2024/08/27

木材を利用した建築構造向け制振デバイス「アーキテツト(R)木補剛制振間柱」を開発~木+鉄混合構造「アーキテツト(R)」シリーズ第2弾~ [JFEスチール株式会社]

JFEホールディングス 株式会社 

2024年8月27日
JFEスチール株式会社

木材を利用した建築構造向け制振デバイス
「アーキテツト®木補剛制振間柱」を開発
~木+鉄混合構造「アーキテツト®」シリーズ第2弾~

当社はこのたび、木+鉄混構造「アーキテツト®」(※1)シリーズの第二弾として、「アーキテツト®木補剛制振間柱」(以下、「木補剛間柱」)を開発し、構造安全性とその設計法について一般社団法人 日本建築総合試験所の建築技術性能証明(第23-27号)を取得しました。「木補剛間柱」は地震時にエネルギーを吸収し、建築物の揺れを効率的に低減でき、CO2固定に寄与する木材を活用した制振デバイスです。

「木補剛間柱」はJFESCRUM活動(※2)の一環として株式会社日建設計と共同で開発した制振デバイスであり、地震時にエネルギーを吸収する鋼板パネル、鋼板パネルを保持する外枠および鋼板パネルの直交方向のたわみを抑制する木材(補剛材)から構成されます(図1)。鋼板パネルには当社製の建築構造用低降伏点鋼材JFE‐LY225を使用し、木材にはCLT(※3)を用います。木材を内装材として活用することで構造と意匠の両立を図ることが可能です。

木材と鋼板パネルは、鋼板パネルに設けた長孔を通してボルトで接合します。地震力により鋼板パネルがせん断変形(※4)する際には、木材は長孔によって鋼板パネルの変形に追従して回転します(図2)。そのため、木材のせん断変形による損傷が防止され、鋼板パネルのたわみを効率良く抑制することできます。このたび、地震による繰り返し荷重や大変形を受けた場合でも、木材が鋼板パネルのたわみを抑制することで急激な耐力低下が生じず、安定したエネルギー吸収能力を発揮することを構造実験により実証し(図3)、その構造安全性と設計法の妥当性についての建築技術性能証明を取得しました。「木補剛間柱」は間柱幅600~1800mmまでを標準仕様として取り揃えており、必要なせん断耐力に応じて並列に設置して使用することも可能です。

当社は今後も、木材利用による意匠性、環境負荷低減効果、室内環境改善効果(※5)などが付与された鉄骨構造に関連する製品・技術の研究開発を進め、木+鉄混合構造「アーキテツト®」シリーズのさらなる拡充を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

(※1)耐震性に優れた鉄骨造と、意匠性・室内環境の改善効果に優れた木材を組み合わせて、環境にやさしい建築物の提供を目的としたJFE独自の環境ブランド。木材利用により促進される森林(CO2固定化)の安定維持と、廃材のバイオマス利用による化石燃料の使用削減を実現する「木循環サイクル」、高炉の革新的技術開発(カーボンリサイクル・水素還元等)によるCO2排出削減と、電炉による鉄スクラップの再利用で鉄のリサイクルを実現する「鉄循環サイクル」、木と鉄それぞれの資源×CO2のサーキュラーエコノミーを推進しつつ、これらを融合させた快適かつ長寿命で資産価値の高い“環境配慮型建築”の提供に貢献し、持続可能な社会の実現を目指します。

(※2)JFEスチールとJFEスチールグループ各社で蓄積された商品や技術をお客様のニーズとマッチングさせてご提供すると同時に、今まで以上にお客様一人ひとりと真摯に向き合い、お客様の潜在的なニーズをいち早く把握し、新たな商品・技術をご提案するとともに、お客様と共同で開発していくソリューション活動です。

(※3)Cross Laminated Timber(直交集成板)の略称。ひき板(木材を構成するピース材)の繊維方向が直交するように積層接着した木材。樹種はスギ・ヒノキ・カラマツ・トドマツ。

(※4)鋼板パネルに水平方向の力が作用し、平行四辺形の形状に変形すること

(※5)木材は湿気を吸収・放出するため、室内を快適な湿度に保つ調質機能があります。また、木材の香りには体をリラックスさせる、ストレスを軽減するなどの心理面での効果があると考えられています。

【図1】木補剛間柱の概要

【図2】ボルト接合部の概要

【図3】構造実験の概要

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本件に関するお問い合わせは、下記にお願い致します。

JFEスチール(株) 総務部広報室 TEL 03(3597)3166

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