i2.JPを通じ、救急救命時に生命に関わる薬剤の特定を必要とする患者さんの救急搬送時における迅速な服用薬剤の特定および処置を目指すための、概念実証の実施に向けた計画を始動
アストラゼネカ 株式会社i2.JPを通じ、救急救命時に生命に関わる薬剤の特定を必要とする患者さんの救急搬送時における迅速な服用薬剤の特定および処置を目指すための、概念実証の実施に向けた計画を始動
公開日 2023年 6月 16日
本リリースは、2022年12月14日の発信のSmart119との協働による概念実証計画の内容に関し、さらなるプロジェクトスコープのアップデートがありましたためその旨をお知らせ申し上げます。
オープンイノベーションネットワークを通じアストラゼネカとSmart119が
ヘルスケア分野の課題解決を目指すために協働
アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、「アストラゼネカ」)は、株式会社Smart119(本社:千葉県千葉市、代表取締役:中田 孝明、以下「Smart119」)が提供する救急医療情報システム「Smart119システム」の活用において、実証実験を行うために業務提携いたしましたのでお知らせいたします。アストラゼネカは、抗凝固薬を主として、抗血小板薬、インスリン製剤、アナフィラキシー補助治療剤の服用患者さんの救急救命時における迅速な服用薬剤の特定を目指すべく、その効果検討のための実証実験を既にSmart119システムが普及している地域で行います。
抗凝固薬は、非弁膜症性心房細動患者の脳梗塞予防や静脈血栓塞栓症の治療・再発予防等を目的として広く使用されています1。一方で、服用中は通常より出血が起こりやすい状態となるため、事故や転倒などのきっかけで、大出血に繋がるリスクが高くなります。抗凝固薬服用中の患者さんにおいて生命を脅かす出血、または止血困難な出血が発現した際には、抗凝固薬の中和剤を止血処置の一環として投与することで、出血の増大を抑えられる可能性があります。救急医療において、抗凝固薬の他にも特に搬送患者が病院到着時に治療にあたる医師が把握しておきたい服薬情報として抗血小板薬、糖尿病に使用されるインスリン製剤、アナフィラキシー補助治療剤であるアドレナリン製剤が挙げられます。しかしながら、救急隊の病院到着時に約30%の患者さんで服用薬剤が特定できないという報告や救急入院患者さんのうち服薬情報が入院当日に把握できるのは17.6%という報告があります2,3。
この現状を改善するひとつの策として、予め患者さんの服薬情報について当該薬剤を処方する医師がSmart119のデータベースに登録し、出血や意識混濁、アナフィラキシーなどで救急搬送された際に、搬送先医療機関が迅速にこれらの情報を把握できる仕組みを構築します。つきましては、対象地域の協力医療機関にて当該薬剤を処方され、服薬状況の提供に同意した患者さんを対象に実証実験を行います。
このたび、「i2.JP(アイツー・ドット・ジェイピー;Innovation Infusion Japan)」というオープンなコミュニティにおいて、Smart119が運用する救急医療情報システム「Smart119」を活用するというアイデアが生まれました。「患者中心」の実現に向けて、医療・ヘルスケア業界はどうあるべきか、この難題の解決策を探るべく発足したのがi2.JPです。アストラゼネカは、「患者中心」の実現を目指す中で、特に注意を要する当該薬剤の服用患者さんに対して、救急救命時に一刻も早く適切な処置を届けることに貢献できるようSmart119と協力しながら取り組んでまいります。
以上
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アストラゼネカの循環器・腎・代謝(CVRM)領域について
循環器・腎・代謝(CVRM)はアストラゼネカの主要治療領域のひとつであり、当社にとって重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器・腎・代謝 疾患をもつ世界中の患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器およびその機能の再生の実現を目指しています。
i2.JP(アイツー・ドット・ジェイピー)について
i2.JPは、アストラゼネカが世界で展開するヘルスケアイノベーション拠点「A.Catalyst Network」の一員として2020年11月に日本で発足し、オープンイノベーション活動を積極推進しています。i2.JPではスタートアップ、医療従事者、地方自治体、アカデミア、民間企業を結び付け、ヘルスケア分野の問題解決に向かい、集合知で実用的な最適解を一緒に生み出すための活動を展開しています。「患者中心」の実現、医療従事者への付加価値提供、患者と医療従事者に貢献する新技術の発掘と育成、医療システムの最適化という4つの課題への挑戦をミッションに掲げています。i2.JPについては、https://www.i2jp.net/をご覧ください。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫疾患およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/をご覧ください。フェイスブックAstraZeneca.JapanとインスタグラムAstraZeneca / アストラゼネカもフォローしてご覧ください。
株式会社Smart119について
株式会社Smart119は「現役救急医が設立した、千葉大学発スタートアップ」です。「安心できる未来医療を創造する」をミッションに、「より早く、正しい救急医療」を目指す救急医療情報共有システム「Smart119」、医療事業継続支援システム「respon:sum」(レスポンサム)などの開発・運用を行っています。「Smart119」システムは2020年7月より本運用されており、千葉市、東広島市、千葉県にて導入されているほか、山梨県、札幌市などで実証実験を行った実績があります。株式会社Smart119については https://smart119.bizをご覧ください。
References
1. Calculated based on JPM Jan 2010-Dec 2021 Copyright © 2022 IQVIA. Reprinted with permission
2. 緊急入院患者における入院時薬歴管理 医療薬学 37(1) 41-47 (2011)
3. 救急入院患者と予約入院患者の持参薬調査に関する比較検討 Jpn. J. Drug Inform., 17(1): 39-44 (2015)
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- 循環器・腎・代謝