2024/06/20

順天堂大学に「消化管疾患病態研究・治療学講座」を開設

株式会社 ヤクルト本社 

2024年6月20日

順天堂大学に「消化管疾患病態研究・治療学講座」を開設
~機能性消化管疾患における腸を基軸とした新たな治療法、予防法の創出に期待~


株式会社ヤクルト本社(社長 成田 裕)は、機能性消化管疾患※1に対するプロバイオティクスの有用性について、確固たるエビデンスの構築を目指し、2024年4月1日に順天堂大学大学院医学研究科内に寄付講座「消化管疾患病態研究・治療学講座」を開設しました。

本寄付講座では、機能性消化管疾患の症状や生活の質(以下、QOL)に対するプロバイオティクスの効果とその作用機序の解明を目的とする研究の実施を計画しています。

これらの研究活動を推進することにより、機能性消化管疾患に対するプロバイオ ティクスの確固たるエビデンスを創出するとともに、腸内フローラや腸内環境を基軸に機能性消化管疾患の病態生理の理解を深め、さらなる治療・予防戦略の開発など医学の発展への貢献が期待されます。

本寄付講座の概要は以下のとおりです。



1.寄付講座の概要

(1)所 在 地:東京都文京区本郷2-1-1
(2)部 門:順天堂大学大学院医学研究科
(3)名 称:消化管疾患病態研究・治療学講座
(4)担当教 員:
永原 章仁 教授
北條 麻理子 先任准教授
澁谷 智義 先任准教授
石川 大 准教授
(5)開設年月日:2024年4月1日
(6)開設期 間:4年間

2. 寄付講座設立の背景

機能性消化管疾患は、器質的な異常が認められないにもかかわらず腹部の不快な症状が持続する病態であり、機能性ディスペプシア※2や過敏性腸症候群※3などが含まれます。日本国民の約1割が潜在的にそれらに罹患しており、患者の QOL が低いことが問題になっています。本疾患の治療は食生活や睡眠などの生活習慣の改善や投薬が主体ですが、未だに明確な治療法は確立されておらず、薬剤無効の患者への治療方針は大きな課題となっています。

近年、機能性消化管疾患の消化器症状を標的としたプロバイオティクスの研究が盛んに進められ、特定のプロバイオティクスの摂取により患者の症状が改善したとの報告もあります。しかしながら、その効果の検証は十分とは言えず、病態の改善や患者の QOL向上にプロバイオティクスの摂取がどの程度寄与するかは明らかにされていません。

このような背景のもと、プロバイオティクスが機能性消化管疾患患者の消化器症状の病態生理にどのような影響をもたらすかを追究し、当該プロバイオティクスの作用機序を明らかにすることを目指して、機能性消化管疾患の診察・治療において優れた技術と確かな実績を有する順天堂大学大学院医学研究科に本寄付講座を設立するに至りました。

3. 寄付講座の活動内容

本寄付講座では、以下の臨床研究を進める計画です。
(1)機能性消化管疾患の病態メカニズムの解析
(2)(1)に基づくプロバイオティクスを利用した新たな治療法と作用メカニズムの解明

4. 期待される成果

機能性消化管疾患に対するプロバイオティクスの有用性について、確固たるエビデンスを創成し、患者の症状改善や QOL 向上に貢献できる可能性があります。また、プロバイオティクスによる消化管症状改善の作用機序が明らかになれば、病態の理解促進につながり、腸内フローラや腸内環境を基軸とした新たな治療・予防戦略を見出せる可能性があり、医学の発展に寄与することが期待されます。

【用語説明】

※1機能性消化管疾患

胸部から腹部において不快な自覚症状が高頻度に生じるものの、症状の原因となる異常を発見できない疾患を指し、消化管の部位によって名称が異なります。食道に自覚症状が生じた場合は、非びらん性胃食道逆流症、胃に自覚症状が生じた場合は、機能性ディスペプシア、腸に自覚症状が生じた場合は、過敏性腸症候群と呼ばれています。

※2機能性ディスぺプシア

胃痛や胃もたれなどの自覚症状が慢性的に生じるにもかかわらず、内視鏡検査などでは炎症などの異常が認められない疾患です。症状は、みぞおち辺りの痛み(心窩部痛症候群)または胃もたれ(食後愁訴症候群)の2つのタイプに分類されます。

※3過敏性腸症候群

腹痛あるいは腹部膨満感などの腹部症状と、下痢あるいは便秘などの便通異常を主体とする症状が、潰瘍やがんなどが認められないにもかかわらず持続する消化管の機能的疾患です。便通の状態により、便秘型、下痢型、混合型、分類不能型があります。

以上

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