2024/07/02

防衛大臣記者会見 - 木原防衛大臣閣議後会見 1 発表事項 2 質疑応答

防衛省 

防衛大臣記者会見

日時
令和6年7月2日(火)10:52~11:17
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見

動画版①

動画版②

1 発表事項

防衛省AI活用推進基本方針と防衛省サイバー人材総合戦略の策定についてでございます。本日、防衛省は、AIの活用促進や、サイバー人材の確保・育成の羅針盤となる文書として、「防衛省AI活用推進基本方針」と「防衛省サイバー人材総合戦略」という2つの文書を、それぞれ初めて策定をいたしました。近年、サイバー領域を用いた非対称な攻撃や、指揮官の意思決定を支援する技術へのAIの活用など、新しい戦い方が顕在化しています。このような新しい戦いに対応できるかどうかは、今後の防衛力を構築する上で大きな課題となっています。また、人口減少と少子高齢化が急速に進展する我が国では、デジタル技術を活用し、人員をこれまで以上に効率的に活用することが必要不可欠であります。AIやサイバーは、このような課題を克服する技術になり得ると考えており、今般策定した文書を通じ、防衛省の考え方を包括的にお示しすることには大きな意義があると、そのように考えております。今後、これらの文書を活用して、AIやサイバーに関する防衛省の考え方を積極的に発信していくとともに、民間分野で活躍されている方々や、諸外国の関係機関との協力関係を深めてまいりたいと考えております。

2 質疑応答

Q:昨日、自衛隊創設70年を迎えました。改めて大臣の受け止めと、今後自衛隊に求められる役割についてお聞かせください。また、自衛隊と米軍との関係において、日米一体との指摘もありますが、自衛隊と米軍の関係の在り方についてどのようにお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。

A:まずは1点目の受け止めということですが、昭和29年の7月1日、当時の防衛庁が設置をされ、陸・海・空自衛隊が発足し、昨日7月1日で70周年を迎えました。昨日、防衛大臣談話ということで発出させていただきましたけれども、これまで防衛省・自衛隊の活動に御理解と御協力を賜ってきた全ての皆様方に対し、防衛大臣として、改めて心から感謝を申し上げます。これまで自衛隊が国民の皆様から信頼を得ることができたのは、談話でも申し上げたとおり、いついかなる時も国民のための自衛隊であることを旨に、隊員一人一人がひたむきに任務に励んできたからだと考えます。また、自衛隊が幅広い活動を平素から行っていくようになった結果として、国民の皆様にとって、自衛隊が身近に感じられるようになった側面もあるのではないかと考えます。防衛省・自衛隊としては、これからも国民の信頼と期待に応え続けられるよう、一層努力していく所存です。また、防衛省・自衛隊の取組に引き続きの御理解と御協力を得られるよう、防衛力の抜本的強化に関する取組をはじめとする防衛省・自衛隊の施策等について、引き続き、丁寧な説明や情報発信を行ってまいりたいと考えます。そして、今後、自衛隊に求められる役割ということでありましたが、自衛隊の役割と任務について多少振り返りますと、我が国が置かれた安全保障環境等に応じて変化してきており、大規模災害等への対応、国際平和協力活動等にも拡大をされ、さらには平和安全法制に基づく活動など、様々な事態に対応するものとなりました。近年、我が国を取り巻く安全保障環境が戦後最も厳しく複雑なものになっている中で、いかなる事態においても、国民の命と平和な暮らしを守ることができる自衛隊であり続けるため、拡大する自衛隊の役割をしっかりと果たせるよう、引き続き、防衛力の抜本的強化に取り組んでいくことが重要であると考えています。そして最後に米軍との関係の在り方ということですが、その点について申し上げると、日米同盟は、インド太平洋地域の平和、安全及び繁栄の礎であり、平成27年に成立した平和安全法制により、日米同盟はかつてないほど強固となり、抑止力・対処力も向上しており、地域のパートナーとも協力しながら、引き続き、更なる強化に努めてまいります。その上で、日米が一層緊密に連携していくに当たっても、自衛隊の全ての活動は、主権国家たる我が国の主体的判断の下、日本国憲法、国内法令等に従って行われること、また、自衛隊及び米軍がそれぞれ独立した指揮系統に従って行動することに何ら変更はありません。こういった点は、日米ガイドラインにも明記されており、日米間の共通の認識となっております。

