2024/06/28

金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第28回) 議事録

金融庁  

金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第28回) 議事録

1.日時:

令和6年5月24日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室 ※オンライン併用

金融審議会 市場制度ワーキング・グループ(第28回)
令和6年5月24日

令和6年5月24日



【神田座長】
おはようございます。それでは、予定の時間にほぼなっておりますので、始めさせていただきます。

本日ですけれども、市場制度ワーキング・グループの第28回目の会合になります。

皆様方、いつも大変お忙しいところを御参加いただきまして誠にありがとうございます。

ちょっと私の声が聞き取りにくいかもしれませんが、御容赦をいただければありがたく存じます。

それでは、議事に入らせていただきます。

本日でございますけれど、まず、プロダクトガバナンスにつきまして、組成会社、販売会社間での顧客属性に関する情報連携等の論点につきまして、販売会社側の取組や御意見をお伺いするため、大和証券から村田様にお越しいただいており、御説明をいただきます。

村田様にはどうもありがとうございます。

続きまして、前回の御議論を踏まえて、プロダクトガバナンスに関する検討、それから、原則に盛り込むべき事項等について事務局から御説明をしていただきます。その後、金融資本市場をめぐるその他の論点ということで、これについても事務局から御説明をしていただきます。

これら一通り御説明済んだ後で、まとめて討議の時間として委員の皆様方から御質問、御意見をいただければと存じます。

以上のような流れで進めさせていただきたいと思います。

それでは、まず、早速で恐縮でございますが、大和証券の村田様より御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

【村田参考人】
大和証券プロダクト・ソリューション本部の村田と申します。本日はお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

私からはプロダクトガバナンスにおける販売会社と資産運用会社の情報連携につきまして、販売会社の立場から、基本的な考え方や、情報連携に際し留意していただきたい事項、期待される効果について簡単にお話しさせていただければと思います。

それでは、早速でございますが、資料2ページ目を御覧ください。まずこちら、前回のワーキング・グループの議論の確認でございますが、プロダクトガバナンスに関する原則に係る論点として左上の4点が挙げられていたかと思います。その中で、特に3点目の商品組成後の対応では、販売会社と運用会社の間で情報連携を行い、想定顧客と実際に販売された顧客層のギャップを分析することで、商品の提供方法や商品説明資料の改善、販売会社の営業への理解を深めるための研修の拡充につなげていくなどが提示されていたと理解しております。

提示された論点及びそれらに対する対応の方向性につきましては、顧客の最善の利益に資するガバナンス体制を企図しているものであり、当社としても賛同いたしております。

なお、前回委員の方からも御意見がございましたが、検討に当たっては、資料右下に記載しておりますが、プロポーショナリティなどの観点を踏まえ、実効性のある体制とする必要があると考えております。

続きまして、3ページを御覧ください。当社の現状を少し触れさせていただきますと、現在当社で取り扱っておりますファンドの本数は628本、運用会社は35社、再委託のサブアドバイザリーまで含めますと94社となっております。もちろん現状、各運用会社とはマーケティングの観点が中心になりますが、必要に応じてミーティングを実施し、連携を行っております。

しかしながら、グループ内外問わず、定量データの情報連携は現状行っておりません。

直近の取組としては、前回野村アセットマネジメント様からの発表の中で一部触れられておりましたが、「ノムラ・ファンド・セレクト ブラックストーン・プライベート・エクイティ・ストラテジーズ投信」につきまして、情報連携の要請を受け、契約面の手続を経た上で、前回資料にも記載があったとおり、顧客カードの項目を中心に、一定の分類別での統計データとして情報提供を行うべく現在準備を進めているところでございます。

4ページを御覧ください。情報連携から少し話はそれますが、投資信託の取扱い開始後の当社の販売会社としてのガバナンス体制につきまして簡単に御紹介させていただきたいと思います。概要としましては、左上からモニタリングデータの収集、モニタリングの実施、対応策の検討、改善へのアクションというサイクルを月次ベースで行っているものとなります。

具体的な流れですが、まず、取り扱っている628本全てのファンドにつきまして、リサーチ会社のファンド情報に加え、当社の販売情報をデータベース化するとともに、お客様からの御意見、御要望等の定性データを機械学習により分類を行っております。

このデータベースを基に、右上に記載のトータルリターンの顧客比率や短期から長期のシャープレシオ等の項目を用いまして、ファンドの運用実績や各ファンドの特性を踏まえた購入顧客の属性分析などのモニタリングを行い、何らかの改善や対応が必要な銘柄を抽出しております。

分析・抽出結果につきましては、右下にありますとおり、プロダクト部門に加えまして、フロントを管轄するウェルスマネジメント部門やコンプライアンス部門を交えて議論を行い、具体的な対応策を検討し、改善に向けてお客様向けの資料の拡充や、アフターケアのためのウェビナーの開催、場合によっては想定顧客を踏まえた提案時の留意事項の営業店向けの注意喚起、ファンドの買い付け停止等のアクションにつなげております。

5ページを御覧ください。冒頭お話ししましたように、運用会社との情報連携につきましては、その意義や有用性は十分認識した上で、その上で留意が望ましいと思われる点を5つお示ししております。

まず1つ目は、対象ファンドにつきまして、運用コンセプトやスキームがシンプルなファンドから複雑なファンド、リスクプロファイルも様々なファンドが存在している中、取り扱うファンド数が多い会社も存在しているため、例えばレバレッジなしのインデックス型は対象外とする等の商品性に応じた対象ファンドの絞り込みが検討できないかという点でございます。

2点目は、データ収集・加工で、業務運営面としましては、個社ごとの要請に基づきまして、データの収集・加工をする場合、作り手である販売会社、受け手である運用会社ともに煩雑となる可能性があります。

また対応する体制、人員面についても整備が必要になるとも考えられます。

法令面では、個人情報保護法やファイアーウォール規制にも留意する必要性が考えられるため、例えばヒアリング項目の統一や統計データ化により、法令面を遵守しつつ、業務運営負荷を軽減できないかという点でございます。

3点目は提供方法で、メールによる会社からのデータ授受は業務負荷がかかり、情報漏えいリスクも高まるおそれがあるため、提供フローや連携頻度については統一し、できる限りシンプルな体制にできないかという点でございます。

4点目は、契約管理の面です。運用会社との秘密保持契約につきまして、ファンドによっては従来結んでいる基本契約で対応ができない可能性があるため、新たな契約の締結が必要になると考えております。

最後に5点目でございますが、公平な競争環境の構築の観点で、小規模な運用会社ほど情報連携の業務負荷が高まることも考えられるため、新規参入促進の障壁とならないよう留意が必要になるのではないかという点でございます。

情報連携を進めるに当たっては、これらの留意点に御配慮いただければと考えております。

6ページを御覧ください。最後に、本取組により期待される事項でございます。まず、運用会社におきましては、販売会社から実際投資信託を購入した顧客に関するデータのフィードバックを受けることで、当初想定していた顧客層とのギャップ分析を行い、より購入顧客の属性に即した顧客向けの情報配信、アフターケアの資料の作成や販売会社の営業員研修等の拡充につなげることができると考えております。こちらはこれまで既に御指摘されている点かと思います。

また、販売会社におきましては、自社データだけではなく、他社におけるファンド購入顧客の属性比較・分析を行うことが可能であれば、自社が想定していた顧客と実際の販売状況の検証をより精緻に行うことができるようになると考えております。

先ほど、当社のガバナンス体制を御紹介させていただきましたが、販売会社におけるプロダクトガバナンスのモニタリングの質が高まることも期待できると考えております。

なお、例えば対面証券、ネット証券、銀行など、顧客属性は販売会社のビジネスモデルによって異なることが想定されます。運用会社から販売会社がフィードバックを受ける際は、単純な集計データの共有だけにとどまらず、販売会社の顧客属性やビジネスモデルに応じたフィードバックが行えることが望ましいと考えております。

以上、簡単ですが、私からの発表は以上となります。御清聴ありがとうございました。

【神田座長】
どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、事務局からの御説明をお願いいたします。齊藤さん、よろしくお願いいたします。

【齊藤企画市場局市場課長】
お手元の資料2と3に沿って説明させていただきます。まず、資料2でございます。プロダクトガバナンスに関する検討に関する事務局説明資料となります。

1枚おめくりいただきまして、1ページ目でございます。前回の御議論を踏まえましたプロダクトガバナンスに関する基本的な考え方を整理させていただいております。

まず、製販全体としての顧客の最善の利益の実現ということでございます。プロダクトガバナンスは、個別の金融商品の組成の在り方に着目するだけではなく、組成会社・販売会社間で建設的なコミュニケーションが行われることによって製販全体として顧客の最善の利益に向けて取り組むべきであるということを書かせていただいております。

また、マーケットインの視点でございます。商品ありきでそれに適した顧客を考えるプロダクトアウトではなく、顧客の真のニーズを想定し、そのニーズに応えるためにはどういう商品が必要かというマーケットインで考えることが重要であると。

また、原則の対象・プロポーショナリティについてでございます。投資信託に限らず、債券等も含めた金融商品を横断的にスコープに入れていくべきではないかという原則の対象でございます。

また、プロポーショナリティとして商品の複雑さやリスクといった商品の特性等に応じて組成会社・販売会社は取組を進めるべきであると。

また、実効性の確保についてでございます。組成会社・販売会社における情報連携は、連携すべき内容について業界の共通認識を醸成することが必要ではないかということでございます。これは前回の御議論の中でフォーマット、テンプレートと申し上げた点でございます。

また、一方でこうした情報連携につきましては、それ自体が目的ではなく、何が顧客の利益になるかとの視点から創意工夫ある取組を進めるべきであるとさせていただいております。

そして取組状況のフォローアップについてでございますが、金融庁においては、プロダクトガバナンスに関する取組状況をフォローアップし、課題や好事例、取組として期待されるレベル感などを分かりやすく示すべきではないかと。

また、フォローアップをしていく中で、将来的に必要な場合にはルールベースの対応も視野に入れるべきであるとさせていただいております。

そうした基本的な考え方の下で、次のページでございますけれども、「顧客本位の業務運営に関する原則」に盛り込むべき事項の全体像でございます。プロダクトガバナンスに関する原則を定めるに当たっては、顧客本位の業務運営に関する原則を補充するものとして、つまり、アネックスという形で以下の5つの事項を盛り込むことが適当ではないかとさせていただいております。

前回は4つの柱にまとめさせていただいておりましたが、理念に関する部分は大前提でございますので、これを分けて5つの事項とさせていただいております。

補充原則案1が基本理念、そして体制整備、組成時の対応、組成後の対応、また最後に情報提供と、5つの案にさせていただいております。

次のページから具体的な補充原則案でございます。まず、基本理念についてでございます。組成会社は、金融商品やサービスの提供を通じて、顧客に付加価値をもたらすと同時に自身の経営を持続可能なものとするために、組成会社の経営者として十分な資質を有する者のリーダーシップの下で、顧客により良い金融商品を提供するための理念を明らかにし、その理念に沿ったガバナンスの構築と実践を行うべきであるとさせていただいております。

次のページが体制整備についてでございます。なお、このページ以降、上側に枠を書いて下側に留意事項という形で整理させていただいております。現在、顧客本位の業務運営に関する原則は原則と注書きという構成でございますが、イメージといたしましては、上側の枠内を補充原則案として位置づけ、そして留意事項に関するものは注書きとするイメージで記載させていただいております。

体制整備の補充原則案2でございますけれども、組成会社は、金融商品組成時・組成後の各段階におきまして、プロダクトガバナンスの実効性を確保するための体制を整備することが求められるとしております。また、こうした組成・提供・管理の各プロセスにおける品質管理を適切に行うとともに、これらの実効性を確保するための体制を整備するべきではないかということでございます。

