2024/10/09

3D Investment Partners Pte. Ltd.との守秘義務誓約書に関する協議・交渉経緯についてのご説明(詳細)

株式会社 東北新社 

2024 年10月9日
株式会社 東 北 新 社

3D Investment Partners Pte. Ltd.との守秘義務誓約書に関する 協議・交渉経緯についてのご説明(詳細)

当社は、2024年7月24日付け「3D Investment Partners Pte. Ltd.様による当社普通株式の非公開化に関する提案の受領及び特別委員会の設置に関するお知らせ」に記載のとおり、2024年7月23日、3D Investment Partners Pte. Ltd.(以下「3D社」といいます。)から、3D社が設立するSPCによる当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)に対する公開買付け及びその後のスクイーズアウト手続を通じた当社株式を非公開化するための一連の取引に関する提案(以下「本提案」といいます。)を受領しました。

その後、当社取締役会は、2024年8月29日付け「3D Investment Partners Pte. Ltd.による当社普通株式の非公開化に関する提案の協議の状況に関するお知らせ」に記載のとおり、同月 21 日付けで当社の独立社外取締役5名全員から構成される特別委員会 (以下「本特別委員会」といいます。)から諮問意見書(以下「本諮問意見書」といいます。)の提出を受け、本諮問意見書の内容を踏まえ、当社が指定する内容の守秘義務誓約書を3D社が実質的な変更なく当社に差し入れることを条件として、3D社による当社に対するデュー・ディリジェンス(以下「本 DD」といいます。)を、当社が指定する方法及び範囲で受け入れる旨を3D社に対して回答し、守秘義務誓約書の差入れについて、3D社との間で慎重に協議を行ってまいりました。

しかしながら、2024年9月24日付け「3D Investment Partners Pte. Ltd.による当社普通株式の非公開化に関する提案の協議の結果に関するお知らせ」に記載のとおり、3D社は、守秘義務誓約書の内容について実質的な変更を要請する立場を変えなかったため、当社は、同日付で、3D社に対して、同社との守秘義務誓約書に関する協議・交渉を打ち切る旨の回答をいたしました。

これに対し、3D社は、2024年10月4日付けで、守秘義務誓約書に関する協議の経緯に関する説明とともに、両社のコメント付き守秘義務誓約書のドラフト、及び、両社のコメントの比較表を開示しました。しかしながら、3D社の開示資料では、当社が3D社に対して厳格な内容の守秘義務誓約書の差入を求めた理由が記載されておりませんでしたので、当社の協議の方針や 3D 社への対応について無用な誤解が生じるおそれがあると認識されるため、その理由及び 3D 社との協議・交渉を打ち切った経緯について、改めて当社からご説明する次第です。また、3D社が開示したコメントの比較表には、守秘義務誓約書の主な論点に関する当社のコメントを 3D 社が要約した内容が記載されていますが、当該要約においては、当社によるコメントの重要な部分が記載されておらず、当社のコメントの正確な要約にはなっていないため、各論点に関する当社の考えの詳細を、別紙にて開示いたします。

まず、当社が 3D 社に対して厳格な内容の守秘義務誓約書の差入を求めた理由ですが、経済産業省が2023 年 8 月31日に公表した「企業買収における行動指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」 ( 以下 「企業買収行動指針」といいます。)では、デュー・ディリジェンスは、「通常、企業内部の非公開情報を提供して行うものであることから、競合他社への情報流出や目的外利用のリスクなども考慮した上で、検討・交渉を進める意義があると考える場合に実施することとなる」とされています。そして、本諮問意見書では、①非公開情報の情報流出や目的外利用のリスクについては、当社においては、当社の営業秘密やノウハウが漏洩し、又は目的外利用された場合には、大手広告代理店等の顧客や、発注先である協力会社の信用を失い、取引が停止されるリスクがあるほか、新規案件や進行中の案件も大きく影響を受け、収益に多大な悪影響が生じ、短期的な影響のみならず、将来における事業継続性も担保できなくなるリスクがあり、ひいては企業価値及び株主全体の利益に多大な悪影響を生じるおそれが十分にあるとされています。また、②検討・交渉を進める意義については、本提案は実現可能性が合理的に疑われるため、現時点で「真摯な買収提案」に該当すると判断することは相当ではないと考えられ、かつ、3D社が本提案に係る取引実行後に予定している施策は当社の企業価値に資するものと評価することはできないと考えられ、また、3D社の経営能力には疑義があると考えられることに加えて、当社が策定した中期経営計画は現時点では概ね計画どおりに進捗していると考えられるため、3D社の企業価値向上策は、当社の企業価値向上策よりも優れたものとはいえないと考えられることを総合考慮すると、本提案は現時点では当社取締役会が応じる方針を決定すべき内容のものであるとは考えられず、そのため、本 DD の受入れの要請に応じた上で本提案に関して検討・交渉を進める必要性は必ずしも高くないと考えられるとされています。以上を踏まえ、本諮問意見書では、3D社との間で同社に厳格な秘密保持義務や違反時の補償義務等を課す内容の守秘義務契約を締結するなど、3D社による当社内部の非公開情報の情報流出や目的外使用の具体的なおそれがないと合理的に判断することができる厳格な措置を講じることが、本DDの要請を受け入れる条件とされていました。

