2025/02/12

第395回宮城県議会知事説明要旨

宮城県  

掲載日:2025年2月12日

第395回宮城県議会知事説明要旨

令和7年2月12日

第395回宮城県議会知事説明要旨

本日ここに第395回宮城県議会が開会され、令和7年度一般会計当初予算案をはじめとする提出議案を御審議いただくに当たり、令和7年度の県政運営の考え方と議案の概要を御説明申し上げます。

説明に先立ちまして、昨年9月、囲碁の主要な国際大会である第10回応氏杯世界選手権において、本県出身の一力遼さんが見事優勝されました。本大会での優勝は日本勢初の快挙であり、その功績をたたえ、県民栄誉賞を授与いたしました。ここに改めて、心からお祝いを申し上げますとともに、県民に夢と希望を与えていただきましたことに深く感謝いたします。

それでは、御説明いたします。
我が国経済は、雇用・所得環境が徐々に改善しており、物価高の影響を受けつつも景気は緩やかに回復しております。今後の経済見通しについて、国では総合経済対策の効果も想定し、GDPは実質で1.2パーセント程度のプラス成長を見込んでおりますが、中東地域の紛争など国際情勢は一段と緊迫化しており、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等の影響には十分注意が必要とされております。
また、我が国は本格的な人口減少社会に突入しており、特に地方においては大都市圏への流出に歯止めがかからず、地域経済に深刻な影響を及ぼしております。その課題解決のためには、若者や女性からも選ばれる地域社会の構築が重要であり、本県では、先月17日に日本創生に向けた人口戦略フォーラムを開催し、人口減少問題に対する危機感と課題意識の共有を行い、官民が一体となって、この難局に立ち向かう決意を表明いたしました。我が県としましても、人口減少克服に向けた取組をより一層推進するとともに、経済が揺れ動く中においても、地域が持続的に成長できる強固な基盤づくりに意を用いていかなければならないと思いを新たにしたところであります。

私は、知事就任から20年目を迎えました。これまで富県宮城の実現を掲げ、民の力を最大限生かした県政運営に全力で取り組んできた成果は、ものづくり産業の集積へと実を結び、雇用創出や地域経済の活性化につながっているほか、震災復興の原動力にもなっているものと感じております。こうした経済基盤を更に確固たるものにし、それぞれの地域が活力を維持し力強く発展が遂げられるよう、来年度は、人口減少対策、DXによる変革みやぎの実現、そして半導体をはじめとする成長産業の誘致・育成の3つを重点項目に掲げ、宮城の新たな時代を切り開くという気概を持ち、全身全霊を傾けて取り組んでまいります。
1つ目の人口減少対策については、まずは少子化の流れを変えることが重要であります。若い世代が将来に希望を持ち、安心して子どもを生み育てられるよう、結婚や子育て、不妊に悩む方への支援、産前・産後ケアの強化など、ライフステージに応じた切れ目のない少子化対策を進めてまいります。また、当面の人手不足への対応では、質の高い雇用創出や若者の県内定着促進、外国人材の受入確保に向けた各種施策に一体的に取り組んでおりますが、外国人材に関しては、国際的な獲得競争が激しさを増していることから、更なる協力体制の構築が必要となっております。そのため、昨年12月、私はカンボジア政府を訪問し、ベトナム、インドネシアに続き3例目となる、人材確保に関する覚書を締結し体制強化を図ったところであります。また、受入体制の整備に向けては、今年4月に、大崎市において全国で2例目となる公立日本語学校の開校が予定されており、日本語学習のみならず、地域社会での様々な交流を通して、多文化共生のまちづくりが進んでいくものと考えております。引き続き、各国の人材送り出し機関や関係団体等と連携を図り、我が県の魅力発信とともに、安心して生活できる環境を整え、持続可能な地域社会の実現を目指してまいります。
次に、2つ目のDXによる変革みやぎの実現についてであります。急速に進展する人口減少社会を乗り越えるためには、様々な分野でAIやロボットなどのデジタル技術の社会実装を進め、業務効率や生産性の向上を図っていくことが極めて重要であります。我が県は「DXによる変革みやぎ」を掲げ、県民一人ひとりがデジタル化の恩恵を受けられる社会づくりを目指し、デジタル人材の育成・確保に加え、農林水産業のスマート化や介護テクノロジーの利用促進のほか、ICTの活用による教育環境の充実などを進めているところであります。来年度におきましても、各分野のデジタル化を推進するほか、世界的な大手IT企業と連携し、地域課題の解決に向けた先進的な取組や高齢者に対するデジタルリテラシーの向上などを積極的に進めてまいります。県民向けDX施策に関しては、県窓口におけるキャッシュレス決済や行政手続の電子申請等の導入を着実に進めるとともに、防災面に有効なデジタル身分証アプリの普及に向けて、引き続き地域ポイント付与事業との連携を図るほか、災害時と日常時の両方で利便性の高い県民アプリとして活用されるよう、既存のミニアプリの普及に加え、市町村や民間企業とも連携して幅広い分野での利用を促進してまいります。
次に、3つ目の半導体をはじめとする成長産業の誘致・育成についてであります。我が県産業が持続的に発展していくためには、新産業の創出や様々な産業分野でのイノベーションを促進し、付加価値の創出や生産性の向上を図っていくことが不可欠であり、そのためには、新たな産業の誘致・集積に取り組んでいくことが必要であります。とりわけ我が国の経済安全保障上、極めて重要な戦略物資であり、今後も持続的な市場成長が見込まれる半導体産業は、他のものづくり産業の成長にも欠かせない分野であります。本県では、これまでの誘致活動を通じて、業界特有のスピード感ある投資判断に適切に対応できる様々なノウハウが培われており、こうした知見を最大限発揮して、半導体関連産業の誘致・集積と必要な人材育成・確保、取引創出などに果敢に取り組んでまいります。

