2023/06/20

農林水産省 大臣等記者会見 2023年06月20日 - ● (大臣から)肥料価格高騰対策に係る追加対策 ● G20農業大臣会合 ●フリーマーケットアプリにおけるサツマイモの苗の取引 ●鳥インフルエンザにかかる防疫管理 ●輸出支援プラットフォーム ●肥料価格高騰対策に係る追加対策

農林水産省  

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年6月20日(火曜日)10時16分~10時38分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)肥料価格高騰対策に係る追加対策について
  • G20農業大臣会合について
  • フリーマーケットアプリにおけるサツマイモの苗の取引について
  • 鳥インフルエンザにかかる防疫管理について
  • 輸出支援プラットフォームについて
  • 肥料価格高騰対策に係る追加対策について

冒頭発言

大臣

本日、私から1点ご報告がございます。肥料についてですが、本年秋肥の全農の卸売価格は引下げが発表されていますが、今後も化学肥料の低減を進め、国際価格の変動を受けづらい生産体制を確立する必要があります。全農から28%値下げの発表がありましたが、価格が28%下がったとしても、化学肥料で輸入物を原料とする肥料をできるだけ低減しましょうということを我々は今、言っているわけですから、そういう意味で、現在、農業者の皆様には、肥料価格高騰対策の要件である化学肥料の2割削減に向けた「取組メニュー」に取り組んでいただいているところですが、このような取組を後押しするよう、今般、同対策の一環として、堆肥入り肥料の利用を進める取組など「地域単位」での取組を支援する「追加対策」を実施することといたしました。ここがミソでして、今までは各個人に対して支援をしていましたが、今回は堆肥入り肥料の利用を進める取組など、地域単位での取組を支援する追加対策だと(いうことです)。個人個人ではありませんということが大きく今までと変わるところです。そういったことを是非、報道していただきたいと思います。具体的な内容につきましては、本日午後3時から事務方からレクを行う予定にしておりますので、詳しく聞いていただきたいと思います。以上が、今回の肥料の追加対策(ですが)、これについては(今まで具体的に)申し上げていませんでしたが、秋肥の肥料(卸売価格)は6月1日(から適用)だと思うのですが、全農が取り扱いを始めていますので、(農林水産省としては)こういった取組をしていこうと思っています。

質疑応答

  • G20農業大臣会合について

記者

先週末に開かれたG20農相会合の成果についてお聞かせください。ロシアを巡り共同声明が発出には至りませんでしたが、その点も踏まえて受け止めについて聞かせてください。

大臣

先日16日から17日の2日間の日程で、G20農業大臣会合がインドで開催をされたところです。G20各国に招待国を加えた農業大臣会合に出席してまいりましたが、世界の食料安全保障確保のために何ができるのかにつき、議論を交わすことができたことは大変有意義だったと思っています。私からはG7宮崎農業大臣会合での成果を踏まえ、農業の生産性向上と持続可能性の両立を実現すべきであるということを主張し、多くの賛同を得たところです。強じんで持続可能な農業・食料システムの構築の必要性について各国間に異論はなく、議長総括にも明記されたところです。日本国内での実施に向け、引き続き取り組んでまいりたいと思っているところですが、20か国の中には当然、日本で開きましたG7(農業大臣会合)のメンバーも入っていましたので、そういう方々の賛同も得たところでございます。

  • フリーマーケットアプリにおけるサツマイモの苗の取引について

記者

メルカリなどのフリーマーケットアプリで、農家が増殖したとみられる登録品種のサツマイモの苗が多数出品されています。増殖した苗の無断譲渡は、種苗法違反に当たるだけではなく、誰が作ったか、どのように作ったか分からない苗が流通してしまうと、南九州で問題になっていますサツマイモ基腐病のような病害が広がる一因にもなるのではないかと思っています。農林水産省として、この問題を把握されていたかどうかということと、何か対応していることがあれば教えていただけないでしょうか。