当社取締役会は、本諮問意見書を踏まえ、慎重に議論及び検討を尽くした結果、本DDの要請を受け入れるためには、本諮問意見書に記載された条件を充足する必要があると判断し、3D社の厳格な秘密保持義務や違反時の補償義務等を規定した守秘義務誓約書を 3D 社に提示しました。そのうえで、本諮問意見書で明示された条件を遵守するため、当社が提案する守秘義務誓約書の内容に対する実質的な変更は受け入れられないことを、3D社に対して再三再四、繰り返し説明いたしました。しかしながら、3D社には、当社の考えや本諮問意見書において前提となっている当社の事情について全く理解いただけず、3D社は守秘義務誓約書の内容について実質的な変更を要請する立場を何ら変えませんでした。3D社が受け入れなかった守秘義務誓約書に関する主な論点についての、当社の考えの詳細については、別紙をご参照ください。

以上の経緯で、当社は、2024年9月24日付け「3D Investment Partners Pte. Ltd.による当社普通株式の非公開化に関する提案の協議の結果に関するお知らせ」に記載のとおり、3D社は当社の指定する内容の守秘義務誓約書を実質的な変更なく当社に差し入れることは全くないと判断し、これ以上時間・労力等のコストを費やして 3D 社との協議・交渉を続けることは、当社の企業価値及び株主共同利益の毀損につながるおそれがあることから、本特別委員会の特別委員を含む取締役全員の総意に基づき、3D社に対して、3D社との協議・交渉を打ち切る旨を回答した次第です。 当社は、今後も企業価値の向上に努め、株主共同の利益を確保・向上できるように取り組んでまいります。

以 上

別紙

3D 社が開示した主な論点に対する当社の考えについて

1. 論点①:3D社のみが守秘義務を負うものとなっていたこと

本諮問意見書においては、3D社との間で同社に厳格な秘密保持義務や違反時の補償義務等を課す内容の守秘義務契約を締結するなど、 「 3D社による当社内部の非公開情報の情報流出や目的外使用の具体的なおそれがないと合理的に判断することができる厳格な措置」を講じることが、本 DD 受入れの条件であることが明確に記載されています。3D社が差し入れる守秘義務誓約書は、あくまでも当社に対するデュー・ディリジェンス受入れのためのものであり、本 DD において重要な非公開情報を開示するのは当社であるため、双方の義務ではなく、3D社の秘密保持義務のみを定めるよう求めたものです。

なお、3D 社は、企業買収行動指針を根拠に、「 相互の信頼関係の醸成」が重要視されており、かかる信頼関係は、3D社が当社に対し、躊躇することなく必要な情報を提供できる環境があってのことであるとして、秘密保持義務は双方の義務とすべきであるなどと主張していますが、企業買収行動指針は、別紙 1:「取締役・取締役会の具体的な行動の在り方」の中で、「相互の信頼関係の醸成のために、買収者との秘密保持契約において、一定の合理的な期間を定めて会社との合意なく買収提案を公開しないこと、公開買付けを開始しないこと、株式の買増しをしないこと(スタンドスティル)等の条項の交渉を通じて、適切な交渉時間・機会を確保することの検討を行うことにも合理性がある」との立場を示したものであり、あくまでも、スタンドスティル条項等を設けることにより、相互の信頼関係が醸成される効果があることを述べているにすぎず、3D社の主張は何ら合理的なものではありません。

2. 論点②:3D 社の代表者が当事者となることで個人として損害賠償責任を負担するものとなっていたこと

当社が、3D社の代表者に対しても、守秘義務誓約書の当事者となることを求めたのは、3D社がシンガポールの法主体であるため、万が一情報漏洩があった場合に、法実務上、国内において仮処分等を含む緊急な法執行を行うことが極めて困難なためであり、本特別委員会の諮問意見書において、本 DD の要請を受け入れる条件とされている、 「 3D社による当社内部の非公開情報の情報流出や目的外使用の具体的なおそれがないと合理的に判断することができる厳格な措置」の一環として要請したものです。