我が県の重要な基幹産業である観光産業の発展に向けては、交流人口の更なる拡大とともに、DX等の社会変革にも対応できる観光地域づくりを進めていくことが重要であります。特にインバウンドについては、我が国における昨年の訪日外国人が過去最多を更新し、韓国や中国、台湾などアジアからの客足の好調に加え、欧米からの訪日客も大きく伸びており、本県も時機を逸することなく迅速かつ積極的に施策を展開し、我が県のみならず、東北全体のインバウンド需要の拡大につなげていく必要があります。
このことも踏まえながら、宿泊税の導入に関しては、引き続き宿泊事業者の皆様への丁寧な説明に努めるほか、仙台市と協力し制度の広報・周知を図ってまいります。また、特別徴収義務者の負担軽減を図る観点から、問い合わせに対応するカスタマーセンターの設置やレジシステム改修への助成を行うとともに、宿泊税活用施策について、みやぎ観光振興会議などで地域の実情に関する御意見を伺いながら、国内外からの誘客促進に向けた取組を早期にお示しできるよう検討を進めてまいります。このため、初年度となる来年度の税収分については、新たに設置する基金に積み立てを行い、活用施策の調整が整い次第、財源として活用してまいりたいと考えております。今後とも、我が県の観光産業の更なる発展に向けて、地域と一体となって進めてまいりますので、議員各位におかれましては、御理解・御協力を賜りますようお願い申し上げます。

農林水産分野については、人口減少に伴う市場規模の縮小が懸念される中、海外市場の開拓も重要な戦略であります。我が国の貿易を巡っては、環太平洋パートナーシップ協定に新たに英国が加入するなど経済連携の枠組みは欧州にも拡大しており、さらに、日本の伝統的酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録決定され、これらを契機に日本食材の認知度向上と販路拡大が更に進むものと考えております。県内においても、近年好調な農産物や食品の輸出に拍車がかかることが期待され、引き続き農林水産物等の販路拡大に向けて全力で取り組んでまいります。

このほか、近年全国的に公務員離れが深刻化する中、本県組織が多様化・複雑化する行政ニーズに適切に対応していくためには、これまで以上に職員確保に注力する必要があります。このため、昨年10月に策定した職員確保緊急プランの下、公務の魅力発信や採用試験の見直し、多様な働き方の実現などに積極的に取り組み、応募者確保のほか、職員一人ひとりが県政の推進にやりがいを持ち、公務を遂行できる環境を整備してまいります。


(当初予算の編成方針)
次に、当初予算編成に当たっての基本的な考え方を御説明申し上げます。
国の令和7年度予算案は、総合経済対策の裏付けとなる令和6年度補正予算と合わせて、賃上げと投資が牽引する成長型経済へ移行するための予算として編成され、一般会計総額は3年連続で110兆円を超える規模となりました。
地方財政対策では、社会保障関係経費や人件費等の増加が見込まれる中、DXの推進や防災・減災対策、こども・子育て政策の強化などの重要課題に取り組みつつ、地方一般財源の総額は前年度を上回る額が確保されました。また、臨時財政対策債の新規発行が平成13年度の制度創設以来、初めて計上されなかったことは、私が全国知事会長として要望してきた地方財政の健全化に向けた大きな前進であると高く評価するものであります。

