2024/06/14

再発防止策の進捗状況に関するお知らせ(最終版)

KNT-CTホールディングス 株式会社 

2024 年6月 14 日
KNT-CTホールディングス株式会社

再発防止策の進捗状況に関するお知らせ(最終版)

KNT-CTホールディングス株式会社(本社:東京都新宿区 取締役社長:小山 佳延)は、2023年8月9日付「調査委員会からの調査報告書の受領ならびに再発防止策の策定方針および処分等に関するお知らせ」にて公表のとおり、当社連結子会社の近畿日本ツーリスト株式会社における新型コロナウイルスワクチン接種業務に係る過大請求等について、調査委員会からの調査報告書の提言を踏まえ、新たに設置したコンプライアンス委員会ならびにコンプライアンス改革本部を中心に、グループ全社において再発防止策に取り組んでまいりました。現時点までの各社における取組みの進捗について、改めて取りまとめてお知らせするとともに、今後の当社グループのコンプライアンスへの取組みについてお知らせします。

なお、これまでの再発防止策の進捗状況につきましては、以下のとおり開示を行っております。

2023年9月20日「再発防止策の策定および進捗状況に関するお知らせ(開示事項の経過)」
https://www.kntcthd.co.jp/files/ja/ir/news/20230920w.pdf

2023年11月9日「再発防止策の進捗状況に関するお知らせ(開示事項の経過)」
https://www.kntcthd.co.jp/files/ja/ir/news/20231109s.pdf

2024年2月8日「再発防止策の進捗状況に関するお知らせ(開示事項の経過)」
https://www.kntcthd.co.jp/files/ja/ir/news/20240208w.pdf



Ⅰ.再発防止策の進捗状況および現状認識

これまで進めてまいりました全16項目の再発防止策については、次のとおり、昨年9月の策定時に想定していた各項目の対応を終え、概ね所期の成果を得たものと認識しています。現在は改定したガイドラインや業務フローを含め、各施策が運用フェーズへと移行し、一層のコンプライアンス強化に向けた確認・検証を重ねているところです。今後のコンプライアンスに関する当社グループの取組みについては、後述の「Ⅱ.今後のコンプライアンスに関する取組み」をご覧ください。

【再発防止策の進捗】

1.人(意識)の改革

(1)意識調査・企業風土改革

・社員意識調査:昨年8月、9月に約4,600名のグループ全経営陣・全社員対象に実施済みです。12月には外部コンサルタントから集計結果を含む最終調査結果報告書を受領し、対象各社で問題の抽出、課題の共有、解決策の検討を実施しました。特に、現場で判断を行う個々の従業員においてコンプライアンスに関する知識と意識の向上により倫理観と判断力を高め、かつその状態を保ち続けるための持続的な取組みの重要性を認識しました。

・企業風土改革:社員意識調査結果の考察を踏まえて、昨年10月~12月に第1回タウンホールミーティング(全グループ社員がリアル出席、リモート出席または録画視聴)を、3月には第2回タウンホールミーティングを開催しました。

また、5月からは第3回タウンホールミーティングを開催しています。

これらの取組みにより、社員の不安や懸念をはじめとした意識状態を具体的に把握することができたうえ、調査結果の分析・考察を踏まえて当社グループ全体で「ありたい姿」を改めて検討し、コンプライアンス経営の重要性と再発防止に向けた持続的な取組みの必要性を、経営陣と社員が共有することができました。

(2)経営陣のコンプライアンスへのコミットメント

・コンプライアンス委員会:6月までに12回、委員会を開催し、委員長を務める社長の米田、副委員長を務める社外取締役の藤田弁護士を中心に、コンプライアンス改革の各施策について、討議を行いました。本年1月からは弁護士寺浦康子氏を外部アドバイザーとして招聘し、同氏の知見も得つつ、委員会がコンプライアンスに関するより活発な議論の場として機能するようメンバーの見直しを行いました。

・タウンホールミーティング:意識調査結果に対する各社の考察について、当社のみならずグループ各社の経営陣自らが行ったうえで、各社経営陣と社員が直接対面でコンプライアンスに関する率直な意見交換を行いました。

・社内への発信:再発防止の取組みについて、昨年9月、本年1月、3月にイントラネットにて社長メッセージを発信するとともに、タウンホールミーティングを通じて、経営陣の決意を直接社員に伝えるなどの取組みを行いました。 ・社外への発信:再発防止策の進捗状況について、昨年9月、11月、本年2月に適時開示を行うとともに、本年5月のIR説明会(中期経営計画)において、信頼回復に向けた企業風土改革の状況と今後の取組み概要について公表しました。

