OncoGuide(TM) NCCオンコパネル システムが進行胆道がんの治療薬フチバチニブのコンパニオン診断として保険適用開始
シスメックス 株式会社ニュースリリース
2023.08.30
OncoGuide(TM) NCCオンコパネル システムが進行胆道がんの治療薬フチバチニブのコンパニオン診断として保険適用開始
シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:浅野 薫)は、「OncoGuide(TM) NCCオンコパネル システム」(以下「本システム」)が、大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林 将之、以下「大鵬薬品」)が開発した「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子※1陽性の治癒切除不能な胆道がん」への治療薬フチバチニブ※2の胆道がん※3患者さんへの適応を調べるコンパニオン診断として、日本における保険適用を受けたことをお知らせします。2023年9月より、シスメックスの子会社である株式会社理研ジェネシス(本社:東京都品川区、代表取締役社長:岩壁 賢治、以下「理研ジェネシス」)が、今回の保険適用に対応したアッセイサービスを開始する予定です。
胆道がんは、国内では年間約2.6万人が発症※4し、5年生存率は30%以下※5と膵臓がんに次いで予後不良のがんとして知られています。また、現時点では、治療法の選択肢が少なく、一次治療で増悪した局所進行または転移性の胆道がんに対しては、標準治療が十分に確立されていないことから、特定の遺伝子異常を標的とした分子標的治療薬の開発が盛んに行われています。
これまで本システムは、日本初のがんゲノムプロファイリング検査※6として、2018年12月に国内における製造販売承認、2019年6月に保険適用を受け、国内完結型のがんゲノム医療の推進に貢献してきました。また、シスメックスは、フチバチニブのコンパニオン診断の実用化に向けて大鵬薬品と共同開発を進め、2023年2月28日付で、フチバチニブの胆道がん患者さんへの適応判定の補助を使用目的として、本システムの一部変更承認を取得しました。フチバチニブについては、2023年6月26日付で大鵬薬品が国内での製造販売承認を取得しており、その後8月30日付で薬価収載されています。
このたび本システムは、がんゲノムプロファイリング検査に加え、新たに胆道がんにおけるフチバチニブのコンパニオン診断として保険適用を受けました。これに伴い、2023年9月より、理研ジェネシスが、国際基準に準拠した品質保証の下で、今回の保険適用に対応したアッセイサービスを開始します。これにより、フチバチニブの適応判定を保険診療下で行うことが可能になり、今後、胆道がんの患者さんへ新たな治療の選択肢を提供できることが期待されます。
シスメックスは、人々のヘルスケアジャーニー※7がより良いものになるよう、さまざまなステークホルダーとの協創を通して、患者さん一人ひとりに最適な医療を支える価値の高い検査・診断技術の創出に取り組んでまいります。
【製品および保険適用の概要】 ※下線部分が今回追加された内容です。
一般的名称 | ・遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用) ・体細胞遺伝子変異解析セット(抗悪性腫瘍薬適応判定用) | |
販売名 | OncoGuide™ NCCオンコパネル システム | |
医療機器製造販売承認番号 | 23000BZX00398000 | |
使用目的又は効果 | ・本品は、固形がん患者を対象とした腫瘍組織の包括的なゲノムプロファイルを取得する。 ・本品は、フチバチニブの胆道癌患者への適応判定の補助を⽬的として、FGFR2 融合遺伝⼦を検出する。 | |
保険収載内容 | D006-19 がんゲノムプロファイリング検査 44,000点 D004-2(4)悪性腫瘍組織検査:胆道癌におけるFGFR2融合遺伝子検査 5,000点 | |
製造販売元 | シスメックス株式会社 | |
対象市場 | 日本 |
【参考】
2018年12月25日リリース『がんゲノムプロファイリング検査用「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」の製造販売承認を取得』 https://www.sysmex.co.jp/news/2018/181225.html | ||
2019年5月31日リリース『がんゲノムプロファイリング検査用「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」が保険適用』 https://www.sysmex.co.jp/news/2019/190531.html | ||
2021年2月8日リリース『がんゲノムプロファイリング検査用「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」の一部変更承認を取得~MSH6、PMS2など新規10遺伝子の変異やNTRK3遺伝子の融合、マイクロサテライト不安定性の検出が可能に~』 | ||
2023年3月15日リリース『OncoGuide™ NCCオンコパネル システムが胆道がんにおけるフチバチニブのコンパニオン診断として一部変更承認を取得』 | ||
2023年8月30日 大鵬薬品工業株式会社リリース『FGFR阻害剤「リトゴビ®錠4mg」新発売のお知らせ』 https://www.taiho.co.jp/release/2023/20230830.html *リトゴビ®は大鵬薬品工業株式会社の登録商標です。 | ||
2023年8月30日 株式会社理研ジェネシスリリース『「OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」の進行胆道がんの治療薬フチバチニブのコンパニオン診断としての保険適用に対応したアッセイサービス開始のお知らせ』 |
