2024/07/19

「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議」(第3回)議事録

金融庁  

「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議」(第3回)議事録

1.日時:令和6年6月26日(水曜日)13時00分~15時00分

2.場所:中央合同庁舎第7号館 9階 905B会議室 ※オンライン併用


「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議」(第3回)

令和6年6月26日

【幸田座長】
それでは、定刻になりましたので、ただいまより「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議」第3回会合を開催いたします。皆様、本日は御多忙のところ、御参加いただきまして誠にありがとうございます。

まず、本日の出欠状況といたしましては、渡辺メンバーがオンラインでの御参加、それ以外のメンバーの皆様は会場より御参加いただいております。また、オブザーバーの日本ベンチャーキャピタル協会様にも会場にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、議事に入らせていただきます。本日は、まず事務局より、本有識者会議の取りまとめ案として、「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(案)」について御説明の上、メンバー、オブザーバーの皆様から御意見を賜りたいと思います。

それでは、事務局より御説明をお願いしたいと思います。

【齊藤企画市場局市場課長】
それでは、お手元の資料1に沿って御説明させていただきます。

表題は、「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(案)」とさせていただいております。内容につきましては、前回の有識者会議での事務局説明資料に基づきまして、メンバーの方々から前回頂いた御意見等を踏まえて、加除修正等を行う形で作成しております。このため、前回の事務局説明資料からの主な修正点を中心に御説明をさせていただければと思います。

真ん中にページ番号を付しております。1ページ目を御覧いただけますでしょうか。まず、経緯及び背景として、本有識者会議で検討を行った経緯等を記載しております。「経済財政運営と改革の基本方針2023」及び「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」において、資産運用立国の実現に向けて取組を行うこととされました。これを受けて、金融審議会市場制度ワーキング・グループに資産運用に関するタスクフォースが設置され、スタートアップ等への成長資金を供給する主要な役割を担うVCの課題等についても審議が行われました。昨年12月に市場制度ワーキング・グループとの合同で報告書が取りまとめられ、その中で国内外の機関投資家の資金がVCを通じて国内のスタートアップ企業に供給される流れを拡大することが重要であること、そのためにベンチャーキャピタル・プリンシプル(仮称)を策定し、広く機関投資家から調達を行うVC全体のガバナンス等の水準の向上を図ることが適当であることが提言されました。

31行目からでございますが、この提言を踏まえて、金融庁及び経済産業省の共催により、本有識者会議が開催され、本推奨・期待される事項を取りまとめたとしております。なお、脚注1でございますが、「プリンシプル」ではなく、「推奨・期待される事項」とした趣旨を記載しております。そして、次の2ページ目の冒頭で、本推奨・期待される事項については、広く意見募集を行い、その結果を踏まえて最終化するものとしております。

続きまして、本推奨・期待される事項の目的についてでございます。前回会合での事務局説明資料から大きな修正はなく、若干の追記をいたしております。

55行目でございますが、「VCの投資対象ステージ等の戦略を踏まえたファンドサイズの拡大等を通じ」としております。例えば、初期段階等のステージを投資対象とするファンドについては、サイズを大きくすることは必ずしもリターン向上につながらないのではないかといった指摘を踏まえたものでございます。また、メガスタートアップ等が生まれ育つ世界有数のスタートアップエコシステムへ進化していくこととなることが期待されるとしております。

続きまして、61行目からでございます。本推奨・期待される事項の採用するアプローチについてでございます。こちらは、特に前回の事務局説明資料から変更しておらず、ルールベース・アプローチではないことを記載しておりますが、さらに脚注2において、本推奨・期待される事項は政府によるVCに対する監督上の目線を示すものではないことを明記しております。

続きまして、3ページでございます。本推奨・期待される事項の対象についてでございます。こちらも基本的に前回の事務局資料で記載していた内容に沿ったものであり、広く内外機関投資家から資金調達を目指すVCにおいて、その実態に応じて活用されることが想定されていること、CVC等や初期段階のVCにおいては、その特殊性等に留意する必要があること、一方でLPの意向等に応じて必要に応じて参照されることも期待されることを記載しております。なお、脚注4にCVC等についての指摘を記載しております。

次に、90行目から、本推奨・期待される事項の構成についてでございます。広く内外機関投資家から資金調達を目指すVCとして備えることが「推奨される事項」と、スタートアップエコシステムの発展に寄与し、LPの中長期的なリターンを向上させるものとして、VCに一般的に「期待される事項」の二段構成とする旨を記載しております。

その後の段落、4ページ目からでございますが、この二段構成の趣旨について説明を加えております。まず、推奨される事項については、VCがアセットクラスとして投資対象となるために、受託者責任を踏まえて備えておくことが推奨されるものを示していることとしております。なお、脚注6として、受託者責任についての説明を記載しております。

次に、100行目からですが、「期待される事項」について、こちらは前回の会合で御議論が多くあった点を含むものでございますので、読み上げさせていただきます。「期待される事項」については、投資先企業の価値向上等を通じた、我が国のスタートアップエコシステムの発展が、一般的には、LPの中長期的リターンの向上を通じてGPが受託者責任を果たしていくことにつながるとの視点から、目指すべき全体的な方向性を示すものであり、個別のVCの戦略は多様であることに留意する必要がある。また、GPはLPに対する受託者責任(とりわけ中長期的なリターンの向上)を果たすことが優先されるところ、GPはリターンの向上に資する範囲でスタートアップを育成するという重要な役割を担っていることにも留意しつつ、LPとGP間で「期待される事項」に関する十分な意思疎通が行われることが期待される。

108行目からのなお書きですが、本推奨・期待される事項に応じた対応をどのように行うかは、LP、GPの自己判断に委ねられるものであり、VCの資金調達・運用に係る実務の関係者以外の者が評価するものではないことを念のために記載しております。

115行目から、前文の最後といたしまして、本推奨・期待される事項のフォローアップについて記載しております。国内外の市場環境の変化に応じてVCを取り巻く慣行や望ましい姿については視点の変化が生じ得るものであり、本推奨・期待される事項を策定した後においても、業界団体を含めた関係者において、内外機関投資家からの資金調達状況も含めた実態調査等を行い、必要に応じて見直しの検討を行うものとすることとしております。

5ページ目から、推奨される事項でございます。まず、受託者責任・ガバナンスについてです。125行目から、第1の受託者責任でございます。前回からの主な修正点といたしましては、本文の128行目と注2でございますが、受託者責任の観点から、LPに対する説明責任に関する記述を加えております。また、本文の129行目から、LPACの記述について若干の適正化を図っております。

次に、第2の持続可能な経営体制の構築です。本文の147行目ですが、キーパーソンの兼業等が許容されるケースとして、ファンド運営に支障や利益相反が生じるおそれがない場合を加えております。また、注書きですが、注1として、キーパーソンが短期で離反し、別のVCで同様の投資を行うことがないよう、認識の徹底を図ることについての記載をしております。注2については、ファンドのミドル・バックオフィス業務等についてアウトソースすることも考えられること、また、先般成立した改正金商法等において、ミドル・バックオフィス業務の受託業者について任意の登録制度が創設されたことを記載しております。