留意事項といたしまして、1つ目の黒丸でございますけれども、各プロセスの担当部門等から独立してプロダクトガバナンスの実効性を検証する枠組みを整備すべきであるとしております。その際、規模や提供する金融商品の特性等に応じて、必要な場合には、外部有識者の意見を取り入れる仕組みも検討すべきであるとさせていただいております。

また2つ目の黒丸は、PDCAサイクル、これを適切に確立すべきだとさせていただいております。

続きまして、5ページ目でございます。金融商品の組成時の対応についてでございます。

補充原則案3でございますが、まずマーケットインの視点でございます。顧客の真のニーズを想定した上で、組成する金融商品がそのニーズに最も合致するものであるかを勘案し、運用の持続可能性や金融商品としての合理性等を検証すべきであるとしております。

そしてプロポーショナリティの観点ですけれども、商品の複雑さやリスク等の金融商品の特性等に応じて、販売対象として特定した想定顧客属性を販売会社と十分に情報連携すべきであるとさせていただいております。

留意事項につきましては、1つ目の黒丸でございますが、短期的な流行にとらわれない、中長期的に持続可能な商品であるかを検証するということと恣意性が生じない適切な検証機関の下でリスク・リターン・コストの合理性を検証すべきであるとしております。

2つ目の黒丸でございますが、顧客属性の特定についてでございます。プロポーショナリティの下で顧客の資産状況、取引経験、知識及び取引目的・ニーズ等を下に具体的に定めるべきであるとしております。そして、その際ですけれども、いわゆるネガティブターゲット層の特定ということで、投資すべきでない顧客も特定すべきであるとしております。また、複雑な、あるいは運用・分配手法等が特殊な金融商品については、より詳細な想定顧客を慎重に特定すべきであるとさせていただいております。

また、3つ目の黒丸でございますけれども、製販全体として最適な金融商品を顧客に提供するため、組成会社は、商品の組成時におきましても、販売会社との情報連携や必要に応じて実態把握のための調査等に取り組むべきであるとしております。

また、組成後の検証の実効性を高める観点から、販売会社との間で情報連携すべき情報等について事前に取決めを行うべきであるとさせていただいております。

次の6ページ目でございます。金融商品の組成後の対応についてでございます。補充原則案4でございますが、1つ目の四角として、金融商品の組成時に想定した商品性が確保されているかを継続的に検証し、その結果を商品の改善や見直しにつなげるとともに、プロダクトガバナンス体制全体の見直しにも必要に応じて活用すべきではないかとしております。

また、2つ目の四角でございますけれども、販売会社との情報連携等により、販売対象として想定する顧客属性と実際に購入した顧客属性とのギャップを分析・検証し、必要に応じて運用・商品提供の改善やその後の金融商品の組成の改善に生かしていくべきとさせていただいております。

留意事項でございますけれども、1つ目の黒丸といたしまして、商品性の検証に当たっては、恣意性が生じない適切な検証期間の下でリスク・リターン・コストのバランスが適切かどうかを継続的に検証すべきであるとしております。

その上で、不芳ファンドの対応でございますけれども、金融商品により提供しようとしている付加価値の提供が達成できない場合には、商品の改善、あるいは他の金融商品との併合、また繰上償還等の検討を行うとともに、その後の商品組成・提供・管理のプロセスを含めたプロダクトガバナンス体制の見直しに関しても必要に応じて活用すべきであるとさせていただいております。

また、2つ目の黒丸でございますけれども、組成会社は、プロポーショナリティの下で商品組成後の検証に必要な情報の提供を販売会社から受けるべきであり、販売会社から情報提供を受けられない場合には、必要に応じ、金融商品の販売方法の見直しも検討すべきであるとしております。また、情報連携は、一方的ではなく、組成会社においては、販売会社から得られた情報を踏まえた検証結果を必要に応じて販売会社にも還元していくべきであるとさせていただいております。

また、最後の3つ目の黒丸でございますけれども、運用の外部委託を行う場合には外部委託先における運用についても検証の対象とし、販売会社とやり取りする情報については必要に応じて外部委託先とも連携すべきであるとさせていただいております。

次の7ページ目でございます。販売会社における対応でございます。先ほどの補充原則案4における金融商品の組成後の対応として、組成会社について、販売会社から情報提供を受けるべきとしていることとの対として、販売会社につきましても、「顧客本位の業務運営に関する原則」の原則6に以下の注を加えてはどうかということでございます。

原則6の追記案としまして、1つ目の黒丸でございます。販売会社は、プロポーショナリティの下で、製販全体として顧客の最善の利益を実現するため、実際に購入した顧客属性に関する情報を提供するなど、組成会社との連携を図るべきであるとしております。

また、2つ目の黒丸でございますが、販売会社は、基本的には組成会社の想定する顧客属性を踏まえるべきでございますけれども、自らの責任の下で顧客の適合性を判断して金融商品の販売を行うべきであり、その結果得られた顧客の反応等についても必要に応じて組成会社との連携を図るべきであるとさせていただいております。

3つ目の黒丸でございますけれども、販売会社は、これもプロポーショナリティの下でございますけれども、プロダクトガバナンスの実効性を確保するための組成会社の取組を検証し、必要に応じて組成会社や商品選定等に活用すべきであるとさせていただいております。

そして次の8ページ目でございます。顧客に対する分かりやすい情報提供でございます。組成会社は、顧客に対し、運用体制やプロダクトガバナンス体制等について分かりやすい情報提供を行うべきであるとさせていただいております。

そして、留意事項について、1つ目の黒丸の2行目の「例えば」のところでございますけれども、運用を行う者の判断が重要となる金融商品については、組成会社のビジネスモデルに応じて、運用責任者等について、本人の同意の下で氏名等を情報提供する、または運用チームの構成等について情報提供をすべきであるとさせていただいております。

以上がプロダクトガバナンスに関する論点としての事務局説明資料でございます。

続きまして、資料3でプロダクトガバナンス以外の論点についても事務局説明資料を説明させていただきます。1ページおめくりいただきましても、目次でございます。大きく3点取り上げさせていただいております。まず、ローマ数字のⅠの株式の決済期間の短縮(T+1化)についてでございます。

2点目が、投資型クラウドファンディングについてでございます。クラウドファンディングにつきましては、昨年末の市場制度ワーキング・グループ・資産運用に関するタスクフォースの報告書でも御提言いただいているところでございますけれども、さらに御審議いただきたい事項を2点ほど取り上げさせていただいているところでございます。

また、ローマ数字のⅢでございますが、銀証ファイアーウォール規制の見直しについてでございます。

2枚おめくりいただきまして、3ページ目でございます。T+1化について、まずこちらの資料は現状の整理でございます。一番上の流れ図は、株式取引の約定から決済までの流れを示したもので、御覧のとおりとなっております。

2つ目の四角でございますけれども、株式取引の決済期間の短縮化につきましては、一般的なメリットとして次のようなことが想定されるものと考えております。

まず、決済リスクの削減、2点目といたしまして、決済の早期化による資金効率の向上、あるいは担保負担の軽減といったこと、また3点目としまして、決済事務全体の一層の合理化・効率化が図られると、こういったメリットが指摘されているところかと考えております。

我が国におきましては、株式及び国債の決済期間について順次短縮されてきております。右側にございますように、株式につきましては、5年ほど前にT+3からT+2に短縮しているところでございます。また国債につきましては、2018年にT+1化が進んでいるという状況でございます。

ちなみに最後の四角でございますけれども、株式決済期間をT+3からT+2に移行した際には、検討開始から移行まで約5年を要しているところでございます。

次のページ、4ページ目でございますが、海外の状況についてでございます。右上の北米につきましては、米国は今月、T+1に移行することとなっているものと承知しております。

カナダ、メキシコにおきましても、米国市場と足並みをそろえて今月T+1に移行することと承知しております。

また、左上でございますが、欧州、英国でございます。欧州につきましては、本年内にT+1化の影響と移行に向けた概要を公表する予定と承知しております。

イギリスにつきましても、欧州の検討状況を踏まえて、本年内に決定予定と承知しております。

また、オーストラリア、アジアでございますが、いずれもT+1化の検討が進んでいる。あるいはインドにおきましては、T+1移行済みと承知しているところでございます。

こうしたグローバルにT+1化に向けた取組・検討が進んでいる状況と承知しております。

次の5ページ目でございます。T+1化について進める上での課題についてでございます。T+1化に関しましては、ポストトレードの処理のタイト化による課題も多々あろうかと承知しております。

例えば①でございますけれども、フェイルが増加するといったフェイルリスク。

また、②でございますけれども、決済期間が短縮することによって時間当たりの事務負担が増大する等々の影響により、オペレーショナルリスクが増加していくといったこと。

また③でございますけれども、非居住者による日本株取引への影響ということで、時差の関係から、夜間に約定照合・決済処理を行う必要が出てくることから、日本株取引の回避につながる恐れはないかといった課題もあろうかと承知しております。

一番下のところでございますけれども、そうした課題もありますけれども、国際的に株式決済期間の短縮、T+1化の実施・検討が進む中で、我が国の証券決済制度が国際標準から取り残されて遅れた形になることのないよう、日本におきましても、市場関係者に置きましてT+1化に関する課題等について実務的な検討を始めることが必要ではないかとさせていただいているところでございます。

次のページからクラウドファンディングについてでございます。7ページ目を御覧いただければと思います。

クラウドファンディングに係る課題といたしまして、株主一元化スキームに関するものでございます。株式投資型クラウドファンディングにおきましては、個人株主が多数になることを回避するために、ファンドを間に介在させて、それによって株主を一元化するというスキームを組成するニーズが高まっているところと承知しております。

この点、真ん中の点線囲みでございますけれども、昨年の報告書におきましても、アンダーラインを引いているところでございますが、現行法でも、ファンドを運用する投資運用業とファンドの販売をする第二種金商業に登録することで、ファンドを介在させることによって株主の一元化を図ることは可能であるとされているところでございます。

そして、投資運用業の参入要件の緩和に関する枠組み、これはミドル・バックオフィス業務の外部委託を可能として、投資運用業の参入要件を一部緩和する制度の整備のことでございますけれども、そうした枠組みを活用して、個人株主が多数いることに伴う課題に対応することも考えられるとされているところでございますけれども、引き続きファンド運用に係る投資運用業の登録要件を満たすための体制整備の負担が課題として指摘されているところでございます。

下側の四角でございますけれども、投資運用業の参入要件につきましては、先ほど申し上げた制度整備として、以下の緩和等を盛り込んだ金商法等の改正法案が今月成立して、一昨日前に公布されているところでございます。

1つ目としまして、ミドル・バックオフィス業務の外部委託を可能とするもので、それに伴いまして、運用業の登録要件を緩和する内容でございます。

また、金銭等の預託を受けない場合には、資本金要件を緩和する内容が盛り込まれております。投資運用業は現在5,000万円でございますけれども、政令事項でございますが、資本金要件を例えば1,000万にするということになりますと、ファンドの販売を行う第二種金商業の資本金要件と同じになりますので、追加的な負担感はなくなろうかと考えております。

さらに、次のページでございます。株主一元化スキームは、株主一元化のために、単一企業が発行する非上場株式等のみを取得・保有するファンドを運営するというものでございますけれども、主体的な投資判断や銘柄入替えをする一般的な投資運用とは少し違うため、投資運用業の登録審査におきまして、それに即した人的構成・業務運営体制での登録を可能とするということを金融庁において明確化してはどうかということを示させていただいております。

また、自主規制についてでございますけれども、株式投資型クラウドファンディングとファンド型のクラウドファンディングは規制体系が異なっている状況でございます。株式投資型クラウドファンディングと同等の経済的性質を持つ株主一元化スキームにつきましては、株式投資型クラウドファンディングに係る自主規制との平仄を合わせる必要があるのではないかと考えております。

次に10ページ目でございます。クラウドファンディングのもう一つの論点といたしまして、勧誘方法の見直しにつきましてでございます。一番上の四角でございますが、現在、法令上は少額電子募集取扱業者の勧誘方法について、ウェブサイトや電子メール等の電磁的方法に限定をかけているところでございます。

