2026/04/06

ケレンディア(R)の左室駆出率40%以上の成人心不全患者に対する新適応が欧州連合で承認

バイエルホールディング 株式会社 

April 06, 2026

ケレンディア(R)の左室駆出率40%以上の成人心不全患者に対する新適応が欧州連合で承認

  • 幅広い患者背景を持つ左室駆出率(LVEF)40%以上の心不全患者約6,000名を対象とした第Ⅲ相臨床試験FINEARTS-HFの結果に基づきケレンディア(R)が欧州連合(EU)で承認
  • ケレンディア(R)(フィネレノン)はLVEF 40%以上の心不全患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験で統計学的有意かつ臨床的に意味のある心血管ベネフィットを示したミネラルコルチコイド受容体(MR)経路を標的とする初めての薬剤
  • 欧州の心不全患者1,500万人以上1のうち約50%がLVEF 40%以上の心不全2,3,4
  • LVEF 40%以上の心不全に対して承認されガイドラインに基づく治療選択肢はこれまで限られており、心不全による入院や死亡は依然として多い

ドイツ・ベルリン、2026年3月30日 ― ドイツ・バイエル社は、非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)ケレンディア(R)がLVEF 40%以上、すなわちLVEFの軽度低下した心不全(HFmrEF)またはLVEFの保持された心不全(HFpEF)の治療薬として、欧州委員会(EC)より承認されたことを本日発表しました。EUにおいてケレンディア(R)(10mg、20mg、40mg)は、LVEF 40%以上の成人症候性慢性心不全の治療薬として承認され、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)患者に対する既存の適応が拡大されました。

ハーバード大学医学部教授、マス・ジェネラル・ブリガム臨床試験アウトカムセンター所長で、FINEARTS-HF試験運営委員会委員長であるスコット・D・ソロモン氏は次にように述べています。「LVEF 40%以上の心不全患者は数が多い上、増加傾向にある予後不良な患者集団であり、心不全の増悪による再入院や高い死亡リスクなど、大きな臨床的課題に直面しています。フィネレノンは、心不全の主要な病態要因であるMRの過剰活性化に対処します。FINEARTS-HF試験で示された有効性に基づき、アンメットメディカルニーズが依然として高いLVEF 40%以上の心不全患者において、フィネレノンが予後改善に向けた包括的ケアの新たな柱となり得るでしょう」

ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門グローバル製品戦略&コマーシャライゼーション担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントのクリスティーン・ロスは次のように述べています。「EUにおけるケレンディア(R)の新たな適応の承認は、欧州の何百万人ものLVEF 40%以上の心不全患者さんにとって素晴らしいニュースです。当社は、適応となる患者さんの予後を改善するために、この重要で新しい治療選択肢を使用できるよう尽力しています。FINEARTS-HF試験で示されたとおり、ケレンディア(R)は患者背景や併用療法にかかわらず、心不全イベントと心血管死の複合リスクを低減する有効性が示されています。CKDおよび/または心不全を有する多様な患者集団を対象に、被験者2万人以上が参加した5つの第Ⅲ相臨床試験から得られた強固なエビデンスは、ケレンディア(R)がLVEF 40%以上の心不全およびCKDの両方において、基礎治療薬となる可能性を裏付けています」

世界中で6,400万人以上5,6、欧州だけでも少なくとも1,500万人が心不全に罹患しており、心不全は社会全体で健康を守る活動を進める上で、急速に深刻化している課題です。心不全患者の約半数は、LVEF 40%以上の心不全であり、CKD、高血圧、心房細動などの複数の併存疾患があることが多く、これが入院や死亡率の増加の一因となっています。現在、LVEF 40%以上の心不全患者には承認され、ガイドラインに基づく治療選択肢が限られている一方で、心血管イベントのリスクが高い状況にあります。疫学データの傾向より、LVEF 40%以上の患者層が、間もなく心不全による入院患者の大多数を占めるようになると予想されています。繰り返される入院は、心不全に関連する費用の主要因となっており、EUにおける心不全入院費用は年間290億ユーロと推定されています7