・知識習得:渋沢栄一氏の「論語と算盤」を主題とした渋澤健氏による講演会の受講や、ビジネスコンプライアンス検定初級資格取得など、全役員が自己啓発に努めました。

これらの取組みにより、経営陣自らが率先してコンプライアンスに対する意識改革に努め、強固なコミットメントのもと、社員との対話を図りながら、改革を先導いたしました。

(3)社内コミュニケーション改革

・タウンホールミーティング(第1回):昨年10月から12月にかけて当社およびグループ各社の役員が各地域に出向き、意識調査結果のフィードバックおよび経営陣が設定した優先課題と対策についての説明を行うとともに、社員と顔を突き合わせて率直な意見交換を行うタウンホールミーティング(全グループ社員がリアル出席、リモート出席または録画視聴)を、当社、近畿日本ツーリスト、クラブツーリズムの主要3社で全12回、グループ会社全体で延べ28回開催しました。

・タウンホールミーティング(第2回):本年3月にグループの一体感・連帯感を高めることを目的として、会社単位ではなく地域ごとの開催とし、グループ行動規範(草案)に対する意見集約や当社グループの存在意義(パーパス)などについて、6日間、全国7会場にて、全11回にわたり社員と経営陣が意見交換を行いました。

・タウンホールミーティング(第3回):5月から8月にかけて組織の一体感を高めるために各社の経営陣が箇所(職場)を訪問し、各箇所の社員との直接対話を通じて実態や課題を把握することを目的として開催しています。

これらの取組みにより、経営陣と社員との距離を縮め、経営陣の考えを社員に丁寧に伝えるとともに、課題やその改善方法について、様々な職場の生の声を聴き、経営に活かしております。

(4)CIの再構築およびグループ行動規範の制定

・CIの再構築:グループの存在意義(パーパス)について、3月の第2回タウンホールミーティングにおける経営陣と従業員との討議を踏まえて準備を進め、5月8日開催の当社グループ経営会議で制定しました。

・グループ行動規範:1月に社内で公表した草案をもとに、第2回タウンホールミーティングにおいて広く社員の意見を聞き、ブラッシュアップを重ね、5月8日開催の当社グループ経営会議で制定しました。また、制定した行動規範がしっかりと社員に根付くよう、「行動規範解説書(仮)」の制作などの浸透策についても準備を進めています。

これらの取組みにより、当社グループの社会的存在意義や目指すべき姿について、社員参加で徹底的な議論を行い、社員が心から目指したいと考える企業の姿 としてグループ全体の「パーパス」を社会の皆さまに宣言しました。また、当社グループの一員として取るべき行動哲学を規範として明文化することができました。

(5)コーポレートアカデミーによる社員教育

・KNT-CTアカデミー設置:本年1月1日付で当社コーポレート・コミュニケーション部内に「KNT-CTアカデミー」を設置しました。

・アカデミー開校記念講演:1月22日に渋沢栄一氏の「論語と算盤」を主題とした渋澤健氏による講演会を開催し、新宿会場でグループ各社役員81名、管理職・一般社員120名、大阪会場(同時中継)で25名が視聴しました。グループ社員が視聴できるよう、2月20日より2か月間動画を配信し、当日の受講者と合わせて合計3,503名が受講しました。

・ビジネスコンプライアンス検定:初級検定を3月、BASICテストを5月、6月に実施することとし、1月から「コンプライアンス基礎講座」「検定初級対策講座」の動画配信による社員の学習支援を実施しました。また、全役員・管理職に対して、昨年12月に初級検定試験に向けた参考書・問題集を配布し、自主学習を促しました。3月に初級検定の初回受験を行い、388名が合格し資格を取得しました。

・人間力向上階層別研修:新入社員向けに倫理観をテーマとした研修を4月に実施しました。また、管理職向け研修は3日間の合宿形式での実施を予定しており、7月の開始に向け諸準備を進めています。

これらの取組みにより、人として正しくあるという意識の啓発を多面的かつ継続的に行い、経営陣および社員が広く社会において認められる「人間力」を高めていける体制が整いました。特に、全役員・管理職を対象としたビジネスコンプライアンス検定初級受験に向けた自主学習により、不正再発防止の要諦である営業現場の管理職をはじめとして、コンプライアンスの知識と意識の向上に効果が得られました。

(6)人事構造改革

・人事評価基準の見直し:近畿日本ツーリストにおいて具体的変更案にて労使協議が完了し、4月より運用しています。

・管理職任用要件の見直しと職務定義の明確化:近畿日本ツーリストにおいて団体系管理職の職務定義と任用要件を制定し、グループ各社に対しても任用基準の展開を進めています。

・グループ全体での人事交流、人財の適切配置、活用推進:基本データを新たな人事システム「カオナビ」に格納することで、人事データベースを統一し、グループ全体の人財管理機能を集約しました。