「新・宮城の将来ビジョン」の中間年にあたる令和7年度当初予算案は、昨年10月に策定した「令和7年度政策財政運営の基本方針」に基づき、東日本大震災で被災された方々の心のケアをはじめとするきめ細かなソフト対策のほか、人口減少局面における地域経済社会の持続性確保、大規模化・多様化する自然災害への備えなどを目的として、5つの「政策推進の基本方向」に基づき、編成したものであります。
以下、主な施策について、「政策推進の基本方向」に沿って御説明申し上げます。

(被災地の復興完了に向けたきめ細かなサポート)
初めに、東日本大震災からの復興完了に向けたきめ細かなサポートについてであります。
国では、第2期復興・創生期間後となる令和8年度以降の方向性として、復興事業は国全体の施策を総合的に活用していく見通しでありますが、被災された方々の心のケアなどのソフト面や東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する諸課題については、地域の実情に配慮した丁寧かつ継続的な支援が必要であります。被災地の復興が成し遂げられるまで必要な国の財政支援が確実に講じられるよう、引き続き強く要望していくとともに、来年度におきましても、被災者に寄り添いながら地域の実情に応じた支援にしっかりと取り組んでまいります。
生活再建の状況に応じた切れ目のない支援に関しては、NPO等による様々な活動や住民が主体となる地域コミュニティの再生に向けた取組への支援に加え、学生の活動への参画を促進します。被災された方々の心のケアについては、みやぎ心のケアセンターによる支援のほか、学校生活に不安を抱える児童生徒に対し、スクールカウンセラーの配置・派遣やみやぎ子どもの心のケアハウスにおける支援を継続します。また、回復途上にある産業・なりわいの下支えとして、被災事業者への専門家派遣を通じた事業継続、雇用維持・拡大に向けたサポートに引き続き取り組みます。
東京電力福島第一原子力発電所事故被害への対応については、農林水産物を対象とした放射性物質検査を実施し安全性を広く発信するとともに、8,000ベクレル以下の農林業系廃棄物について各市町が地域の実情に応じて進めている処理への支援を継続します。

震災の記憶・教訓の伝承と復興事業のフォローアップとしては、みやぎ東日本大震災津波伝承館を活用した国内外への情報発信や震災伝承みやぎコンソーシアムの更なる連携強化を図ります。また、東日本大震災からの復旧・復興状況を踏まえた第5次地震被害想定調査の結果を活用し、引き続き地震や津波に関する防災意識の醸成と対策の強化を図るほか、震災当時、被災児童だった方を対象に振り返り調査を行い、その結果を子ども関連災害対応マニュアルに反映してまいります。

(富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進)
次に、富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進についてであります。
ものづくり産業等の発展と新技術・新産業の創出については、国内のサプライチェーンの強靱化を図るとともに、今後成長が見込まれる産業分野の集積を目指し、企業誘致活動を一層強化します。特に半導体関連産業の誘致・集積に向けては、技術力のある人材の育成・確保が不可欠であることから、高度な知見を持つ東北大学による半導体人材育成プログラムの開発を支援することにより、県内学生等が半導体について学ぶ機会の拡大を図ります。
中小企業におけるDXの推進に関しては、社内のデジタル化を進める中核人材の育成やシステム構築及び機器整備等への支援を継続します。加えて、物価高で売上が減少している中小企業等を対象に販路開拓、生産性向上等の取組を支援するとともに、訪日外国人向けの商品開発や集客対応などの受入態勢の強化に取り組む商工団体に対して助成を行います。県経済を牽引する新たな企業価値の創造に向けては、テクスタ宮城におけるテック系スタートアップへの成長支援やイノベーション創出に向けたものづくり企業との連携を推進します。さらに、次世代放射光施設ナノテラスを核として、リサーチコンプレックスの形成に向け、研究開発拠点及び関連企業の立地を促進するほか、中小企業に加え、教育機関での施設利用の拡大を図ります。

