2024/02/26

アストラゼネカのタグリッソと化学療法との併用療法、米国においてEGFR遺伝子変異陽性の進行肺がん患者さんを対象に承認取得

アストラゼネカ 株式会社 

アストラゼネカのタグリッソと化学療法との併用療法、米国においてEGFR遺伝子変異陽性の進行肺がん患者さんを対象に承認取得

公開日 2024年 2月 26日

本資料はアストラゼネカ英国本社(AstraZeneca PLC)が、投資家/ビジネスパートナーの皆様からのご要望に応えるため、2024年2月19日に発信したプレスリリースを抜粋し、日本語に翻訳したものです。 本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
FLAURA2試験は製造販売後臨床試験として実施中であり、タグリッソと他の抗悪性腫瘍剤との併用療法については、有効性および安全性は確立されていない旨が添付文書に記載されています。
本リリースに記載するsavolitinibは本邦未承認です。

標準治療と比較してタグリッソと化学療法の併用が
9カ月近い無増悪生存期間の中央値の延長を示したFLAURA2試験の結果に基づく承認

AstraZeneca PLC(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、タグリッソ(R)(一般名:オシメルチニブ、以下、タグリッソ)と化学療法の併用療法が、局所進行性または転移性の上皮成長因子受容体遺伝子変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者さんの治療薬として米国で承認されたことを発表しました。

米国食品医薬品局(FDA)による優先審査指定をうけた今回の承認は、The New England Journal of Medicine で発表された第Ⅲ相FLAURA2試験の結果に基づくものです。タグリッソと化学療法の併用療法は、一次治療の標準治療であるタグリッソ単剤療法に対し、病勢進行または死亡のリスクを38%低下させました(ハザード比[HR]0.62;95%信頼区間[CI]0.49-0.79; p<0.0001)。治験担当医師評価による無増悪生存期間(PFS)中央値は、タグリッソと化学療法の併用療法において25.5カ月であり、タグリッソ単剤療法(16.7カ月)に対して8.8カ月改善しました。
盲検下での独立中央判定(BICR)によるPFSの結果は、治験担当医師による評価結果と一致しており、タグリッソと化学療法の併用療法におけるPFS中央値は29.4カ月と、タグリッソ単剤療法(19.9カ月)よりも9.5カ月改善しました(HR 0.62; 95% CI 0.48-0.80; p=0.0002)。

米国では毎年20万人以上が肺がんと診断されており、これらの患者さんの80~85%が最も一般的な肺がんであるNSCLCと診断されています1-3。また、約70%の患者さんが進行NSCLCと診断されます4。さらに、米国のNSCLC患者さんの約15%にEGFR遺伝子変異が認められます5

Dana-Farberがん研究所の腫瘍内科医でありFLAURA2試験の治験責任医師であるPasi A.Jänne医学博士は次のように述べています。「FLAURA2試験のデータに基づく今回の承認は、進行性EGFRm NSCLCの患者さんに極めて重要で新たな治療選択肢をもたらします。これからは、オシメルチニブがベースとなる2つの効果的な治療選択肢があることで、医師は個々の患者さんのニーズに応じてより良い治療を選択することができ、その患者さんにとって最善の予後をもたらすことが期待できます」。

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者であるDave Fredricksonは次のように述べています。「この重要な新しい治療選択肢によって、さらに9カ月近く病勢進行を遅らせることができ、進行性EGFRm NSCLCの一次治療においてより長い無増悪生存期間が報告されたことから、新たなエビデンスを確立しました。この承認は、タグリッソの単剤療法または化学療法との併用療法として、EGFR遺伝子変異陽性肺がん治療の標準治療としてのタグリッソをより確かなものにします。この承認ニュースは、脳転移のある患者さんやL858R点突然変異のある患者さんを含む、予後が悪い患者さんにとって特に重要です」。

