2024/05/29

コードからプロダクションへ: 革新的な AI 体験構築を Azure が支援

日本マイクロソフト 株式会社 

コードからプロダクションへ: 革新的な AI 体験構築を Azure が支援

2024年5月29日 | Japan News Center

コーポレート バイスプレジデント、Data, AI, and Digital Applications, Product Marketing
ジェシカ ホーク (Jessica Hawk)

AI が研究所のホワイトボードから日常生活の現実へと移行する中、私たちは市場の重要な転換点を目の当たりにしています。潜在的可能性から実用化への飛躍は極めて重要な局面であり、開発者の皆さまはそれを実現するための鍵を握っているのです。

Build で発表したニュースは、この AI の約束を現実のものとするために皆さまと共に取り組んできた中で、お聞きすることが多かった要望にフォーカスしたものです:

  • すべての開発者が、使い慣れているツールを活用して、より迅速かつ効率的に作業を進められるようにします
  • 成果を上げるために必要な AI、データ、アプリケーション プラットフォーム サービスへのアクセスを拡大し、簡素化することで、革新的な AI 体験の構築に専念できるようにします
  • 責任、安全性、セキュリティ、信頼性機能をプラットフォームに組み込むことで、魅力的なアプリケーションの構築に専念することができるようにします

私は 20 年以上にわたりソフトウェア製品を開発してきましたが、正直に言って、開発者にとってこれほどエキサイティングな時はありません。かつては遠い約束であったものが、今、現実のものとなっています。それは、実現可能なアプリの種類だけでなく、それらの構築方法についても当てはまります。

Microsoft Azure は開発者の今を支援すると共に、これから進むべき道を切り開きます。それでは早速、今 Microsoft Build 2024 で学べることの “ごく一部” をご紹介します。

Azure AI による未来の創造: ツール、モデルの選択肢と柔軟性

Azure AI の可能性と共に、導入企業の数も増え続けています。私たちは、メルセデス・ベンツUnityVodafoneH&R BlockPwCSWECO など、世界中の 50,000 社以上の企業がこの Azure AI を活用して真のビジネス インパクトを達成できるよう、支援しています。

さらにその価値を高めるために、マイクロソフトは利用可能なモデルの範囲の拡大を続け、構築中のアプリケーションに適したモデルを見つけるためのプロセスを簡素化しています。今週発表される Azure AI のアップデートの詳細については、Tech Community ブログ (英語) をご参照ください。

コパイロット スタックの主要構成要素である Azure AI Studio一般提供開始されました。このプロコード プラットフォームは、カスタム コパイロット アプリケーションの開発を含め、責任ある生成 AI の開発を支援します。そのシームレスな開発アプローチには、フレンドリーなユーザー インターフェース (UI) や、Azure Developer CLI (AZD)、AI Toolkit for VS Code などのコード作成機能が含まれており、開発者は、自身のプロジェクト向けに最もアクセスしやすいワークフローを選択できます。

開発者は、Azure AI Studio を使用することで、AI ツールの探索、複数の相互運用 API とモデルのオーケストレーション、RAG (Retrieval Augmented Generation) を使用したモデルのグラウンディング、モデルのパフォーマンスと安全性の評価、本番環境での大規模な展開などを、継続的に監視することができます。

大小さまざまな言語モデルによる支援

モデル カタログは、Azure AI Studio の中核です。1,600 種を超えるモデルを取り揃え、フロンティア モデル、そして、オープンな LLM と SLM から最善の選択肢を提供するため、マイクロソフトはイノベーションと幅広いパートナーシップ締結を続けています。お客様には、ベンチマークを比較し、ビジネスのニーズに基づいてモデルを選択する柔軟性を提供します。また、精度や関連性などのモデル ベンチマークを比較することで、ユースケースに最適なモデルを発見しやすくしています。

OpenAI の最新のフラグシップモデル GPT4o が Azure OpenAI Service で利用可能になったことも発表いたします。この画期的なマルチモーダル モデルは、テキスト、画像、音声処理を 1 つのモデルに統合し、対話型の生成 AI 体験の新たな基準を打ち立てます。GPT-4o の価格は、インプットが $5/100 万トークン、アウトプットが $15/100 万トークンです。

今月初め、マイクロソフトは、Azure OpenAI Serviceを通じた GPT-4 Turbo with Vision機能を有効にしました。これらの新しいモデルにより、開発者はテキストや画像などを含むインプットとアウトプットに対応するアプリを構築し、より豊かなユーザー体験を実現できます。

