世界初※1、プラズマクラスター技術による運転能力向上効果を確認
シャープ 株式会社2023年9月26日
シャープ株式会社
運転時のブレーキ操作反応時間、眠気抑制、ハンドル操作性を検証
世界初※1、プラズマクラスター技術による運転能力向上効果を確認
シャープは、当社のプラズマクラスター技術について、運転支援研究が専門の芝浦工業大学※2SIT総合研究所 特任研究員 伊東敏夫 博士(株式会社ハイパーデジタルツイン※3代表取締役)と共同研究を実施し、運転中のヒトへの運転能力向上効果についてドライビングシミュレータで検証を行いました。その結果、運転中のヒトに対してプラズマクラスターイオンを照射することで、運転能力が向上することを世界で初めて確認しました。
当社は、脳波測定を用いた研究により、プラズマクラスター技術で自動車運転中のヒトの集中力維持効果※4を2020年に実証しています。今回は、集中力維持というヒトの状態に関する効果だけでなく、運転者の運転行動(認知・判断・操作)に関する能力向上にも効果が期待できるとの考えのもと、手動運転および今後拡大が予想される自動運転※5についてドライビングシミュレータによる研究を実施しました。その結果、手動運転についてはブレーキを踏むまでの反応時間短縮およびハンドル操作性向上の効果を、また自動運転については、眠気抑制およびテイクオーバー※6後のハンドル操作性向上の効果を確認しました。このように運転者の具体的な行動に影響を与える結果が得られたのは、今回が初めてとなります。
手動運転においては、漫然運転(ぼんやり運転)が法令違反別死亡事故件数の第1位※7となっており、また自動運転下では、急に運転者自身が手動で対応する場合に反応遅延など、運転行動のミスによる事故が懸念されています。運転の完全自動化には時間を要すると見込まれますが、漫然運転の抑止策となり得る今回の研究結果は大きな意義があるものと考えられます。
プラズマクラスター技術は、自然界に存在するものと同じ正イオンと負イオンを利用した空気浄化技術で、当社はこれまで20年以上にわたり国内外の第三者試験機関で試験を実施することで、高い安全性およびさまざまな効果を確認してきました。今回新たに、プラズマクラスター技術による運転能力向上効果を実証しましたが、引き続きヒトへの効果やそのメカニズムについて検証を進め、効果の信頼性を向上させるとともに、プラズマクラスター技術の新たな分野への応用の可能性や、新たな有効性について追究してまいります。
<伊東 敏夫(いとう としお)博士(芝浦工業大学 SIT総合研究所 特任研究員)のコメント>
手動運転の試験における反応時間測定の結果によると、プラズマクラスターイオンを照射することによって、異常検知から通常より約0.5秒早くブレーキを踏むことが確認できた。これは時速50kmで走行中であれば、約7m手前で停止できることとなる。また現在の自動運転は、あくまで主体は運転者である「部分運転自動化」といわれるレベル2に該当し、自動運転システムが対応できない状況になると、運転者による手動運転に切り替わる可能性がある。自動運転中は運転者の注意力が低下しやすいため、眠気を抑制しハンドル操作性を向上可能なプラズマクラスター技術を応用すれば、急に手動運転に切り替わった場合でも、事故を防ぐ可能性が期待できる。今後もさらなるプラズマクラスター技術の応用に期待したい。
※1 イオン放出式の空気浄化技術において(2023年9月26日現在、当社調べ)。
※2 所在地:東京都江東区、学長:山田 純。
※3 芝浦工業大学発のスタートアップ企業。センサーネットワーク技術とロボティクス技術の融合により、超小型モビリティ事業を展開。
※4 自動車運転中のストレス抑制と集中維持を実証(2020年)https://jp.sharp/plasmacluster-tech/closeup/closeup05/
※5 当試験の自動運転はあくまで人がする必要のある運転支援レベルのもの。
※6 自動運転システムでは対応できず、人が運転をしなければならなくなった状態のこと。
※7 警察庁「令和4年中の原付以上運転者(第1当事者)の法令違反別死亡事故件数の推移」より。
● プラズマクラスター、Plasmaclusterはシャープ株式会社の登録商標です。
■ プラズマクラスターイオンによる運転能力向上効果検証の試験概要
●試験実施者:伊東敏夫 博士(芝浦工業大学 SIT総合研究所 特任研究員)
●試験空間:芝浦工業大学 実験室
●被験者:20~24歳の男女20名
●試験装置:プラズマクラスター技術搭載試験装置
ドライビングシミュレータ(DS)
●試験条件:
a.プラズマクラスターイオンなし(送風のみ)
b.プラズマクラスターイオンあり
●プラズマクラスターイオン濃度:被験者位置 約100,000個/cm3
図1.DSの外観
●試験方法:
高速道路を模した走行コースを、手動あるいは自動運転*で走行。
* 自動運転の試験はハンドルに手を添えた状態で行い、前方に障害物が現れた際は手動運転に切り替わる設定で実施。
1.手動運転時
集中力維持が前方の早期認知によるブレーキ操作およびハンドル操作に影響すると考えるため、以下の項目についてそれぞれ評価。(試験時間各40分間)
① ブレーキを踏むまでの反応時間(先行車が停止表示後ブレーキを踏むまでの時間を評価)
② ハンドル操作の滑らかさ**(障害物を避ける時のハンドル操作の滑らかさを評価)
2.自動運転時
運転支援により注意力が低下し、眠気増加および手動運転へ切り替え時の反応遅延が懸念されるため、以下の項目について評価。(試験時間20分間、③を実施した後④を評価)
③ 顔表情評定による眠気評価(顔表情を5段階の眠気レベルで評価:図4参照)