大臣

フリーマーケットアプリでそういう取引があるというふうに聞いていますが、(そこで)登録品種のサツマイモの苗が取引されているということも新聞等で見て、これは事実だということは(農林水産省として)把握をしています。種苗法上、育成者権者からの許諾を得ずに登録品種の種苗を増殖・販売等する行為は、これは(育成者権の)侵害に当たるというのは御存知のとおりです。ただ、サツマイモの苗というのは、私も鹿児島の自分の家でサツマイモを作っておりましたから(分かるのですが)、ほとんどが自家用で苗も作るのです。そういう意味では非常に作りやすい苗ですから、これが作りやすいからといってどんどん広がっていくと、特に鹿児島や宮崎ではサツマイモ基腐病が発生しましたので、(これが)他の県まで転移してしまうと取り返しがつかないことになりますので、農林水産省としては、SNSなどその他の媒体の活用や、フリマサイトの運営者の協力も得て、更なる制度の周知をし、育成権者からの許諾を得ずして流通するということになると、(種苗法上)損害賠償請求や刑事罰の対象となり得るということで法改正もしているわけですから、非常に厳しい刑事罰等の対象になりますよ、ということをできるだけ広く言わなければいけないなと思っているところです。このような(故意に育成者権を侵害した場合の)損害賠償請求(の額の推定)が幾らになるのかなども、刑事罰もそうですが、全部(種苗法の)法律の(規定)中に書いてありますので、是非、皆さん方もそういうことを大々的に取り上げていただいて、報道していただければありがたいなと思います。

  • 鳥インフルエンザにかかる防疫管理について

記者

養鶏場に関してのことなのですが、今、農林水産省で養鶏場の分割管理できるかどうか、マニュアルを作っているかと思うのですが、先日、新潟県の知事が副大臣のところに参りまして、「非常に分割管理の基準がかなり厳しすぎるのではないか、養鶏場の皆さんが使えるような、ちょっと緩やかなものにして欲しい」という要望もありました。これも含めて、これから秋になるとまた鳥インフルの可能性もありますが、その辺の対策も含めて、分割管理などについて、今の見解をお願いできますか。

大臣

私は個人的には厳しければ厳しいほど良いのではないかと思うのですが、ただそれは農家の皆さんが実行できるかできないかということにも繋がりますし、新潟の知事がそういうことをおっしゃったということも報告で聞いております。ただ、新潟の知事の要請は先週の話でありましたが、その後、昨日、(食料・農業・農村政策審議会)家畜衛生部会への諮問を行ったところですので、どういったような管理をしていくか、分割管理導入のハードルをどのぐらいまで持っていけばいいのか、あるいはそうすることによって農家の皆さんが対応できるのか、緩めれば緩めるほど農家にとってはいいのかもしれませんが、そのことでこの病気の感染が拡大してしまうということでは元も子もなくなってしまいますので、その辺の兼ね合いも見ながら、専門家や現場の方の意見も踏まえながら、次期シーズンへの備えとして、現場向けのマニュアルの策定を急ぎたいと思っていまして、(今後)新潟県知事にもこうした考え方を申し上げて、(今は)マニュアルの策定をまだしていませんので、それらをきっちりと作ってからまた説明したいと思っています。

記者

この鳥インフルというのは渡り鳥が原因とされていまして、なかなかグローバルな、なかなか対策が難しい中でこの分割管理っていうのはある意味ではうまくやれば、かなり殺処分の数も減るわけで、かなり大きな力になるものでしょうか。

大臣

そうですね。分割管理は、いろいろなところから、知事さん達からも要請を受けています。分割管理することについては私どもも異論はないというふうに思いますが、管理する仕組みについては、例えば新潟の知事さんがおっしゃっているのは、(鶏舎ごとに管理する)人を代えるなど、今のところまだマニュアルには書いてないのですけれども、そういうことも考えているということを(当省側から)申し上げたところ、「そこまでやる(必要がある)ならできないよ」というような(話で)、人件費がかかるとか、何がかかるとか、それでは農家が導入できないのではないかというような懸念を持っているということを聞いていますので、(農林水産省としては)できるだけ使い勝手の良いものにしたいと思いますが、先ほど申し上げたように、緩めれば緩めるほど感染が拡大しやすくなってくるので、その辺の兼ね合いのところもございますので、両方、上手くいくように、今からこのマニュアル作成に入っていきたいと思います。