GO2 for Lung Cancerの代表取締役社長兼CEOのLaurie Ambrose氏は次のように述べています。「このように治療の進歩が継続し、社会に対してより個別化された治療選択肢が出てきていることを非常に喜ばしく思います。適切な治療を適切な患者さんに対して、適切なタイミングで行うことに焦点を当てることができれば、より良い結果が社会にもたらされます。これは私たち全員が共有する目標です」。

FLAURA2試験では、ベースライン時に脳転移が認められた患者さんの中枢神経系(CNS)の病勢進行または死亡リスクをタグリッソ単剤療法に対して、タグリッソと化学療法の併用療法により42%減少させたことが示されました(HR 0.58; 95% CI 0.33-1.01、事前に規定された探索的解析、BICRの評価)。追跡2年の時点において、タグリッソと化学療法の併用療法で治療された患者さんの74%がCNSの病勢進行または死亡しなかったのに対し、タグリッソ単剤療法で治療された患者さんでは54%でした。

全生存期間(OS)に関する2回目の中間解析時(イベント発現割合41%時点)の結果はイベント数が不十分でしたが、OSに不利益な傾向は示されませんでした(HR 0.75; 95% CI 0.57-0.97)。引き続き試験は継続され、重要な副次評価項目としてOSを評価します。

化学療法を併用した場合のタグリッソの安全性プロファイルは概ねコントロール可能であり、有害事象はタグリッソと化学療法併用群の方が発現率が高かったものの、併用療法群で見られた有害事象は各薬剤において確立されたプロファイルと一致していました。本試験において、有害事象によりタグリッソが投与中止に至った割合はタグリッソと化学療法併用群11%、単剤療法群6%でした。

2023年12月には、FLAURA2のデータに基づき、エクソン19欠失型またはエクソン21(L858R)点突然変異が確認されたEGFRm NSCLC患者さんに対するNCCNカテゴリー1のその他推奨レジメンとして、化学療法との併用療法におけるオシメルチニブ(タグリッソ)が、NCCNオンコロジー臨床診療ガイドライン(NCCNガイドライン(R))に追加されました6

米国の承認申請に対しては、「Project Orbis」の下で審査が行われました。「Project Orbis」は参加する国際パートナー国間で抗がん剤の承認申請を共同で審査する枠組みです。「Project Orbis」の一環として、化学療法との併用療法におけるタグリッソも、オーストラリア、カナダ、スイスの規制当局により審査中です。また、FLAURA2試験の結果に基づき、他の数カ国においても規制当局への承認申請が検討されています。

タグリッソは、米国、EU、中国および日本を含む100カ国以上で単剤療法として承認されています。承認された適応には、局所進行または転移性のEGFRm NSCLC、局所進行または転移性のEGFR T790M変異陽性NSCLC、および早期EGFRm NSCLCの補助療法患者さんの一次治療が含まれます。また、FLAURA2の結果に基づき、数カ国で規制当局への承認申請が検討されています。

肺がん患者さんを可能な限り早期に治療するというアストラゼネカの継続的な取り組みの一環として、タグリッソは術前補助療法として第Ⅲ相NeoADAURA試験を実施しており、今年後半に結果が得られる予定です。また、早期ステージの切除可能な術後補助療法として第Ⅲ相ADAURA2試験にも取り組んでいます。

以上

*****

肺がんについて
肺がんは、男女共にがんによる死因の第1位であり、すべてのがんによる死亡の約5分の1を占めており7、非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大きく分けられます2。また、すべてのNSCLC患者さんの大多数が進行がんと診断されます4

EGFRm NSCLC患者さんは特にがん細胞の成長を促す細胞シグナル伝達経路をブロックするEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療への感受性が高くなります8