観光産業と商業・サービス業の振興に関しては、国内からの観光誘客の促進を継続するとともに、インバウンド需要の拡大を目指し、デジタルマーケティングを戦略的に活用しながら、訪日旅行への関心が高い地域への現地セールスや招請事業等を実施します。中でも長期滞在や周遊が期待できる欧州からの誘客拡大に向けて、観光プロモーションの実施や受入環境の整備を強化します。また、今年秋に開催予定の国際的ウォーキングイベントを通じて、本県観光の認知度向上及び誘客促進を図るほか、歴史的資源を活用した魅力ある観光地域を目指し、昨年創建1300年を迎えた国の特別史跡である多賀城跡の政庁復元に向けて、有識者を交えた検討を進めます。
地域を支える農林水産業の国内外への展開では、近年、消費者の意識や消費行動が変化していることを踏まえ、県産品アンテナサイトによるデジタルマーケティングの展開に加え、リアルとデジタルの双方のメリットを活かし、その場でもECサイトでも購入可能な物産展を開催してまいります。
農業分野に関しては、RTK基地局を活用したスマート農業の普及を図るため、コンソーシアムによる連携促進やコンシェルジュによる生産者へのサポート、実践的な研修を継続します。また、引き続き収益性の高い園芸品目への転換や先進的な園芸DX技術の導入を促進し、特に東南アジアを中心に需要が伸びているいちごの生産拡大に向けた取組を強化します。さらに食料安全保障の観点から、耕畜連携による循環型農業を拡大させるため、家畜由来の堆肥利用を促進するとともに、県産飼料の増産を推進し飼料自給率を高め、外的要因に左右されにくい畜産経営の体質強化を図ります。
水産業においては、海洋環境の変化に対応するため、魚種転換など新たな操業体制の構築に必要な漁具等への支援に加え、高水温に対応した養殖技術や新規養殖種の導入に向けた取組を進めます。あわせて安定供給を可能とするギンザケ等の陸上養殖の普及拡大を推進します。水産業の担い手の育成・確保については、みやぎ漁師カレッジを通じて人材や経営体の育成に一層力を入れるほか、リース方式による若手漁業者の漁船・漁具の導入への支援を継続します。
林業については、広葉樹の利活用に向けたビジネスモデルの構築を図るため、事業者へのスタートアップ支援として流通や商品開発等への助成を行うほか、非住宅分野への木質建材の活用に向けた支援を行います。また、みやぎ森林・林業未来創造カレッジを通じて、担い手の確保・育成や就業環境の向上を図ります。
若者をはじめとした多様な産業人材の育成・確保については、首都圏や県内の大学生等を対象とした複数の企業で実習ができるパッケージ型インターンシップを継続するとともに、就職情報の発信強化に加え、県内就職を促進するために県外学生の就職活動を支援します。さらに、産業界や理工系学部を有する県内私立大学と一体となって実施している、ものづくりカレッジプロジェクトを拡充し、地域産業を支える人材の確保や定着につなげます。外国人材の確保に向けては、インドネシアの人材送り出し機関等を招いたジョブフェアを県内で開催し、県内企業とのマッチングを進めるほか、カンボジアからの人材受入促進に向けたネットワーク構築を図ってまいります。受入環境の整備では、外国人材の受入・定着に課題を抱える企業に対して専門家派遣により支援を行うほか、技能実習生等がスキルアップに資するための資格取得を行う際の費用に助成を行います。加えて、4月に開設を予定している「おおさき日本語学校」の安定運営に向けた支援を継続します。
宮城・東北の価値を高める産業基盤の整備・活用に関しては、引き続き(仮称)栗原インターチェンジや主要地方道仙台三本木線の整備を進め、周辺の工業団地と東北自動車道やみやぎ県北高速幹線道路とのアクセス向上を図ります。また、仙台塩釜港においては、物流業界におけるモーダルシフトを見据えポートセールスに一層力を入れるほか、仙台空港関連では、新規就航や増便、航空機の大型化等を行う航空会社を引き続き支援するとともに、若者を対象とした航空券及び全世代を対象としたパスポート取得費用への助成制度を拡充し、アウトバウンドの需要拡大に向けた取組を強化します。