次に、第3のコンプライアンス管理についてでございます。本文は基本的に変更はありませんが、注書きといたしまして、コンプライアンス管理の責任者について、ファンド規模等に応じて他部門等との兼務も考えられることを記載しております。

第4のLPの権利の透明性確保についてでございます。179行目からでございます。本文については、冒頭にLP間の公平性という観点を記載しつつ、特定のLPに対して、他のLPに重大な悪影響を及ぼし得る個別権利の付与を行う場合には、他のLPにも情報提供が行われる等の透明性確保が推奨されることとしております。また、注書きとして、他のLPに対し重大な悪影響を及ぼし得る例として、反社会的勢力が関与する事案等への投資回避といった社会通念上一般的なものを超えて、GPが特定のLPに対して特定の投資行為についての拒否権を与える場合等を記載しております。

続いて、第5の利益相反管理でございます。こちらは注書きといたしまして、利益相反のおそれがある場合の対処の仕方として、LPACに諮問を求める方法のほか、各LPに説明の上、一定数以上のLPの同意を得るといった対処方法等も考え得ることを記載しております。

次に、第6のLPとGPの利害の一致に向けた対応についてでございます。こちらも注書きを加える修正を行っております。注1としまして、ファンド運営者個人は並行して投資を行うことを避け、その運用するファンドへの出資を通じて投資することが推奨されることを、また、注2として、ILPAプリンシプルの補足説明を加えております。

次に、情報提供についてでございます。234行目から、第7の保有資産の公正価値評価でございます。こちらも注書きを追加しております。公正価値評価の実施について、GPにおいては海外の実務やLPの要求水準を踏まえ、ファンド規模等に応じた評価体制や評価フローを構築することが考えられることを記載しております。

続きまして、第8の情報提供の頻度・内容についてでございます。注書きとしまして、業務管理体制等に変更があった場合に、LPに対して報告を行うことについて記載しております。

9ページから、期待される事項に移ります。投資先企業の価値向上に関し、258行目から第9のスタートアップとの投資契約についてでございます。264行目の本文の文末でございますが、投資先企業と十分に意思疎通を図ることが期待されるとしております。また、注書きとしまして、スタートアップとの投資契約が投資先企業の事業展開において過度な制約となってしまうと、かえって中長期的なLPのリターン最大化に沿わないこととなり得るとの留意点を記載しております。

続いて、第10の投資先の経営支援についてでございます。本文の2文目、279行目からですが、取締役を派遣する場合には、当該企業の価値最大化のために、ガバナンス向上や事業拡大等に資する行動を行うことが期待されることとしております。そして、注2としまして、取締役は会社法上、企業に対して善管注意義務及び忠実義務を負っていることを記載しております。また、戻りますけれども、注1といたしまして、VCによる投資先企業の支援として、本文に記載の支援のほか、適切な資金管理やコンプライアンス管理体制の構築などのサポートもあり得ることを記載しております。

次に、第11の投資先の資本政策支援についてでございます。まず、本文の修正についてでございます。フォローオン投資等について、VCの戦略や投資先企業の意向に応じ、ということに加えて、必要性・合理性が認められる場面として、LPのリターン最大化を図る観点から、投資先企業の成長を支えることが適当な場合等を加えております。また、そうした必要性・合理性が認められる場面の対応として、次の10ページ目でございますけれども、フォローオン投資のほか、他の投資家の紹介も加えております。その上で、注1から注3を追加しております。注1は、フォローオン投資について、予め、その実施の要否や運営方法について、LP・GP間において意思疎通を行うことが期待されること、また、フォローオン投資を行わない場合等であっても、他の投資家を紹介する等の協力が期待されることを記載しております。注2は、投資契約の修正の相談に応じることについて、必要性・合理性があると考えられる場合を例示しております。そして、注3につきましては、ファンドの存続期間の延長の考え方について、VCの戦略に応じて当初の組合契約の締結時点から、LP・GP間で十分に意思疎通を行うことが期待されること、また、ファンドの投資期間の延長ではなく、利益相反に十分留意した上で、後継ファンド等に引き継ぐこと等も考えられることを記載しております。

次に、第12の投資先の上場後の対応についてでございます。本文333行目からでございますが、クロスオーバー投資について、VCの戦略や投資先企業の意向によって適切な場合には、情報管理を含め必要な体制を整備したうえで、と記載しております。そして上場後も、一定程度株式を保有し続けることを検討することが期待されるものとしております。また、注書きを加えております。注1につきましては、本文の1文目に記載している、上場後の株式の売却時期や手法に関する補足でございます。その手法等によって株価や投資先企業の経営へ影響を与えるものであり、LPの中長期的リターンもマイナスとなりかねないため、情報管理に留意しつつ、投資先企業を含め、十分な意思疎通が重要であることを記載しております。注2につきましては、クロスオーバー投資に関しての補足説明でございます。スタートアップが上場後も更なる成長を続けるうえで重要な機能を担うと考えられる一方、上場株式は非上場株式と投資戦略やリスク管理が異なることから、GPとしても情報管理を含め十分な体制整備やLPとの意思疎通が必要であることを記載しております。

そして、期待される事項の最後の項目といたしまして、第13のESG・ダイバーシティについてでございます。こちらにつきましては、前回の御議論等を踏まえまして、大幅に書き換えておりますので、読み上げさせていただきます。まず、本文でございますが、機関投資家をはじめとしたステークホルダーにおけるESGへの関心の高まりを踏まえ、VCにおいても、LPとGPの意思疎通に応じて適切な場合には、VCの戦略により、ESGを意識したファンド運営を行うことも検討することが期待される。また、その場合には、その運営状況についてLPに適切に報告することが期待される。特に、スタートアップにおいて、新たな価値の創造とイノベーションを実現するには、多様な個人が活躍するダイバーシティの実現が重要であることを踏まえ、VCは、ダイバーシティを意識したファンド運営を行うことが期待される。

また、注書きでございますが、VCを含むスタートアップエコシステムの発展に向け、エコシステム全体でESGに関する意識について浸透及び進展が図られることが期待される。それは中長期的なVCのリターン向上にもつながり得ると考えられる。これに加えて、VCは、多様な人材の採用、育成を行うほか、評価や意思決定プロセスの中に潜在する無意識の偏見への対応を行うこと等が期待される。こうした観点から、LPの意向等に応じて、中長期的なVCのリターン向上を図るにあたり、ESG・ダイバーシティを意識したファンド運営を行う意義について、LPとGP間で意思疎通することも期待される一方、VCのファンド運営においては、ESG・ダイバーシティが形式的・画一的に組み込まれることで、ファンド運営の柔軟性が損なわれることのないよう留意することも期待されるとさせていただいております。

