2022/04/25

歯科医療向け人工歯用3Dプリンター粉末(コバルト合金)を実用化

山陽特殊製鋼 株式会社 

2022 年 4 月 25 日

歯科医療向け人工歯用3Dプリンター粉末(コバルト合金)を実用化

山陽特殊製鋼株式会社(代表取締役社長 宮本 勝弘、本社 兵庫県姫路市、以下「山陽特殊製鋼」)および歯科医療用材料・製品メーカーの株式会社アイディエス(代表取締役社長 金井 聖臣、本社 東京都文京区、以下「アイディエス」)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(本部 茨城県つくば市、以下「産総研」)の協力のもと、歯科医療で用いられる人工歯用の3Dプリ ン タ ー 粉 末 ( コ バ ル ト - ク ロ ム - モ リ ブ デ ン - タ ン グ ス テ ン 合金:Co-25Cr-5Mo-5.5W、以下「CCMW 合金」)を実用化しました。 国産の歯科医療向け3Dプリンター粉末としては、2019 年 9 月に薬事承認を取得した義歯床用の3D粉末(コバルト-クロム-モリブデン合金:Co-Cr28-6Mo、以下「CCM 合金」)に続き 2 例目となります。セラミックスのコーティング性に優れる CCMW 合金の薬事承認を取得したことで、差し歯等の人工歯の3D造形にも国産粉末が使用できるようになりました。

これまで歯科医療向け3Dプリンター粉末は、多くを海外材料の輸入に頼る状況でしたが、このたびの実用化により、差し歯や義歯床の3D造形に使用される金属粉末のほぼ全てを国産材料で供給することが可能となり、歯科医療のスピードアップや人工歯等の品質向上、環境負荷低減に繋がる3D造形のさらなる普及が期待されます。

■本件の背景と期待される効果

①3D造形適用のメリット
歯科医療の分野においても、従来人手による型取りから鋳造法で作製されていた人工歯等を、3Dプリンターで作製することが可能となりました。3D造形の適用で、作製にかかる工程や時間を大幅に短縮できるとともに、患者ごとに形状が異なるオーダーメイドの人工歯等を一律の精度で一度に複数作製できます。また、3D造形の適用により、鋳造法の作製で発生する埋没材(石膏などの鋳型材)等の産業廃棄物もなくなるため、環境負荷低減に繋がります。

②国内での普及に向けた課題
歯科医療分野における3Dプリンターの適用は、欧米や中国を中心に普及しています。日本国内では、3Dプリンターで用いる歯科医療用材料となる金属粉末を、為替変動等の影響を受ける海外製材料の輸入に頼る状況であったため、国内での普及に向けて、国産粉末の薬事承認による安定的な供給が課題となっていました。

③山陽特殊製鋼の3Dプリンター粉末の特長
山陽特殊製鋼が提供する3Dプリンター粉末は、3Dプリンターでの積層・充填性に優れ高密度の造形体が得られる良質な球状粉で、金型や航空・宇宙、エネルギー関係分野においても多数の採用実績があります。その金属粉末が薬事承認を取得することによって、高い生産能力と技術力を活かした高品質の歯科医療向けの3Dプリンター粉末を安定的に供給することが可能になると考えられました。 ④薬事承認の取得とその効果 こうしたなか、歯科医療用材料・製品メーカーのアイディエスは、産総研 岡崎 義光博士の協力のもと、山陽特殊製鋼が製造した3Dプリンター粉末を用いて、主に義歯床に用いられる CCM 合金の薬事承認を 2019 年 9 月に取得しました。これに続いて、2022 年 3 月に、セラミックスのコーティング性に優れ、差し歯や義歯床に多く用いられる CCMW 合金についても、山陽特殊製鋼の3Dプリンター粉末で薬事承認を取得しました。

国産材料である山陽特殊製鋼の3Dプリンター粉末の適用分野が拡がることで、歯科医療のスピードアップや品質向上、環境負荷低減に繋がる3D造形の更なる普及が期待できます。

以上

≪お問い合わせ先≫
山陽特殊製鋼株式会社 総務部広報グループ (TEL:079-235-6002)

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