これらの取組みにより、再生に向けてグループ内の人財の力を高め、最大限に活用するとともに、グループ内のコミュニケーションの活性化を推進する基盤を構築しました。

2.業務の改革

(1)業務フロー・業務マニュアルの整備

・旅行業において集金手法や輸送機関の手配等に関する社内ルールを再徹底するとともに、官公庁、地方自治体からの公務事業受託に関する業務フロー・ 取扱ガイドラインについても、昨年10月に再発防止のための会社方針の説明の追記をはじめ、各種チェックリストやひな形の追加掲載や証憑書類格納のルール等の補足説明を含む全面改訂を行いました。また、その周知と徹底のため、近畿日本ツーリスト箇所長向け説明会を10月に延べ5回、各支店向け説明会を11月に延べ39回それぞれ実施し、各担当者に向けて改訂の趣旨と定められた手順遵守の重要性を改めて直接に説明した結果、遵法営業の意識が一層高まりました。業務フロー・取扱ガイドライン等の整備は完了しており、現在は新基準に基づき、より慎重な業務遂行に努めております。

・近畿日本ツーリストにおける受託事業のうち一定金額以上の案件については、応札前に同社経営会議への付議を明確に義務付けるとともに、同変更を受け、当社においてもグループ各社における重要な受託事業については、各社から当社グループ経営会議への報告を義務付けるよう規程改正を行いました。また、3月に「関係会社管理規程」の改正を行い、持株会社である当社と各事業会社の役割や関係性を再定義しました。

これらの取組みにより、遵法営業に向けた仕組みを再設計するとともに、公務事業受託に関する手続の厳格化を図りました。

(2)契約書評価ツール等を用いた事前審査の徹底

・契約書評価ツール「LegalForce」を当社、近畿日本ツーリスト、クラブツーリズムの3社に導入のうえ、グループ全社の契約書全件(宿泊契約など弁護士確認済みの定型書式、ひな形による契約を除く。)を審査し、弁護士とも連携して適切に対応しております。

これらの取組みにより、契約種別や精算に関する助言を行い、適切な契約の締結、履行、管理が行えるよう営業現場をサポートし、法務リスクの軽減を図りました。

(3)BPO事業におけるプロジェクト管理の徹底

・BPO事業における新業務フローに基づくプロジェクト管理:昨年10月から運用を開始し、11月に担当者説明、12月には導入に当たっての問題点抽出を行って、更なる改善に努めています。

・BPO事業におけるプロジェクト管理に関するシステム導入:人工管理については、㈱オープントーン「ICタイムリコーダー」を2月から一部支店にてトライアル導入し、3月に正式導入しました。物品管理については、検証を重ねた結果、新規システム導入の必要性はないと判断し、新業務フローでの集計表「差異照合シート」によるトリプルチェック運用を行っています。

これらの取組みにより、BPO事業において、人工管理、調達物品の管理を対象として、仕入数量と販売数量に差異が出ないよう整合性確認の徹底を図りました。 (4)団体旅行基幹システム「ひまわり」による一元管理の徹底

・期末に当たって「ひまわり」の利用状況に関し、2024年3月までに精算の公務受託業務について再点検しました。定期的な点検を通じて、引き続き利用の徹底に努めてまいります。

これらの取組みにより、情報の一元化を図り、業務の効率化を進めるとともに、内容審査・確認時の漏れ落ちの防止を図りました。

3.組織の改革

(1)コンプライアンス委員会およびコンプライアンス改革本部の設置

・昨年6月26日に社長を委員長とし社外取締役藤田清文弁護士を副委員長とするコンプライアンス委員会を設置し、毎月開催しております。また、同委員会事務局として専属の担当者を含むコンプライアンス改革本部を設置しました。 これらの取組みにより、当社グループの企業風土の改革ならびにコンプライアンスの継続的な強化を図る体制が整いました。

(2)経営陣による監督機能および執行統括機能の強化

・コンプライアンス委員会およびコンプライアンス改革本部が主体となり、取締役会および経営会議へ報告する体制について審議した結果、会議体への付議基準の見直しとして近畿日本ツーリストにおける受託事業のうち一定金額以上の案件については、応札前に同社経営会議への付議を明確に義務付けるとともに、同変更を受け、当社においてもグループ各社における重要な受託事業については、各社から当社グループ経営会議への報告を義務付けるよう規程改正を行いました。

これらの取組みにより、経営陣の監督機能および執行統括機能の強化、リスクマネジメントの実効性向上ならびにPDCAサイクルの確立を図りました。

(3)法令倫理管理センターの設置

・昨年7月1日に近畿日本ツーリストおよびクラブツーリズムにそれぞれ「法令倫理管理センター」を設置しました。同センターでは、当社と連携して適切な契約書作成サポートを行うとともに、コンプライアンス意識および法務知識の向上を目的とした情報発信や内部通報の窓口となるなど、コンプライアンス推進活動に取り組みました。