事務局からの説明は以上となります。

【幸田座長】
取りまとめ案の御説明、ありがとうございました。それでは、続いて、経済産業省から御発言をお願いします。

【経済産業省 富原新規事業創造推進室長】
ありがとうございます。本当に、この有識者会議で丁寧な御審議をいただきまして、ありがとうございます。

この「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(案)」について、これが我が国日本特有の商慣習とか市場特性、あとは、VCの特性を踏まえつつ、そのVCにおける資金調達や運用に係る実務において活用されることによって、VCのガバナンスなどが向上して、VCの新設や多様性を阻害することなく、VCに対する内外の機関投資家からの資金供給が拡大をして、メガスタートアップなどが生まれ育つ世界有数のスタートアップエコシステムに進化していくということを強く願っております。

この有識者会議でも様々なご議論をしていただいたと認識しておりますけれども、先ほど齊藤課長からの御説明にもありましたとおり、VCが投資先企業の価値向上に取り組んでいくということは、もちろんケース・バイ・ケースではありますけれども、一義的には、LPの中長期のリターンの向上を通じて、GPが受託者責任を果たしていくということに寄与するものと考えております。つまり、GPの方々は、LPの中長期のリターンの向上を確保するために、その過程で、スタートアップを育成するという重要な役割を同時に担っていると私どもは考えております。

こうした点を踏まえつつ、GPとLPの方々の間で推奨・期待される事項に関する十分な意思疎通が行われて、VCに対するその内外の機関投資家からの資金供給を拡大して、スタートアップエコシステムがさらに拡大していくということを期待しております。また、こちらについては、政府からの文書ということではなくて、まさにこの有識者会議の意思決定としてまとめられるものですので、皆様におかれましても、その活用促進をしていただければと思っております。よろしくお願いします。

【幸田座長】
ありがとうございました。それでは、本日の事務局からの取りまとめ案の御説明を踏まえた討議に移らせていただきます。

「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(案)」について、皆様から御意見等をお伺いしてまいります。まずは、全体の取りまとめに当たっての皆様方からの全体部分の位置づけ等に係る御意見と、それから、報告書案についての個別の項目の表現ぶり等について、ご意見がある場合は、どこの行を御指摘されているのかということを明示いただいて、御指摘いただければと存じます。

なお、御発言の順番に関しましては、前後する可能性がございますので、あらかじめ御了承いただきますようお願いいたします。それでは、御発言を希望されるメンバーは挙手等にてお知らせいただければと思います。いかがでしょうか。藤本メンバー、お願いいたします。

【藤本メンバー】
発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。藤本です。私、第2回目、欠席をいたしまして、大変申し訳ございませんでした。そのため推奨・期待される事項に変わった点も踏まえまして、発言をさせていただければと思います。

まず、形式は変わりましたが、皆様の御意見を反映していただいて、内容的には大変良いものができており、事務局の皆様には感謝申し上げます。ただ、私は、初回でも申し上げましたとおり、プリンシプルという言葉については、位置づけについても特段あまり違和感はなかったところでした。皆様の御意見を反映いただいて、推奨・期待される事項になり、内容的に変わったものではございませんので、大筋では賛同いたしているところであります。

一方で、VCが、広く機関投資家から資金を調達するという観点では、社会的な責任を負うことになると思いますので、VCの運営上、自己の利益のみを考えるのではなく、やはりこうした社会的な責任を負うことについてのコミットや姿勢というものも重要ではないかと思います。そういう意味でも、このような形で取りまとめいただいた点については、大変良い取組になるのではないかと思っております。

なお、今後の活用に関しましては、少しトーンダウンしてしまったような印象を与えないように、ぜひ周知をしていくことが必要ではないかと考えているという点と、この中にもありますように、実態調査を含めて、今後、モニタリングをしていく必要性については、強く賛同いたすところであります。

それから、2点ほど個別論点でコメントをさせていただきます。まず、7ページ目のところにございます公正価値評価についてです。こちらは、評価体制やフローの構築について、公認会計士や監査法人が監査をしていく上での前提になると考えていますので、ぜひこの構築については進めていただけると良いと思います。また、評価の手法等がまだ確立されていない、ビジネスモデルが発展途上であるということも、実際のところあるように思います。この公正価値評価をどのように行っていくことが適切か、大変難しい論点かと考えております。画一的に、例えば一つの評価手法や一つのツールのようなもので実施することは大変難しいと思います。今後の実務の積み上げを進めていくことを期待したいと思います。

もう1点、個別の論点として、11ページ目にあります、ESG・ダイバーシティの内容であります。最後のところで、形式的・画一的に組み込まれることで、ファンド運営が損なわれることは望ましくないということは、そのとおりと思う一方で、ESGやダイバーシティというのは、国際的には常識的な内容になっているのではないかと思います。この点を念頭に置きながら御検討いただくのが良いのではないかと考えております。

以上、所感を含めてということですけれども、発言させていただきました。ありがとうございます。

【幸田座長】
藤本メンバー、ありがとうございました。それでは、ほかのメンバーの方々、お願いいたします。村田メンバー、お願いします。

【村田メンバー】
ここまで丁寧に取りまとめいただきまして、本当に関係者の皆様、ありがとうございました。良いアウトプットができたのかなというふうに思っております。その上でいくつか確認と提案をさせてください。

4ページ目の120行目に書いてある、業界団体を含めた関係者において、内外機関投資家からの資金調達状況も含めた実態調査等を行い、必要に応じて見直しの検討を行うものとするとの記載がありますが、この継続運用するための体制の部分、主語が、抜けていると思います。業界団体といえばJVCAということになるのかなとは思うのですが、このアウトプット自体の位置づけが、有識者会議のアウトプットという位置づけになったものであるがゆえに、今後もう一度この有識者会議をまた開催するイメージなのか、それとも、金融庁様のほうで手を入れていただくような形なのか、それとも、JVCAのほうで継続的にコミュニケーションさせていただくような形になるのか、この辺はクリアにしておいたほうがよいと思いますというのが一つ目の確認です。

それから7ページ目の公正価値評価の部分に関してですが、金融商品会計基準の見直しに関連して、日本ベンチャーキャピタル協会としてASBJ様に対して昨年の7月にベンチャーキャピタルファンドの公正価値評価を金融商品会計ベースでも実施できるように検討いただきたい旨の提言を行わせていただいて、これが専門委員会で今、議論されていると聞いております。まだベンチャーキャピタルファンドが金融商品会計基準ベースで公正価値評価が行われる、関連して非上場株式の公正価値評価を金商会計ベースでも実施していくことについて、まだ方向性が見定まっていないという状況にありますので、これは、ぜひ金融庁様から改めてASBJ様に対して、この有識者会議でこの方向性が定まったということをインプットいただくことで、このルールにアップデートをかけていく、こちらの後押しをしていただくのが順当かなというふうに思っております。それに関連して、実務指針のほうもあわせてアップデートをかけていただきたいと考えております。これはJICPA様の御協力もいただく形になると思いますが、先行して有責会計基準の38号実務指針はつい先週、パブリックコメントも終わってアップデートがかかったばかりになるんですけれども、この金商会計基準の実務指針に関しては、ここから金商会計そのものの、ルールがアップデートされた段階で手を入れていく形になると思いますが、こちらも併せて連携いただけると大変ありがたいと思いました。