他方で、少額ではない一般の第一種金商業者、第二種金商業者につきましては、法令上、その他の手法による勧誘も特段制限していない状況でございますけれども、自主規制規則におきまして、一部の金融商品を除いて電磁的方法に限定されているところでございます。

これは、真ん中の箱でございますけれども、クラウドファンディングについて制度整備を行った金商法改正時の国会における附帯決議を踏まえたものでございまして、投資被害の多くが電話・訪問によるものであることを踏まえ、投資型クラウドファンディングにおいては電話・訪問を用いた勧誘ができないことを明確化すること、という附帯決議に鑑みたものと承知しております。

この点につきまして、特定投資家への勧誘については、電磁的方法以外の方法を認めてほしいと、そういった要望があるものと承知しております。この点についてでございます。

まず、下側でございますけれども、個人投資家に対する電話・訪問勧誘についてでございます。こちらにつきまして、第一種、第二種金商業者による投資型クラウドファンディングにおきましては、上記の附帯決議に鑑みますと、また、近時、電話・訪問等によるものも含め、投資勧誘詐欺の被害や苦情相談がかなり増えている状況でございます。そうした状況も踏まえますと、特定投資家であっても、個人に対する電話・訪問勧誘を可能とすることは引き続き慎重に対応することが適当ではないかとさせていただいております。

この点、日本証券業協会の自主規制では、株式投資型クラウドファンディングについては投資勧誘を制限している一方、現状ではそれ以外の投資型クラウドファンディングについては制限が設けられていない状況でございます。

これにつきまして、少なくとも社債券に係る投資型クラウドファンディングについては、社債券の投資は、ソーシャルレンディング、これは昨年の法改正で規制強化し、勧誘方法も電磁的方法に限定する方向でございますけれども、そのソーシャルレンディングに近いものであること。また、社債券に投資するクラウドファンディングの取扱いが広がりつつある状況にあることを踏まえまして、投資者保護の観点から、特定投資家を含め、個人に対する勧誘については電磁的方法に限定すべきではないかとさせていただいております。

一方、次の11ページ目でございますが、法人投資家に対する電話・訪問勧誘については、法人の特定投資家を相手方とする勧誘まで電磁的方法に制限する必要性は必ずしも高くないのではないかとさせていただいております。

そして下側の箱でございますけれども、右下の見直し案の概要といたしまして、電磁的方法以外の方法による勧誘については、個人については不可とする一方で、法人については、特定投資家は可ということで、自主規制においての対応をそろえる形にしてはどうかと提案させていただいております。

最後でございます。銀証ファイアーウォール規制の見直しについてでございます。13ページ目を御覧いただければと思います。こちら、経緯と現状ということでございます。まず、上側が昨年6月に閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」でございます。その中で、ファイアーウォール規制の見直しが盛り込まれているところでございます。金融機能の強化に向けた取組を推進する観点から、もろもろの利用者保護の状況を適切に確認しながら、対応につき検討を行うとさせていただいているところでございます。

現状についてでございますけれども、一昨年前に銀証ファイアーウォール規制が緩和されたことを踏まえ、現在、金融庁のモニタリング部門におきまして、優越的地位の濫用防止態勢、利益相反管理態勢及び顧客情報管理態勢の整備状況について、金融庁に設置した情報収集窓口に寄せられる情報等も活用しつつ、モニタリングを行っているところでございます。

銀証ファイアーウォール規制に関する議論を行う際には、こうしたモニタリングの結果を踏まえた検討を行う必要があるものと考えられ、引き続きの検討課題とさせていただきたいと考えているところでございます。

以上になります。

【神田座長】
どうも御説明ありがとうございました。

それでは、村田様からの御説明、今の事務局からの御説明について、残りの時間、皆様方から御質問、御意見等をお出しいただく討議の時間とさせていただきます。

なお、いつものようにまず委員の皆様から御質問、御意見をお伺いし、その後で最後にオブザーバーの皆様方から御発言をいただく機会を設けたいと思います。

いつものことで恐縮ですけれども、全体の会議時間の制約等もございますので、御発言のお時間の目安としては、お一人当たり4分程度を目安としていただければと存じます。

また、御発言の順番ですが、特に会場の場合、右行ったり左行ったりするとわかりにくいですので、多少前後する可能性がございますけれども、あらかじめ御了承いただければと思います。

ということでございますけれども、今日、オンライン参加の森下先生、途中退席と伺っておりますので、もし御発言があれば、まず森下先生から御発言をいただければと思います。いかがでしょうか。

【森下委員】
ありがとうございます。この後授業の関係で途中で退出させていただくために、最初に発言させていただくことをお許しいただけますと幸いです。

プロダクトガバナンスに関して何点か申し上げたいと思います。事務局の資料の中で、今回の原則の対象は、必ずしも投資信託に限られるものではなく、ほかの金融商品も対象として考えるべきではないかという主旨の記載があったと思うのですけれども、それは私も非常に大事なことであると考えております。補充原則に書かれていることは既に今の原則にも書き込まれていることも多いのですけれども、より具体的な形で金融商品を製造する際、あるいは販売する際の留意点について書き込んでいますので、ほかの金融商品との関係であっても妥当するというようなメッセージをより強く出すような形で工夫をしていただくといいのではないかと思っています。

また、恐らくここで書かれている問題は、製販が分離している場合に限られず、単一の金融機関が例えば製造もする、販売もするという場合であったとしても十分に考慮されるべき内容も組み込まれていると思いますので、そういった部分についても参照することが求められるべきものではないかと思っています。

2点目は、情報連携についてです。最初のほうで全てのファンドについて必要があるかというようなお話があったと思います。こういった点は、確かにプロポーショナリティという観点からインパクトやリスクの大きいものから実施をしていくというようなことは十分考えられるのではないかと思っています。

他方で、情報を共有するといったときに、一例としてギャップを分析するための情報とに言及されることが多いと思うのですけれども、実際にここでの補充原則などで言われている情報連携をやろうと思った際には、もっと多様な情報が必要になってくる可能性もあるかと思います。今後、情報連携の在り方を詰めていく必要があると思うのですけれども、どのような情報がなぜ必要なのかということをもう少し掘り下げて考えるということが大事かと思っています。それによって、誰が情報を提供すべきなのか、分析するのは誰なのかと。例えば販売会社のほうで分析をした上で、分析後の結果を運用会社のほうに提供するとかという、いろんな工夫の仕方があると思いますので、そういった点も考えたらいいのではないかと思っています。

あと、大和証券さんからの御発言の中で、データフォーマットやデータ項目がばらばらですとなかなか使い勝手が悪いし、負担も高まるというようなお話がありました。それもまさにそのとおりだと思います。まずこういうところこそ、実務に携わっておられる業界の方々がお知恵を絞られて、基本フォーマットなど御用意されるというようなことが進んでいくといいのではないかと思っております。

最後ですけれども、顧客への情報提供ということで、運用会社がネットなどを通じて自ら情報を提供できるというような機会が以前に比べると充実してきているのではないかと思っております。そういった運用会社により提供される情報を販売会社がより精緻な情報提供の観点からどう活用するのかということもよく御検討いただいて、効果的な情報提供がなされるようにしていただければと考えております。

以上です。

【神田座長】
どうもありがとうございました。

それでは、ほかの皆様からいかがでしょうか。会場にお越しの方はいつものようにほぼ全員が名札を立てていただいていますので、座席の順番でいいかとは思います。どうもありがとうございます。

なお、今、チャットに二種業協会様から御発言希望をいただいているのですけども、委員の皆様方から先に御発言をいただいて、最後にオブザーバーの皆様方から御発言をいただきたいと思います。

それでは、順番に行きたいと思います。有吉先生、どうぞ。

【有吉委員】
有吉でございます。事務局の方々にはこれまでの議論を分かりやすい形でまとめていただきまして、どうもありがとうございます。村田様のお話も、実務的な状況や問題意識について、大変参考になりました。ありがとうございます。

私からは事務局説明資料の①と②のそれぞれについて若干のコメントを申し上げさせていただきたいと思います。

まず①のプロダクトガバナンスのほうについてでございますが、ここに書かれております整理につきましては、
各補充原則案の内容を含めて基本的に賛成したいと思っております。

その上で一つ大局的なコメントをさせていただきたいと思うのですが、1ページ目の基本的な考え方の中で、今森下先生からの1点目のコメントにもございましたとおり、原則の対象について、投資信託に限らず、金融商品を横断的にスコープに含めるという考え方には私も賛成するところでありますし、非常に重要なポイントであると思っております。

さはさりながら、この資料全体であったり、それから各補充原則の内容は、あくまでも投資信託を想定したものであると感じております。例えばということで申し上げれば、プロダクトガバナンスの対象とすべき仕組み性のある金融商品というものを考えてみますと、資金調達目的で組成されるような証券化商品なども含まれるのではないかと思います。ただ、こういった場合については、例えば基本的な考え方の2点目にあるマーケットインの視点というものは当てはまらず、資金調達のために組成された商品を、それに適した投資家に販売するといった発想で取引がなされるはずであります。

また、プロダクトガバナンスの対象になる別の商品として仕組み債が想定されます。こういった仕組み債のような商品には運用的な要素は含まれていないと思いますので、補充原則案5にあります運用体制に関する情報提供とか情報連携という規律はなじまないのではないかと思います。

このようにプロダクトガバナンスの発想は投資信託に限らず多様な仕組み性商品に適用されるべきであるということは全くそのとおりであると思うわけでございますが、ただ、各論としては、投資信託の場合とそれ以外の商品の場合とで同様の規律を及ぼすべきとは限らないというものであると考えます。

したがいまして、書き方をどうするかという問題はございますが、投資信託を念頭に置いてつくられている補充原則のうち、他のそれぞれの商品においても適合すべき原則だけが適用ないし準用されるということが明確になる形で最終的な原則というのか、ルールをつくっていただきたいと思っております。

それから、事務局説明資料②のほうにつきましても、書かれている各提案には、その方向性に、いずれも賛成するところであります。その上でそれぞれの項目について簡単にコメントさせていただきたいと思います。

まず、T+1化につきましては、実務の実態は私には正直感覚がないところでございますので、まさに実務家の皆様に議論していただきたいと思いますが、T+1が図られた場合の利便性であるとか、決済期間の点で海外市場から取り残されてしまう影響とか、あるいは逆にT+1化を実現したときに増えてしまう事務負担とか、こういった実務面を総合的に考慮していただいて、手間が増えるので現状維持でいこうということだけは避ける方向で議論を進めていただきたいと思っております。

それから、クラウドファンディング関連のうちの1点目の株式投資型の株主一元化スキームに関する御提案につきましても違和感はございません。

ただ、こういったスキームが今後、登場していき、また増えていくことになった場合には、まさに今日の議論の対象でもありますが、こういったスキームにおけるプロダクトガバナンスをどう考えていくのかということであるとか、それから、投資運用業者と販売業者の投資家に対する責任の在り方についてしっかりと整理をしていくことが必要だと思います。責任の空白地帯みたいなものが生まれないように実務運用を進めていただきたいという趣旨でございます。

それからクラウドファンディングのもう一つの勧誘方法の論点につきましては、当面の対応としては、事務局説明資料にある御提案の内容で全く違和感がないところではあります。

ただ、10年前の国会の附帯決議にあった投資被害の多くが電話・訪問によるという、この前提事実自体が現時点でも当てはまるものなのかということはもう少し議論していくべきではないかと思います。先ほどの御説明の中でも、電話あるいは訪問による投資被害まだ多いのだという話もあったところでありますが、オンラインの方法による投資被害も多くなっているとも思います。決して規制緩和をすべきだということを申し上げるわけではなく、電話・訪問・オンラインという販売チャネルで形式的に規制の適用関係を分けるという考え方が今後も合理性が高いものなのかということを今後議論していくべきではないかという問題提起をさせていただく趣旨でございます。

