2025年 年頭所感
株式会社 LIXIL2025年1月1日
2025年 年頭所感
旧年中に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げますと共に、本年も倍旧のお引き立ての程よろしくお願い申し上げます。
2024年、LIXILを取り巻く市場環境は、引き続き変化の激しい年となりました。世界では地政学的なリスクの高まりとともに、インフレ抑制や金利高による景気減速が継続しました。日本においては、円安やエネルギーコストの上昇が依然として課題となる一方で、消費の回復など景気回復の兆しも見られる年となりました。
変化が多く、先行きを見通すことが難しい時代ではありますが、弊社では新たな価値創造の好機ととらえ、「LIXIL Playbook」に沿った戦略を推進してきました。私たちが長期的な成長を実現する上で、世界中の人びとの豊かな生活を実現する革新的な製品は欠かすことのできないものです。イノベーションの創発を通じて、日々の暮らしや社会、環境の未来にインパクト(良い影響)を生み出すとともに、持続的な成長を目指しています。
LIXILの海外事業を振り返ると、市場環境は引き続き厳しい状況でしたが、欧州、中近東、インドなどで健闘し、LIXIL全体の業績底上げに貢献しました。ヨーロッパではシャワーの新製品の好調な売上、中近東やインドでは住宅需要や富裕層ニーズの取り込みによって成長を実現することができました。また、欧州や米国を含む海外事業における構造改革も着実に進み業績は回復基調に戻っています。
日本国内のハウジングテクノロジー事業では、新設住宅着工戸数は依然として低水準で推移していますが、環境負荷が低く、省エネ性能の高い高性能窓への改修を後押しする政府補助金の効果などもあり、 リフォーム需要の取り込みを着実に進めることができました。
また、エンドユーザーの皆さまに地域に最適な窓をご提案し、環境負荷を低減する窓シリーズの総称を『GREEN WINDOW』として展開しています。すでに欧州を中心に、原材料調達、製造、流通、使用、廃棄といった製品のライフサイクル全体からCO₂排出量削減を考えていく潮流がありますが、日本においてもこの考え方を浸透させ、住宅からのCO₂排出量を削減するとともに、資源循環を促進することに取り組んでいます。プロユーザーさま向けの設計支援ツール「LIXIL省エネ住宅シミュレーション」に、業界初となる窓のライフサイクルCO₂排出量を算出し、お住まいの地域におすすめの窓をご提案する「すまいのライフサイクルCO₂簡易算出機能」を追加するなど『GREEN WINDOW』の展開を進めています。
脱炭素・循環型社会の実現に向けては、リサイクルアルミの活用を推進する取り組みも引き続き進めてきました。原材料としてリサイクルアルミを使用する循環型低炭素アルミ「PremiAL(プレミアル)」シリーズは非常に好評をいただいており、建材はもちろんのこと、他業界からの引き合いも多くありました。当社は世界でも有数のアルミリサイクル技術を有し、国内初リサイクルアルミ使用比率100%の「PremiALR100」を展開しています。リサイクルアルミの活用は、多くの電気を使用するアルミ新地金の製錬によるCO₂排出量に比べて97%削減でき、気候変動の緩和にも大きく貢献するものです。今後、国内ではより一層の需要の高まりが想定されておりますが、並行して海外での販売推進もより一層強化していきます。
さらに、資源の循環利用を促進する取り組みとして、2022年に販売開始した循環型素材「レビア」の量産体制を構築しました。「レビア」は、これまで再資源化が困難とされてきた廃プラスチックと、建築物の解体や補修などから生じる廃木材を融合した循環型素材です。「レビア」をご採用いただくことで、同じ量の廃プラスチックと木材が焼却された場合に比べてCO₂排出量は大幅に削減できます。今年、大阪で開催される「2025年日本国際博覧会」のシグネチャーパビリオンのひとつでも採用されるなど、すでに商業施設・オフィス・教育施設などさまざまな場所で採用されています。今後さらなるご提案の強化を進め、多くの場所にご採用いただくことでインパクトの拡大を目指していきたいと考えています。
日本国内のウォーターテクノロジー事業では、新設住宅着工戸数の減少に伴いリフォームへのシフトを引き続き進めてきました。2024年、伊奈製陶株式会社の設立から100周年を迎えました。これからの時代に向けて、多様なニーズへの対応、環境への取り組み、デジタルの活用による利便性の追求、暮らしを豊かにするデザインといった数々の課題に対応するイノベーションの創出への思いを新たに事業活動に取り組んでいます。100周年を迎えた2024年に、革新的な新製品を数多く市場投入することができたことは非常に喜ばしいことです。