私からは以上です。

【幸田座長】
村田メンバー、ありがとうございます。ほかのメンバーの方々、いかがでしょうか。増田メンバー、お願いします。

【増田メンバー】
三井住友信託の増田でございます。

こちらのほうの各項目に関しまして、かなり投資家サイドからの要望もいろいろ御配慮いただいた中で、相応のワーディングというか、そのポイントを入れていただいたと、こういうふうに考えています。私ども自身、既存のエスタブリッシュされたVCさんだけではなくて、新興のVCさんとの取引についてもかなり最近、積極的に動いている中で、やはりこういったプリンシパルに当たりそうな、いわゆる期待される事項とか推奨される事項というのはやっぱりなかなか備わってないところがありまして、そういった中でこういったものもマテリアルとして使わせていただいて、いろんな議論をさせていただくと、こういうことができると思っておりまして、そういった意味で我々としてもありがたいツールというふうには考えておりますので、また、ぜひとも活用させていただきたいと、かように考えている次第でございます。

それから、ちょっと個別論で、少しテクニカルなところで2点ございまして、一つは、130行目、受託者責任のところでございますが、ここでLPACについて、LPの代表により構成されるとこういうふうにございますけども、ここで言うLPの代表というのは、主たるLPの代表なのか、主たるLPが指名する者なのか。要は、場合によっては、例えば、LPさん自身がアドバイザリーボードにのりたくないと、こういうケースも結構ございますので、それに代わる形でゲートキーパー等が指名されるケースも多々ございまして、そういった意味では「主たるLPが指名する者等により」と言うほうが正しいんじゃないかと、こういうふうに考えている次第でございます。

それから2点目でございますけども、これもやや実務的なところでございますが、189行目でございます。これ、ちょっと改めて私、読み返していて、実務上の各種プロセスの中で感じているところでございますけど、実は、反社会的勢力が関与する事案等への投資回避、これは当たり前のことでございますが、これ以外にも、特定の投資家様の事由によって、事前にオプトアウトクローズを設定するケースがございますので、多分この部分に関しましても、社会通念上、ないしは特定の投資家様が事前に開示しているケース、例えばのケースでございますけれども、アルコールとか、いわゆるお酒の関係です。こういったものは投資できないと思うんですね。幾つかガイドラインによって定まっているケースがございますので、こういったケースも本来的には除くんだろうと、こういうふうには考えておりまして、ちょっとここはかなりテクニカルで細かいことでございますけれども、少し、我々の例えばサイドレターでお客様から求められているものの中にはこういったものが明記されているケースがございますので、ちょっとこれも「等」あたりを入れていただくと助かるかなというところでございます。

いずれにしましても、非常に我々としては扱いやすいツールというふうに考えておりますので、また、こういったところの活用の方法についても御相談させていただけましたらと思います。ありがとうございます。

【幸田座長】
増田メンバー、ありがとうございます。ほかのメンバーの方々、いかがでしょうか。玉木メンバー、お願いします。

【玉木メンバー】
ありがとうございます。まずは、この推奨・期待される事項について、かなりこれまでの議論を反映いただいて、この文章の細部も含めてかなり手を尽くしていただいたなというふうに感じております。ありがとうございます。

ちょっと1点だけ、すごくテクニカルというかピンポイントの話になってしまうんですけど、9ページ目、10ページ目にまたがって記載されている、投資先の資本政策支援の部分についてなんですが、もし可能でしたらVCの村田さんとかからも御意見頂きたい部分ではあるんですけど、10ページ目の297行目以下のところで、ファンドの存続期間が課題となる場合もあって、その際には、ファンドの延長も御検討くださいというお話が入っていると思うんですが、ちょっとその延長に限らず、投資先企業としては、延長プラス、セカンダリーの売却みたいなところも恐らく選択肢として入れて検討いただけるとありがたい部分かなというふうに感じているので、ちょっと場合によってはセカンダリーの売却なども積極的に検討していただくのも、というような文言を入れていただくのもよいのかなというふうに感じました。すごくピンポイントの話ですが、追加でもし加えられるのであればというところでコメントさせていただきました。

【幸田座長】
玉木メンバー、ありがとうございました。一旦、オンラインでお入りになられている渡辺メンバー、もしよろしければ御発言お願いいたします。

【渡辺メンバー】
ありがとうございます。今回のプロセス、全体的に本当に金融庁、経産省の方の柔軟性とか前向きな姿勢には大変頭が下がります。この会議は3回とも私がオンラインで出席させていただいていることもあって、直接御挨拶できず大変失礼しました。ただ、御一緒できて大変勉強になりました。ありがとうございます。

今回、このそもそものプリンシパルの策定の背景というか、前提もあって、議論されている内容、特に推奨する事項に関して、アドミンガバナンス系の話が中心になってきたかなと思います。釈迦に説法ですけど、PE、プライベートエクイティもアジェンダは同じですし、いわゆるGPとLPストラクチャを持っているような投資業に関しては、GPに対して求められるものとしてほぼ同じかなと思っていまして、日本のベンチャーキャピタルが取り入れることで、GPとして、スタート地点に立てる内容かなというふうに思っています。

これは当然、最低限満たすとして、やっぱり日本のベンチャーキャピタル、スタートアップエコシステムの発展の仕方として、本当にインパクトを残していかないといけない部分というのは、VCに求められるべきVC特有の運用成績をどんどん出していくこと、言い方を変えると、本当にリスクを取って巨大なイノベーションを生み出すことだったり、ほかのアセットクラスと比較的相関性が低いような成績を出すこと、機関投資家にとって非常に魅力的な投資先になることというのが、重要かなと思っています。これは従前から申し上げているように、ファンドマネジャーの戦略とか、マーケットの変化によっていろいろ変わってきますので、本当に市場原理で自然淘汰とか新陳代謝によって進化していくのが効率がいいかなと思います。

このGPの責任もそうですし、マーケットの状況もそうですし、私が米国にいて一つやっぱり大きく感じるのは、ベンチャーキャピタルに限らず、やっぱりプライベートマーケットという意味でいうと、かなり既に進化したマーケットが海外にありますので、ここからのラーニングが非常に重要かなと思っています。ガバナンス系アドミンに関しても、世界の機関投資家にとっての魅力を増すという意味で言うと、日本独自の指針をどんどん更新していくというよりも、ILPAのプリンシパルとか、世界基準を直接参照していくようになっていくのが、今後の方向性としては、いいのかなというふうには個人的に思っています。日本だけ分岐していくと意味がないとは思います。