  • 輸出支援プラットフォームについて

記者

輸出支援の件でお伺いしたいのですけれども、先週台湾で輸出支援のプラットフォームが、立ち上がりました。2022年の農産品等食品の輸出額は過去最高を更新したと思いますけれども、こういったプラットフォームがどういったふうに寄与したというふうにお考えかということと、一旦プラットフォームはこれで計画としては打ち止めかと思いますけれども、今後、中小の輸出拡大にこのプラットフォーム、大変寄与しているかと思うのですが、今後はどういった施策を練っていくお考えか、もしありましたら教えてください。

大臣

プラットフォーム(を立ち上げるの)はこれで最後かというご質問ですが、2023年の6月までで8か国・地域(米国、EU、ベトナム、シンガポール、タイ、中国、香港、台湾)に設置をしていますが、これでプラットフォームの立ち上げはまだ打ち止めだということでは(必ずしも)なく、今後輸出状況を見極めつつ、検討していきたいと思います。

記者

こういった取組というのは、中小の輸出拡大に貢献したというふうに見てらっしゃいますか。

大臣

それはそう思います。やはり、プラットフォームがあった方が受け入れやすいと思います。話が通りやすくなりますから、できるだけプラットフォームを作っていこうということで、中国には4か所(立ち上げて)ありますし、広い地域ではこまめにプラットフォームを作るということです。

  • 肥料価格高騰対策に係る追加対策について(1)

記者

冒頭の化学肥料の引き下げの件なのですけれども、個人を対象にしていたものを地域に広げると、そこがみそだとおっしゃったのですけれど、そこに対する期待とか、どういったことを期待されてその地域への拡大をされていくのかという思いをお聞かせいただければと思います。

大臣

去年の秋肥、そして今年の春肥につきましては、個人に対する支援ということでやっていましたが、全農が先般発表した(本年)秋肥の卸売価格の下落に伴って、秋肥以降の小売価格の低下も見込まれます。(卸売価格が)28%(の下落)だと言っていましたから、(今後も)化学肥料の2割削減に向けた「取組メニュー」が確実に実施されていかないと、また元に戻って化学肥料を買ってしまうと、このような問題を抱えているので、国際価格の変動の影響を受けづらい生産体制を確立する(必要があります)。それには、国内にあるものは国内で使おうということで、堆肥入りの化学肥料などを今、多くの県で作りつつあります。今回の対策は、地域単位で取組をするところ(を支援するもの)です。個人個人でどの程度使っているのか、2割減になっているのかというのは、調査するのも大変なので、例えば、「農協の〇〇部会は皆で徹底してやりましょう」とか、「〇〇作物部会はやりましょう」というのを皆で決めて皆で取り組んでいただくということに対して支援をしていくことにしています。「個人で2割減らします」と言っても、周りの人たちが同じように動いてくれないと、化学肥料(の使用量)が、昔に戻ってしまうという恐れがありますので、グループや団体など(地域単位)で取組を皆でやりましょうということを決めていただきたいという思いもあって、個人ではなく、地域単位、グループなどで取り組んでいただくこと(への支援)としたいと思っています。

  • 肥料価格高騰対策に係る追加対策について(2)

記者

今の質問に関連してなのですけれども、秋肥の支援に関連して、その補填のための、財源についてはどう整理されているのでしょうか。

大臣

この追加対策は、今般の肥料価格高騰対策事業の一環として講じるものであり、予備費で措置した予算(788億円)の中で実施するものです。

報道官

よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上



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