ECの承認は、第Ⅲ相臨床試験FINEARTS-HFの結果に基づいています。本試験では、標準治療に上乗せ投与したフィネレノンが、心血管死およびすべて(初発および再発)の心不全イベント(心不全による入院または緊急受診)からなる複合主要評価項目をプラセボと比較して有意に減少したことが示されました。主要評価項目で示されたフィネレノンの有効性は、併用療法、併存疾患、入院状況にかかわらず一貫しており、LVEFやベースラインでのSGLT2阻害薬の使用有無に基づく患者サブグループにおいても同様でした。FINEARTS-HF試験の結果は、2024年欧州心臓病学会(ESC)学術集会で発表され、医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに同時掲載されました。本試験は、現在進行中のMOONRAKER臨床試験プログラムの一環です。同プログラムは、15,000名以上の被験者を対象とする心不全領域においてこれまでで最大規模の第Ⅲ相臨床試験プログラムの一つであり、幅広い患者層および臨床背景の心不全におけるフィネレノンの包括的な理解を確立することを目的としています。

非ステロイド型選択的MRAであるフィネレノンは、MR経路を標的とし、LVEF 40%以上の心不全患者、2型糖尿病を合併するCKD患者、1型糖尿病を合併するCKD患者、および非糖尿病性CKD患者を対象とした計5つの第Ⅲ相臨床試験において、それぞれ心血管および/または腎臓に対するベネフィットが示された初めての薬剤です。米国では優先審査指定を経て2025年7月に、フィネレノンがLVEF 40%以上の心不全に対する治療薬として承認されました。日本、その他のいくつかの国・地域、さらに現在はEUにおいても、フィネレノンはLVEF 40%以上の心不全に対して承認されています*。中国を含むその他の国・地域では、LVEF 40%以上の心不全への適応拡大申請が現在審査中です。フィネレノンは2021年以降、ケレンディア(R)(一部の国ではFirialta(TM))の名称で販売されています。米国、欧州、日本、中国を含む世界100カ国以上で、2型糖尿病を合併する成人CKDに対する治療薬として承認されています。

* 日本における効能・効果:慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。

【ケレンディア(R)/Firialta(TM)(フィネレノン)について】

ケレンディア(R)およびFirialta(TM)は、フィネレノンの世界的に保護された商標です。フィネレノンは非ステロイド型選択的MRAであり、MRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されています。MRの過剰活性化は、代謝、血行動態、炎症や線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKDの進行や心血管障害に関与します。

フィネレノンの臨床試験プログラムFINEOVATEは現在、心不全とCKDをそれぞれ対象とした第Ⅲ相臨床試験10試験で構成されています。MOONRAKERプログラムには、完了した第Ⅲ相臨床試験FINEARTS-HFに加え、進行中の研究者主導共同試験であるREDEFINE-HF試験、CONFIRMATION-HF試験およびFINALITY-HF試験が含まれています。一方、CKDのTHUNDERBALLプログラムは、完了した第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、FIND-CKD、FINE-ONE、第Ⅱ相臨床試験CONFIDENCEに加え、進行中の小児患者集団を対象としたFIONA試験、FIONA-OLE試験で構成されています。

【FINEARTS-HF試験について】

FINEARTS-HF試験は、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同、イベント主導型の第Ⅲ相臨床試験です。過去12カ月以内に何らかの検査法によりLVEF 40%以上と確認され、無作為割り付け前の少なくとも30日間、利尿薬を投与されている症候性心不全患者[ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類Ⅱ~Ⅳ度]を対象に、心血管死および心不全イベントの抑制に対するフィネレノン(ケレンディア(R))の有効性と安全性を検討しました。FINEARTS-HF試験の主要評価項目は、心血管死およびすべて(初発および再発)の心不全イベント(心不全による入院または緊急受診)からなる複合評価項目でした。

世界37カ国、630カ所以上の施設より約6,000人の被験者が無作為割り付けされ、フィネレノンまたはプラセボが1日1回投与されました。また、本試験の被験者は、症状や併存疾患の治療のために標準治療を受けました。

【心不全について】

心不全は複雑な臨床症候群であり、体内の血液および酸素需要に見合った十分な血液を心臓に満たし、送り出すための心臓のポンプ機能が徐々に低下することが特徴です。世界中で6,400万人以上が心不全に罹患しており、65歳以上の入院の主要因となっています8,9。高齢化の影響もあり、心不全の患者数は今後10年間で大幅に増加すると予測されています10。心不全患者は予後不良であり、その死亡率は最も一般的ながんと同程度かそれ以上です9。心不全には複数の併存疾患が組み合わさることがあり、心不全患者の半数以上が肥満、CKD、糖尿病、高血圧、心房細動などを有しています。心不全の症状には、めまい、息切れ、疲労、睡眠障害、胸部不快感、浮腫(下肢の腫れ)、慢性的な咳や喘鳴などが挙げられます。