最後、銀証ファイアーウォール規制の関連でございますが、記載されている項目のうちの一律形式的な事前規制ともいうべき外務員の二重登録禁止規制につきましては、これは銀証ファイアーウォール規制との関係で論じるべきものなのか、私自身は非常に疑問があるところでございますけど、従前のこのワーキング・グループでの議論も踏まえて見直しが進められていくことを強く期待したいと思っております。

私からは以上でございます。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、お隣の神作先生、どうぞお願いいたします。

【神作委員】
御指名ありがとうございます。学習院大学の神作でございます。

プロダクトガバナンスについてまず申し上げたいと思いますけれども、プロダクトガバナンスは、顧客の最善の利益に資する金融商品の組成と販売がなされることを市場全体として実現しようというものであって、FD原則の中に、御提案されたような内容で、プロダクトガバナンスの原則と留意事項を注として定めることは非常に有意義なことであると思います。

その上で、資料2について3点申し上げさせてください。第1は、プロダクトガバナンスの考え方の大きな特徴は、個々の金融商品の組成ですとか金融商品販売契約に着目するだけではなくて、販売チャネルや売り方、ビジネスモデル、具体的には、例えば助言を伴う販売かどうか、ポートフォリオ全体に組み込まれる金融商品の販売であるかどうかなども視野に入れて考察する点にあると思います。販売方法やビジネスモデルに応じてプロダクトガバナンスの在り方が異なってき得ると考えます。

取引執行のみを行う場合、説明や助言を伴う場合、ポートフォリオ全体の管理・運用の一環として金融商品を販売する場合など、販売チャネルやビジネスモデル、売り方に応じたプロダクトガバナンスの精緻化を図ることが望ましく、この点が少し明らかになるとよろしいのではないかと思いました。

第2は、適合性原則ですとか説明義務との関係でございます。プロダクトガバナンスの向上は、適合性原則及び説明義務の実効性を高め、顧客の最善の利益に資することも目標の1つにしていると考えられます。補充原則案の
3に関連して、留意事項の上から2つ目の黒ポチのところに、組成会社は、顧客属性を特定するに当たっては、商品の複雑さやリスク等の金融商品の特性等に応じて、顧客の資産状況、取引経験、知識及び取引目的・ニーズ等を基に具体的に定めるべきとあります。

このように金融商品ごとに顧客属性を限定したり特定したりすると、さらに先ほど申しましたように、この中に販売方法などの想定も入ることになりましたら、販売業者が説明義務や適合性原則を尽くす際に、その実効性とともに効率化を図ることもできるように思われます。

また、この点に関連して、ちょっと細かなことで恐縮なのですけれども、今読み上げた留意事項の中では、顧客の資産状況を考慮するという表現があって、これは恐らく法令の文言からとってきたものと思いますけども、より一般的に言うと、資産状況を含む顧客の損失負担能力のことを指しているのではないかと思いますので、そのような表現ぶりにするとさらにいいのではないかと思いました。

それから、第3に、御提案では、販売会社に対し、「顧客本位の業務運営に関する原則」の原則6、顧客にふさわしいサービスの提供に、スライド7ページ記載の(注)を加えることが提案されています。これは、先ほどの森下先生、有吉先生の御指摘にも関わると思いますけれども、どのようにプロダクトガバナンスを体系上位置づけるかというのはいろいろな意見があるところかと思います。ガバナンスという以上、販売業者もまたプロダクトガバナンスの重要かつ中心的なプレーヤーであることを考えると、補充原則に定めるのではなく原則の6のところに入れるのが適切かという問題があり得るかとは思います。しかし、いずれにしても、内容と申しますか、実質につきましては、記載されたとおりに定めることが重要であり、御提案に賛成いたします。

最後に、資料3について申し上げます。株式についてのT+1についてです。決済期間の短縮は、決済金額の圧縮とともに、決済リスクを削減するための最も根本的な要因の一つであると思いますので、資料3のスライド4ページで御教示いただいた国際的な動向等も併せて考えると、日本においても株式についてT+1を目指して検討を進めていただけると大変ありがたいと思います。

私からは以上でございます。どうもありがとうございました。

【神田座長】
どうもありがとうございました。実は札を立てていただいた順番を正確に事務局の方から教えていただいたのですけど、ほぼ同時に立てていただいていますので、厳密に言うと野尻さんらしいのですけども、席の順番に行きたいと思いますので、お許しいただいてもよろしいでしょうか。

そうしますと、神作先生のお隣の小池委員、どうぞお願いいたします。

【小池委員】
ありがとうございます。小池です。私からは資料1について少しコメントさせていただければと思います。まず、補充原則案の2、体制整備という点ですが、我々はプロダクトガバナンスを、組成から償還に至るファンドサイクルの流れの中で、会社において適正な商品構成をつくっていくための1つの手段であると考えています。

例えば、重複した商品を整理したり、非効率な商品をあぶり出していくといった取り組みを通じて効率化が図れれば、会社としての資源をよりお客様に資するビジネスに向けられることから、中長期的にはプロダクトガバナンスは顧客の利益に貢献できるという考え方のもとで取り組みを進めています。そのため、ステージごとで判断をするというよりは、ファンドサイクルの中でプロダクトガバナンスを捉えるという考え方をしていただけると非常にありがたいと思っております。

また、前回コメントさせていただきましたが、運用会社の規模、経営スタイルによって、できること、求められることがそれぞれ違ってくると思います。あまり具体的で厳しめのガイドラインをつくりますと、新興の運用業者の皆さんにとっての参入障壁が高くなってくる可能性があると思いますので、この辺りの表現も御配慮いただけますと幸いです。

補充原則3の金融商品組成時の対応ですが、こちらで示されていますマーケットインという考え方は、これは本当に大切なことだと思います。

一方で実務的には、商品を開発するときは、マーケットインという考え方とプロダクトアウトという考え方の両方を並走させながら私たちは取り組んでいます。

まず、顧客ニーズを充足するマーケットインという考え方はあるのですが、全ての投資家の皆様がいろいろなニーズを御自身で持っていらっしゃる、理解していらっしゃるとも限りませんので、プロダクトアウトという考え方は、やはりニーズを喚起する、エデュケーションを提供するという意味でも非常に大きな役割を果たすと考えています。

また、顧客ニーズに関しましても、若い世代は、50年、60年、70年という運用が必要かもしれませんが、リタイアメント層は決してそうではありません。運用会社も、我々のような幅広い商品を提供している会社もあれば、ブティック系や新興のところは、1つのストラジーで運用ビジネスを組み立てようとしています。

大切なことは、このような幅広い資産運用業界の中で、普遍的な正しい哲学を浸透させる、こういうことがプロダクトガバナンスの在り方だと感じていますので、この辺りも少し配慮いただけると大変ありがたいと思います。

販売会社との連携に関しましては、前回御説明をしたとおりで、非常に重要なことだと思いますが、コストと実務負担という点は御認識をいただきますと大変助かります。コストについては、お金がかかるのでやりたくないということではなく、手間暇の部分になります。この辺りは、恐らく必要最低限なフォーマットやある程度ミニマムなガイドラインなどをお示しいただけると、これから始める方々にとってのコスト面での大きな実務負担を低減できるのではないかと考えています。

最後になりますが、情報連携の対象としまして、一般的な商品まで含めると大きな負荷がかかってくるだけでなく、そういったものについてまで情報を共有する意義が少し見いだしづらいのではと思っていますので、特定の商品に関しての情報共有から始めていただくとよいのではないかと思います。

総じて方向感に関しましては、賛同する次第です。

プロダクトガバナンス自体が日本の資産運用ビジネスの浸透において本当に必要であるということは理解しておりますが、一方で、インベストメントチェーン全体で捉えて、運用会社、販売会社、その他のステークホルダーと共にいろいろこれからつくっていくというステージであると思いますので、その辺りの御配慮もいただけますと幸いです。

私からは以上です。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、お隣の坂先生、どうぞお願いいたします。

【坂委員】
ありがとうございました。私のほうからプロダクトガバナンスに関連して若干の点と、それから投資型クラウドファンディングについて発言したいと思います。

まず、プロダクトガバナンスにつきましては、適切なおまとめをありがとうございました。ガバナンスを支えるものとして、商品性やガバナンスの在り方について、客観的な情報、比較可能な情報が投資家も含め広く共有されることが重要であることは重ねて指摘しておきたいと思います。

また、当局においても、この間の資産運用プログレスレポートやモニタリングのような情報収集、分析、発信には今後とも積極的に取り組んでほしいと考えます。

次に、投資型クラウドファンディングについて、まず総論的なコメントですけども、非上場の企業は企業自体の変動や不確実性が大きく、信頼できる情報が少ない、客観的価値の把握が容易でない、取引参加者が少なく、市場を通じてガバナンスが働きにくいなどの特性がございます。

かかる特性から、資金提供先としての適否の判断は容易でなく、専門的な知見に基づく情報収集、分析、リスク評価の必要性が高いと考えられます。この点、間接金融では金融機関による融資審査が行われます。

クラウドファンディングでは、金融商品取引業者による審査が行われ、この点極めて重要ですけども、最終的な投資判断は投資家により行われることとなっております。

このような構造の下で、いかに適切に成長資金の流れをつくるかが課題であろうと考えます。

他方、投資者保護の観点からは、非上場企業への投資が損失の結果をもたらしやすいこと、また、電話・訪問勧誘が投資者被害を惹起させていることを改めて確認する必要があると思います。

全体として、商品性やリスクの判断を適切に行い得る者が、適切な規律とガバナンスの下で資金提供先を自覚的に選択できる仕組みを目指す視点が重要と考えます。

その上で株主一元化スキームについてですけども、かかるスキームにおいても非上場株式のリスクはそのまま反映されるゆえ、株式投資型クラウドファンディングの規制と平仄を合わせることは最低限必要です。極めてリスクが高いことの注意喚起や店頭販売を認めないこと等が重要と考えます。

他方、ファンドの組成は、自由度が高いことから、株式一元化スキームでは異なるリスクが商品設計上織り込まれるおそれや、より複雑な利益相反関係の課題が加わります。この点からも、ファンドの組成運用者が投資運用業者として善管注意義務、忠実義務を適切に守っていくことが重要と考えます。

また、株式一元化スキームでは基本的にシンプルな商品設計が必要であると考えます。

次に、投資型クラウドファンディングの勧誘方法の見直しですけども、この点については3点申し上げたいと思います。

第1に、社債券等、非上場株式以外の有価証券について、電話・訪問勧誘を禁止し、電磁的方法に限定することは必要であると思いますし、強く賛成したいと思います。脱法的な行為の防止も含めて、確実な制度化と運用をお願いしたいと思います。

第2に、特定投資家についてですけども、特定投資家に移行し得る個人の中には主として資産要件により対象となるものもあります。単に親の資産を相続しただけの者も対象となり得ます。移行手続には適合性原則が適用されますが、特定投資家の拡大が図られる中、適切な移行審査の定着が途上であるようにも思われます。

また、移行時に、非上場株式など特殊なリスク構造の商品を説明義務等の保護なく取引ができるかどうかまでは審査されないのではないでしょうか。制度全体としてのバランスをどこで取るかの問題ではありますけども、特定投資家個人に対する電話・訪問勧誘は厳格に禁止されるべきと考えます。

翻って、法人も多くの中小零細企業が存在し、こうした企業の事業基盤が毀損される事態を防ぐ必要もあります。法人の特定投資家についても一律に電話・訪問を許容することについては慎重であるべきと考えます。

第3に、この間、スマホやSNSの普及、デジタルマーケティング技術が高度化してきたことによって、SNS等により巧みに投資に誘導する投資被害が多数発生し、また消費者を意図しない行為に誘導するダークパターンも国内外で広く問題とされています。