FLAURA2試験について
FLAURA2試験は、局所進行(IIIB~IIIC期)または転移性(IV期)EGFRm NSCLC患者さんに対する一次治療を検討する第Ⅲ相無作為化非盲検国際多施設共同試験です。患者さんは、タグリッソ80mgの経口錠剤1日1回に化学療法(ペメトレキセド(500mg/m2)およびシスプラチン(75mg/m2)またはカルボプラチン(AUC5))を3週間ごとに4サイクル、その後はタグリッソとペメトレキセドによる維持療法を3週間ごとに投与を併用する治療を受けました。

この試験には、米国、欧州、南米およびアジアを含む20カ国以上の150を超える施設で557人の患者さんが登録されました。主要評価項目はPFSでした。試験は現在進行中であり、引き続き、副次評価項目である全生存期間を評価する予定です。

タグリッソについて
タグリッソ(一般名:オシメルチニブ)は第3世代不可逆的EGFR阻害剤であり、中枢神経系転移に対するものを含め、NSCLCにおける臨床的有効性が実証されています。タグリッソ(40mgおよび80mgの1日1回経口錠剤)は、世界中で80万人以上の患者さんの治療に使用されており、アストラゼネカは、EGFRm NSCLCの複数の病期にわたる患者さんの治療薬として、タグリッソの開発を続けています。

EGFRm NSCLCにおけるタグリッソの使用を支持するエビデンスは豊富にあります。タグリッソは、第Ⅲ相ADAURA試験における早期肺がんと、第Ⅲ相FLAURA試験および第Ⅲ相FLAURA2試験における進行期肺がんの両方で患者さんの予後を改善させた唯一の分子標的治療薬です。

また、第Ⅱ相SAVANNAH試験、および第Ⅱ相ORCHARD試験、ならびに経口投与の強力かつ選択性の高いMET TKIであるsavolitinibとタグリッソの併用療法を検討する第Ⅲ相SAFFRON試験を通じて、さらには他の新薬候補を介して、腫瘍の耐性メカニズムを解き明かそうとしています。

肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や病勢進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを研究することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。

アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーであり、LAAは、イノベーションを促進し、肺がん患者さんの治療を含め、治療を超えた人々に意味のある改善を提供するために取り組んでいます。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんさんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ソーシャルメディア@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References

  1. ASCO. Lung Cancer - Non-Small Cell: Introduction. Available at:
    https://www.cancer.net/cancer-types/lung-cancer-non-small-cell/types-treatment. Accessed February 2024.
  2. LUNGevity Foundation. Types of Lung Cancer. Available at: https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/types-of-lung-cancer. Accessed February 2024.
  3. American Cancer Society. What Is Lung Cancer? Available at:
    https://www.cancer.org/cancer/lung-cancer/about/what-is.html#:~:text=About%2080%25%20to%2085%25%20of,(outlook)%20are%20often%20similar. Accessed February 2024.
  4. Cagle PT, et al. Lung Cancer Biomarkers: Present Status and Future Developments. Archives Pathology Lab Med. 2013;137:1191-1198.
  5. Keedy VL, et al. American Society of Clinical Oncology Provisional Clinical Opinion: Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Mutation Testing for Patients with Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer Considering First-Line EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Therapy. J Clin Oncol. 2011:29;2121-27.
  6. NCCN, National Comprehensive Cancer Network(R) (NCCN(R)). Referenced with permission from the NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines(R)) for Non-Small Cell Lung Cancer Version 1.2024.(C) National Comprehensive Cancer Network, Inc. [2024]. All rights reserved. Accessed [February 14, 2024]. To view the most recent and complete version of the guideline, go online to NCCN.org. NCCN makes no warranties of any kind whatsoever regarding their content, use or application and disclaims any responsibility for their application or use in any way.
  7. World Health Organisation. International Agency for Research on Cancer. Lung Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/15-Lung-fact-sheet.pdf. Accessed February 2024.
  8. Cross DA, et al. AZD9291, an Irreversible EGFR TKI, Overcomes T790M-Mediated Resistance to EGFR Inhibitors in Lung Cancer. Cancer Discov. 2014;4(9):1046-1061.

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