心不全の危険因子には、高血圧、糖尿病、喫煙、心筋梗塞の既往、冠動脈疾患などがあります。治療の進歩にもかかわらず、心不全と診断された人の約30%が1年以内に亡くなり、5年後には約40%に増加します11

LVEF(左室が収縮するたびにどれくらいの血液を送り出すかを示す心機能の指標)により分類すると、心不全は以下3つの異なるカテゴリーに分けられます:

  • LVEFの低下した心不全(HFrEF)は、収縮期に酸素を豊富に含む血液を十分に送り出す心臓のポンプ機能が低下していることが特徴で、LVEFは40%以下です。
  • LVEFの軽度低下した心不全(HFmrEF)は、LVEFが41~49%で、心臓のポンプ機能に何らかの障害がある患者さんのカテゴリーです。
  • LVEFの保たれた心不全(HFpEF)は心臓の硬化が特徴で、左心室が血液で満たされて十分に拡張できないため充満異常を来しており、LVEFは50%以上です。

LVEF 40%以下、LVEF 40%以上がそれぞれ心不全症例の約半数を占めますが、LVEF 40%以上の心不全患者では、心血管疾患および心血管疾患以外の併存疾患の負担がより大きくなります。疫学データの傾向より、LVEF 40%以上の心不全患者が、心不全入院患者の大部分を占めるようになる日が近いことが示唆されています。LVEF 40%以下の心不全では治療が進歩していますが、LVEF 40%以上の心不全では治療選択肢が限られています。

※フィネレノンの日本における効能・効果のうち「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。」について: 日本人部分集団では、第Ⅲ相臨床試験FIDELIO-DKDの主要評価項目の複合エンドポイントにおいて、フィネレノンのプラセボに対するハザード比は0.91であった一方で、同試験の主要評価項目の構成要素の腎不全、および第III相臨床試験FIGARO-DKDの副次評価項目の腎複合エンドポイントにおいては、フィネレノンのプラセボに対するハザード比が1を上回りました。試験の対象となった全体集団と比べて日本人ではフィネレノンの腎不全への進展抑制効果が弱い可能性があります。

References:

1. Steiner B, et al. European Journal of Public Health. 2023;33(3):448-454.
2. Shahim B, et al. Card Fail Rev. 2023;27(9):e11.
3. Redfield MM, Borlaug BA. JAMA. 2023;329:827–838.
4. Gladden JD, et al. Pflugers Arch. 2014;466(6):1037-1053.
5. Shahim B et al. Cardiac Failure Review. 2023;9:e11.
6. GBD 2017 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators. The Lancet. 2018; 392(10159):1789-1858.
7. Darbà J, et al. ESC Heart Failure. 2025;12(6):4055-4068.
8. World Heart Federation. About Heart Failure. Available at: https://world-heart-federation.org/cvd-roadmaps/whf-global-roadmaps/heart-failure/
9. Mamas MA, et al. European Journal of Heart Failure. 2017;19(9):1095-1104.
10. Ziaeian B, Fonarow GC. Nature Reviews Cardiology. 2016;13(6):368-78.
11. Virani SS et al. Circulation. 2021;143(8):e254-743.

循環器疾患および腎疾患におけるバイエルのコミットメントについて

バイエルは循環器領域のリーダーであり、革新的な治療薬のポートフォリオを推進しています。心臓と腎臓は健康や疾患において密接に関わっており、バイエルはアンメットメディカルニーズが高い循環器疾患と腎疾患に対する新しい治療アプローチについて取り組んでいます。バイエルのポートフォリオを心臓病に対する精密医療へと転換させ、循環器疾患による大きな負担に対処して長期的な成長を促進することにより、今後の循環器市場における未来を切り開くことを戦略としています。バイエルのポートフォリオには、革新的な製品や前臨床および臨床開発のさまざまな段階にある複数の化合物がすでに含まれています。これらの製品・化合物は、循環器疾患の治療法に影響を与える可能性のある標的やシグナル伝達経路を優先的に開発するバイエルのアプローチを反映しています。

バイエルについて

バイエルは、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。私たちのミッション「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」のもと、バイエルの製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエルは、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力しています。同時に、収益力を高め、イノベーションと成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。2025年のグループ全体の売上高は456億ユーロ、従業員数は約88,000名、研究開発費は58億ユーロです。詳細はwww.bayer.comをご参照ください。

バイエル薬品株式会社
2026年4月6日、大阪

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