Q:サイバー人材総合戦略ついて伺います。陸上自衛隊一般幹部候補生の採用試験で、サイバーに特化した区分を新設することなどですね、サイバー人材の確保を掲げております。戦略の意義と狙いを教えてください。

A:人口減少と少子高齢化が急速に進展をしております。防衛省・自衛隊においても、人材獲得をめぐる状況というものが厳しさを増しているとともに、社会全体においてサイバー人材の重要性というものが高まっている中で、サイバー人材の確保というのは、防衛省としても喫緊の課題であります。そこで、私も陸上自衛隊システム通信・サイバー学校の改編を推進したほか、任期付自衛官制度を創設するなど、これまでもサイバー人材の確保・育成の強化というものに取り組んでまいりました。今般策定をしましたサイバー人材総合戦略というものは、サイバー人材に関する取組を、必要なスキルや能力の特定、人材の確保、そして確保した人材の育成、自衛隊で勤務し続けてもらうための維持・管理などを整理し、体系的にお示しするものであります。この中で、例えば、サイバーに特化した、御質問のあった陸上自衛隊の一般幹部候補生の採用区分の新設を含めまして、サイバー分野で働き続けたいという隊員の要望に寄り添えるようなキャリアパスの明確化、またはサイバー予備自衛官の拡充など、新たな取組の方向性も打ち出しました。今般の文書の策定によって、サイバー人材に関する防衛省の考え方や、自衛隊でしか得られない経験や付加価値などについて、より明確に発信することができるようになると考えておりまして、防衛省としては、本文書に基づき、サイバー防衛能力の強化に向けて、スピード感をもって様々な施策を進めてまいります。

Q:AIの基本方針の方でお伺いいたします。本件の方針では、例えば目標の探知・識別ですとか、7つの分野で今後重点的に活動するですとか、そういったことも盛り込まれておりますけれども、その基本方針の意義ですとか、AIを活用するメリットについてもお聞かせいただけますでしょうか。

A:防衛省AI活用推進基本方針というもう1つの文書についての御質問でありますが、科学技術の急速な発展というものが、安全保障の在り方を根本的に変化をさせ、従来の戦闘様相というものが大きく変化をする中で、我が国にとって新しい戦い方に対応できるかどうかというのは、今後の防衛力を構築する上で大きな課題であります。さらに、人口減少と少子高齢化が急速に進展する我が国では、人員をこれまで以上に効率的に活用することが不可欠となります。AIはこれらの課題を克服する技術の一つとなる可能性があると考えておりまして、本文書のタイトルが、防衛省AI活用推進基本方針であるように、活用に取り組むことが重要と考えています。その上で、AIについては一定の誤りが含まれることによる信頼性への懸念のほか、学習データの偏りなどに起因するバイアス、また、誤用、悪用などの課題やリスクが伴うと指摘をされているところです。そのため、AIの活用に当たっては、リスクというものを正しく認識をして、必要となる対策を講じることがあわせて重要と考えています。本文書はこのような考え方の下で、AIの活用推進と課題やリスクへの対応を一体的に進めることをお示しするものであります。

Q:サイバー人材総合戦略に関連してお伺いします。政府はアクティブサイバーディフェンスの導入に向けた議論を始めていますけれども、今回の総合戦略は、アクティブサイバーディフェンスの導入を見据えたものであるのか、総合戦略とアクティブサイバーディフェンスの関係を教えてください。

A:いわゆるACDとの関係ということですが、近年のサイバー空間における厳しい情勢を踏まえると、国家安全保障戦略においては、武力攻撃に至らないものの、安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃を可能な限り未然に排除し、発生してしまった場合には、被害の拡大を防止するため、能動的サイバー防御を導入する旨記述されました。具体的な取組の内容につきましては、安全保障上の必要性と現行法令との関係等を総合的に勘案しつつ、内閣官房が中心となり、政府として検討を進めているところであり、岸田総理大臣からは、早期に法案を取りまとめるよう指示があったものと承知をしております。防衛省サイバー人材総合戦略ですが、あくまでも防衛省・自衛隊が自らのサイバー防衛能力強化の取組として策定したものですが、防衛省としては、サイバー安全保障分野に係る政府の取組に積極的に貢献していく所存であるところ、本文書の策定は、このような政府の取組にも資するものだろうと、そのように考えます。

