2024/06/27

パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402)の米国承認申請に関する審査完了報告通知の受領について

第一三共 株式会社 

2024 年 6 月 27 日

第 一 三 共 株 式 会社

パトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402)の米国承認申請に関する審査完了報告通知の受領について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、EGFR変異を有する局所進行または転移性非小細胞肺がん患者に係る三次治療を対象としたパトリツマブ デルクステカン(HER3-DXd/U3-1402、抗HER3抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)の米国における生物学的製剤承認申請について、米国食品医薬品局(FDA)より審査完了報告通知(Complete Response Letter)*2 を受領したことをお知らせいたします。

FDAは、本剤の医薬品製造受託機関の製造施設を査察した結果、審査終了目標日(PDUFA date)の2024年6月26日までに本剤を承認できない旨を当社に通知しました。なお、本剤の有効性や安全性を含む臨床成績に関する懸念は示されておりません。

本剤は、EGFR変異を有する局所進行または転移性非小細胞肺がん患者への三次治療を対象とした本剤のグローバル第2相臨床試験(HERTHENA-Lung01)の結果に基づき、2023年12月にFDAより生物学的製剤承認申請が受理されておりました。

当社は、FDAおよび医薬品製造受託機関と緊密に連携し、EGFR変異を有する非小細胞肺がん患者さんに一日も早く本剤をお届けできるよう、FDAのフィードバックに迅速に対応してまいります。

以上

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2 審査完了報告通知は、販売承認申請の審査が終了した時点で、現在の申請内容では承認に至らない場合にFDAより発行されます。

EGFR変異を有する非小細胞肺がんについて
米国では、2022 年に新たに約22万6千人が肺がんと診断されました。肺がんは、米国で3番目に多いがんであり、がんによる死亡の主な原因となっています。肺がん全体の約81%を占める非小細胞肺がんは、半数以上が進行性と診断され、予後が不良と言われています。欧米諸国において、非小細胞肺がん患者の約5人に1人がEGFR変異を有しているとの報告があります。

分子標的薬の登場により、EGFR遺伝子変異を有する転移性または局所進行非小細胞肺がんの治療は改善され、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤による治療の有効性が確立された一方、ほとんどの患者は最終的にこれらの治療に対して耐性を獲得するため、新たな治療法が必要とされています。

HER3について
HER3は、細胞増殖と生存に関連するチロシンキナーゼ受容体のEGFRファミリーのひとつです。非小細胞肺がんの約83%に発現しており、がん転移頻度の増加や生存率の低下に関係していると言われています。さらに、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤治療後に病勢進行したEGFR変異を有する腫瘍の90%にHER3が発現していることが推定されています。

第一三共のDXd ADCパイプラインについて
第一三共のパイプラインには、現在、6つのDXd ADCが様々ながん種を対象とした臨床開発段階にあります。これらの薬剤は、がん細胞表面に発現する特定の抗原を標的とした抗体と、複数のトポイソメラーゼⅠ阻害剤(DXd)をリンカーを介して結合させ、がん細胞の内部へDXdを届ける第一三共独自のDXd ADC技術を活用して創製されました。

トラスツズマブデルクステカン(エンハーツ®、抗HER2 ADC)及びダトポタマブデルクステカン(Dato-DXd/DS-1062、抗TROP2 ADC)は、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)においてアストラゼネカと共同で開発及び商業化を進めています。パトリツマブデルクステカン(HER3-DXd/U3-1402、抗HER3 ADC)、イフィナタマブデルクステカン(I-DXd/DS-7300、抗B7-H3 ADC)及びDS-6000(R-DXd、抗CDH6 ADC)は、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)においてMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAと共同で開発及び商業化を進めています。DS-3939(抗TA-MUC1 ADC)は当社が単独で開発を進めています。

なお、ダトポタマブデルクステカン、パトリツマブデルクステカン、イフィナタマブデルクステカン、DS-6000及びDS-3939は、現在開発中の薬剤です。安全性及び有効性はまだ確立されておらず、各国の規制当局による薬事承認は受けていません。

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