2024/06/07

知れば知るほど好きになる流量計の魅力-オーバル技術者座談会【前編】-

株式会社 オーバル 

TOPICS

知れば知るほど好きになる流量計の魅力
-オーバル技術者座談会【前編】-

2024年06月07日

サステナビリティインタビュー

(写真左から)鷲尾、重田、瀧沢、神崎

流量計とは、液体、気体、蒸気といった「流体」を計測する機器のことだ。ただ、一口に流量計と言っても、その計測原理によって数多くの種類が存在する。オーバルでは、自社開発製品を中心に、容積流量計・コリオリ流量計・渦流量計・超音波流量計・熱式質量流量計・タービン流量計といったさまざまな流量計を取り扱い、国内有数の流量計校正設備も備えている。

「産業界のマザーツール」とも言われる流量計だが、社会においてどのような役割を果たしているのだろうか。流量計にかかわる複数の分野のキーパーソンたちによる座談会を、前後編に分けてお送りする。

(出席者プロフィール)

・鷲尾 健二

研究開発部部長

電気計器(計測数値の変換器)の開発を担い、顧客ニーズを製品化。好きな流量計は「オーバルギア式流量計(=容積流量計)」

・神崎 秀輝

サービス部サービス技術センタ課長

設置先への出張メンテナンスを担当。好きな流量計は「渦流量計」

・重田 明日香

技術部仕様管理グループ係長

顧客からの注文を製作仕様書に落とし込み製造現場に指示を出す司令塔。好きな流量計は「渦流量計」

・瀧沢 脩

技術部技術二グループ係長

製品に関する顧客からの問い合わせや改良要請などに対応。好きな流量計は「コリオリ流量計」

計測原理によって異なる流量計の魅力

はじめに、皆さんの業務内容を教えてください

鷲尾:流量計の電気的な部分を中心に開発を行っています。流量計そのものに加えて、付随する電子機器などの開発も担当。最近では、製品だけではなく、無線機器を使ったソリューションにも力を入れています。

重田:製作仕様書や納入仕様書の作成が主な業務です。製作仕様書というのは、お客様からのご注文を受けて、現場へ製造指示を出すための文書。また、納入仕様書とは、お客様の測りたい流体に対して、どのような仕様の流量計を作るかをお客様に説明するための文書です。

神崎:製品設置後の出張メンテナンスを担当しています。お客様に購入していただいた流量計や電子計器について、現地での試運転や定期点検、トラブル対応などが基本的な業務になります。お客様のニーズに応じて、機器の脱着などの工事に対応することもあります。

瀧沢:お客様や自社工場内のさまざまな部門とやりとりしながら、流量計の電気的な部分に関する技術的なフォローをしています。標準製品のカスタマイズやお客様への技術的支援、自社工場からの問い合わせ対応など、幅広く対応しています。

流量計にもさまざまな種類がありますが、一番好きな流量計は何ですか?

鷲尾:私が一番好きなのは、「オーバルギア式流量計」です。「オーバル」はもともと楕円形を表す言葉ですが、オーバルギア式流量計は、楕円形のギアが2枚噛み合って回り、その回転数によって流量を測ります。名前のとおり、当社の創業のきっかけになった流量計でもあります。

この流量計の魅力は、計測の仕組みが非常にシンプルなことです。他の計測原理の流量計には、基本的には電気的な技術が用いられているので、電源の供給がなければ計測ができません。対して、オーバルギア式流量計は、基本的に流体が流れるだけで計量プロセスが完結します。しかも、当社が創業した約70年前から、基本的な設計は変わっていません。私は電気技術者だからこそ、そのシンプルさと完成度の高さに惹かれるんです。 オーバルギア式流量計は、流量を直接測るので「実測式」と呼ばれます。実測によるメリットは、精度と信頼性が非常に高いこと。そのため、流量が取引や品質に直接影響するような重要な場面で多く使われています。

重田:私は「渦流量計」が好きです。理由は、液体や気体だけではなく、蒸気を測ることができるから。流量計にはいろいろな種類がありますが、蒸気を計測できるのは渦流量計だけです。実際に、渦流量計をご注文いただく場合、「蒸気を測りたい」というご要望がかなり多いですね。例えば、ボイラーの稼働効率の分析などにも、渦流量計が役立ちます。

神崎:私も、「渦流量計」に最も愛着があります。渦流量計は、「どうやって測っているか」という原理をお客様にも説明しやすいんですよ。例えば、風に吹かれて旗がはためいたり、川の中にさした竹竿に水草が引っかかって揺れたりしますよね。このとき、1回1回の揺れは流量に比例しています。渦流量計はそれと同じような仕組みで、流体の流れの中に物体を置き、発生する渦によって流量を計測します。流量計の計測原理をお客様に説明するのはなかなか難しいのですが、渦流量計は仕組みをイメージしやすいところが気に入っています。

瀧沢:私は、計測原理が複雑な「コリオリ流量計」が一番好きです。コリオリ流量計の仕組みは、外部から電気エネルギーで振動させたチューブに液体を流し、チューブの入口と出口の振動の状態を比較して流量を計算する、というものです。先ほど鷲尾さんが挙げた「実測式」に対して、物理現象によって流量を推測するため「推測式」と呼ばれます。演算処理には非常に複雑なメカニズムと最新のテクノロジーが詰まっていて、内部のチップの中では何度も計算がやり取りされています。

コリオリ流量計の良いところは、チューブを振動させておけば、内部に部品を入れる必要がないことです。流体を流すチューブ内に障害物がないことで、お客様の生産現場の設計に有利に働くこともあります。コリオリ流量計は比較的新しい計測原理の流量計で、これからニーズも広がっていくのではないかと思っています。