そこに関連するんですけれども、日本のマーケット、特に日本の産業従事者にとってみると、海外の、特にアメリカのスタートアップ投資のプロトコルとか、マーケット情報の、やっぱり言語の壁に起因する情報のギャップが非常に大きくて、そこは日本のエコシステムにとっても大きな不利だなと思っています。今回、私が参加させていただいている背景にあるのも、もしかしたら私が米国にいるからというようなことも想定しているのですけれども、最近特に顕著ですが、インターネットや書籍でかなり細かいレベルでいろいろなプロトコルや契約の内容まで分かるようになってきています。これは米国の中でも、特に10年前、15年前に比べても、マーケットの情報とかGPのお作法とか、タブーとかも、情報が透明化されてきて、調べるとすぐわかるようになってきました。さらに、最近、ジェネラティブAIでそういった情報の把握にかかる手間も、翻訳も含めて、急激に効率化してきているので、ぜひ産業全体でここのギャップを埋めたい。やっぱり日本だけ情報面で取り残されているというのは非常にもったいないので、そこの情報ギャップを埋めていくと、こういったVC回りの議論もより効率的、建設的になるのじゃないかなと思っています。金融庁さんとか経産省さんも含めて、政府のリソースというのもここのギャップを埋めるのに非常に有益なのではないかなというふうに思っています。

1点だけ、この内容に関して言うと、一番最後のダイバーシティ・ESGの点ですね、ここに関して書いていただいていることは、私も全面的に賛成というか、本当に日本のESG・ダイバーシティというのは非常に底上げをしていくべきだと思っています。これもちょっと先ほどの情報のギャップに若干関係しているんですけれども、一方で、米国の機関投資家、特に公開株の投資家からしていくと、最近、ESG系のリニューアルエナジー系の株の成績があんまりよくなくて、逆に、戦争とか原油価格の上昇で、むしろ化石燃料系の株が上がったり、必ずしもESGにお金が流れているわけでもないので、コミュニケーションの仕方としてESGを全面的に掲げることで、機関投資家をすべからく魅了できますよというコミュニケーションになるのは若干危険なので、そこの部分について過去何度か発言させていただきました。ちょっとここ、ニュアンスが非常に伝えにくいので、なかなかうまく表現できないのですけど、この辺もやっぱりかなり情報のギャップを埋めることで非常に効率的な議論になるかなというふうに思いました。

私からは以上です。ありがとうございました。

【幸田座長】
渡辺メンバー、ありがとうございました。オンラインでの御参加、ありがとうございました。それでは、引き続いてメンバーの方々から御発言をお願いします。本日の会議室はマイクの音量が小さいため、メンバーの皆様、少し大きめの声で御発言いただければと思います。よろしくお願いします。

それでは、ほかのメンバーの方々いかがでしょうか。片田江メンバー、お願いします。

【片田江メンバー】
ありがとうございます。これまでの第1回、第2回の議論を踏まえて、細部にわたり御検討いただいた上で全体を取りまとめてくださり、ありがとうございます。

特に、推奨・期待される事項の目的においては、ここは多くの議論があったかと思いますけれども、日本の市場特性や各VCの特性を踏まえること、VCの実務において必要に応じて柔軟性を保つこと、VCの多様性を阻害することがないよう配慮すること、また、投資対象のステージ等の戦略を踏まえた上でのファンドサイズの拡大、というような非常に重要なポイントをしっかりと言語化してくださったこと、ありがとうございます。目指すべきVC業界の成長に必要なことを明示しながらも、今の実態や考慮すべきことを丁寧に記していただいたと思います。

各論につきましては、先ほど藤本メンバーからも御指摘ありましたけれども、私もこのダイバーシティ・ESGのところの最後の一文にある「画一的に組み込まれることで柔軟性が損なわれることのないよう」と、これも重要な考え方と思う一方で、この一文があるがゆえに、この項目全体の意義が弱くなってしまわないようにというところは、留意が必要と思いました。

以上です。ありがとうございました。

【幸田座長】
片田江メンバー、ありがとうございました。ほかのメンバーの方々、いかがでしょうか。片岡メンバー、お願いします。

【片岡メンバー】

片岡です。私からは、この推奨される事項、期待される事項がやはり非常に重要であるということを改めて感じたということをお話ししたいと思います。

第一生命は、アセットオーナーとして、様々な投資をしております。ベンチャー関連で申しますと、アーリーステージについては、ベンチャーファンドに対する投資を通じて間接的にアーリーステージ企業への投資を行う、そして、企業が大きくなれたら、ミドルステージということで直接ベンチャー投資を行うということをやっております。そして、部は異なりますけれども、上場後は上場企業に対する投資ということでやっております。そう考えますとアセットオーナーでもありますし、もう一つは、キャピタルマーケットに相対するポートフォリオマネージャといった観点もございまして、フィナンシャルマーケットを少し引いた目線で大きく見ているところもございます。

そのコンテクストでベンチャー市場を改めて考えますと、やはりベンチャー市場は、特定のプレーヤーだけでは成り立たずに、様々なプレーヤーが支え合って企業を成長させていく、こういったユニークさがあると思います。一種、ベンチャーキャピタルにもエコシステムやバリューチェーンがあるのかなと思います。例えば、シードアーリーに特化されるファンドやアクセラレーターもありますし、我々のようにミドルステージで直接投資をするプレーヤーや、そういったファンドもありますし、上場手前のプレIPOになりますと、多数のプレーヤーが投資をし、そして上場後はグロース市場においては利益よりも成長、そして成長を遂げたら今度は安定した大企業へということで、出世魚のごとく企業が成長していく、それをいろいろなプレーヤーが支えていくということに尽きると思います。

そうなった場合に、結局のところは、一つのフィナンシャルマーケットであると言え、やはり共通のルールやディシプリンというものが必要になってくるかなと思います。それぞれリスクリターンは違い、アーリーステージであればハイリスク・ハイリターン、上場企業であればローリスク・ローリターンと、ターゲットとする目線は異なるのですが、それでも共通のルールは必要かなと思っております。まさにこの推奨・期待される事項にあるような、GP・LP間のセイムボート、GPの受託者責任、コンフリクトの管理、投資におけるリーズナブルな投資契約、こういったものは全てフィナンシャルマーケットにおいては基本的なことであり、そういったことが、この推奨・期待される事項で一つ形になるということは、すごく重要なことかなと思っております。

一方で、特定のLPが自己の都合を優先させたり、GPが過度に囲い込みを行うために投資契約上の負担をベンチャー企業に強いたり、ディシプリンが弱いためにバリュエーションをよく見ないというようなことがありますと、短期的にはそれでも投資は成立するわけですが、やはり一段大きく、フィナンシャルマーケットとして見たときに、それは巡り巡って、健全な成長を妨げるのではないかなと思います。

そういった観点で、この推奨・期待される事項が広く普及して、ベンチャーキャピタルにおいてもバリューチェーンやエコシステムがしっかりし、アセットオーナーも入り得る大きな市場へと成長して、ベンチャー市場がインベスタブルなアセットクラスになると大変すばらしいことかなと思っております。