かかる状況に鑑みますと、ターゲティング広告を電話・訪問と同様に制限することを検討すべきと考えますし、また、デジタルマーケティングの適正化を確保する取組も促進する必要があると考えます。

以上です。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、お隣の佐々木先生、どうぞお願いします。

【佐々木委員】
ありがとうございます。では、私から3点。1つ目はプロダクトガバナンスについてなんですけど、前回も申し上げたんですが、非常に考え方は賛同できるようなもので、すばらしくできていると思ったんですけど、実際ということになりますと、やはり今回も指摘されていますように、組成会社が意図していなくても実際販売してみてから問題点が出てくるということも多いのかなという印象です。そういう意味で、やはり組成会社等が事前に想定できないこともあることを考えて販売会社とのコミュニケーションが重要と思いますので、資料1の7ページにありますような事項を盛り込むというのも私は重要だと思います。

また、これは根本的な話なんですけど、顧客本位の業務運営の原則に基づくというときに、例えばここで関係している原則6の顧客にふさわしいサービスだけをとっても、なかなかここに明記されている資産状況や投資経験などの事項というのは確認できるにしても、顧客のリスク回避度とか、個人のポートフォリオとか、全て把握できるわけではありませんから、それがやはり金融商品の性格によってはふさわしいかどうかの判断が難しいものというのもあると思います。今回は特に投資信託を想定されての議論になっているかと思いますが、例えば保険商品とかを考えると、保険サービスがあったり、税額控除があったりとか、人によって様々なケースがあり、固有の事情によって把握できないということもあると思うんですね。

そういったときに、やっぱりプリンシプルベースということで、日本のように顧客からの訴えが、裁判とかというよりは苦情というような形で出てくるというような環境ですと、苦情を参考にしつつ、顧客というよりやはり金融庁の判断をあおぐというような形になるような体制になっているかなと見ていて思っていて、そういう意味で、金融庁の判断はもちろん非常に重要なんですけど、金融庁と金融事業会社のコミュニケーションや顧客の反応の把握というのも重要かなと思います。

そういった意味で、ちょっと私も前やっていたんですけど、金融行政モニター委員の活用とか、窓口の活用とか、そういったことも結構重要にまたなってくるのかなと感じました。

2点目が、T+1のことなんですが、5ページ目の③がちょっと気になったんですが、同じアジアにあるシンガポールや香港の状況も十分把握されて、T+1を進めることには賛成なんですけど、やはり同じような時間帯にあるほかの市場がどういうふうなタイミングで事を進めているのかということもよく考慮に入れていただくのがいいのではないかと感じました。

3点目がファイアーウォール規制についてなんですが、今日のプロダクトガバナンスの議論でも、販売会社と組成会社がしっかり情報連携することが重要だということだったんですが、販売会社が親銀行で、組成会社が子会社であるというようなケースもあると思いますので、やはりこの規制が緩和される中で、グループの中での独立性というのを顧客のためにしっかり確保する必要性をより強く感じました。

また、事業会社、特に中小の事業会社の声を聞く機会というのが非常に重要だと現在の状況として思うんですが、情報収集窓口に情報が実際寄せられているのかどうか、その辺の実態をもし教えていただければと思います。よろしくお願いします。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、西岡委員、どうぞお願いします。

【西岡委員】
マン・グループの西岡でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

今回御説明いただきました、まずプロダクトガバナンスですけれども、方向性や、顧客本位の業務運営に関する原則に盛り込むとか、内容の方向性については基本的に賛成でございます。それを前提に1つだけ意見を述べさせていただきたいと思います。

1ページの、先ほど小池さんの話と若干かぶるんですけれども、基本的な考え方のマーケットインという視点のところです。こちらに顧客の真のニーズと明言されていますので、業界全体としてのプロダクトの提供という観点では賛成なのですけども、非常に誤解が起こりやすい概念でもございますので、その明確化のためにコメントさせていただきたいと思います。

資産運用の世界は、プロフェッショナルな世界で、プロである運用会社と、アマであるリテールのお客様との間には情報格差があるというのが前提になっていると考えています。

したがいまして、プロダクトに関しては、運用会社はプロとしてのクオリティーのプロダクトを提供するということが前提になり、これを担保するのが議論されているプロダクトガバナンスの1つの大きな目的だと思っております。従いまして一つ一つのプロダクトは本来的にはプロダクトアウトにならざるを得ないと考えます。

資産運用の顧客の真のニーズというのは、やはり顧客は運用サービスを受けるわけですから本質的に資産を増やすということがニーズになろうかと思います。したがって、運用のプロダクトは、そのニーズに応えられるプロのクオリティーであるということになるということなのだと思っています。

結局、真のニーズのマーケットインというのは、資産を増やすために、個々の顧客の状態を理解して、最適な運用サービスを提供することだと考えています。例えば同じ老後資金でも、若いときから行うものと、退職金で行うものによっては、リスクの概念または損失機会の考え方が異なることがあるのではないかと考えております。退職金の運用のように運用期間が短くなるとボラティリティだけではなくドローダウンも大きなリスクになってくる。もちろん、これは持っている資産の大きさにもよるのですけども、このように個々の顧客の資産は増やすのだけれど、個々の顧客にとっての本質的なリスクを考え、説明して最適に提供してゆくということが重要になってくるのだと思います。真のニーズをとらえてマーケットインで考えるということは、運用会社だけでは決して出来るものではなく、販売会社などと共に業界全体としてプロダクトを提供するということが求められるのだと思います。
過去マーケットインという言葉で、誤解されていた例では皆さん御案内だと思いますけども、配当型投信があると思います。例えば高齢者が、配当が欲しい。配当が欲しいというのは、ニーズじゃなくて、真のニーズは資産運用だから資産を増やすことなんですけども、配当が欲しいということをニーズと捉えて、それを実現するためのマーケット環境でいい運用がなかったので、例えばブラジルの二階建てとかを考える。結局、売りやすいがために、真のニーズの基本的な資産形成というのを、ないがしろにしてきた例があったと思います。

マーケットインという言葉は、ミスリードされやすい言葉という意味で述べて参りましたが、やはり運用会社はプロダクトアウトで、真のニーズを受けたマーケットインは販売会社も含めた運用業界で展開してゆくものだと考えております。

今回のプロダクトガバナンスの議論は、かなり煮詰まってきたと思っております。資産運用立国という文脈の中で、プロダクトガバナンスの高度化を実現してゆく取り組みを機会に、、日本の運用会社が期待、役割、責任を認識して感じてしっかりと改革していくことが本当に求められると思っております。また今回の議論でありましたように、運用会社と組成会社と販売会社が一体となって真のニーズに応えていくということを実現しなければ本当の意味で日本が資産運用立国になり得ないというような、業界として責任感と危機意識を持って改革してゆくという議論になればいいなと思っております。

以上でございます。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、野尻委員、どうぞお願いします。

【野尻委員】
ありがとうございます。野尻です。

プロダクトガバナンスの基本的な考え方に関しては、補充の原則5点を補充として入れることに賛成をしたいと思っています。その上で、1ページにある基本的な考え方の中で私として幾つか強調しておきたい点があります。

1つ目が、顧客の最善の利益を実現するというのが目的であるという、これは非常に重要だと思うんですが、一方で、顧客の最善の利益とは何かという議論が、当初顧客本位の業務運営の7原則をつくるときにも随分出ていたという記憶があります。リターンが大きければいいんだという利益イコール顧客の求めているものなんだという発想はもうそろそろ変えていかなければいけないのではないかと思っています。私は取崩しのほうを専門に分析する立場に今いますけれど、リスクの小さいほうが、いわゆるリターンが小さいほうが、取崩しの場合においては理にかなっている、最善の利益にかなっているというふうになると思っています。この意味で顧客の最善の利益はすごく重要ではないかと思います。

それから、マーケットインの視点は、若干反論的な御意見もあったかと思うんですけど、プロダクトアウトが前提の業界なんだと思っているんですね。なので、ここにマーケットインの考え方をもう少し強調しておかないとバランスが取れないと私は考えています。顧客の潜在的なニーズと先ほど西岡委員がおっしゃっていたようなウォンツみたいなものとは基本的に違うものだと思っています。ウォンツを調べるのがマーケットインのいわゆる調査みたいなものでは絶対にないと思っていますので、この点が、組成段階のプロダクトガバナンス、私にとっては鍵だと思っています。

3点目です。プロポーショナリティ、これは非常に大事だと思います。商品の複雑さやリスクという商品特性を鑑みて、いわゆる釣合いの取れた現実的な対応が必要だという視点だと思うんですが、もう既に数千本の投資信託がマーケットに出ているわけでして、これをプロダクトのガバナンスの観点から、組成後の対応だけでうまくできるんだろうかと。組成時のガバナンスというか、それがない中でどうやって比較するんだろうかなというのが私にとってはクリアになっていないところかなと思っています。

とはいって、継続的な検証をやっていかなきゃいけないと思うんですけど、何から手をつけるかとか、どう手をつけるかというのは本当に各社ごと、原則ですので、各社の対応が大事になってくると思います。

その点、私は当局にもこの点は今後もずっと関与をしてほしいなと思っております。事務局の考え方、もし伺えるのであれば、伺いたいと思います。

4つ目の実効性の確保のところなんですが、共通の認識を醸成するということで、フォーマットはやっぱり必要だなというのをつくづく思うんですが、一方で、フォーマットができると、それが独り歩きして、それを書けばいいみたいなことになり得るんじゃないかという危機感を持っていますので、ここが、書くことが目的にならないように意識する必要があるのではないかと思っています。

それから5つ目です。これまでの議論、先ほども何点かあったかと思うんですが、投資信託を念頭に置いて議論してきたと思っているんですけど、販売会社における対応というところを顧客本位の業務運営に関する原則の6の注記に加えるというような指摘があったかと思います。非常にいいことだと思うんですけど、ここで2つちょっと気になっているのが、原則6の注では、金融事業者という表現になっていて、一方で、ここの原則の中では販売会社という表現になっていますので、この辺どういうふうに調整、もしくは差異を表記するんだろうかというのがちょっと気になっております。

もう1点は、これも森下委員とかも御指摘になっていらっしゃったと思うんですけど、投資信託以外、保険等も含めてどう対応するのかというのも念頭に置く必要があると思います。この辺、事務局の御意見を伺いたいと思います。

最後、投資型クラウドファンディングについてです。取扱業者とか自主規制の範囲の問題とか難しいのを解きほぐしながらおやりいただいているのはすごく理解はできているんですけど、やはり多くの方が御指摘のように、最近SNSを利用した投資詐欺が本当に多くなっていて、これに対する配慮は欠かせないと思います。投資型クラウドファンディングのことだけで議論する必要はないと思うんですが、ぜひこの点の保護についても御配慮いただけるといいと思います。

以上です。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、藤田委員、どうぞお願いいたします。

【藤田委員】
ありがとうございます。資料2に関しましてコメントさせていただきます。

まず1ページ目の基本的な考え方についてですけれども、組成の在り方に着目するだけではなくて、販売の在り方も視野に入れて、製販全体として顧客の最善の利益に向けて取り組む枠組みを整備するという、この点については強く賛同をいたします。

また、原則の対象を投資信託に限らず、金融商品全般に横断的に広げるということについても賛同をいたします。

今般の取組がコスト増という形で、運用人材の育成ですとか、投資家の選択肢の拡充の妨げにならないよう、プロポーショナリティを鑑みながら取り組んでいく点についても賛同をいたします。

なお、投資信託における対象商品ですけれども、何人かの方からコメントございましたけれども、想定とされるのは前回資料5の8ページにあった特殊な商品例、こういったところにまずは絞り込んで運営をしていくのかなと思いますが、そこに特段違和感はございません。

