2024/07/30

広報誌『季刊大林』63号「漁」を発行

株式会社 大林組 

広報誌『季刊大林』63号「漁」を発行

「大阪湾おさかな牧場」構想 きれいな海から豊かな海へ

2024年 07月 30日

プレスリリース

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、広報誌『季刊大林』63号「漁」を発行しました。

『季刊大林』では1978年の創刊以来、「わたしたち人間は、かつて何を建設してきたのか、そして未来に何を建設できるのか」ということを、時代や文化と共に考察してきました。

海に囲まれたわが国。その周辺はさまざまな魚介類が生息する世界でも有数の好漁場であり、豊かな食文化も生み出してきました。しかし近年、気候変動などにより近海での漁獲量が減少傾向にあることに加え、食生活の多様化などにより、日本の水産業が危機的状況にあるとされています。

本号では、日本ならではの海の恵みを次世代に受け継ぐことを願い、漁業の今、そして未来を考察します。また歴史的建造物の復元や検証、未来社会に寄与する建造物や街の構想などに挑戦し、そのプロセスと成果を誌上で発表する「大林プロジェクト」では、大阪湾を舞台に、「おさかな牧場」と名付けた環境負荷の少ない持続可能な漁場を構想しました。

大林組は、建設にまつわる文化を考察する『季刊大林』の発行を社会文化活動の一環と位置付け、環境・情報・防災など現代社会において重要なテーマを積極的に取り上げていきます。また『季刊大林』特設サイト(英語版)を新設しました。本号から英語版を公開していますので、併せてご覧ください。

『季刊大林』と「大林プロジェクト」について

『季刊大林』は、1978年発刊の創刊号「ピラミッド」から現在に至るまで、建設という視点を通して人類が築き上げた文明、文化を考証し、また未来社会のあり方を模索する広報誌をめざしてきました。その間、国内外の数多くの研究者・専門家の方々にご参加いただき、他に例のない学術的広報誌として高い評価を頂いています。

『季刊大林』の大きな特徴となっているのは、グループ内で編成したプロジェクトチームが歴史的建造物の復元や検証、未来社会に寄与する建造物や街の構想などに挑戦し、そのプロセスと成果を誌上で発表する「大林プロジェクト」です。

復元の例としては、「古代出雲大社本殿」「光源氏の邸宅・六条院(寝殿造り)」「古代アレクサンドリア図書館」「豊臣秀吉が建立した大仏殿」、未来構想の例としては、「火星居住計画構想」「都市全体を免震化するゼリー免震構想」「宇宙エレベーター建設構想」「スマート・ウォーター・シティ東京建設構想」「森林と共に生きる街『LOOP50(ループ50)』建設構想」「テクノロジーでつくる循環型農業『COMPACT AGRICULTURE(コンパクト アグリカルチャー)』」などがあります。これらは、大林グループの技術水準を示すだけでなく、建設の面白さ、奥深さを垣間見せ、建設文化への理解を深める格好の機会として社会的にも話題となりました。

宇宙エレベーター建設構想

(上)古代出雲大社本殿の復元、(下)LOOP50建設構想

『季刊大林』63号 「漁」 概要

海に囲まれたわが国。その周辺はさまざまな魚介類が生息する世界でも有数の好漁場であり、豊かな食文化も生み出してきました。しかし近年、気候変動などにより近海での漁獲量が減少傾向にあることに加え、食生活の多様化などにより、日本の水産業が危機的状況にあるとされています。

本号では、日本ならではの海の恵みを次世代に受け継ぐことを願い、漁業の今、そして未来を考察します。大林プロジェクトでは、大阪湾を舞台に、「おさかな牧場」と名付けた環境負荷の少ない持続可能な漁場を構想しました。

■主なコンテンツ

グラビア:描かれた漁・魚

壁画や博物画をはじめ、人々は古くから"漁"や"魚"を描き、時を超えてその姿や生態、人との関わり方などを伝えてきた。江戸時代に高い技術で、今にも動きだしそうなほどリアルに描かれた「衆鱗図(しゅうりんず)」など、さまざまな視点で描かれた魚を紹介する。