最後に1点だけ、テクニカルなところで1つ、149行目ですけど、キーパーソンの離反については、ここに記載のとおり、あってはならないことであり、ファンドの運用に専念すべきだと強く思いますが、一方で、やはり職業選択の自由とか、個人のライフプランを考えると、過剰な制約になってはいけない、要は制約がきつ過ぎると、やりたがる人が減ってしまってはいけないところもありまして、実際の現実社会においては、いろいろな葛藤があるのではないかなと思いました。

感想にちょっと近いのですけれども、以上となります。

【幸田座長】
片岡メンバー、ありがとうございました。ほかのメンバーの方々、山口メンバー、お願いします。

【山口メンバー】
日本政策投資銀行の山口でございます。このたびは、これまでの議論を踏まえ、最終的にこのような案を事務局の方々でまとめていただきまして、ありがとうございます。

特に、推奨される事項については、ガバナンスであったり、利益相反の管理だったりとか、特に基本的な事柄ではありますけれども、非常に重要な点について、改めてこのような形で整理していただいたということは、大変意義があることじゃないかなというふうに思っております。

期待される事項につきましては、これまで申し上げてきましたように、VCによって、当然、戦略はまちまちではありますものの、投資先企業の経営支援とか資本政策の支援とか、こういう観点を示していただいたということについては意義があるものじゃないかなと思っております。

私からは以上です。

【幸田座長】
山口メンバー、ありがとうございます。田中メンバー、お願いします。

【田中メンバー】
森・濱田松本法律事務所の弁護士の田中光江でございます。私は、案件に応じてVCファンドのGP側を代理し、または、時にLP側を代理することもあり、ファンドの法務に関与しております。その立場から、今回は、事務局の皆様方が、投資家側、VC側双方の様々な意見をまとめていただいて、とてもすばらしい内容にしていただいたことに大変感謝しております。本ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項によって、VCの多様性や新規参入が阻害されることなく、かつ広く機関投資家から調達を行うVC全体のガバナンス等の水準の向上が図られることを心より祈念いたします。

最後に、ちょっと細かい点となりますけれども、165行目から166行目で、業務品質を確保する観点等から任意の登録制度が創設することとされたというところの166行目ですが、「創設されることとなった」などと、ちょっと日本語のつながりを、てにをはで恐縮ですが、調整していただけるとありがたいです。

以上です。

【幸田座長】
田中メンバー、ありがとうございました。それでは、佐村メンバー、お願いします。

【佐村メンバー】
エー・アイ・キャピタルの佐村でございます。今回事務局の皆様におかれましては、多様な意見をよくまとめていただきまして、ありがとうございます。

特に推奨される事項のところは、私も業務の中で、機関投資家及びGPの皆様方から、本当はどうあるべきかということをよく聞かれることがありまして、そのベースとなる考え方があると双方の目線合わせができるのではないかと日頃から思っていましたものですから、今回こういったベースというものができて、今後のGP・LP間の意思疎通、コミュニケーションも非常にスムーズにいくのではないかなと思っております。従いまして、スタート地点としては、非常に良いものができてくるんじゃないかなというふうに思いました。

個別のところは120行目、4ページ、これは村田さんからもおっしゃられましたけれども、誰かがフォローアップする必要がありますが、主語が抜けているのではないかという点です。金融庁、当有識者会議、業界関係者など色々と想定される中で、この書き方は複数の関係者が含まれることを意味しているというふうに私は解釈をしております。実際には金融庁が事務局として動かれて、恐らく日本ベンチャーキャピタル協会や、別に指名される委員が行うのかに関しては、後ほどのタイミングで決めてもいいのかなというふうに思いました。

それから、ESGについてはいろんな御意見があって、これは恐らく、ESGやダイバーシティに対する考え方というのが必ずしも統一されてないということから、事務局の方もこの文章を考えるのに非常に苦労されたと思いますし、皆さんの意見をそれぞれ酌み取るのは非常に難しいと思っております。非常に細かいのですけれども、この354行目からの部分で、ESGに関する前段の文章では、ESGを意識したファンド運営を行うことも検討することが期待されるとありますが、ダイバーシティについては、行うことが期待されるというふうに、ちょっと温度差があるというか、ダイバーシティのほうがより重要で、ESGが、そうではないと読み取れる気もしました。ESGはかなり幅広い概念であると思っておりますので、ダイバーシティのみがかなり強調されたような形になっているかなというふうに感じました。これは読み方によって違うかもしれません。

それから、「形式的・画一的に組み込まれることで」という表現があることで、ESG・ダイバーシティに対して、少しトーンダウンするように読めないこともないですけれども、ESG・ダイバーシティに対する考え方が統一されていない状況の中で、ぎりぎりの表現を全てにおいてされているのかなと思いました。私も答えを持ち合わせているわけじゃないですけれども、いろんな読み方があるんだなというふうに思いました。私の読み方は、先ほど申し上げたとおりでございます。

私からは以上でございます。

【幸田座長】
佐村メンバー、ありがとうございました。

10名のメンバー全員の方々から、御意見、御発言、一巡いたしましたので、一旦ここでオブザーバーの方からの御意見を伺いたいと思います。オブザーバーの方々、御発言を希望される方、オンラインの方々は挙手機能等でお知らせいただければと思います。オブザーバーの方、いかがでしょうか。最初に日本ベンチャーキャピタル協会様からお願いします。

【日本ベンチャーキャピタル協会】
日本ベンチャーキャピタル協会の郷治でございます。このたびは、事務局の皆様の御尽力、有識者のメンバーの皆様の御見識によって、大変良いレポートをまとめていただきましてありがとうございます。

先ほど村田メンバーのほうからもお話がありましたが、4ページのフォローアップのところは、この推奨・期待事項に魂を込めていく上で非常に大事なところかなと思っておりまして、ここにも書いていただいた実態調査等というところにつきましては、当協会としても必要に応じ、積極的に御協力させていただきたいと思っております。

あとは、この主語のところですね。「業界団体を含めた関係者において」というふうに書かれておりますけども、こちらは、今回の推奨・期待事項の作成者は有識者会議となりましたし、やはり資産運用立国の実現に向けて資産運用業の高度化やアセットオーナーなどの機能強化を推進していく民間のプロフェッショナルの方々を中心とする有識者を中心として進めていくべきではないかと思っております。

その際にぜひ留意いただきたいと思っておりますのは、ILPAのプリンシプルは、機関投資家、アセットオーナーを中心としてつくられたものでありますので、よりそのようなアセットオーナーの機関投資家の方々も入った形での有識者会議といいますか、民間プロフェショナルの方々の御見解を踏まえた形で実態調査を行っていく必要があると思います。そうしないと、その調査結果も、機関投資家からのリスクマネーをスタートアップに流すことにつながっていかないと思っております。フォローアップの運用においては、その点についての御留意を期待しております。