ただ、その資料に小分類を設けていらっしゃったかと思うので、そこはあまり必要性はないのではないかなというところは補足をさせていただければと思います。

では、原則につきまして、具体的に2点コメントをさせていただきます。まず5ページの留意事項の2点目、顧客属性ですけれども、こちらはまだ正直議論の余地があるのかなと思っております。西岡委員の御意見にも重なるかもしれませんけれども、こちら、主語が組成会社というふうに単体になっているわけですけれども、やはり製販全体としての取組になるような全般的な修正をお願いできればと思います。

その背景ですけれども、参考とした米国の事例を御紹介させていただきます。先週、米国のウェルスマネジメントのトップ2社におけます商品選定の責任者と面談を行いました。各社ともに商品選定の部門において、新規ファンドについては、二、三か月かけてファンド選定のデューデリをし、その後、調査委員や新規ビジネスのリスク委員会など、複数の部門から成る委員会を経て決議する体制を有しておりまして、導入に対しての研修なども含めて幅広く議論をしているということでした。

特に印象的だったのが、適格性/Eligibility(エリジビリティー)と適合性/Suitability(スータビリティー)、この2つのレイヤーでしっかりと顧客の真のニーズに合致する商品性や適合性を担保しているという点です。

まず組成会社や販売会社の本部というのは、特に適格性/Eligibility(エリジビリティー)について協議をして、販売対象となる顧客の基準やか適切な商品ストラクチャーを決定します。

次に、適合性/Suitability(スータビリティー)については、顧客の真のニーズ、投資目的、こういったものを把握するということになりますので、ここは残念ながら組成会社には無理がございます。

したがいまして、資産状況ですとか、取引経験、知識、こういった定量的な基準にとどまらず、顧客のライフサイクルですとか、家族構成、いろんなところに踏み込んだ情報をしっかりとヒアリングをしていくということが非常に重要である点を踏まえ、この部分は支店に委ねているということでございました。

以上から日本におきましても、組成会社はあくまで適格性/Eligibility(エリジビリティー)の特定、そして、それに即した商品のストラクチャーの選定にとどめ、販売会社様にて詳細な適合性/Suitability(スータビリティー)を定めて、双方が事前合意をしながら方向性を決めていくということが好ましいのではないかなと思っています。

また、3点目の部分ですけれども、販売会社との間で連携する情報、ここは村田様からもございましたとおり、統計データのフォーマット化ですとか項目の統一化、こういったことをしていかないと運営上は難しいのかなと思います。

次に、2点目ですけれども、6ページ、7ページに関連します金融商品の組成後の対応でございます。こちらにございますとおり、2つの重要な視点があると考えています。まず組成時ですけれども、販売会社は、詳細なファンドのデューデリジェンスを実施しまして、運用哲学、運用体制、運用の継続性などを精査をし、運用開始後には継続的にそれらが担保されているかというのを調査をされています。

この運用モニタリングの実施におきましては、組成会社、または外部委託会社は、検証に必要な情報を十分に販売会社に対して、または代理となる外部ファンド評価会社に対して提供をしていくべきだと思います。

次に、販売実態のほうのモニタリングです。今回新たに販売会社から組成会社、そして外部委託会社に対して顧客属性などの実態把握のための情報提供を行うということが実際に実現されてきますと、組成会社、委託会社はそれらの情報を踏まえながら、継続的かつ有益な情報提供など、顧客の長期投資を促すための施策を検討できるという点で大いに期待をしたいと思います。

また、実務負担や情報共有に関する契約等を鑑みますと、非常に実務的には負担が大きいのかなと思いますので、例えば、自主規制団体などが情報連携の仲介となることを検討するというのも手かなと思います。

一連の取組というのは、製販全体として顧客の最善の利益を実現し、建設的かつ活発な意見交換の場につながっていくということで、非常にすばらしい取組だと考えています。

最後に、質問をさせていただければと思いますけれども、適格性/Eligibility(エリジビリティー)に即した商品ストラクチャーを考えていくという観点では、まさに昨年整備していただきました特定投資家私募、こういったものはそれらの特徴を有しているのかなと思っておりまして、もっと活用が広がっていくといいのではないかなと思っています。

そういった活用が広がるために、現状、問題点が何なのか、またはそういったものを解消して普及が進むためにどんな努力ができるのか、こういった点について、現状、金融庁として把握している点があれば、御紹介いただければと思います。

以上です。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、松尾先生、どうぞ。

【松尾委員】
ありがとうございます。松尾でございます。私からはプロダクトガバナンスについて1点、投資型クラウドファンドについて1点申し上げます。

まず、プロダクトガバナンスですけれども、事務局がお示しくださった方針に全く異存はございません。その中で、プロポーショナリティのことが重要であると。村田様のプレゼンでも、連携について、重点的に取り組むべき商品の抽出ということが挙げられておりましたので、そのことについて申し上げたいのですが、重点的に取り組むべき商品を選定する際には、やはりプロダクトガバナンスで実現しようとしている目的といいますか、具体的目的との関係を考える必要があるかと思います。

具体的目的として、私は、想定顧客と実際の販売顧客のギャップをなくすことということが1つ。それから、不芳ファンドの整理ということが挙げられていたと理解いたしました。

ギャップをなくすという意味では、そもそも想定顧客の範囲が狭い商品ほど厳格にといいますか、重点的に取り組むべきと、そういうことになるのだと思うのですけれども、その際に留意していただきたいのは、1つは、この観点から対象にすべき商品というのは恐らく投資信託ですとか、運用性のある商品に限らず、先ほどおっしゃっておられた仕組み性のある債券ですとか、そういったもの、等しく同等の規律をかけるべきであると、そのように考えております。

もう一つ、組成会社が設定した想定顧客に、そもそもそれがおかしいのではないかということが販売会社のほうからチェックが入る、こういうことも非常に重要なことかなと考えておりまして、単に販売会社のほうで組成会社で想定された顧客に対して粛々と売っていく、それでいいのだということではなくて、そもそもこの商品のリスクからするとその想定顧客はおかしいというような場合には、販売会社から何かフィードバックがある、そういうことが想定されていると思いますので、そこも留意していただきたいということです。

もう一つ、不芳ファンドの整理・統合といいますか、そういったところからしますと、これは製販の協働というのがどういうふうになるのかなというのがいまいちイメージができておりませんで、リターンがよろしくない、パフォーマンスがよろしくないということは恐らく組成した側、運用者にとっては一目瞭然で、何が販売会社から必要な情報なのかなということを考えておりますた。今日村田様のプレゼンテーションであったところに定性的な情報とありましたけれども、やはり顧客からの御意見ですとか要望といったものが適切に伝わるような仕組み、そういったことが必要なのではないかと感じました。

続きまして、投資型クラウドファンディングですけれども、株主一元化スキームについて非常にいろいろとお考えいただいて整理していただいたところで、整理としては、これは二項有価証券の募集なので、二種という整理になると。運用のほうも、緩和はするけれども、運用業の登録が必要であると、そういう整理がなされたと理解いたしました。

その上でなんですけれども、少額ではなくて二種の登録でやると投資額の上限等がかからないので、それをかける必要があるだろうと。それはそのとおりかと思うのですが、これは恐らく今回の目的からすると、電子申込型電子募集ですかね、クラウドファンディングに限定して投資上限をかけるということになるとは思うのですけれども、一方で二種の登録を受けると、二種のほうの少人数私募の要件が非常に緩いので、あえて電子募集のほうをしなくても、こっちでいいや、通常の募集でいいやということで、クラウドファンディングに取り組む事業者のほうのメリットがなくなってしまうのではないかなと少し懸念しております。

ですので、投資上限を課す場合の課す対象となる範囲ですとか、あるいは電子型に限って事業を行う場合には、事業者にとってはこういう負担が小さくなるとか、そういうメリットがありますということを併せて明示していただくと、事業者としては取り組みやすくなるのかなと考えております。

以上です。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、松岡委員、どうぞお願いいたします。

【松岡委員】
御発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

3点お話しします。プロダクトガバナンスについて、様々な選択肢から顧客のライフプラン、投資目的、リスクプロファイルなどの特性に最も合致した商品・サービスが提供されるべく、必要なガバナンスが有効に機能して担保されるということを希望しております。さきほどの御発言等にもありましたけれども、顧客の立場からすれば、これは金融商品全般に当てはまることではないかと考えております。

次に、株式決済期間についてです。株式の発行体たる企業にとって、また株主たる投資家にとっても最良な形で円滑な取引が実行されることを念頭に検討を進めていただくことを望んでおります。

最後に、銀証ファイアーウォールについて、これも金融サービス利用の主体である顧客本位の検討がなされるということを期待しております。

他方、米国などの状況と比べますと、我が国の企業の資金調達の手段の多様性が限られているところもあります。それに対する考慮、そしてその状況を打破するために何ができるかということを考える視点も大事だと思いますので、ぜひお願いしたいところです。

以上です。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、オンラインで御参加いただいている武田委員、どうぞお願いいたします。

【武田委員】
ありがとうございます。まず村田様には冒頭で貴重なお話をいただきましたほか、事務局におかれましては取りまとめをありがとうございました。プリンシプルベースで進めていく事務局案に賛成の立場です。その上で意見を2点述べさせていただきます。

1点目、資料1のプロダクトガバナンスに関する基本的な考え方は、いずれも重要な考え方、論点が示されていると思います。

ただ、このうち実効性の確保について、どう確保するのか、もう少し具体的に担保する仕組みが必要ではないかと感じます。前回申し上げましたとおり、情報連携は、それ自体が目的ではなく、何が顧客の利益につながるのかという視点からよりよい金融商品の組成につなげることが目的であるべきで、時間の経過とともに手段と目的の関係が曖昧にならないようにする必要があると思います。

仮にもし結果として顧客の利益につながらなければ、今回、情報だけが組成、販売、双方の企業に活用されて終わることも懸念されます。そのため、まず、顧客の適合性の確認を誰がどのように行っていくのか、具体的、実務的な検討が必要だと思います。

また、顧客本位ならば、顧客からのフィードバックをどう把握していくのか。さらに当局は、その進展をどのようにモニタリングないしはフォローしていかれるのか、この点ももしよろしければお考えをお聞きしたいと思います。

冒頭申し上げたとおり、プリンシプルベースで進める考え方には賛成しており、できるだけ販売・組成会社の負担にならないように進めることが望ましいと思いますが、一方で、顧客の利益に資する実効性をどう担保するのか、もう少し踏み込んだ記述も検討いただきたいと思います。

2点目、情報連携の実効性についてです。冒頭村田様のプレゼンにもございましたが、フォーマット、形式がば
らばらにならないように、効率的で排他的にならない仕組みが必要と考えます。

つまり、真の顧客の利益の向上とともに、業界全体のDXが進み現在よりも効率的なビジネスモデルが確立する、その双方の実現が望ましい姿ではないかと考えます。

以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】
どうもありがとうございました。事務局への御質問があったようですけど、あと、オンラインで、亀坂先生と小枝先生から御発言、御希望出ておりますので、伺った後で、もしよろしければまとめてというのでしょうか、事務局から御発言をお願いいたします。

それでは、オンラインで御参加の亀坂先生、どうぞよろしくお願いいたします。

【亀坂委員】
亀坂です。ありがとうございます。私からは3点ないしは4点コメントさせていただければと思います。

まず全体的な方向性に関しては、進めていただいている方向性に関しては賛成、賛同いたします。その上で、まず1点目なんですけれども、事務局に御用意、御準備いただいた資料2の3ページ目の補充原則案の1に関してまずコメントさせていただきます。

青字で強調していただいている箇所なんですけども、冒頭に顧客に付加価値をもたらすという、これが非常に目立っていて、ちょっと表現が引っかかりました。この部分だけ青字で切り取られて何か報道されたりすると誤解を招くおそれがあるんじゃないかというのを少し心配しているということです。

単なる表現上の問題なんですが、組成会社は、顧客に金融商品やサービスの提供を通じて付加価値をもたらすと、ちょっと若干言葉の順序を入れ替えていただくと少し誤解を持たれる可能性が少なくなるんじゃないかなと思いました。これは単純に表現上の問題です。趣旨には賛同いたします。