なお、3D社は、同社が運用するファンドが当社の株式を約17%保有しており、当社の企業価値を毀損すれば、3D 社及びその運用するファンドも損害を被ることとなること、3D 社はシンガポールで登録している投資運用業者でもあり、投資家に対してフィデューシャリー ・デューティーを負っていることから、自らその義務に違反して、3D社や3D社の運用するファンドに損害を与えるインセンティブはないとか、本諮問意見書において、3D社による本提案について「目的の正当性を疑わせる事情は現時点で特段見受けられない」と記載されていることを理由に、当社の企業価値を棄損する意図やインセンティブはないなどと主張しています。しかしながら、当社が懸念しているのは、3D社が当社の企業価値を毀損する意図を有しているか否かにあるのではなく、本 DD を受け入れた結果、万が一にも当社の重要な秘密情報の漏洩や目的外利用等により、当社にとって回復し難い損害が生じることであり、3D社の事情は無関係です。3D社において当社の企業価値を棄損する意図やインセンティブがないからといって、情報漏洩や目的外利用のリスクがないことには全くなりません。この点を再三再四 3D 社に対して説明したにもかかわらず、3D社は通常のM&A取引で用いられる守秘義務契約書では普通見られないものであるから受け入れられないなどと主張していますが、当社にとって極めて重要な営業上の情報などの秘密情報が万が一にも漏洩等された場合に当社が蒙る重大な企業価値の損失に対する考慮が全く見られず、かかる主張からも、3D社に当該情報を開示した場合に生じ得る重大な事態への懸念が全く消えないところであると判断しています。

3. 論点③:当社が3D社の守秘義務違反を通知した場合には3D社において守秘義務違反がなかったことを立証可能な証拠を示して反証しない限り3D社が損害賠償責任を負わなければならないものとなっていたこと

当社が 3D 社に開示した情報が漏洩等した場合、当社の企業価値及び株主全体の利益に多大な悪影響を生じるおそれがあり、本諮問意見書においては、3D社に厳格な秘密保持義務や違反時の補償義務等を課す内容の守秘義務契約の締結をすることが本DD受入れの条件であることが明確に記載されています。そのため、かかる諮問意見に従い、厳格な補償義務として、3D社において守秘義務違反がないことを反証しない限り、同社が違反の責任を負う建付けとするよう求めたものです。

なお、3D社が運用するファンドが当社の株式を約17%保有していることや、同社が投資家に対してフィデューシャリー ・デューティーを負っていることが、厳格な補償義務を不要とする理由には全くならないことは、前述2.において記載したとおりです。

4. 論点④:3D 社による守秘義務違反がなかったことの立証の成否は裁判所等の公平・公正な手続が担保された機関ではなく、当社が判断するものとなっていたこと

3D 社は、守秘義務違反の有無及び反証の成否について、裁判所の判断を必須とする建付けとするよう当社に求めましたが、裁判所の判断を必須とする場合には、当社が救済を受けるために多大な時間とコストを要することとなるため、当社の損害を即座に回復することができず、そのような建付けとすることは到底受け入れることができません。

なお、最終的に裁判に至った場合には、裁判所の判断によることになる点は当然のことですので、その旨を契約書に規定する必要がない事は改めて言うまでもありません。

5. 論点⑤:実際に発生した損害に対する賠償責任を負う旨の規定に加えて10億円の違約罰を定めていたこと

当社が 3D 社に開示した情報が漏洩等した場合、当社の企業価値及び株主全体の利益に多大な悪影響を生じるおそれがあり、本諮問意見書においては、3D社に厳格な秘密保持義務や違反時の補償義務等を課す内容の守秘義務契約の締結をすることが本 DD 受入れの条件であることが明確に記載されていますので、厳格な違反時の補償義務として、3D社による違反があった場合における10億円の違約罰の規定を求めたものです。違約金の金額については、3D社に開示した情報が漏洩等した場合、当社の企業価値及び株主共同の利益にとって回復し難い重大な生じるおそれがあることを踏まえればかかる金額では足りない事態も生じ得ると考えており、ドラフトの規定として不適切な金額ではないと考えております。しかも、他方、当社は、違約金の金額については、3D社の再提案を聞くことはできると何度も3D社に伝えましたが、3D社は一切譲歩せず、違約罰の定め自体を受け入れませんでした。

なお、3D社が運用するファンドが当社の株式を約17%保有していることや、同社が投資家に対してフィデューシャリー ・デューティーを負っていることが、厳格な違反時の補償義務を不要とする理由にはならないことは、前述2.において記載したとおりです。

6. 論点⑥:3D社が負担する守秘義務が無期限となっていたこと

本諮問意見書においては、3D社による当社内部の非公開情報の情報流出や目的外使用の具体的なおそれがないと合理的に判断することができる厳格な措置を講じることが、本 DD 受入れの条件とされています。当社の営業秘密やノウハウが漏洩し、又は目的外利用された場合に、当社の企業価値及び株主共同の利益に生じる悪影響の重大さに鑑みれば、一定の期間の経過により、当社の営業秘密やノウハウの漏洩や目的外利用が許容されるような建付けは到底受け入れられないため、秘密保持のための厳格な措置として、秘密保持義務の期間を無期限とするよう求めたものです。

7. 論点⑦:守秘義務誓約書の差し入れよりも前に3D社が当社から受領した情報についても遡って守秘義務を負うものとなっていたこと

当社は、これまで、3D社に対して、面談等の場で、当社の情報を提供しているところ、当社の情報が流出等することにより当社に生じるリスクは、情報提供の時期を問わず存在するため、デュー・ディリジェンスを開始する以上は、守秘義務誓約書の差し入れよりも前に開示した情報についても、秘密保持義務の対象とするよう求めたものです。

以 上

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