(社会全体で支える宮城の子ども・子育て)
次に、社会全体で支える宮城の子ども・子育てについてであります。
結婚・出産・子育てを応援する環境の整備に関しては、引き続きAIを活用したマッチング支援を行うみやぎ結婚支援センター「みやマリ!」を通じて、結婚希望者の出会いの機会を創出します。また、子どもを希望する夫婦への支援として、不妊検査や不妊治療の経済的負担を軽減する市町村への助成に加え、産後ケア事業所が受入枠を拡大するための取組に対する支援を拡充します。さらに、既存の結婚応援及び子育て支援のパスポートをアプリ化し利便性を向上させるとともに、子どもが生まれた世帯に対して新たに地域ポイントを付与し、経済的支援と子育ての負担軽減を図ります。このほか、一定期間以上の男性育児休業取得を促進するため、新たに取組を進める中小企業に対して奨励金を支給します。
家庭・地域・学校の連携・協働による子どもを支える体制の構築については、市町村や活動団体と連携し子どもの貧困対策や居場所づくりに継続して取り組みます。また、増加する一時保護児童の受入強化を図るため、社会福祉法人が整備する一時保護専用施設に対して助成を行うとともに、実態把握が難しいヤングケアラーについて、市町村や関係機関の職員の対応力向上を図り、早期発見及び適切な支援につなげます。
多様で変化する社会に適応し、活躍できる力の育成に関しては、児童生徒一人ひとりの確実な学力定着に向けた授業改善の取組を進めます。あわせて県立学校や市町村立中学校への部活動指導員の配置や公立中学校における部活動の地域移行に向けた実証事業を継続します。
安心して学び続けることができる教育体制の整備については、教員の負担軽減を図り、児童生徒への学習指導等により注力できるよう、小中学校においてスクールサポートスタッフの配置を継続するとともに、県立高校では、採点業務のデジタル化を推進するほか、入学試験業務にウェブ出願システムの導入を進めます。
また、教室に入ることに不安を抱える児童生徒への支援については、学び支援教室の設置や別室支援員の派遣に加え、新たに市町村が配置する支援員に対して助成を行い、個別の学習支援等の充実を図ります。


(誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくり)
次に、誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくりについてであります。
就労や地域活動を通じた多様な主体の社会参画の促進については、女子学生の県内就職を促す観点から、学生による企業訪問や女性が働きやすい職場環境づくりに向けた支援を継続します。安心して障害者が働き続けられる環境整備に向けては、引き続き地域のネットワーク構築を進め、障害への理解や雇用に関する知識の共有と企業間交流を促進します。また、市町村や関係団体等と連携を図り、みやぎ移住サポートセンターを拠点として首都圏等からの移住を推進します。
文化芸術・スポーツ活動と生涯学習の振興に関しては、美術館のリニューアルを着実に進めるとともに、県民会館及び民間非営利活動プラザ複合施設の建設工事に着手するほか、開館に向けた組織及び運営体制の強化を図ります。また、スポーツの振興では、県内就職を希望する競技経験者と企業とのマッチングへの支援を継続し、地域の指導者としても活躍できる人材の確保につなげます。
生涯を通じた健康づくりと持続可能な医療・介護サービスの提供については、介護人材の確保に向けて、外国人材の活用を促進するほか、職員の負担軽減と業務効率化を図るため、介護ロボットやICT導入への支援を拡充します。また、薬剤師、歯科技工士を目指す学生向けの新たな修学資金貸付制度を設けます。仙台医療圏における病院再編に関しては、仙台赤十字病院と県立がんセンターを統合して整備する新病院の基本計画の策定に対する支援に加え、後年度の財政需要を見据えて地域医療介護総合確保基金への積み増しを行います。県立精神医療センターについては、老朽化対策を講じつつ、身体合併症への対応を含めた県全体の精神医療の中で求められる機能など、建替えに向けた検討を進めます。さらに、地域医療構想に基づき医療機関の機能集約・再編を行う大崎市民病院やみやぎ県南中核病院に対して施設整備等への助成を行います。がん医療提供体制の整備に向けては、がん診療連携拠点病院以外の病院を対象に県独自指定制度を創設し、連携体制の強化を図ります。あわせて救急隊や医療機関の負担軽減のため、おとな救急電話相談の24時間運用を開始するほか、生活習慣病予防のための健康増進アプリの運用など、医療健康面でのDX化についても取組を強化いたします。
障害の有無に関わらず安心して暮らせる社会の実現に向けては、医療的ケア児者やその家族を支えるための相談支援センターの継続に加え、市町村における災害時支援体制の整備を進めるほか、介護負担を軽減する観点から医療型短期入所事業所の開設を促進します。さらに、精神障害を持つ方が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、地域移行・地域定着に向けた取組やピアサポート活動に対する支援などに一層力を入れ、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進します。また、障害者の経済的自立と社会参加に向けて、みやぎの福祉的就労施設で働く障害者官民応援団の取組を更に進め、就労継続支援事業所における受注機会の確保・充実とともに、工賃向上の実現を図ってまいります。
暮らし続けられる安全安心な地域の形成については、持続可能な生活交通を確保する観点から、市町村が実施する路線再編や新たなモビリティサービスの提供、ローカル線の利用促進に向けた取組を支援します。警察関係では、岩沼警察署の建設を着実に進めるほか、増加する特殊詐欺被害を防止するため、特殊詐欺電話撃退装置等の設置への補助に加え、金融機関における振込型の被害防止対策を継続するとともに、サイバー犯罪対策として、人材育成や解析資機材を整備し体制強化を図ります。