【幸田座長】
郷治様、ありがとうございました。ほかのオブザーバーの方から、御意見がある方はお知らせいただければと思います。

【日本取締役協会】
すみません、オンラインで挙手しておりますが、発言してもよろしいでしょうか。

【幸田座長】
日本取締役協会の宮下さん、どうぞ。

【日本取締役協会】
ありがとうございます。私から手短に5点、意見を述べさせてください。

1点目が、これは意見ではなくて質問になるんですけども、101行目の記載に関してです。ここに御記載の内容なんですけれども、100行目の最後から読みますと、「我が国のスタートアップエコシステムの発展が、一般的にはLPの中長期的リターンの向上を通じてGPが受託者責任を果たしていくことにつながるとの視点から、目指すべき全体的な方向性を示すものであり」というのは、ちょっとどういう意味なのかという趣旨をクラリフィケーションさせていただければというふうに思います。

ここに記載されている流れというのは、我が国のスタートアップエコシステムが発展するというのがまず1で、そうなるとLPの中長期的リターンが向上するというのが2で、そうするとGPが受託者責任を果たすことになるという3と、こういう順番のようにプロセスが読み取れるんですけども、私のイメージでは逆で、普通、GPが受託者責任を果たすというのは、これは手段で、そうするとLPの中長期的リターンが向上して、その結果として好循環が生まれて、スタートアップエコシステムが発展すると、そういう順番なのかなというふうに理解をしております。あえてこの順番に記載されたのだと思いますが、その趣旨を教えていただければというのが、これまず1点目です。

2点目が、131行目でございます。131行目に「LPの意見が十分に反映される」という部分がありますけれども、この指摘自体は全く違和感がないんですけれども、一つ御留意いただきたいのは、いわゆるエストッペルの原則、これをどこかに強調いただきたいなと。注釈の扱いでも構いません。つまり、LPはファンドの業務執行には関与できない、それをした場合にはGPと同等の責任を負うんだ、というエストッペルの原則ですね。これは、日本のLPの多くを占める事業会社が、CVCを組成する際に見落としている法的リスクだと思いますので、誤解が生まれないように、その内容を注釈として打っておいていただければというふうに思います。これが2点目です。

今度3点目が、176行目ですね。コンプライアンス管理の責任者について、「他部門等との兼務とすることも考えられる」という部分なんですけれども、スリーラインズモデルを前提として、そこに緩急をつけるというのは理解ができます。ただ、ファーストラインとセカンドラインを兼務するというのは、金融を担う主体に求められるコンプライアンスレベルとしては、やはり緩過ぎるというか、コンプライアンス責任者を置く意味がないと思いますので、兼務をするということであったとしても、これはフロント業務をやっている人間とはやっぱり兼務できないという大原則はしっかりと明示しておいていただければなというふうに思います。これが3点目です。

次、4点目が、199行目ですね。同じページの下の199行目なんですけれども、コンフリクトのおそれについての事前開示を求めている部分です。コンセプト自体は非常にすばらしいというふうに思います。ただ、ILPAプリンシプルの中でもあるとおり、事前開示したからといってコンフリクトの責任から解放されるわけではない。つまり、その事前開示をするということは、LPから事前承諾を求めたことにはならないんだという点を強調いただきたいというのが1点目です。

2点目は、これも同じくILPAプリンシプルの中でメンションされていることなんですが、そのコンフリクト・オブ・インタレストに関する包括承認を求めるようなLPAの条項は、LPとして拒否すべきなんだと、このコンセプトもしっかりと盛り込んでいただきたいというふうに思います。やっぱり金融プレーにおける最大のタブーというのは、コンフリクト・オブ・インタレスト、これを起こしてしまうということですので、やはりこの点に関してはしっかりとILPAプリンシプルなんかも引用しながら、LPに、コンフリクト・オブ・インタレストをGPに起こさせないような、そういうコミュニケーションを両者間でしっかりとやっていただきたいと、そういう趣旨です。

最後、5点目は、飛びまして、281行目です。279からの部分なんですけれども、VCから取締役を派遣する、これは第三者を指名するということも含むと思いますが、この場合にはどうしなければいけないのかということで、「取締役として当該企業の価値最大化のために、ガバナンス向上や事業拡大等に資する行動を行うことが期待される」というふうにあるんですけど、これは当然やらなければいけないことなんですね。この「期待される」という言葉のニュアンス次第なんですけど、これを多少の自由度を残すということを含意した表現なんだったら、やっぱりこの表現はふさわしくないだろうなというふうに思います。絶対に遵守しなければならないことです。なので、例えばですけれども、「当該企業の価値最大化のためにガバナンス向上や事業拡大等に資する行動を行わなければならないということを踏まえて、それができるコンピテントなものを、コンピテントな人材を当該VCの内外からしっかりと選んでいく、このプロセスを期待する」、こういう書き方であれば、期待されるという言葉につながっても違和感はないのかなというふうに思いました。

私からは以上です。ありがとうございます。

【幸田座長】
宮下様、ありがとうございました。それでは、引き続いて、オブザーバーの方々からですが、スタートアップエコシステム協会様からお願いします。

【スタートアップエコシステム協会】
スタートアップエコシステム協会の名倉です。このたびは発言の機会を頂けて大変ありがとうございます。何回か、こちらは皆様発言されておりますが、改めてダイバーシティの重要性のところ、私のほうから強調させていただければと思います。

354行目のところで書いていただいておりますが、スタートアップエコシステムの発展のため、より多様な資金だとか、あるいは外国人を含む、より多様なこの人材がこのエコシステムに入ってきて、関係者がみなレベルアップしていくためにも、ダイバーシティは改めて重要ではないかと思っております。そういった意味で、スタートアップにとってVCの影響力は非常に強いので、このVCが、ダイバーシティを推進しているかどうかによって、またスタートアップにも非常に強い影響力が及びますので、こちら強調していただければと思っております。

また、渡辺メンバーからも指摘がありましたが、こちら、ESGの議論とダイバーシティの議論、もしかしたら切り離して考えたほうがいいかもしれませんので、こちら1つの項目で書いてしまうのか、あるいは2つにして、別途ちゃんと議論したほうがいいのかというのは今後、議論の余地があるのかなとは思っておるところです。

改めてこちら申し上げさせていただいておりますのが、海外から投資を呼び込むといった今回の有識者会議の開催目的や、この議論の背景を踏まえましても、あるいは海外からどんどん日本のスタートアップエコシステムに人材が入ってくるべきということを考えても、ダイバーシティに富んでいて女性や外国人をはじめとした多様な方が活躍しやすい環境がそもそもの基盤になっていくかと思います。