トイレ空間事業では、INAXブランドのタンクレストイレ「SATIS 」シリーズの最新フラグシップモデルとして「SATIS X」を2024年6月に販売開始しました。この製品はトイレ掃除の負荷を軽減し、ゆとりある暮らしを実現します。トイレ掃除でユーザーが最も大変だと感じている便器の内側などを「SATIS X」が自ら掃除するタンクレストイレであり、多くのお客さまからご好評をいただいています。
水栓事業では、これまで培ってきた浄水技術に、サントリー食品インターナショナル株式会社が開発した植物ミネラルエキスをプラスすることで、家庭の蛇口から冷たいミネラル入りの浄水を提供する新サービス「Greentap(グリーンタップ)」を2024年3月に販売開始しました。両社は、水道水が安全でもっとおいしく、もっと便利にすることを目指して「Greentap」を開発しました。この製品を通じて水道水の価値向上に貢献し、多くのお客さまに新たな価値を体験いただければと考えています。
浴室事業では、布製のたためる浴槽を備えた浴室空間「bathtope(バストープ)」を、2024年11月に販売開始しました。bathtopeは「お風呂はもっと、自由でいい。」をコンセプトに、暮らしを進化させる新時代の浴室空間として誕生しました。浴槽や空間を極限までシンプルにすることで浴室の可能性を広げる製品であり、今後の展開を非常に楽しみにしています。
また、LIXILはデジタル関連の取り組みも積極的に推進し、新たな価値をお客さまにお届けする努力を続けています。パブリックトイレの新しい空間提案サービス「A-SPEC Pro」を2024年10月より提供開始し、設計者の悩みを解消すると同時に、より快適なトイレ空間を提案します。さらにデザインの分野では、住環境や環境負荷を考慮したLIXIL商品のデザイン性が評価され、「2024年度グッドデザイン賞」において11点のアワードを受賞しました。
また、国際的デザイン賞である「Red Dot Award: Product Design 2024」では19点のアワードを受賞し、NODEAのパノラマウィンドウ「SEAMLESS」は、その年に「Red Dot Design Award」 を受賞した製品の中で最も高いデザイン品質と創造的なパフォーマンスが認めれた製品のみに与えられる最高位の賞「Best of the Best 2024」を獲得しました。これも、LIXILが世界に設置している6つの主要なデザインスタジオを通じて、世界市場における多様なニーズやトレンドを的確に汲み取り、最新のテクノロジーによって日々の暮らしの課題を解決してきた証左であると自負しています。
2024年に収めた多くの成果は、これまで進めてきた企業文化の変革が基礎となっています。先を見通すことが非常に難しい環境下においては、一人ひとりの従業員に適切な権限を移譲し、機動的に事業運営をしていく必要があります。また、市場の多様なニーズにお応えするためにも、多様なスキルを持つ従業員で組織を構成していく必要があります。今後もダイバーシティ&インクルージョンを推進し、人的資本の充実を図ることによって、より革新的でアジャイルな組織を作ってまいります。LIXILでの経験が豊かな人材、LIXIL以外での経験が豊富な人材、女性や若い世代、障がいのある人など、多様な人材が活躍できる組織への変革を今後も継続していきます。
市場環境は刻一刻と変化していきますが、厳しい環境の中にあっても、技術開発とイノベーションを通じて事業戦略と環境戦略の統合を進め、お客さまそして社会にとってより良い製品をお届けしていくことを続けて行きます。
2025年も弊社のパーパス(存在意義)である「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」に向けて、すべての従業員と共に邁進して参ります。本年も皆さまの一層のご指導、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
株式会社LIXIL 取締役 代表執行役社長 兼 CEO
瀬戸 欣哉
About LIXIL
LIXILは、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいを実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。ものづくりの伝統を礎に、INAX、GROHE、American Standard、TOSTEMをはじめとする数々の製品ブランドを通して、世界をリードする技術やイノベーションで、人びとのより良い暮らしに貢献しています。現在約53,000人の従業員を擁し、世界150カ国以上で事業を展開するLIXILは、生活者の視点に立った製品を提供することで、毎日世界で10億人以上の人びとの暮らしを支えています。
株式会社LIXIL(証券コード: 5938)は、2024年3月期に1兆4,832億円の連結売上高を計上しています。
LIXILグローバルサイト:https://www.lixil.com/jp/
LIXIL Facebook(グローバル向け):https://ja-jp.facebook.com/lixilglobal/
