移している。足元 Q4 は、原材料関連の状況が、需要も含め変動要素が大きく、舵取りが難しい経営を迫られているが、2021 年度営業利益 95 億円は何としても死守すべく、従業員一同、一丸となって取組みを加速している。引き続きご支援をお願いしたい。

以上

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