次が4ページ目の補充原則案の2の体制整備に関することなんですが、組成会社は、もちろん、注のところで遠慮がちに入れていただいているように思うんですけれども、社外取締役や外部有識者のほか、ファンドの評価を行う第三者機関といった主体から意見を取り入れることも考えられると書いてあるんですけれども、これはすごくいいんじゃないかなと思います。複数の機関とか、組成会社とか、いろんな方々からチェックを受けるのは望ましいと思いますし、第三者機関がファンドを評価するとなりますと、独立性も確保できるんじゃないかなと思いました。

それが2点目でして、3点目が、村田様から御説明いただいた資料に関することなんですけれども、資料の1の4ページ目、5ページ目に関することです。前回の議論でもコメントさせていただいたとおり、データや数値でファンドを管理したり評価するにはまだまだ残されている検討課題は多いと思うんですけれども、例えばですが、インデックス型は対象外とするなど、対象ファンドの絞り込みを行うということは確かに検討すべきかなと思います。

特に、管理というか、評価が必要なタイプのファンドから何らかの形でチェックが入るようにするということは考えられると思いますし、顧客が例えばシャープレシオとか、その他の指標を理解できないとしても、専門知識を有する外部有識者とかがチェックすれば、それはそれでチェックが働くので、対象ファンドをある程度絞り込んだ上で外部有識者あるいは第三者のチェック機関がチェックするということは検討していただいてもいいのかなと思います。

4点目が、事務局から御提示いただいたもう一つの資料のほうなんですけれども、T+1化に関することです。これ、T+2への移行時にも、ほかの審議会で実は議論に参加させていただいたことがあるんですが、今回もT+1化に関しても、他国の動向を見ながら日本が遅れを取らないように進めていただければと思っております。

先ほど佐々木委員からも御指摘があったかと思うんですけれども、日本との時差が少ない国の動向の把握も重要と思います。ふだん米国や欧州などの動向に注目しがちなんですけれども、マーケット間の国際競争というものを念頭に置くと、例えばシンガポールとか、香港、中国、あとはオーストラリア、ニュージーランドとか、そういった時差が少ない国の動向も、マーケット間の国際競争というものを念頭に置くと注視していただいたほうがよろしいんじゃないかと思います。

以上です。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでと、オンライン御参加の小枝先生、どうぞお願いいたします。

【小枝委員】
私からは短く1点コメントを申し上げたいと思いました。今回のプロダクトガバナンス、事務局にお示ししていただいた方向性については私も同意いたします。

1点、こういった政策を進めいくにおいて、経済的な全体で見てプラスの効果が期待できるのかというところが少し気になりました。プロダクトの数が淘汰されて、1つ当たりのプロダクトのファンドの規模が大きくなって、効率アップにつながり、それが例えば顧客の利益を増やすみたいな、そういった全体で見て経済的なプラスの効果があるのかどうか、そういったことを見込めるのかどうかということについても少し議論があってもよろしいのかなと思いました。

以上です。

【神田座長】
どうもありがとうございました。これで御参加の委員の皆様方全員から御発言をいただけることができました。大変貴重な御意見、御指摘を、いつものことですけれども、大変ありがとうございました。

ちょっと私も1点だけ短めの感想ですけども、確かに今回資料2のような形で顧客本位原則の中に取り入れていくというのは大変結構なことだと私も思っているのですけども、投資信託と枠を限ると分かりやすいというか、プロダクトガバナンスというのは、製造があって販売があって連携があってなのですけれども、投資家というか、顧客から見れば、例えば100というお金があって投資したいときに、100を投資信託に投資するなら分かりやすいんですけども、そのうちの例えば60が投資信託、40は債券というのがいいです、それがまさに顧客の最善の利益だという話になってきますと、やっぱり製造元も違ってくるし、販売のほうの顧客との間での顧客最善の利益という話も、抽象論は非常に分かるのですけれども、実践していくのは非常に難しいなと思いまして、その辺り、今回、原則に取り入れることによって先へ進めればいいなということだと理解しました。

それでは、若干御質問があったと思いますので、事務局のほうからそれ以外の点も含めてお願いしてよろしいでしょうか。まず、一番大きいのは、武田委員からの原則に追加したけど、モニタリングや実効性はどうするのかと。それから、これは御質問ではなかったかもしれませんけど、松尾委員から二種業まで緩和しなくていいのではないかというふうに私は理解したのですけども、それがもう一つ。これは御意見だと思います。それから、亀坂委員がおっしゃったことの中で、青字の部分というのは、言うまでもなく原則に入った場合は青字ではなくなりますよね。これは確認ですけど、そういった点、その他も若干御指摘あったと思います。必要に応じてお願いいたします。

【齊藤企画市場局市場課長】
ありがとうございます。まず武田委員から御指摘いただいた、金融庁としてどのようにモニタリングしていくかという点につきまして、これは野尻委員からも、数千本もファンドがある中で、何からどう手をつけていけばいいのかという点で、当局も関与していくべきという、そういった御指摘があった点も含めてでございますけれども、金融庁としても、こういった原則を作成させていただいた後においては、しっかりフォローアップしていくことが重要かと思っております。

金融庁におきまして、しっかり横串も刺しながら、取組状況について把握させていただき、どういったところに課題があるのか、あるいは好事例などについては、それが展開できるように分かりやすく公表していくといったことも必要かと思っております。そういったフォローアップをやることによって、全体として取組が進んでいくことを後押しできればと思っているところでございます。

2点目として、松尾委員から御指摘いただいたクラウドファンディングのところでございますけれども、今回念頭に置いておりますのが電子申込型ということでございまして、それ以外のものについては特に制限を設けるものではないと考えております。先生の御指摘は、そうだとすると、これは電子申込型ではない方向に流れてしまうのではないかという、そういった御指摘だったと思いますので、そこは電子申込型としてやることによって、インターネットを通じて広く多数の投資家から資金を集められるという、そういったメリットも含めてのものですので、そういったメリットも含めてしっかりと分かりやすくなるように、そこは二種協とも調整しながら取り組んでいきたいと思います。

亀坂先生からの御指摘の青字のところは、最終化するときには全て黒字になりますので、そのような前提でご理解いただければと思います。

また、有吉委員から、クラウドファンディングについて、10年前の附帯決議の前提事実というものが今でも当てはまっているのかといった御指摘があったかと思います。こちらにつきましては、坂委員からも電話や訪問勧誘による被害が生じやすいといったご指摘をいただきましたし、野尻委員からもクラウドファンディングに関し、投資被害が生じやすいので配慮も必要といった御指摘もいただきました。手元の数字で申し上げますと、国民生活センターにおける投資商品に関する電話・訪問勧誘の相談件数は近年も引き続き2,000件弱程度で続いているということでありまして、やはり電話・訪問勧誘に関する苦情相談というものは引き続きかなりあるという状況でございます。

また、金融庁で金融サービス利用者相談室を設けておりますけれども、そこでは、媒体として電話や訪問勧誘によるものなのかといった区分けはとっておりませんけれども、詐欺的な投資勧誘に関する情報の受付状況はかなり増えている状況でございますので、こういったことも踏まえ、個人に対して、特定投資家も含め、電話や訪問勧誘することについては慎重に考えていく必要があるのではないかと考えておるところでございます。

また、佐々木委員から銀証ファイアーウォール規制の関係で、金融庁の相談窓口への情報提供の実態についてご質問をいただきました。手元に今数字があるわけではございませんけれども、2年前に窓口を設けて以降、それほど苦情相談が来ているという状況ではないと聞いております。

プロダクトガバナンスの実効性確保の件で武田委員等から御指摘いただきましたけれども、フォーマットをつくることについては、形式的な対応にならないようにしつつも、やはりある程度の統一されたものがあることが望ましいと考えております。販売会社から組成会社に対して個別に様々な情報を提供することになると、やはり非常にコストもかかることになりますので、一定のフォーマットが必要だと思っております。一方で、形式的にフォーマットに基づいて情報連携することが目的にならないようにという御指摘はごもっともと承知しておりますので、この辺りは実務的にどういった商品が対象となるか、どういった頻度で、どういった内容を情報連携していき、それをどう活用していくかについては、実務面において、日本証券業協会や投資信託協会等々と連携させていただきながら、より実効性を保った形で、そしてまた実務に過度な負担がかからないように取り組んでいきたいと思っているところでございます。

野尻委員から、今の顧客本位の業務運営に関する原則については、金融事業者という書き方をしていて、販売会社、組成会社という書き方になってないという御指摘をいただきました。実際に顧客本位の業務運営の原則を修正する際には、その整合性を図る必要があるかと思っておりますけれども、現在の顧客本位の業務運営に関する原則についても、金融事業者と言いながら、ファンクションを特定する上で、商品の販売に携わる金融事業者といった言い方や、金融商品の組成に携わる金融事業者といったワーディングを使っておりますので、それと整合するように工夫していくものと考えているところでございます。

以上になります。

【神田座長】
どうもありがとうございました。

どうぞ、坂先生。

【坂委員】
ちょっと1点だけよろしいでしょうか。私の理解が十分でなかったのかもしれないんですけども、株主一元化スキームというのは、ファンド型の場合には、クラウドファンディングでない形での販売を認めるという前提なんでしょうか。先ほど来の議論をお聞きしていますと、ファンドの形であれば、クラウドファンディング以外の方法で非上場株式のファンドが売れるというふうな御議論もありましたが、そうなのでしょうか。株式一元化スキームについて、投資型クラウドファンディングに係る規制と平仄を合わせるということであれば、株式投資型のクラウドファンディングがそれ以外の方法は認めていませんので、そういった形にしないと平仄が合わないのではないかと認識しているところです。そこら辺りのところについては慎重な検討が必要と思うんですが、いかがでしょうか。

【齊藤企画市場局市場課長】
よろしゅうございますか。現行でございますと、集団投資スキーム持分としてファンドを組成して、ファンドから投資する先につきましては、法令上特段制限はないと承知しております。これは自主規制においても特段、非上場株に投資すること、例えばそういったものについて禁止している状況ではないと承知しております。

ここで議論として提示させていただきましたのは、クラウドファンディングの形態でございます。電子申込型で行う形態に関し、株式投資型クラウドファンディングの課題として指摘されている、多数の投資家が株主として入ることを回避する手段としての株主一元化スキームということでございますので、その点に限っての議論ということで今回お示しさせていただいているところでございます。

【坂委員】
御主旨は承りましたけども、基本的に非上場株式の取引に関する取引の適正化といいますか、弊害防止の観点からすると、やはりそれだけで足りるのかどうかというところについては少し疑問を感じるところではございます。何かいい知恵がないかなと思っているところではございますけども、今日のところは申し訳ありませんが、そこまでにさせていただければと思います。

【齊藤企画市場局市場課長】
自主規制も含めてでございますけれども、そこに何か被害等の実態があって、何か規制を及ぼさないといけないような立法事実、あるいは自主規制の事実というものがあるのかどうかも含めての検討が必要かと思っておりますので、その点について、我々もよく見ていきたいと思っております。

【神田座長】
ありがとうございます。御指摘の点、また確認をして、必要があればまた追加でお知らせさせていただきます。

それから、今日の資料で申しますと、資料3のほうについては、いろいろ細かい問題もあり、今のクラウドファンディングもそうなのですけども、また、証券決済の期間短縮というかなり重大な問題とかも書いていただいていて、あまり多く御意見はいただいてはいないのですけども、恐らく事務局の資料の方向には御賛同いただいていると私は理解します。時間の関係もございますので、追加でもしお気づきの点がありましたら、資料2、資料3等についてもぜひ事務局までお寄せいただければありがたく存じます。