Q:話題変わりまして、先週の閣議後会見で発表されたフィリピンの訪問についてお尋ねしたいんですけれども、日本とフィリピンの間では、RAAの締結に向けて協議が進んでいるわけですが、もしこれが締結されれば、フィリピンとの共同訓練がより行いやすくなるというメリットがある一方でですね、南シナ海で中国と対立が続いております、そういう現状にあるフィリピンとですね、共同訓練を行っていく、このメリットというか、この意義というのを改めてお尋ねしたいと思います。

A:我が国を取り巻く安全保障環境というものを踏まえると、同盟国、そして同志国等との連携、そして地域の平和と安定を確保していくことというのは、我が国の安全保障にとって死活的に重要であります。そのような中で、我が国のシーレーンの要衝を占めるなど、戦略的に重要な地域に位置をし、また、米国の同盟国でもあるフィリピンとの間で共同訓練を実施し、連携を強化することは、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、非常に意義が大きいと考えています。私が、5月に、ハワイで実施したテオドロ国防大臣との会談や、日米豪比防衛相会談においても、フィリピンとの防衛協力を進めていくことで一致したところでありまして、引き続き、米国や豪州とともに、フィリピンとの共同訓練を積極的に実施していきたいと考えています。なお、南シナ海をめぐる問題は、地域の平和と安定に直結し、我が国を含む国際社会の正当な関心事項であり、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、緊張を高めるいかなる行為にも強く反対をしています。

Q:話題変わりまして、太平洋島嶼国の関係で質問なんですけれども、先週まで、太平洋島嶼国、また、ASEANを招いていた乗艦協力プログラム、能力構築支援が実施されましたが、今月は太平洋・島サミットのPALM10も開催されるかと思いまして、島嶼国との安全保障・防衛協力を、今後どのように進展させていくかについて、お考えを聞かせてください。

A:太平洋島嶼国ですが、国家防衛戦略においては、重要なパートナーとして位置づけられております。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持し、強化する上で重要な国々であるということから、ハイレベル交流、各軍種間の交流や、能力構築支援等の防衛交流・協力を進めています。多国間の取組としましては、本年3月に、日・太平洋島嶼国国防大臣会合、JPIDDと呼んでいますが、これを初めて対面で開催するとともに、6月には、海上安全保障分野での能力構築支援として、太平洋島嶼国を対象に乗艦協力プログラムを実施しました。このほか、二国間の取組としては、昨年、自衛隊が、自衛隊にとって初となるパプアニューギニアとの親善訓練を実施し、本年5月には、トンガとの間で能力構築支援事業を初めて実施しました。6月には、航空幕僚長が初めてパプアニューギニアとパラオを訪問し、関係国との意見交換を行いました。防衛省・自衛隊としては、引き続き、こうした取組を通じて太平洋島嶼国各国との防衛協力・交流を一層深化させ、地域の平和と安定に寄与してまいります。

Q:沖縄で発生した、アメリカ軍兵士による性的暴行事件についてお聞きします。昨日行われた野党のヒアリングで、外務省は、沖縄県だけでなく、防衛省にも事件のこの情報を伝えていなかったと明らかにしましたが、今回の外務省の対応は適切だったというふうにお考えかお聞きします。また、あわせて、在日米軍から防衛省に直接の情報提供がなかったのかも、あわせてお聞きします。

A:まず、前回の会見でもお答えしましたが、事件に関する情報の伝達ということについては、捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、お答えを控えなければならないということは、御理解を願いたいと存じます。米側とのやり取りの詳細というのも、これ差し控えなければなりませんが、いずれにしましても、日米間では適切にですね、このやり取りを行っているということは申し上げたいと思います。