LIXIL Facebook(日本国内向け):https://www.facebook.com/lixilcorporation
2025年 年頭所感
旧年中に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げますと共に、本年も倍旧のお引き立ての程よろしくお願い申し上げます。
2024年、LIXILを取り巻く市場環境は、引き続き変化の激しい年となりました。世界では地政学的なリスクの高まりとともに、インフレ抑制や金利高による景気減速が継続しました。日本においては、円安やエネルギーコストの上昇が依然として課題となる一方で、消費の回復など景気回復の兆しも見られる年となりました。
変化が多く、先行きを見通すことが難しい時代ではありますが、弊社では新たな価値創造の好機ととらえ、「LIXIL Playbook」に沿った戦略を推進してきました。私たちが長期的な成長を実現する上で、世界中の人びとの豊かな生活を実現する革新的な製品は欠かすことのできないものです。イノベーションの創発を通じて、日々の暮らしや社会、環境の未来にインパクト(良い影響)を生み出すとともに、持続的な成長を目指しています。
LIXILの海外事業を振り返ると、市場環境は引き続き厳しい状況でしたが、欧州、中近東、インドなどで健闘し、LIXIL全体の業績底上げに貢献しました。ヨーロッパではシャワーの新製品の好調な売上、中近東やインドでは住宅需要や富裕層ニーズの取り込みによって成長を実現することができました。また、欧州や米国を含む海外事業における構造改革も着実に進み業績は回復基調に戻っています。
日本国内のハウジングテクノロジー事業では、新設住宅着工戸数は依然として低水準で推移していますが、環境負荷が低く、省エネ性能の高い高性能窓への改修を後押しする政府補助金の効果などもあり、 リフォーム需要の取り込みを着実に進めることができました。
また、エンドユーザーの皆さまに地域に最適な窓をご提案し、環境負荷を低減する窓シリーズの総称を『GREEN WINDOW』として展開しています。すでに欧州を中心に、原材料調達、製造、流通、使用、廃棄といった製品のライフサイクル全体からCO₂排出量削減を考えていく潮流がありますが、日本においてもこの考え方を浸透させ、住宅からのCO₂排出量を削減するとともに、資源循環を促進することに取り組んでいます。プロユーザーさま向けの設計支援ツール「LIXIL省エネ住宅シミュレーション」に、業界初となる窓のライフサイクルCO₂排出量を算出し、お住まいの地域におすすめの窓をご提案する「すまいのライフサイクルCO₂簡易算出機能」を追加するなど『GREEN WINDOW』の展開を進めています。
脱炭素・循環型社会の実現に向けては、リサイクルアルミの活用を推進する取り組みも引き続き進めてきました。原材料としてリサイクルアルミを使用する循環型低炭素アルミ「PremiAL(プレミアル)」シリーズは非常に好評をいただいており、建材はもちろんのこと、他業界からの引き合いも多くありました。当社は世界でも有数のアルミリサイクル技術を有し、国内初リサイクルアルミ使用比率100%の「PremiALR100」を展開しています。リサイクルアルミの活用は、多くの電気を使用するアルミ新地金の製錬によるCO₂排出量に比べて97%削減でき、気候変動の緩和にも大きく貢献するものです。今後、国内ではより一層の需要の高まりが想定されておりますが、並行して海外での販売推進もより一層強化していきます。
さらに、資源の循環利用を促進する取り組みとして、2022年に販売開始した循環型素材「レビア」の量産体制を構築しました。「レビア」は、これまで再資源化が困難とされてきた廃プラスチックと、建築物の解体や補修などから生じる廃木材を融合した循環型素材です。「レビア」をご採用いただくことで、同じ量の廃プラスチックと木材が焼却された場合に比べてCO₂排出量は大幅に削減できます。今年、大阪で開催される「2025年日本国際博覧会」のシグネチャーパビリオンのひとつでも採用されるなど、すでに商業施設・オフィス・教育施設などさまざまな場所で採用されています。今後さらなるご提案の強化を進め、多くの場所にご採用いただくことでインパクトの拡大を目指していきたいと考えています。
日本国内のウォーターテクノロジー事業では、新設住宅着工戸数の減少に伴いリフォームへのシフトを引き続き進めてきました。2024年、伊奈製陶株式会社の設立から100周年を迎えました。これからの時代に向けて、多様なニーズへの対応、環境への取り組み、デジタルの活用による利便性の追求、暮らしを豊かにするデザインといった数々の課題に対応するイノベーションの創出への思いを新たに事業活動に取り組んでいます。100周年を迎えた2024年に、革新的な新製品を数多く市場投入することができたことは非常に喜ばしいことです。