④ テイクオーバー後のハンドル操作の滑らかさ**(②と同様)
** 手動運転時のハンドル操作の滑らかさ:解析区間が長いためステアリングエントロピ―法(乱雑さを分析する手法)で評価
自動運転時のハンドル操作の滑らかさ:解析区間が短いためハンドル操舵角の微分分散値(ハンドルを回す角度のばらつきの値)で評価
●結果:
1.手動運転時の評価結果
送風のみと比較して、プラズマクラスターイオンありの方に以下の点を確認した。
① 先行車が停止表示後、ブレーキを踏むまでの時間が約0.5秒早くなること(図6)
② 障害物を避ける際に滑らかに避けられること(図7)
2.自動運転時の評価結果
送風のみと比較して、プラズマクラスターイオンありの方に以下の点を確認した。
③ 眠気が抑制されること(図8)
④ テイクオーバー後、より滑らかなハンドル操作で障害物を避けられること(図9)
以上の結果より、プラズマクラスター技術に運転能力向上効果があることを確認した。
■ 自動運転レベルの定義概要※8
運転主体 | レベル | 定義 | 自動運転操作 | 外界監視 | 故障時の対応 | ドライバー 有無 |
人 | 0 | 自動運転 なし | × ドライバーが 実施する | × ドライバーが 外界監視する | × ドライバーが 対応する | 有 ドライバーの 乗車が必要 |
1 | 運転支援 | △ 1つの操作のみ システムが実施 | × | × | 有 | |
2 | 部分運転 自動化 | 〇 システムが複数の操作を実施 | × | × | 有 | |
システム | 3 | 条件付運転 自動化 | 〇 | 〇 外界監視不要で 読書など可能 | × | 有 |
4 | 高度運転 自動化 | 〇 | 〇 | 〇 故障時も システムが対応 | 有 | |
5 | 完全運転 自動化 | 〇 | 〇 | 〇 | 無 ドライバーの 乗車不要 |
※8 首相官邸「官民ITS構想・ロードマップ(2021年6月15日)」を元に作成。
■ アカデミックマーケティングによる国内・海外での実証機関一覧
対象 | 実証機関 |
臨床試験による 効果実証 | 芝浦工業大学 システム理工学部 機械制御システム学科 |
九州産業大学 人間科学部 スポーツ健康科学科 | |
鹿屋体育大学 スポーツ・人文応用社会科学系 | |
(株)リトルソフトウェア | |
(株)電通サイエンスジャム | |
東京大学大学院 医学系研究科 / (公財)パブリックヘルスリサーチセンター | |
中央大学理工学部 / 東京大学 医学部附属病院 臨床研究支援センター | |
ジョージア 国立結核病院 | |
(公財)動物臨床医学研究所 | |
(株)総合医科学研究所 | |
東京工科大学 応用生物学部 | |
HARG治療センター / (株)ナショナルトラスト | |
ヒトの作業能力向上 | 九州産業大学 人間科学部 スポーツ健康科学科 |
ウイルス・カビ・細菌の | ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授 |
アレルゲンの作用抑制 | 広島大学大学院 先端物質科学研究科 |
肌保湿(水分子コートの | 東北大学 電気通信研究所 |
ウイルス | (財)北里環境科学センター |
韓国 ソウル大学 | |
中国 上海市予防医学研究院 | |
(学)北里研究所 北里大学メディカルセンター | |
イギリス レトロスクリーン・バイロロジー社 | |
(株)食環境衛生研究所 | |
インドネシア インドネシア大学 | |
ベトナム ベトナム国家大学ハノイ校工科大学 | |
ベトナム ホーチミン市パスツール研究所 | |
長崎大学感染症共同研究拠点・熱帯医学研究所 | |
島根大学 医学部 微生物学講座 | |
コロンビア大学 医学部 | |
カビ | (一財)石川県予防医学協会 |
ドイツ リューベック大学 | |
ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授 | |
(一財)日本食品分析センター | |
(株)食環境衛生研究所 | |
中国 上海市予防医学研究院 | |
(株)ビオスタ | |
千葉大学 真菌医学研究センター | |
細菌 | (一財)石川県予防医学協会 |
中国 上海市予防医学研究院 | |
(財)北里環境科学センター | |
(学)北里研究所 北里大学メディカルセンター | |
米国 ハーバード大学公衆衛生大学院 名誉教授メルビン・ファースト博士 | |
(公財)動物臨床医学研究所 | |
ドイツ リューベック大学 | |
ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授 | |
(一財)日本食品分析センター | |
(株)食環境衛生研究所 | |
タイ 胸部疾病研究所 | |
(株)ビオスタ | |
アレルゲン | 広島大学大学院 先端物質科学研究科 |
大阪市立大学大学院 医学研究科 分子病態学教室 | |
安全性 | (株)LSIメディエンス |
細胞への影響評価 | コロンビア大学 医学部 |
ニオイ・ペット臭 | (一財)ボーケン品質評価機構 |
(公財)動物臨床医学研究所 | |
美肌 | 東京工科大学 応用生物学部 |
美髪 | (株)サティス製薬 |
(有)シー・ティー・シージャパン | |
植物 | 静岡大学 農学部 |
有害化学物質 | (株)住化分析センター |
インド インド工科大学 デリー校 |
- (注)
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