2022/11/09

血管肉腫に対するBNCT国内第2相臨床試験開始のお知らせ

ステラファーマ 株式会社 

2022年11月9日
ス テ ラ フ ァ ー マ 株 式 会 社

血管肉腫に対するBNCT国内第Ⅱ相臨床試験開始のお知らせ

当社が株式会社CICSと実施しているBNCT(Boron Neutron Capture Therapy: ホウ素中性子捕捉療法)について、血管肉腫を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験が開始されることをお知らせします。

第Ⅰ相臨床試験では悪性黒色腫(メラノーマ)及び血管肉腫を対象に実施致しました。その結果、患者の組み入れ数では、血管肉腫が多数を占めました。

第Ⅰ相臨床試験での状況から、より早く医療現場にBNCTを届ける可能性が高い疾患として、今回、血管肉腫を優先的に開発することと致しました。

血管肉腫の現在の治療環境を鑑みた場合、BNCTがアンメットメディカルニーズを満たす可能性が高く、この開発は「ひとりのかけがえのない いのち のために」という当社企業理念に沿うと考えています。

なお、メラノーマに関しては、今回の組み入れ結果を踏まえ、第Ⅰ相臨床試験で対象とした局所に限局したメラノーマから適応を広げることも含めて開発計画を検討していく予定です。

本件による当社の業績への影響は軽微であります。

詳細につきましては、添付資料をご参照ください。

以上

血管肉腫に対する BNCT 国内第Ⅱ相臨床試験開始のお知らせ

株式会社 CICS(代表取締役社長:古川哲也、本社:東京都江東区、リゾートトラスト株式会社の連結子会社、以下「CICS」)及びステラファーマ株式会社(代表取締役社長:上原幸樹、本社:大阪市中央区、以下「ステラファーマ」)が実施する BNCT(Boron Neutron Capture Therapy: ホウ素中性子捕捉療法)の国内第Ⅱ相臨床試験が開始されることをお知らせします。

第Ⅰ相臨床試験の結果に基づいて計画された本試験では、血管肉腫

※1の患者様を対象とします。

本試験の主目的は、切除不能な血管肉腫を対象に、CICS の中性子照射装置(CICS-1)とステラファーマのホウ素薬剤(SPM-011)を用いた BNCT の奏効率を評価することです。また本試験は、国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院で症例数 10 例を目標に単群試験※2で行われます。

対象は、化学放射線療法や放射線治療が困難な局所進行又は局所再発の患者様です。現在のところ、血管肉腫においては化学放射線療法や放射線による治療が困難な場合、局所制御に有効な治療法は確立されていません。

本試験について、国立がん研究センター中央病院放射線治療科長の井垣浩先生は、次のようにコメントされています。「本試験は、化学放射線療法、放射線治療が困難な局所進行または局所再発の血管肉腫の患者様が対象で、とりわけ高齢者が多くいらっしゃいます。原則 1 回の中性子照射で完了する BNCT は身体への負担が少なく、第Ⅰ相臨床試験の結果で忍容性が確認され、60%と高い奏効率も示されました。本試験を、有効な治療手段を持たない患者様に希望をもたらす、新たな治療手段として確立する手がかりとしたいです。」

CICS 及びステラファーマは、BNCT の適応拡大を目指し、一人でも多くのがん患者様に治療を提供できるよう、推進してまいります。

※1 血管肉腫について
血管肉腫とは、血管の内皮細胞から発生するがんのことです。体のいたるところにできる可能性があり、皮膚に生じることが多いがんです。

※2単群試験について
すべての被験者が同一の治療を受ける試験です。

【BNCT について】

BNCT とは、放射線治療の一種であり、新しいがんの治療方法です。

患者様にホウ素薬剤を投与すると、ホウ素(10B)ががん細胞に集まります。その後、患部に体外から中性子線を照射します。照射する中性子線は、非常にエネルギーが小さく、人体への影響はほとんどありませんが、ホウ素(10B)とぶつかると核反応を起こし、放射線(アルファ線と7Li 核)が発生します。BNCT は、この放射線によってがん細胞を選択的に破壊する治療法です。また、原則 1 回の中性子線の照射で治療が完了し、身体への負担が少ない治療法として期待されています。

BNCT は日本の研究が世界をリードしており、世界初の薬事承認を経て 2020 年 6 月から頭頸部癌(切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部癌)で保険適用されています。

【CICS-1 について】

CICS-1 は、CICS が開発した加速器型の中性子捕捉治療装置です。RFQ(高周波四重極)直線加速器で加速した陽子をリチウムターゲットに衝突させることで中性子を生成するもので、人体への悪影響の大きい高速中性子の混在が少ないことが特徴です。また生成する中性子のエネルギーが 800keV 以下と低いため、BNCT に適した 10keV 程度のエネルギーに減速するための減速体系の小型化が可能となりました。

【SPM-011 について】

SPM-011 は、ステラファーマが創生した BNCT 用ホウ素薬剤(一般名:ボロファラン(10B))です。従来の臨床研究では溶液の不安定さに問題を抱えていましたが、SPM-011 は、溶解補助剤を工夫することにより、この問題を解決しました。また、SPM-011 には、ステラファーマの関係会社ステラケミファ株式会社が有する、国内で唯一の10B の濃縮技術による濃縮率 99%以上の10B を使用しています。

【メディア関係者お問い合わせ先】

■ 治験・機器に関するお問い合わせ先
株式会社 CICS
〒135-0063 東京都江東区有明 3-5-7 TOC 有明ウエストタワー17F
Tel :03-3529-6301 Mail: tec@cics.jp

■ 薬剤に関するお問い合わせ先
ステラファーマ株式会社
〒541-0043 大阪府大阪市中央区高麗橋 3-2-7 ORIX 高麗橋ビル 8F
総務部 Tel:06-4707-1516 Mail: sp-contact@stella-pharma.co.jp

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