魚食文化の歴史―発酵魚食を中心に

佐藤洋一郎(ふじのくに地球環境史ミュージアム館長、総合地球環境学研究所名誉教授)

古くから魚介類をたんぱく源としてきた日本では、和食の根幹をなすものとして「魚食」を育み発展させてきた。かつて都のあった近畿地方を中心に、各地に広がる魚介の保存食に焦点を当て、日本の知恵の結晶とも言える魚食文化の意義について再考する。

海と魚と漁業の未来―生物多様性と環境保全

松田裕之(横浜国立大学名誉教授、同大特任教授)

地球温暖化が急速に進行し、海洋環境の変化が懸念されている。海で野生生物をとる漁業も、乱獲などの形で海洋環境や資源量に影響を及ぼしている。本稿では、漁業の未来を見据え、資源管理や環境保全の現在位置を検証する。

10年後の食卓―水産GXへの挑戦

和田雅昭(公立はこだて未来大学教授、同大マリンIT・ラボ所長)

脱炭素社会の実現に向けて、各産業でGX(Green Transformation)への挑戦が始まっている。水産業では、スマート化により蓄積したデータをもとに、漁法別環境負荷を見える化。魚介類を事例として環境負荷指標を示し、食品における新たな価値観とは何かを考察する。

シリーズ 藤森照信の『建築の原点』⑭ 海草の家

藤森照信(建築史家・建築家、東京都江戸東京博物館館長、東京大学名誉教授)

建築史家にして斬新な設計者としても知られる藤森照信氏が、建設物を独自の視点でとらえるシリーズ。今回は、デンマークの "海草葺きの家"に注目した。なぜ地に生える草ではなく、海の中で育つ海草を使って屋根を葺いたのだろうか。

「大阪湾おさかな牧場」構想 きれいな海から豊かな海へ

構想:大林プロジェクトチーム

古来、日本人の暮らしは有形、無形の海の恵みとともにあった。しかし近年、日本人は魚をあまり食べなくなり、地域ごとにとれる魚は海水温上昇などの影響により変化し、漁獲量も減少傾向にある。現代の私たちは、その多様な恵みを未来に継承していけるだろうか。

そこで、本構想では、豊かな海と日本らしい多様な魚食文化を守り育てる"海の牧場"の創生に挑戦した。広い牧場で牧草を餌として動物をゆったり育むように、自然の調整力を活かし、海を守り、魚を育む、未来の養殖・漁場のあり方の提案だ。

●今までの養殖の概念が変わる

一般的にイメージされる海での養殖は、堤や網で囲った生簀などで魚を育成したり、ロープに貝を吊るといったものだろう。これらは養殖でありながら海洋気象などの外部環境の影響をある程度受ける。また、過剰な給餌や養殖魚のフンなどによる周辺海域への環境汚染が問題となっている。

「おさかな牧場」では、養殖のデメリットを緩和するだけではなく、施設があることで豊かな漁場(魚の牧場)をつくることをめざしている。餌やフンなどの有機物は栄養源として無駄なく循環させ、施設周辺の海でも活用する。「藻」のブルーカーボン(海洋生態系への炭素固定)としての役割に期待し、ネイチャーポジティブ(自然再興)への寄与もめざす。日本の魚食文化に合わせ、多品目を丁寧に育てつつ、スマート技術を活用し、効率的で安定的な養殖業を実現する。

●楽しく日本の魚文化を守る

沿岸の施設では、漁業の発展に欠かすことのできない稚魚の育成や、漁業や魚食の研究を行う。また、魚食文化の継承・啓発・体験の場としての役割も担い、親水エリアでは釣りやバーベキュー、ダイビング、水中観察などのエンターテインメントを展開する。

以上

この件に関するお問い合わせ先 大林組 コーポレート・コミュニケーション室 広報課
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プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。

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