2026/05/01

希少糖D-アルロースが少ないインスリン分泌量で高血糖を改善するメカニズムを解明~腸と膵臓のホルモンが連携し、迷走感覚神経を介してインスリン抵抗性を改善~

科学技術振興機構(JST) 

2026(令和8)年5月1日

京都府立大学
科学技術振興機構(JST)

希少糖D-アルロースが少ないインスリン分泌量で高血糖を改善するメカニズムを解明

~腸と膵臓のホルモンが連携し、迷走感覚神経を介してインスリン抵抗性を改善~

ポイント

  • 甘くてカロリーゼロの希少糖D-アルロースが腸ホルモン グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の分泌を促進し、全身のインスリン感受性を高めることで、少ないインスリンでも効率よく高血糖を改善できることを明らかにしました。
  • この作用には、腸と脳をつなぐ迷走感覚神経(内臓感覚神経の一種)の活性化が必須であり、腸ホルモンGLP-1と膵(すい)ホルモンであるインスリンが、血中で同時に高まることが重要でした。これはまさに食後の状態であり、食後高血糖を抑える生理的な仕組みの一端を示す成果です。
  • 本研究で明らかになった「腸-神経-代謝」連関は、インスリン抵抗性の改善を介した2型糖尿病の新たな予防・治療戦略の基盤となることが期待されます。

世界規模で増加の一途をたどる2型糖尿病の主要な原因として、インスリンの効きが低下する「インスリン抵抗性」が挙げられます。しかし、インスリン抵抗性を標的とした治療法の選択肢は依然として限られており、新しいコンセプトに基づく、安全かつ有効な治療戦略の確立が求められています。

このたび、京都府立大学 大学院生命環境科学研究科 動物機能学研究室の岩﨑 有作(教授)、大林 健人(共同研究員)、関西電力医学研究所 統合生理学センターの矢田 俊彦 センター長を中心とする研究グループは、希少糖の一種である「D-アルロース」がインスリン感受性を高めることで、少ないインスリン量で高血糖を改善する効果を発見しました。マウスを用いた本研究条件において、このD-アルロースによる高血糖改善効果は、既存の糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬よりも強力でした。この高血糖改善作用には、腸ホルモンのグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)と膵臓ホルモンのインスリンによる協働的な内臓感覚神経(迷走感覚神経)の活性化が必須であり、糖代謝調節における神経系の重要性を見いだしました。

本発見は、2型糖尿病の成因であるインスリン抵抗性を改善するための新規技術開発の基盤となることが期待されます。

本研究成果は、米国糖尿病学会が刊行する糖尿病・代謝研究分野を代表する国際学術誌「Diabetes」に掲載されます。先行して、2026年5月1日(日本時間)にオンライン掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST(JPMJCR21P1)の一環として、また科学研究費補助金などの支援によって行われました。

<プレスリリース資料>

<論文タイトル>

“Gut-derived GLP-1 released by rare sugar D-allulose cooperates with insulin to activate left-sided vagal afferents and enhance insulin sensitivity”
DOI:10.2337/DB25-1134

<お問い合わせ>

  • <JST事業に関すること>

    沖代 美保(オキシロ ミホ)

    科学技術振興機構 戦略研究推進部 ライフイノベーショングループ
    〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
    Tel:03-3512-3524 Fax:03-3222-2064
    E-mail:crestjst.go.jp

  • <報道に関すること>

    京都府立大学 企画・地域連携課

    〒606-8522 京都府京都市左京区下鴨半木町1-5
    Tel:075-703-5147
    E-mail:kikakukpu.ac.jp

    科学技術振興機構 広報課

    〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
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    E-mail:jstkohojst.go.jp

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