(強靱で自然と調和した県土づくり)
次に、強靱で自然と調和した県土づくりについてであります。

環境負荷の少ない地域経済システム・生活スタイルの確立に関しては、ステム・生活スタイルの確立に関しては、事業所や住宅における太陽光発電設備、蓄電池・電気自動車等の導入促進を図るほか、太陽光発電を活用した先進的なモデルを構築する事業者等を支援します。また、次世代エネルギーの利活用による脱炭素化を促進するため、水素を燃料とした商用車を導入する事業者に対して助成を行います。加えて県有施設については、自家消費型太陽光発電設備の導入やZEB化・省エネ化を進めてまいります。
豊かな自然と共生・調和する社会の構築に向けては、イノシシやニホンジカなどの野生鳥獣の個体数調整や鳥獣被害防止に向けた取組を継続するとともに、全国各地でクマ被害が相次いでいることを踏まえ、ツキノワグマ被害対策に一層力を入れて取り組みます。また、農山漁村地域の所得向上と活性化に向けて、農泊地域間の連携による広域周遊ビジネスモデルの展開に加え、地域資源を活用した六次産業化や農商工連携等による取組を支援します。今年10月に本県で初めて開催される第48回全国育樹祭の成功に向け、お手入れや式典、記念行事などの準備を着実に進めてまいります。
大規模化・多様化する災害への対策の強化においては、今年度補正予算に計上した防災・減災、国土強靱化の施策と併せて、防災道路ネットワークの整備や流域治水対策、土砂災害対策等の強化に向けた取組を推進します。さらに、地域の防災力向上のため、水災・地震保険の加入促進に加え、地域の実情に即した実効性のある災害ケースマネジメントの実施体制を構築してまいります。
生活を支える社会資本の整備、維持・管理体制の充実については、道路、河川などの予防保全型の長寿命化対策を推進するほか、みやぎ型管理運営方式を着実に実施するとともに、市町村等による上下水道事業の経営基盤強化に向けた取組を支援します。

以上、施策の主な内容について御説明申し上げましたが、令和7年度の当初予算規模は、一般会計で1兆264億8,050余万円、総計で1兆5,211億6,040余万円となります。財源の主なものとして、県税3,356億円、地方交付税1,592億円、国庫支出金1,527億6,020余万円、繰入金2,260億7,650余万円を計上し、また、借換債を含め県債1,624億2,300万円を発行することにしております。

次に、予算外議案については、条例議案19件、条例外議案3件を提案しておりますが、そのうち主なものについて概要を御説明申し上げます。
まず、条例議案でありますが、議第16号議案は、循環器病対策推進計画の策定等に関する事項を審議するため、協議会を設置しようとするもの、議第17号議案は、児童福祉法の改正に伴い、一時保護施設の設備及び運営に関する基準について必要な事項を定めようとするもの、議第18号議案は、宿泊税の税収及び経費の適正な管理を行うための基金を設置しようとするものであります。また、議第23号議案は、キャッシュレス決済の導入に伴い収入証紙を廃止するため、関係条例について所要の改正を行おうとするもの、議第24号議案は、土砂災害防止の観点から宅地造成及び特定盛土等規制法による規制区域として県全域を指定することに伴い、許可等に係る手数料の新設及び改定を行おうとするもの、議第33号議案は、県営住宅等における自治会等の負担軽減を図るため、共益費を県が徴収することができるようにしようとするものであります。
次に、条例外議案でありますが、議第35号議案は、学校給食に関する事務の委託の変更について、議第36号議案は、包括外部監査契約の締結について、議第37号議案は、市町村受益負担金について、それぞれ議会の議決を受けようとするものであります。以上をもちまして、提出議案に係る概要の説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議を賜りまして可決されますようお願い申し上げます。

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