加えて、特に欧米に比べて、日本はどうしても単一民族になりがちで、言ってしまうと、この有識者会議そのものも日本人だけでやってしまっているような状況で、そういったことに再生産されないように、改めて一層強調していただければと思っています。そういった意味で、片田江メンバーから御指摘いただきましたとおり、最後のこの一文ですね、「ESG・ダイバーシティが形式的・画一的に組み込まれることでファンド運営の柔軟性が損なわれることのないよう留意すること」というところが、どうしても消極的に聞こえてしまっているところが気になるところです。ぜひ、もっと積極的なトーンにしていただけると、VCの間でダイバーシティが推進され、スタートアップエコシステムの発展に今回の結論が資するのではないかと考えておるところです。

私からは以上です。

【幸田座長】
スタートアップエコシステム協会様、ありがとうございました。それでは、続いて、全国銀行協会様、お願いします。

【全国銀行協会】
発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。全銀協会長行、三井住友銀行の齋藤でございます。私から一言御礼と、少し感想めいた話なんですけれども、御共有をさせていただきます。

まずもって、「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(案)」のお取りまとめ、本当にありがとうございました。私自身も非常にオブザーブしていて勉強になっておりますし、今後の実務に生かしていきたいというふうに考えております。

また、感想ですけれども、この推奨・期待される事項において、その主語ですね、GP及びLPというふうに書いていただいておりまして、まさに第1回の会合で申し上げましたとおり、LPとしてベンチャーキャピタルファンドに出資をさせていただいているわけなんですけれども、ここは、ここを取りまとめていただいたガイドラインをベースに、特にLP出資を検討する際に、GPの皆様とこのガイドラインを基によくよく協議をさせていただいて、より健全なベンチャーキャピタルマーケットの発展に貢献していきたいというふうに思っておりますので、有識者の方々も含めて、今後ともぜひよろしくお願いいたします。

私からは以上です。

【幸田座長】
全国銀行協会様、ありがとうございました。オブザーバーの方からの御発言は以上でございます。

それでは、一旦、メンバーの皆様方、オブザーバーの方々からも御発言を一通り頂きました。それでは、私のほうで、皆様のお話も踏まえて、全体の整理をしてお話をしたいと思います。

メンバーの皆様方からは、本取りまとめ、「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(案)」については、おおむねその趣旨とその方向については、十分、共通の御認識を持っていただいたと考えています。本件を前向きに進めていくということで合意をいただいたと認識をしております。その上で、各論として幾つかお話が出ておりますので、その点についても含めて、私のほうから一言申し上げたいと思います。

一つは、今回、本件の趣旨というものがどういうところに立脚しているのかということについて、関係者で確認しながら、本件の位置づけをきちんと考えていくことは大事だと思います。その点は、今回のベンチャーキャピタルのエコシステムをより一段広げていくという観点で、こうした「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(案)」があるということが、関係者の皆様方にとって非常に有用であるということだろうと思います。そういう意味では、こうした様々な関係者が、本件を題材として、また材料として、より発展的にこのエコシステムを広げていくというようなことができるといいのではないかと思います。本件を進めていくことによって、よりVCエコシステムへの理解が進んでいくのではないかと思います。

そういう意味では、皆様方から御意見が出た中で、115行目から121行目のところのフォローアップをどういう形でしていくのかということについては、今後のこうしたエコシステムの発展を広げていくためにも非常に重要な論点と思います。その辺りの表現ぶりと、主体等をどう書き込むのかを含めて、検討をさせていただくのがよろしいかと思っております。

それから、各論のところで皆様方から御意見が出た、7ページの公正価値評価の部分については、何人かの方々から、どこまでの表現ぶりとして含めるかということはありますけれども、この辺りの論点が重要であるということを踏まえて、若干の修正が必要かどうかということは検討させていただくとよいかと思っております。

それから、大きな論点で申し上げると、あとは最後のESGとダイバーシティのところについては、皆様方から様々な御意見を頂いたと認識をしております。私は、総じて、ダイバーシティについては、やはり強調して対応するということの重要性を皆様から御示唆いただいていると思っておりますけれども、その辺りの書きぶり、ニュアンスぶりが、誤解のないように、どういうふうに位置づけられるかということについては、事務局のほうで少し検討をさせていただくことがよろしいかと思っております。

あとは、増田メンバーから頂いた、119行目の社会通念上の開示の件の辺り、それから、玉木メンバーから頂いた、9ページ、10ページ辺りの表現ぶり、それから、あとは最後にオブザーバーの宮下さんから頂いた点について、一つは、101行目の趣旨のところは、事務局から一言お願いします。

【齊藤企画市場局市場課長】
日本取締役協会の宮下様から御質問いただいた、4ページの100行目から102行目辺りのところの順序についてでございます。

事務局としましては、期待される事項につきましては、個別のVCの戦略によって違う場合もあるだろうと考えております。そうした中で、期待される事項として示すことについて、全体的なスタートアップエコシステムの発展を踏まえると、目指すべき方向性ではないかと、そういった趣旨から記載させていただいておりまして、それが一般的にはVCのリターンの向上とか、受託者責任につながっていくのだという、そういった趣旨で記載しております。そうした趣旨からはこの順序とすることが適当かと考えて記載したものでございます。

【幸田座長】
事務局、ありがとうございました。

宮下様から頂いたそれ以外の4つの項目については、事務局のほうで検討をさせていただきたいと思います。
大まかに、皆様から御意見頂いた主要なところを中心に、私のほうからコメントをさせていただきましたけれども、メンバーの方々から、それからオブザーバーの方々から、一巡いたしておりますけれども、今の私の全体の整理も含めて、メンバーの方々からもし何かあれば、挙手等をいただければと思います。いかがでしょうか。

それでは、皆様方からの御意見等が一巡しているかと思いますので、今後の進め方について、メンバーの皆様方と確認をさせていただければと思います。

先ほど私が申し上げましたように、「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(案)」については、大筋で皆様から御賛同いただいたと思っております。先ほど、幾つかの論点については、私のほうからコメントさせていただいた点もありますけれども、本日頂いた御意見、御指摘を踏まえて、最終的に検討させていただければと思います。あわせて、表現の平仄なども事務局にて精査させていただければと思いますので、この点を含めてよろしくお願いいたします。こうした点について、私、座長、幸田のほうに御一任をいただき、「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項(案)」の取りまとめをさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

はい、それでは、皆様からの御賛同をいただきました。今後の取扱いといたしましては、できるだけ早く本推奨・期待される事項(案)について、本日の御意見を含めて、若干の修正をさせていただいて、取りまとめをさせていただきます。その上で、公表をし、パブリックコメントを実施していきたいと考えております。その後、パブリックコメントにて寄せられた御意見等を踏まえて最終化したいと考えております。なお、寄せられた御意見を踏まえた対応につきましては、事務局より改めて御連絡をさせていただければと思います。それでは、事務局の金融庁、経産省と連携して引き続き進めさせていただきたいと思います。

それでは、お忙しいところ、本日は皆様、お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。本有識者会議におきましては、これまで3回にわたりまして、皆様より貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。それでは、先ほど御説明したような進め方で今後運営をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)

企画市場局市場課(内線:3876、2352)

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