2024/06/04

ISSレポートに対する当社の見解について

株式会社 大林組 

2024年6月4日
株式会社 大 林 組

ISS レポートに対する当社の見解について

このたび、当社第 120 回定時株主総会における第2号議案「取締役9名選任の件」のうち、大林剛郎会長及び蓮輪賢治社長 兼 CEOの取締役選任に対する、Institutional Shareholder Services Inc.(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ社、以下「ISS」と言う。)からの反対推奨に関し、下記のとおり当社の見解を述べさせていただきます。



1 ISS の推奨意見の概要

・当社の政策保有株式の保有状況について、2024 年3月末現在、その保有額が連結純資産比で 27.7%(※)となっている。

・上記の保有状況を踏まえ、経営トップである大林剛郎会長及び蓮輪賢治社長の取締役選任について反対推奨する。

(※)当社注:27.7%は 2023 年3月末の数値であり、2023 年4月以降の株式相場の上昇を受けて 2024 年3月末は33.8%となっています。

2 当社の見解

ISS は、政策保有株式の過度な保有が認められる企業(政策保有株式の保有額が純資産の 20%以上の場合)の経営トップである取締役に対して反対を推奨する基準を設けております。これは、コーポレートガバナンス上、株式の持合いに関して以下の点が懸念されることを背景としたものであると説明しています。

・株式持ち合いのために投入された資本は本業の設備投資、事業買収、配当や自社株式取得などに充当することができない。また、持合いは長期保有が基本となっており、資本の空洞化を招くことなどから、株主の利益に反する懸念がある。 ・株式の持合いにより、議決権行使にあたっては常に会社提案議案に賛成票が投じられる一方で株主提案に対しては反対票が投じられることからガバナンス機能が低下し、株主の利益に反する懸念がある。

これに対する当社の見解は次のとおりです。

(1)資本効率について

当社は、顧客との取引関係の維持強化を目的として政策保有株式を保有しており、保有意義については、取締役会において当該株式評価損益を定期的に報告し、資本コストや取引関係の維持強化による事業上のリターン等の収益性評価の指標を総合的に勘案したうえで、中長期的な経済合理性を検証しております。検証の結果、営業上の保有意義が希薄化した銘柄については、適宜売却を実施しており、後述の「大林グループ中期経営計画 2022」における縮減目標の設定前においても、5年間(2016~2020 年度)で 356 億円を売却しております。

加えて、当社は 2022 年度からスタートした「大林グループ中期経営計画 2022」においてROICを経営指標目標に採用し、資本効率性を重視する経営に取り組んでおり、政策保有株式の縮減が株式市場からの要請となっていることなども踏まえ、保有意義や投資効率の見直しを更に進め、2027 年3月末までに連結純資産の 20%以内とすることを必達目標として定めております(縮減の取り組みは「大林グループ中期経営計画 2022」に先立つ 2021 年度から着手)。

この方針に基づき、当社は 2021 年度から 2023 年度の3年間で 746 億円を売却済みであり、また現時点で売却について合意に至っている銘柄(売却見込額 716 億円)を含めた売却確定額は 1,463 億円に達しております。一方、昨今の株式相場の上昇により 2023 年度末の保有残高は 2020 年度末から逆に増加していることを受け、2023 年度に会長、社長以下の経営幹部による協議の場を改めて設け、「2027 年3月末における連結純資産比 20%以内」の達成に向け、保有株式の売却割合を当初設定から引き上げております。引き続き、できるだけ早い時期に売却について顧客と合意し、縮減目標を達成できるよう努めているところです。

なお、当社は、本年3月4日に「資本政策の見直しについて」を、本年5月 13 日に「『大林グループ中期経営計画2022 追補』について」をそれぞれ発表したとおり、資本効率性を重視する経営をより一層推進するため、必要自己資本の水準を1兆円と設定して戦略的な資本政策を実行するとともに、ROEを経営指標目標として「2026 年度までに10%以上」と定めており、これらに基づく中期経営計画 2022 期間中のキャッシュアロケーションの見直しを図っております。当該キャッシュアロケーションにおいても、政策保有株式の売却資金は明確に織り込まれており、売却で得られた資金は、株主還元に充てるとともに、企業価値の向上に向けて、人材・DX・技術への投資や生産力拡充のための投資及び競争優位を確立できる領域において機会を捉えた成長投資等の原資としております。

(2)ガバナンス上の問題について

当社が保有する政策保有株式は、当社が顧客との取引関係の維持強化を目的として保有しているものであり、相手先との持合いを前提としたものではありません。なお、相互保有か否かにかかわらず当社株式を保有している相手先から売却の申し出があれば、これをお断りすることは一切ありません。また、当社の本年3月末の流通株式比率は 85%であり、プライム市場の上場基準である 35%を大きく上回っております。このことからも当社が議案への賛成票獲得を目的とした株主構成運営を企図していないことは明らかです。

また、保有する政策保有株式の議決権行使にあたっては、保有先企業の提案議案への賛成を前提とするのではなく、当該議案内容を精査のうえ、当社及び当該企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するものであるかの観点等から総合的に判断することとしており、その旨をコーポレートガバナンス報告書においても開示しております。

以上のことから、当社の政策保有株式の保有に関しては、当社経営に対するガバナンス上の問題及び株主の皆様の利益を損ねる懸念はないものと考えております。

上記(1)に述べたとおり、当社においては、資本効率性を重視した経営に取り組んでおり、政策保有株式の縮減目標の達成に向け、経営計画に織り込むことで株式市場にコミットしております。一方、政策保有株式の売却にあたっては、顧客との取引関係、信頼関係を損なうことがないよう、当社の縮減方針に対する顧客の理解を得たうえで、順次売却を進めていく必要があり、そのための相応の期間を要することから、売却期間を中期経営計画と同じ5年間に設定しております。

これらの方針、事情をご理解いただき、資本効率性の向上に取り組んでいる当社の取締役選任議案にご賛同いただきますようお願い申し上げます。

以上

【参考】

<政策保有株式の縮減状況>

<中期経営計画 2022 期間のキャッシュアロケーション(2024 年5月 13 日発表の追補版)>

【添付資料】


第 120 回定時株主総会招集ご通知


2024 年3月4日適時開示資料「資本政策の見直しについて」


2024 年5月 13 日適時開示資料「『大林グループ中期経営計画 2022 追補』について」

この企業のニュース

業界チャネル Pick Upニュース

注目キーワード