Azure AI Studio の Models-as-a-Service (MaaS) を利用した新しいモデルを発表します。アラビア語モデルの Core42 JAIS と Nixtla の TimeGen-1 がプレビューで利用可能になり、AI21、Bria AI、Gretel Labs、NTT データ、Stability AI、Cohere Rerank のモデルも近日公開予定です。

Phi-3: SLMの可能性を再定義

Build にて、マイクロソフトが開発した小規模言語モデル (SLM) Phi-3 ファミリーの新しいマルチモーダル モデルである Phi-3-small、Phi-3-medium、Phi-3-vision を発表します。Phi-3 モデルは、パワフルでコスト効率に優れ、デバイス上、エッジ、オフライン推論などのリソース制約のある環境、そして、高速な応答が重要なレイテンシ制約のあるシナリオ向けに最適化されています。

Phi-3-vision は42 億個のパラメータを持ち、一般的な視覚的推論タスクとチャート、グラフ、テーブル推論をサポートします。このモデルは、画像とテキストを入力し、テキスト応答を出力する機能を提供します。たとえば、チャートに関する質問や、特定の画像に関する自由形式の質問をすることができます。現在、Phi-3-mini は、Azure AI が提供する MaaS (Models-as-a-Service) の一部としても一般利用可能です。

新しいモデルに加えて、マルチモーダルな体験を可能にするため、API 全体に新しい機能を追加しています。Azure AI Speech には、開発者が高品質な音声対応アプリを構築できるよう、音声分析やビデオ翻訳などの新機能がプレビュー版として提供されます。Azure AI Search は、大規模な RAG ワークロードを実行するために、追加コストなしで、ストレージ容量を大幅に増加し、ベクトル インデックスのサイズを最大 12 倍に拡大しました。

Visual StudioGitHubAzure プラットフォームによるインテリジェントなアプリケーションとアイデアの実現

開発ツールは、アイデアをコードへ、そして実働システムへと容易に移行できるべきであり、人々の働く場所や方法に適応するべきです。マイクロソフトは、あらゆる開発者に向けて、Azure 上でのソフトウェア開発を支援するための開発環境とアプリプラットフォームへのアップデートを発表します。

好きなツール内で Azure サービスにアクセスし、より迅速なアプリ開発を実現

すでに使い慣れたツールや環境に Azure サービスをネイティブに対応させることで、より容易にアプリケーションを構築し、優れたパフォーマンス、スケール、セキュリティを確実に実現できるようになります。

また、最も慣れ親しんだ環境からの Azure サービスの利用を非常に簡単にします。Azure の経験や知識に関係なく、VS Code のようなお気に入りの開発ツールやGitHub から直接アクセスできます。本日、GitHub Copilot for Azure のプレビュー版を発表します。GitHub Copilot の拡張により、すべての開発者の利便性が向上します。Buildでは、マイクロソフトや革新的 ISV の他の事例もご紹介します。是非、関連セッションにご参加ください。

また、AI Toolkit for Visual Studio Code も本日にプレビュー版が提供開始されました。この拡張機能は、開発者が VS Code 内でモデルを取得、実行し、ローカルでファインチューニングし、Azure AI Studio にデプロイするための開発ツールとモデルを提供します。

クラウドネイティブ開発をより迅速かつ容易にするアップデート

.NET Aspire が登場します! この新しいクラウドネイティブのスタックは、設定の自動化とレジリエントなパターンの統合によって開発を簡素化します。.NET Aspire を使用することで、好みのツールを使用しながら、コーディングに集中し、設定作業の負担を減らせるようになります。このスタックには、より迅速で信頼性の高いアプリ開発を実現するために、観測性と診断性を強化する開発者ダッシュボードが最初から含まれています。.NET Aspire の一般提供についての詳細情報は、DevBlogs の記事をご参照ください。

また、AI アプリをプロダクションまで持っていくための最も簡単なマネージド型 Kubernetes 体験である Azure Kubernetes Services (AKS) Automatic の発表により、アプリケーション プラットフォームサービスの使いやすさの水準を引き上げました。現在プレビュー中の AKS Automatic は、Microsoft Teams、Bing、Xboxオンライン サービス、M365、GitHub Copilotといった、世界最大級かつ最先端の Kubernetes アプリケーションを実行するマイクロソフトの専門知識に基づき、クラスタのセットアップから管理、パフォーマンス、セキュリティ保護、ポリシー管理まで、すべてを自動化するベストプラクティスを構築します。