Q:米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設について伺います。防衛省が4日にも、大浦湾での杭打ちの試験を行う計画と承知しております。県との事前協議は既に打ち切ったのでしょうか。それとも、協議が続く中でも、試験であれば杭を打ち込んでも問題ないとの考え方なのか、教えてください。

A:普天間飛行場代替施設建設事業ですが、今後着手を予定している、鋼管杭を用いる護岸工事を安全かつ円滑に実施するため、当該護岸の整備予定地に鋼管杭を打ち込むことにより、鋼管杭打設の手順等を確認する、杭打ち試験を行うこととしておりまして、これに係る作業を行っているものと承知をしております。当該杭打ち試験につきましては、今後着手を予定している護岸工事に先立って準備をしておくものであり、試験において打ち込んだ鋼管杭は、試験終了後に撤去することを予定しておりまして、護岸工事を行うものではないことから、実施設計協議等の対象ではないと考えております。いずれにしましても、実施設計協議等については、昨年9月から沖縄防衛局と沖縄県の間で行ってきているところであり、沖縄防衛局において、引き続き、適切に対応していくものと承知しております。

Q:関連して伺います。今回の試験については実施計画の協議の対象ではないというお話ですけれども、対象ではないということについては、沖縄県との間でも確認ができているのでしょうか。

A:実施設計協議等については、昨年9月から沖縄防衛局と沖縄県の間で行ってきているところであります。先ほど申し上げましたけれども、今後着手を予定している鋼管杭を用いる護岸工事を安全かつ円滑に実施するために、当該護岸の整備予定地に鋼管杭を打ち込むこと、そのことによって、鋼管杭打設の手順を確認する杭打ち試験を行うこととしておりまして、これに係る作業を行っているところです。

Q:先ほどの沖縄での米兵の性犯罪の関係で質問なんですけれども、外務省から防衛省に対する通報がなかったということなんですが、平成9年の日米合同委員会合意では、通報体制の基準とか経路が定まっていて、外務省から防衛省に対する通報が来て、そこから防衛局に来て、県に一報する流れが定まっているわけですが、今回これが実施されていないことの適切さだとか、これは正しいのかどうかについて、どういう認識をお持ちでしょうか。

A:米側から日本政府に対する通報を受けた後の、日本側内部での通報ということになろうかと思いますが、個別具体的な事案の内容というものが、それぞれあると思います。それに応じて適切に判断して対応しなければなりません。特に、本件で言えばですね、被害者のプライバシーに関わるような事案、また、捜査に関わるような事案については、その関係者の名誉、プライバシーへの影響、将来のものも含めた捜査・公判への影響等の有無、程度を考慮し、慎重な対応が求められるものというふうに承知をしております。それ以上のことは、政府内のやり取りということでございますので、お答えは、これ以上は差し控えたいと思います。

Q:今の質問に関連しているんですけれども、例えば外務省等からですね、防衛省なり防衛局なりになるべく早く情報が行くことでですね、被害者への対応というものも当然早く始められることになるかと思うんですけれども、今回そもそも通報がなかったことなどで、被害者側のケアに影響が出ているのかどうかということについて、大臣はどのようにお考えかというのをお伺いできればと思います。

A:被害者の方に影響が出ている。

Q:被害者側への対応ですね、色々、例えば損害賠償の手続きだったり、米軍の公務外、公務内の事件で手続き変わったり、そういったところ地方協力局とかですね、防衛局で、当然対応することになると思うんですけれども、そういう遅れが生じたことで、そういったところに何か支障が生じているという現状があるのかないのか、その辺り、現状の認識をお伺いできればと思います。

A:正に被害者のプライバシーに関わることであったり、その被害者の将来のことにも関わることでしょうから、そこは慎重に対応しなければいけないのだと思います。被害者の名誉の問題等もあると思うので、そういうことを含めて、適切にですね、かつ慎重に対応している中で、現在のような、今の在り方になっているものだと思います。何よりも、在日米軍に係る事件や事故というものが、地元の方々に不安を与えることがないようにしなければいけないというのは、改めて言うまでもなくですね、その点しっかりと努めてまいります。

以上

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