2025/12/04

自動車のさらなる省エネルギー化に貢献! 軸受トルクの高精度な計算手法を開発 <新技術>

NTN 株式会社 

自動車のさらなる省エネルギー化に貢献!
軸受トルクの高精度な計算手法を開発 2025年12月4日
  • トルク増加のメカニズムを解明、将来の軸受の低トルク化技術の開発に応用

NTN株式会社(以下、NTN)は、オイル潤滑下の玉軸受が高速回転する際のトルク計算の精度を従来比で最大50%向上させた新たなトルク計算方法を開発しました。本技術を軸受のさらなる低トルク化技術の開発にも応用するとともに、お客さまの設計時における机上計算の精度向上に貢献してまいります。

軸受トルクは適用されるアプリケーションのパフォーマンスや省エネルギー性などに大きく関わる性能で、お客さまのアプリケーションに軸受を適用した際の軸受トルクは、通常、軸受メーカーが自社で開発した計算プログラムを用いて行います。

近年、EV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)の省エネルギー化が進められる中、これらの車両のモーターや減速機に使用される軸受の低トルク化は普遍的な課題です。これらの軸受は従来よりも高速回転性能が求められるために、高速回転条件下でもより高精度にトルクを計算する手法の開発が求められていました。

新たに開発したトルク計算手法は、軸受のボールが通過する軌道面に着目し、ボールと軌道面の接触域と非接触域を分離して計算するものです。従来は接触域のみを計算対象としていましたが、新たに非接触域も計算対象とすることで、トルクを発生させる要因をより細かく計算でき、各要因がトルク増加につながるメカニズムを明らかにすることに成功しました。本手法により高速回転条件におけるトルク計算の精度を従来比で最大50%向上させることに成功しました。本手法を幅広い条件下で用いることができる計算式を作成し、社内の計算プログラムへの適用を完了しています。

本手法はトルク増加に影響を与える要因を明らかにしたことにより、これまで軸受の内部設計面でトルク減少に有効とされていたアプローチの妥当性の説明や、各使用条件においてどのような低トルク化の内部設計が有効であるかを短時間で明らかにすることも可能となります。本手法を用いて将来的には、潤滑油や保持器など軸受を構成するさまざまな要素における軸受の低トルク化技術の開発にも応用してまいります。

加えて、高速回転条件下におけるトルク計算の精度向上により、当社内の工数削減も可能で、今後さらなる需要拡大が見込まれるEV用軸受の検討・提案スピードの向上にもつなげてまいります。

NTNは今後もさまざまな研究・技術開発を通じて、EVやHEVをはじめとする各分野における低トルク化および省エネルギー化ニーズに対応するとともに、MBD(モデルベース開発)などデジタル技術の活用による研究・開発活動の高度化ならびに開発スピードの向上に取り組んでまいります。

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