開発者の皆さんは、Kubernetes API にアクセスする権限を持ちながら、コンテナ イメージからデプロイ済みアプリに数分で移行できるセルフサービス アプリ プラットフォームにアクセスできるようになりました。AKS Automatic を使用すれば、ビジネスをサポートするために必要な規模、パフォーマンス、信頼性を備えたアプリが安全に実行されるという安心感の下に、優れたコードの構築に専念できます。

AI 時代のデータソリューション

開発者は、アプリケーション戦略における極めて重要な転換点の最前線にいます。今、AI アプリケーションは、AI モデルの革新に対応するために高速かつ頻繁な反復を必要とするため、データベースを含むアプリケーションの各層で最適化を行う必要があります。

今週、インテリジェントなアプリケーション作成の重要な側面を支援し、今と未来の変革をもたらすアプリケーションを作成できるようにするために設計された、新しいデータと分析機能を発表します。

Azure のデータベースに組み込まれたAIで、より迅速な開発を可能に

ベクトル検索は AI アプリケーションの中核です。そこで、強力なアルゴリズム ライブラリ、DiskANN を活用したAzure Cosmos DB for NoSQL にネイティブのベクトル検索機能を追加します。これにより、Azure Cosmos DB は、サーバー管理の必要性なしに、クラウドスケールで低レイテンシのベクトル検索を提供する初のクラウドデータベースとなります。

また、PostgreSQL データの AI 機能をより容易に実現するために、Azure Database for PostgreSQL Azure AI 拡張機能の提供開始も発表します。本機能は、現時点で一般利用可能であり、これにより、PostgreSQL を使っている開発者は、LLM を活用したリッチな PostgreSQL 生成 AI 体験の実現を容易にするために、Azure AI にデータを直接プラグインできます。

エンベッディングにより、AI モデルは、データ間の関係や類似性を理解できるようになりますが、これはインテリジェント アプリケーションの鍵です。Azure Database for PostgreSQL のインデータベースエンベッディング生成機能のプレビュー版が提供開始され、データベース内で直接エンベッディングを行えるようになりました。これにより、1 桁ミリ秒のレイテンシ、予測可能なコスト、機密性の高いワークロードに対するデータ コンプライアンスが提供されます。

データベース内 Copilot 機能により開発者の作業を容易に

これらのデータベースは、独自の AI 体験を構築するのに有用なだけではありません。マイクロソフトは、ユーザー体験に直接 AI を適用することで、データベース内の機能をこれまで以上に容易に探索できるようにします。Azure SQL DB の Microsoft Copilot 機能 (現在プレビュー中) は、照会を SQL 言語に変換し、開発者が自然言語を使ってデータを操作できるようにします。また、Azure Database for MySQL に Copilot 機能が追加され、ユーザーからの質問に対して技術文献の要約を提供します。これにより、より簡単な管理体験が提供されます。

データベース ユーザー体験中の Microsoft Copilot 機能

Microsoft Fabric のアップデート: 強力なソリューションを容易かつ安全に構築

今週は、Real-Time Intelligence の導入をはじめする、Fabric へのいくつかのアップデートがあります。この完全に再設計されたワークロードにより、データをリアルタイムで分析、調査、活用することができるようになります。さらに、Fabric でのアプリ設計、構築をさらに容易にする Workload Development Kit のプレビュー版も登場します。また、Snowflake とのパートナーシップ拡大により、Iceberg データ フォーマットのサポートや、Snowflake と Fabricの OneLake 間の双方向の読み書きをサポートが提供されます。詳細はアルン ウラグ (Arun Ulag) によるブログ記事 “Fuel your business with continuous insights and generative AI” をご参照ください。また、Fabric データ セキュリティの概要については、Microsoft Fabric End-to-End Security ホワイトペーパーをダウンロードしてください。

データの一日

Microsoft Fabric のインサイト、Microsoft Copilot によるリアルタイム支援、Azure AI の革新的なパワーによって、1 つのデータがハイパースケール機能を完備したデータベースのホームから移動し、これまで以上に多くのことができるようになる仕組みを、こちらの動画でわかりやすく学ぶことができます。

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安全で責任ある AI の基盤構築

AI は責任を持って安全に使用されなければならないというマイクロソフトの原則と確固たる信念が、責任を持って AI を拡張するために使用されるツール、API、ソフトウェアの不可欠な一部となっています。Azure AI 内には、90 以上の機能を持つ 20 の責任ある AI 支援ツールがあります。そして、今週のアップデートを皮切りに、さらに多くの機能が提供されていきます。