トイレ空間事業では、INAXブランドのタンクレストイレ「SATIS 」シリーズの最新フラグシップモデルとして「SATIS X」を2024年6月に販売開始しました。この製品はトイレ掃除の負荷を軽減し、ゆとりある暮らしを実現します。トイレ掃除でユーザーが最も大変だと感じている便器の内側などを「SATIS X」が自ら掃除するタンクレストイレであり、多くのお客さまからご好評をいただいています。
水栓事業では、これまで培ってきた浄水技術に、サントリー食品インターナショナル株式会社が開発した植物ミネラルエキスをプラスすることで、家庭の蛇口から冷たいミネラル入りの浄水を提供する新サービス「Greentap(グリーンタップ)」を2024年3月に販売開始しました。両社は、水道水が安全でもっとおいしく、もっと便利にすることを目指して「Greentap」を開発しました。この製品を通じて水道水の価値向上に貢献し、多くのお客さまに新たな価値を体験いただければと考えています。
浴室事業では、布製のたためる浴槽を備えた浴室空間「bathtope(バストープ)」を、2024年11月に販売開始しました。bathtopeは「お風呂はもっと、自由でいい。」をコンセプトに、暮らしを進化させる新時代の浴室空間として誕生しました。浴槽や空間を極限までシンプルにすることで浴室の可能性を広げる製品であり、今後の展開を非常に楽しみにしています。
また、LIXILはデジタル関連の取り組みも積極的に推進し、新たな価値をお客さまにお届けする努力を続けています。パブリックトイレの新しい空間提案サービス「A-SPEC Pro」を2024年10月より提供開始し、設計者の悩みを解消すると同時に、より快適なトイレ空間を提案します。さらにデザインの分野では、住環境や環境負荷を考慮したLIXIL商品のデザイン性が評価され、「2024年度グッドデザイン賞」において11点のアワードを受賞しました。
また、国際的デザイン賞である「Red Dot Award: Product Design 2024」では19点のアワードを受賞し、NODEAのパノラマウィンドウ「SEAMLESS」は、その年に「Red Dot Design Award」 を受賞した製品の中で最も高いデザイン品質と創造的なパフォーマンスが認めれた製品のみに与えられる最高位の賞「Best of the Best 2024」を獲得しました。これも、LIXILが世界に設置している6つの主要なデザインスタジオを通じて、世界市場における多様なニーズやトレンドを的確に汲み取り、最新のテクノロジーによって日々の暮らしの課題を解決してきた証左であると自負しています。
2024年に収めた多くの成果は、これまで進めてきた企業文化の変革が基礎となっています。先を見通すことが非常に難しい環境下においては、一人ひとりの従業員に適切な権限を移譲し、機動的に事業運営をしていく必要があります。また、市場の多様なニーズにお応えするためにも、多様なスキルを持つ従業員で組織を構成していく必要があります。今後もダイバーシティ&インクルージョンを推進し、人的資本の充実を図ることによって、より革新的でアジャイルな組織を作ってまいります。LIXILでの経験が豊かな人材、LIXIL以外での経験が豊富な人材、女性や若い世代、障がいのある人など、多様な人材が活躍できる組織への変革を今後も継続していきます。
市場環境は刻一刻と変化していきますが、厳しい環境の中にあっても、技術開発とイノベーションを通じて事業戦略と環境戦略の統合を進め、お客さまそして社会にとってより良い製品をお届けしていくことを続けて行きます。
2025年も弊社のパーパス(存在意義)である「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」に向けて、すべての従業員と共に邁進して参ります。本年も皆さまの一層のご指導、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
株式会社LIXIL 取締役 代表執行役社長 兼 CEO
瀬戸 欣哉
About LIXIL
LIXILは、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいを実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。ものづくりの伝統を礎に、INAX、GROHE、American Standard、TOSTEMをはじめとする数々の製品ブランドを通して、世界をリードする技術やイノベーションで、人びとのより良い暮らしに貢献しています。現在約53,000人の従業員を擁し、世界150カ国以上で事業を展開するLIXILは、生活者の視点に立った製品を提供することで、毎日世界で10億人以上の人びとの暮らしを支えています。
株式会社LIXIL(証券コード: 5938)は、2024年3月期に1兆4,832億円の連結売上高を計上しています。
LIXILグローバルサイト:https://www.lixil.com/jp/
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