2024/06/07

当社PAI-1阻害薬の進行性悪性黒色腫第2相試験結果に関する論文掲載のお知らせ

株式会社 レナサイエンス 

2024 年 6 月7日

株式会社レナサイエンス

当社PAI-1阻害薬の進行性悪性黒色腫第2相試験結果に関する論文掲載のお知らせ

当社 PAI-1 阻害薬 RS5614 の進行性悪性黒色腫第Ⅱ相試験結果に関する論文が科学誌「British Journal of Dermatology」に掲載されましたのでお知らせいたします。

Fujimura T, Yoshino K, Kato H, Fukushima S, Ishizuki S, Otsuka A, Matsushita, Amagai R, Muto Y, Yamazaki E, Kambayashi Y, Yahata T, Toshio Miyata T, Fujisawa Y, Asano Y.

Phase II, multicenter study of plasminogen activator inhibitor-1 inhibitor 1 (TM5614) plus nivolumab for treating anti-PD-1 antibody-refractory malignant melanoma: TM5614-MM trial British Journal of Dermatology2024 online.
(https://doi.org/10.1093/bjd/ljae231)

論文概要
抗 PD-1 抗体不応答例 27 例に対し、8 週時点の奏効率は 25.9%でした。治療に関連したグレード 3 以上の有害事象は 7.7%に発現しました。TM5614 とニボルマブの併用療法は、抗 PD-1 抗体の切除不能なメラノーマに良好な忍容性と有効性を示しました。

説明
がんの治療の基本は、①外科的療法、②放射線療法、③化学療法(抗がん剤)、④免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)です。人体は、外来のウイルス、細菌、微生物から体を守る免疫というシステムを持っていますが、体内には過剰な免疫を抑制する免疫チェックポイント分子*1が備わっています。がんはこの免疫チェックポイント分子を悪用することで自分自身に対する免疫が働かないようにしています。免疫チェックポイント阻害薬*2は、この免疫チェックポイント分子を阻害することで、ブレーキを解除して免疫ががんを攻撃できるようにします。代表的な免疫チェックポイント阻害薬として、プログラム細胞死 1(PD-1)という免疫チェックポイント分子を標的とする抗体医薬ニボルマブや細胞傷害性 T リンパ球抗原-4(CTLA-4)という免疫チェックポイント分子を標的とする抗体医薬イピリムマブが様々ながんの治療に用いられています。

当社は、東海大学及び東北大学との共同研究により、PAI-1 が様々ながん細胞やがん組織浸潤した細胞に免疫チェックポイント分子であるプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)の発現を誘導し免疫応答を妨害すること、また逆に PAI-1 阻害薬 RS5614 が PD-L1 の発現を阻害し免疫応答を賦活化する免疫チェックポイント阻害作用を有することを発見しました。そのような、RS5614 の免疫チェックポイント阻害作用に基づき、外科的に根治切除が難しい悪性黒色腫(メラノーマ)を対象に、RS5614 とニボルマブとの併用の有効性及び安全性を検討する第Ⅱ相医師主導治験を、東北大学病院、がん研究会有明病院、筑波大学附属病院、東京都立駒込病院、名古屋市立大学病院、近畿大学病院、熊本大学病院と共同で実施した結果、ニボルマブが無効な悪性黒色腫を対象とした 2 次治療において、RS5614 とニボルマブの併用の有効性及び安全性が確認できました(2024 年2月 22 日開示)。

なお、British Journal of Dermatology は本論文を広告するため、別途、スライドや筆者のビデオメッセージの掲載を予定しています。

以上

*1 免疫チェックポイント分子
免疫の恒常性を保つために、自己に対する免疫応答を阻害し過剰な免疫反応を抑制す る分子群です。免疫チェックポイント分子はリンパ球の過剰な活性化を抑制して自己 を攻撃させないために存在しますが、がん細胞は免疫系からの攻撃を回避するために 免疫チェックポイント分子を悪用します。現在、PD-1、CTLA-4 などさまざまな免疫チェックポイント分子が同定されています。

*2 免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイント分子の作用を阻害する医薬品で、現在治療薬として用いられて いる薬剤はすべて免疫チェックポイント分子に直接結合しそれを阻害する抗体医薬で す。

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