鷲尾:私が好きな「オーバルギア式流量計」は、ギアの回転によって流体を測るので、どうしても摩耗による劣化があり、メンテナンスが不可欠という弱点があります。そのため、メンテナンスにリソースを割くより、劣化しにくいコリオリ流量計を選ぶお客様も増えてきています。ただ、流量を「実測」するオーバルギア式流量計の高い信頼性や安心感は、用途によっては無くてはならないものであり、今後もまだまだ活躍してほしいと思っています。流量計にはさまざまな計測原理があり、測る流体や設置条件、目的・用途などによって向き不向きがあります。数多くのラインナップから、お客様のニーズに合わせてベストなものを提案できるのは当社の強みです。

幅広いニーズへの対応力と、充実した校正サービスが強み

確かに、お客様にとって最も良い計測原理の流量計を提案できるのは大きな強みですね。

瀧沢:流量計専業メーカーとして長年培ってきた経験と技術を活かし、お客様のニーズに応じたカスタムメイドも数多く行っています。「一般流通品では配管条件を満たせない」という場合でも、カスタムメイドなら対応できるケースが多々あります。また例えば、当社の製品の中には、超高圧流体の計測が可能な流量計もあります。高圧ガスなどの計測をする場合、適切な流量計を選ばないと、爆発事故を引き起こすことにもなりかねません。幅広い計測原理の流量計を取り揃え、カスタムメイドを含めた豊富なノウハウをご提供できるのは、当社ならではの強みだと自負しています。

重田:流量計が正しく計測できているかを証明する「校正」も、当社の大きな強みです。流体や流量によっては、国内で当社でしか校正できないものもあります。流量計の校正は、お客様のものづくりにおいて、高く安定した品質を生み出すための基本です。オーバルギア式流量計なら、ギアが1回転したらどれだけ容積があるのか。渦流量計なら、動きと流量がどのように連動しているのか。それが正しくわからなければ、流量計を設置する意味がありません。正しく計測できない流量計は、ただの置物と同じです。流量計と校正は、切っても切り離せないものなんです。

鷲尾:以前は自社製品の校正だけを行っていましたが、「自社の技術をもっと世の中に役立てたい」との思いから、現在は他社製流量計の校正にも対応しています。流量計の専業メーカーである当社は、流量計の校正においてもスペシャリスト。校正設備も多く保有しているので、幅広い条件に対応可能です。

神崎:自社の校正設備のほか、設置先での流量計校正にも対応しています。現地で校正を行うことができれば、検査のために流量計を取り外して返却していただく必要がないので、生産ラインへの影響も最小限で済みます。「流量計を取り外すと生産ラインが止まってしまう」「そもそも流量計を取り外すことができない」という課題も、現地流量計校正サービスなら解決できます。

お客様に喜んでいただけることが一番のやりがい

流量計のお仕事をする中で一番の醍醐味は何でしょう。

鷲尾:製品開発をする上で常に根本にあるのは、「どうすればお客様に喜んでいただけるだろうか」という思いです。そうやって製品化したものがお客様のニーズにマッチしたときは、本当にうれしいですね。神崎さんなどサービス部のスタッフから「製品がお客様に好評だった」と聞くと、それまでの苦労も一気に吹き飛びます。

神崎:私たちサービス部はお客様と直接お話できるので、できるだけお客様の声を関連部門にフィードバックするように心がけています。もちろん、良いことだけではなく、「もっとこうしてほしい」「前の製品の方がよかった」といったご意見をいただくこともあります。お客様の反応から新たな気づきを得られることも多いですね。

その中でも、やはり一番うれしい瞬間は、お客様から感謝の言葉をいただいたときです。例えば、お客様の抱えている課題やトラブルに対して、できるだけコストをかけずに解決する方法を考え、成功に導くことができたとき。一つひとつは小さなことの積み重ねですが、それが「流れに価値を加えます」というコーポレートメッセージの実現につながると感じています。

瀧沢:私も、お客様や営業スタッフから困りごとの相談を受けることがよくあります。「取扱説明書のとおりに配線してもうまく作動しない」などとお問い合わせをいただくことも多いですね。そのようなときに解決策を提案し、お客様に喜んでいただけると、達成感でいっぱいになります。

また、「社会の役に立っている」と実感できることも、この仕事の醍醐味ですね。流量計は生産のあらゆる場面で使われていて、日常生活で触れる商品・製品の中にも、オーバルの流量計が関わって作られたものがたくさんあります。そういう商品を見かけると、「自分は良い仕事をしているんだな」とうれしくなります。

重田:私の場合は、直接お客様と接する機会はなく、社内のやりとりが中心です。お客様の「こういうものを測りたい」というご要望も、営業スタッフからの相談という形で受けることになります。その際、ニーズに合った流量計を提案したり、仕様の違いを説明したりして営業スタッフに納得してもらい、その結果、お客様にとって最適な流量計を選ぶことができたときは、大きなやりがいを感じます。

(ライターメモ)

流量計について語り出したら止まらないメンバーたち。それぞれの話からは、「お客様に喜んでもらいたい」「流量計を通して社会に貢献したい」という熱い想いが伝わってくる。後編では、持続可能な社会の実現のために流量計が担うべき役割と、オーバルが目指す未来について、さらに深掘りしていく。

こちらもご覧ください(関連サイト)

容積流量計・コリオリ流量計・渦流量計の製品ラインアップ

流量計の計測原理のご紹介

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