これらの取組みにより、子会社におけるコンプライアンスに関する実務業務の集約管理ならびにコンプライアンス体制の実効性確保と事前防止機能の強化を図りました。

(4)マネジメントコントロールの改革

・近畿日本ツーリストにおいて、箇所別予算設定および達成度評価等について論点整理を行い、外部コンサルタントの分析、提言を受けつつ、予算マネジメントに関するガイドラインを制定しました。今後は、他のグループ会社においてもガイドラインを共有し、グループ全体でマネジメントコントロールの改革を進めます。

・社内情報の確実な伝達、浸透の再徹底を目的として、イントラネットの掲載情報の一斉整理、情報の一元化、掲載体系の見直し等を行い、社長メッセージ、コンプライアンス情報が隅々まで行き渡るよう改善を図りました。

これらの取組みにより、これまでの予算・目標管理方法の問題点を整理し、適正な事業活動に資する予算制度を再構築することができましたほか、組織の上位層から現場社員へ情報を伝達・浸透させる仕組みを改善しました。

(5)組織構造改革

・規程改正:3月に「関係会社管理規程」の改正を行い、グループの総合力を活かし適正な事業運営体制を維持していくための前提となる持株会社と各事業会社の役割や関係性を再定義し、依るべき基本原則等を明文化しました。

・グループ経営管理機能の強化:人事・経理・IT各部門の業務と要員の再配置に向けた棚卸し作業を進め、各事業会社の経営管理機能の集約、機能子会社によるシェアードサービスを推進しました。

これらの取組みにより、業務の標準化・システム化を図るともに、当社のリー ダーシップのもと、経営情報の一元管理およびモニタリングを通じて、グループ各社との連携強化を図る体制整備を進めました。

(6)審査・監査部門の強化

・体制強化:当社監査部の要員追加をさらに推し進めることにより、実地監査・非予告監査がいつでも実施できる一層の監査体制強化を図りました。

・内部統制:受託業務取扱ガイドラインの内容を盛り込んだ業務処理プロセス統制の3点セット(業務フローチャート、業務記述書、リスクコントロールマトリクス)の内容を見直し、業務手順の厳格化とチェックポイントの明確化を図りました。

・関係各部署と連携したデータ監査およびモニタリング強化:データ監査として6項目を選定し、項目に応じて毎月または四半期ごとに順次実施したほか、 デジタルフォレンジックによるモニタリングを取り入れるなど、監査内容の充実を図りました。

これらの取組みにより、内部監査部門の強化を進めるとともに、データ監査等についても取り組み、予兆検知に努めることで、事故等の未然防止を図りました。

Ⅱ.今後のコンプライアンスに関する取組み

上記のとおり、2023年9月20日付で策定・公表した再発防止策は順調に進捗し、概ね所期の目標を終え、現在は運用フェーズに移行していることから、今後につきましては、コンプライアンス委員会を中心に、グループ全体で次に掲げるコンプライアンス推進施策を継続実施することで企業風土改革およびコンプライアンス意識の涵養に努めることとし、本開示をもって再発防止策の進捗状況に係るご報告を終了します。引き続きコンプライアンス改革本部と監査部が、取締役会のもと、その運用状況、経営陣のコンプライアンスへのコミットメントとその継続的発信および推進体制が有効に機能しているかを監視・検証してまいります。

【KNT―CTグループ コンプライアンス推進の取組み】

・コンプライアンス改革本部、法令倫理管理センターによる主導

コンプライアンス改革本部および法令倫理管理センターによる継続的なコンプライアンス活動等の推進

・社内コミュニケーション改善

全社員対象の社員意識調査、グループ内でのタウンホールミーティングの定期実 施、Webグループ報を活用した会社間の情報共有の推進

・KNT―CTアカデミーによる社員教育

階層別研修による意識改革(人間力強化)、コンプライアンスをテーマとした研修・講演会の実施、「グループ行動規範」浸透のための解説書作成・研修等の実施

・人事制度等の再整備

グループ管理職人材像の設定および役職ポストディスクリプションの整備、登用基準の共通化、教育とジョブローテーションの強化

・「リスクアセスメント会議」の再編

グループ会社の参画方法、新規事業参入に当たってのリスク測定方法、リスクアセスメントマップ等の全面見直しによる同会議の実効性強化

・親子会社間の報告・情報共有の体制整備

一方通行にならない予算配分・予算進捗管理と利益のみの個人評価とならない目標設定の検証、ホールディングスとグループ会社との管理領域ごとの連携体制および情報経路についての協議・見直し

・モニタリング機能の強化および実効性向上

非予告監査および海外現地法人の実地監査の強化

以 上

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