【注釈】
※1 | FGFR2融合遺伝子: FGFR(fibroblast growth factor receptor)はFGFR1-4の4種類が同定されており、細胞の成長や増殖に関わる線維芽細胞増殖因子受容体と呼ばれるタンパク質である。FGFR遺伝子異常には、融合、変異、増幅などがあり、これら遺伝子異常により機能が活性化されると、がん細胞の増殖、生存、遊走、腫瘍血管新生、薬剤耐性などに結び付くと考えられている。 日本において胆道がんの一種である切除不能な胆管がんの患者さんを対象とした研究では、FGFR2遺伝子再構成の陽性率は、肝内胆管がんで7.4%、肝外胆管がん(肝門部領域胆管がん)で3.6%との報告がある。[出典:Maruki Y, et al. Molecular detection and clinicopathological characteristics of advanced/recurrent biliary tract carcinomas harboring the FGFR2 rearrangements: a prospective observational study (PRELUDE Study), J Gastorenterol. 2021 Mar;56(3): 250-260] | |
※2 | フチバチニブ: 大鵬薬品が創製した新規経口抗がん剤で、遺伝子異常を持つ線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)と呼ばれるタンパク質の働きを阻害することにより、がん細胞の増殖を抑制する。2022年9月には、米国において「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子またはその他の再構成を伴う切除不能な局所進行または転移性肝内胆管がん」の適応での迅速承認、2023年7月には、欧州において「全身療法後に進行したFGFR2融合または再構成を伴う局所進行または転移性の胆管がん」の適応で条件付き販売承認を取得している。 | |
※3 | 胆道がん: | |
※4 | 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)、全国がん罹患データ(2016年~2018年)および「院内がん登録全国集計」2020 全国集計 結果詳細(腫瘍情報)を元に算出。 | |
※5 | 国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」によると、2014-15年診断例における5年生存率(ネット・サバイバル)は、肝内胆管がんで21.1%、胆のうがんで27.2%である。 | |
※6 | がんゲノムプロファイリング検査: | |
※7 | 「ヘルスケアジャーニー」とは、シスメックスが提唱する概念であり、人が一生の中(ライフステージ)で、自身のヘルスケアについて経験する各種イベントと、医療機関などを含む対応のプロセスを「旅路」として捉えるもの。シスメックスは、一人ひとりのヘルスケアジャーニーがより良いものになるよう、さまざまな協創を通じて新たな価値を提供し、社会にとって不可欠な存在として成長していくことを目指しています。 |
【シスメックス株式会社について】
シスメックスは、グループ企業理念「Sysmex Way」において、「ヘルスケアの進化をデザインする。」をミッションに掲げています。血液や尿などを採取して調べる検体検査分野を事業の核としながら、世界190以上の国や地域の人々の健康を支えています。また、一人ひとりの生涯にわたるヘルスケアの旅路「ヘルスケアジャーニー」がより良いものになるよう、検体検査領域でのさらなるイノベーション創出に加え、手術支援ロボットなどの新たな領域にも挑戦しています。シスメックスは、独自のテクノロジーとソリューション、さらにはさまざまなパートナーとの協創を通じて新たな価値を提供し、健康で長生きしたいという人々の普遍的な願いに寄り添います。シスメックスの詳細については、www.sysmex.co.jp をご覧ください。
【大鵬薬品工業株式会社について】
大鵬薬品は、大塚ホールディングス株式会社の事業会社で「私たちは人びとの健康を高め 満ち足りた笑顔あふれる 社会づくりに貢献します。」を企業理念とし、「がん」、「免疫・アレルギー」の2領域に注力する研究開発型のスペシャリティファーマです。特にがん領域においては、国内におけるリーディングカンパニーの一つとして知られており、グローバル化も積極的に推進しています。がん領域以外におきましても生活の質の向上に貢献できる製品を販売しています。また、コンシューマーヘルスケア事業でも生活者志向を第一に愛情豊かな暮らしを支える商品作りに注力しています。大鵬薬品の詳細については、https://www.taiho.co.jp をご参照ください。
【シスメックスのマテリアリティ】
シスメックスは、優先的に取り組むべき課題(マテリアリティ)の一つに「健康社会への新たな価値創出」を特定し、イノベーションを通じた医療課題解決に取り組んでいます。今後も、健康で長生きをしたいという人々の普遍的な願いに寄り添い、独自のテクノロジーとソリューションを通じて、一人ひとりに最適な医療の実現に貢献します。
以上
- 本プレスリリースは、ステークホルダーの皆さまに企業活動をお伝えするために実施しています。当社製品や研究開発の情報を含む場合がありますが、これらは製品に関するプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。また、掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
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