新しい Azure AI Content Safety 機能

マイクロソフトは、AI アプリケーションとユーザーを有害なコンテンツやセキュリティ リスクから保護する高度なガードレールを提供しています。今週、Azure AI Content Safety の新機能を発表します。その中には、特定のコンテンツ フィルタリングのためにカスタム フィルタを作成できるCustom Categories 機能のプレビュー版が含まれます。この新機能には、高速オプションも含まれており、新たな脅威やインシデントから保護するために、1 時間以内に新しいカスタム フィルタを導入できます。

Prompt Shields と Groundedness Detection のプレビュー版が、Azure OpenAI Service と Azure AI Studio で利用可能になり、AI の安全性強化を支援します。Prompt Shields は、LLM に対する間接的、および、ジェイル プレークのプロンプト インジェクション攻撃を軽減します。Groundedness Detection は、生成された回答に含まれるグラウンディングされていない情報やハルシネーションの検出を可能にします。

アプリとデータの保護と管理の支援機能

Microsoft Defender for Cloud は、クラウド ネイティブなアプリケーション保護をコードからクラウドまでのAIアプリケーションに拡張しました。また、AI セキュリティ ポスチャ管理機能により、セキュリティ担当者は AI サービスやツールを発見し、脆弱性を特定し、リスクをプロアクティブに修正できます。Defender for Cloud における AI ワークロードの脅威対策機能は、Azure AI Content Safety とのネイティブな統合を活用し、セキュリティ担当者がAzure OpenAl アプリケーションを監視し、直接および間接的なプロンプト インジェクション攻撃、機密データの漏えい、その他の脅威を迅速に調査して対応できるよう支援します。

使いやすい API により、アプリ開発者は Microsoft Purview を業務アプリに容易に統合し、Microsoft Copilot と同様に、カスタム ビルドした AI アプリにおいて業界トップクラスのデータ セキュリティとコンプライアンスを実現できます。また、アプリのエンドユーザーが、AI とのやり取りにおけるデータリスクを発見し、暗号化によって機密データを保護し、AI アクティビティを管理できるよう支援します。これらの機能は、Copilot Studio のパブリック プレビューで利用可能であり、まもなく (7月予定)、Azure AI Studio のパブリック プレビュー、および、Purview SDK 経由で利用できるようになります。開発者は、Azure OpenAI 上に構築された AI アプリのデータ セキュリティとコンプライアンス管理の恩恵を受けることができるようになります。詳細はこちらをご参照ください。

最後にセキュリティに関する 2 件のお知らせがあります。第 1 に、マイクロソフトは、HiddenLayer との提携を発表し、カタログに掲載するオープン モデルをスキャンすることで、モデルを展開する前に悪意のあるコードや改ざんの兆候がないことを確認することができます。私たちは、このような検証を提供する初の主要 AI 開発プラットフォームです。

第 2 に、Windows Hello for Business で 10 年近く使用されてきた Azure AI Vision Face API の機能である Facial Liveness が、ブラウザ向けのプレビューで利用可能になりました。Facial Liveness は多要素認証 (MFA) において重要な要素であり、例えば顔認識システムを妨害するために誰かがカメラに写真をかざすと、なりすまし攻撃を防ぐことができます。開発者は現在、プレビュー版の Facial Liveness, with the Azure AI Vision SDK を使用することで Web アプリケーションに簡単に有効性とオプションの検証を追加することができます。

AI の安全で責任ある利用に対するマイクロソフトの信念は揺るぎません。責任ある AI 開発に対するマイクロソフトのアプローチについては、最近公表された Responsible AI Transparency レポートをご覧ください。マイクロソフトはこの領域でのイノベーションを継続していきます。ここでのアプローチは、原則に堅実に根ざし、組み込み機能によって実行されるものです。

Azure でアイデアを閃きから現実へ

企業は、AI の構想の段階を超え、プロダクションの段階へと急速に移行しています。マイクロソフトは、お客様が何十年もの間業界を悩ませてきたビジネス上の課題を解決し、創造的プロセスを飛躍させ、自社の顧客へのサービスを容易にし、さらには新たな競争優位を確保するなどの事例を日々目と耳にしています。マイクロソフトは、業界をリードする開発者向けツールや AI 機能を取り揃え、開発者の皆さまがこのような事例を実現するための革新的体験を創造し、提供できるよう支援していきます。

Microsoft Build 2024 に関する追加情報

Microsoft Build 2024 に参加して、AI がどのようにあなたの未来を形作るかを学びましょう。

本ページのすべての内容は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。正式な社内承認や各社との契約締結が必要な場合は、それまでは確定されるものではありません。また、様々な事由・背景により、一部または全部が変更、キャンセル、実現困難となる場合があります。予めご了承下さい。

Tags: Cloud Computing, 人工知能 (AI)

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