それでは、お待たせして大変申し訳ありませんでした。オブザーバーの皆様方から御発言を承りたいと思います。

まず、二種業協会の青木様、どうぞよろしくお願いいたします。

【青木オブザーバー】
発言の機会をいただき、ありがとうございます。二種業協会の青木でございます。今般、本協会の自主規制に関して御議論をいただきましたことから、若干発言させていただきます。

まず資料3の7ページ、株主一元化スキームを活用したクラウドファンディングに係る課題に関してでございます。株主一元化スキームにつきましては、株式投資型クラウドファンディングとの間でバランスの取れたものとするとともに、過度な規制により資金調達等に制約が生じることのないよう、必要な範囲で所要の手当てを行うという考え方に基づいて規制の検討を進めてまいりたいと考えております。

次に、同じく資料3、10ページの投資型クラウドファンディングの勧誘方法の見直しに関してでございます。本日、資料5として意見書を提出させていただいておりますので、御一読をいただければ幸いです。そこに記しておりますように、電話・訪問等による勧誘が可能とされた場合において、電磁的方法によって勧誘を行う投資家との間で情報格差が生じないように行うということが厳格に求められますと、投資家からの問合せに対応ができないという懸念がございます。その点、御配慮をいただければと存じます。

今回の見直しにより、これまで二種業者がインターネット取引と並行して特定投資家向けの販売を行うことが困難であった状況に、改善が図られることを期待いたしております。

以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に、投信協会の今井様、どうぞお願いいたします。

【今井オブザーバー】
発言の機会いただき、ありがとうございます。投資信託協会で政策委員長を務めております三井住友DSアセスマネジメントの今井と申します。

時間の関係もありますので、投資信託協会といたしましては、投資信託のプロダクトガバナンスに絞って、本日事務局より御提示いただきました案にコメントさせていただきます。

まず、今回、事務局説明資料1にお示しいただきましたプロダクトガバナンスに関する原則を定めるに当たり、顧客本位の業務運営に関する原則を補充するものとして資料の2ページに掲げられました5つの事項、これを盛り込むことにつきましては、前回本会が提示させて頂きました意見に沿うものであり、今回提示いただきました案に基本的には賛成いたします。

その上で、実務も踏まえた意見を申し上げれば、投資信託のプロダクトガバナンスを考える上で、資料の1ページ目の3つ目に掲げられていた原則の対象、プロポーショナリティの考え方が重要であり、補充原則の全てがその考え方を踏まえる必要があること、また意見書でもつけさせていただきましたが、顧客本位の業務運営を実質的に機能させるためには、商品の組成会社に課されるプロダクトガバナンスと販売会社に課されている適合性原則、こちらが両輪となって機能することが重要であると考えています。

この観点から、商品を組成する運用会社といたしましては、1ページ目のプロダクトガバナンスに関する基本的な考え方の2つ目に掲げられておりますマーケットインの視点につきましては、英国においてどのような議論がなされているかは分かりませんけれども、主たる投資対象機関が非上場株式やオルタナティブ資産またはデリバティブ取引を複雑に組み合わせたような、そういった投資対象市場の価値連動とファンドの価値連動の関係が分かりづらいものにこの考え方を当てはめることは理解できるところですが、いわゆるインデックス投資をはじめとした一般的な投資信託、投資家のポートフォリオの構成部品として利用されるような投資信託にまでこの考え方を適用することは過重な規制となるものと考えております。

また、今回のプロダクトガバナンスに関わる議論は、あくまでもプリンシプルベースの考え方を示し、個別の運用会社が自らのビジネスモデルを踏まえて適切に対応することを促すことにより、顧客本位の業務運営の質を向上させることを目的としたものであり、運用会社のビジネスモデルに問わず、一律に全ての投資信託についてこの考え方を適用するという議論は、今回の検討の主旨を逸脱しているものと考えています。

これに関し、5ページ目に記載されている補充原則3についても、書きぶりにつきましても、プロポーショナリティの考え方を盛り込むなど、適切に修正して頂きたいと考えております。

さらに、販売会社との関係では、補充原則1と同様の原則を顧客本位の業務運営に関する原則にも追加することを検討してはいかがでしょうか。

また、補充原則4において金融商品の組成後の対応に関する考え方が示されておりますが、顧客適合性の確認義務は一義的には販売会社にありますことから、組成会社としては、適切に想定顧客等を販売会社に明示し、必要に応じて販売会社とコミュニケーションを取り、適切な保有が行われるように協力するなどの努力をさせていただきたいと考えております。

販売会社においても適切な範囲で組成会社に求められる水準、内容、義務感と同様の顧客属性の検証を行っていただきたいと考えております。

私からは以上となります。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、次に、全国銀行協会、安地様、どうぞお願いいたします。

【安地オブザーバー】
ありがとうございます。今年度、企画委員長を務めております三井住友銀行の安地でございます。
プロダクトガバナンスにつきまして、全体的な観点と、情報連携の観点で2点申し上げます。

販売会社においては、ファンドラップなどを推進しておりますので、製販の境界が非常に曖昧になってきているという面がございます。このため、この基本的な考え方や補充原則に強く賛同するところでございまして、補充原則案の1や2は、販売会社も強く意識したほうが良いのであろうと捉えております。

また、2点目として、情報連携も言わずもがな非常に重要です。我々は単品での商品販売よりもポートフォリオでの御提案が増えてきておりますので、情報連携なかりせば、なかなか組成会社の方からお客さまのことが見えにくいということがあろうかと思います。このため、この点も対応していかなければならないと思います。

一方で、委員の皆様からも御指摘のあった、実務面の検討事項や検討課題は多いと思いますので、ぜひ今後、当協会としても積極的に議論に参加させていただければと思います。

以上です。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、日本証券業協会、どうぞお願いいたします。

【川島オブザーバー】
日本証券業協会のオブザーバーの川島でございます。発言の機会をいただきましてありがとうございます。

本日議論いただいているテーマのうち、私からは3点申し上げます。1点目は、プロダクトガバナンスについてでございます。販売会社と組成会社等の間の連携につきましては、そのコストが最終的には顧客に転嫁され得ることも踏まえ、商品の複雑さやリスク等の金融商品の特性等に応じ、対象商品の範囲、連携すべき情報の粒度や分量、頻度、連携方法などについて、コストベネフィットや実務面のフィージビリティーにも配慮した検討がされるべきだと考えておりますので、引き続き証券業界との協議をお願いしたいと存じます。

2点目は、株式決済期間の短縮についてでございます。一般論としては、株式決済期間の短縮が実現すれば、未決済残高の減少等のメリットがあると思われますが、一方で、約定から決済に至る実務全般に係る期間の短縮化には大きな負担が生じることが予想されるほか、フェイル慣行や制度信用取引制度のオペレーションなど、日本特有の課題も多いと認識しております。そういった課題も含めて、幅広い市場参加者、関係者で我が国のT+1化に関し、勉強を始めることは重要だと思っておりますので、本協会としても参加してまいりたいと存じます。

3点目は、投資型クラウドファンディングの勧誘方法の見直しについてです。資料3の10ページ目で、投資型クラウドファンディングの勧誘方法の見直しとして、社債に係る勧誘方法の制限が提案されていますが、この点は慎重に御検討いただきたく存じます。御提案の背景の1つとして、ソーシャルレンディング規制の導入が挙げられておりますが、ソーシャルレンディングと社債では商品性が異なり、参入規制も行為規制も大きく体系が異なっておりますので、今回の規制導入とのつながりが明確でないように思います。

さらに、政府におけるベンチャーデットの活性化や社債のセキュリティートークンの広がり等、電磁的方法と親和性が高い分野の進展を踏まえ、今回の規制が当該イノベーションの促進を阻害することのないよう御検討をお願
いしたいと存じます。

私からは以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、国際銀行協会、平山さん、どうぞお願いいたします。

【平山オブザーバー】
発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。国際銀行協会、平山でございます。

プロダクトガバナンスについて細かい点を3つ、ファイアーウォール規制について2点ほど述べさせていただきます。

まずプロダクトガバナンス。資料4にて御指摘されているとおり、補充原則の位置づけ及び補充原則と既存の原則との関係について明確にしていただきたいです。その際は、原則にて金融事業者の定義が設けられているように、補充原則にて使われている組成会社の定義も明確にしていただければと存じます。

事務局説明資料1の4ページ、留意事項、最初の点の3行目に「必要な場合」とあります。こちらは、外部有識者の意見を取り入れるか否かの検討を求めるという御主旨であり、外部有識者の意見を取り入れること自体は必須ではないと理解しております。

事務局説明資料1の6ページ、留意事項の3点目に、運用業務の外部委託先における運用についても検証の対象とすべきと記載がございます。本補充原則がプリンシプルベースであることは理解しておりますが、その検証すべきポイントについて例示していただけますと大変ありがたく存じます。

次にファイアーウォールについてです。事務局説明資料2の13ページでは「2022年にファイアーウォール規制が緩和された」とあります。詳細は差し控えますが、複数の弊協会会員において、実務での負担感は軽減されていないと認識しております。顧客の利益に資する、かつ、より実態が伴う緩和の実現は可能だと考えます。予防的な現在の情報共有規制のあるべき姿と外務員二重登録規制の見直しの検討の再開を希望いたします。

なお、検討の再開時には、事務局説明資料2の最後に述べられていますモニタリングの結果について差し支えない範囲で本ワーキングにて共有してくださいますと大変助かります。

以上となります。どうもありがとうございました。失礼いたします。

【神田座長】
どうもありがとうございました。それでは、生命保険協会さん、どうぞ。

【佐藤オブザーバー】
生命保険協会で一般委員長をしております日本生命の佐藤でございます。業界から簡単なコメントをさせていただければと存じます。

本日御説明のございましたプロダクトガバナンスに関する基本的な考え方については、「投資信託に限らず債券等も含めた金融商品を横断的にスコープに入れるべきであり、特定の金融商品を排除するものではない。また、商品の複雑さやリスクといった商品の特性等に応じて組成会社や販売会社は取り組みを進めるべきである」との記載がございました。この点についてコメントさせていただきます。

私どもが扱います生命保険商品も金融商品の1つではございます。ここで記載いただいている商品の複雑さやリスクといった商品の特性等に応じて取組を進めるという点については、まさにそのとおりだと考えてございます。

生命保険は、御案内のとおり、ほかの金融商品と違いまして、例えば遺族保障など、リスクに備える機能を有しておりますけれども、一方で、外貨建ての保険や変額の保険など、金融商品取引法上ほかのリスク性金融商品と同様の規制がかかる、いわゆる特定保険契約と呼ばれる保険契約がございます。こういった特定保険契約につきましては、商品の複雑さやリスクといった商品の特性上、今回の議論も踏まえて取組を進めていく必要があると受け止めてございます。

実際、当協会では今年の4月にガイドラインを改正しており、特定保険契約に対しましては、保険会社は当該商品が顧客のどのようなニーズに対応するのか、また、想定する顧客の属性、年齢、投資経験、リスク許容度などを明確にした上で、金融機関への指導を行うこと、また、販売後に販売動向や顧客の属性、募集プロセスなどを基に具体的に検証を行うことが重要であること、こういったことをガイドラインに定めてございます。

こうした取組を販売会社とともに進める中で、生命保険業界として引き続き顧客の最善の利益を踏まえた対応を進めていきたいと考えてございます。

以上でございます。

【神田座長】
どうもありがとうございました。

今日も私の不手際もあって予定を10分少々延長しておりまして、この辺りとさせていただければと思います。

皆様からは、いつものことですけれども、大変貴重な御意見等をたくさんいただきまして、ありがとうございました。

本日いただきました御意見等を踏まえ、次回以降は取りまとめに向けた御議論をお願いすることを考えております。

また、次回の日程につきましては、委員の皆様方の御日程等を踏まえて後日事務局から連絡をさせていただきます。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了とさせていただきます。皆様方、どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問い合わせ先

金融庁 03-3506-6000(代表)

企画市場局市場課(内線:2387、2393)

この企業のニュース

業界チャネル Pick Upニュース

注目キーワード