2026/05/22

CFOメッセージ

株式会社 ルネサンス 

CFOメッセージ

株主・投資家の皆様、平素は格別のご支援を賜り、誠にありがとうございます。
2026年3月期決算発表に際し、当社グループの財務状況と今後の見通しについてご報告させていただきます。

取締役専務執行役員
最高財務責任者 管理本部長
安澤 嘉丞

はじめに

今期は、将来の事業基盤強化とリスク低減のため、特別損失を計上した結果、当期純損失21億6百万円を計上いたしました。株主・投資家の皆様には、多大なるご心配をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げますとともに、その背景と当社の見解について詳細にご説明させていただきます。

今回の特別損失は、主に保有資産の最適化と事業構造改革を目的としたものであり、現時点で大きなキャッシュアウトを伴うものではありません。実際の事業活動を示すスポーツクラブの在籍者数および売上高は対前年プラスで推移し、経常利益までは黒字を確保しています。また、事業が生み出す営業キャッシュ・フローは41億円と前年度から6億円伸長しており、キャッシュ創出力は極めて健全です。一時的に自己資本比率は低下いたしますが、特損を伴わない形での財務の安全性には問題がないことを、まずもってご報告いたします。

現在の経営環境認識と当社の成長機会

現在の経営環境は、引き続き高い不確実性を伴います。グローバルでは、地政学リスクの長期化、資源価格の変動など、先行きの不透明な状況が続いています。国内においては、長らく続いたデフレ基調からの転換期を迎え、急速なインフレが進行しています。日本銀行による「金利のある世界」への回帰が資金調達コストに潜在的な影響を与える中、円安と物価高の継続が原材料・エネルギーコストの増加となって企業収益を圧迫し続けています。また、構造的な人手不足と人材確保競争の激化は、賃上げ圧力を強め、コスト構造の最適化がこれまで以上に喫緊の課題となっています。
一方で、国内の急速な高齢化によって、健康寿命の延伸や介護サービスの質の向上への社会ニーズはかつてないほど高まっており、当社グループにとって大きな成長機会と捉えております。政府も「予防医療」や「地域包括ケア」の推進を強化しており、健康維持や介護支援に関する市場は明らかに拡大傾向にあります。さらに、生活者の価値観は「健康」「ウェルビーイング」重視へとシフトし、運動習慣やリハビリを取り入れたサービスへの期待は日々高まっています。

2026年3月期 通期決算概要

2026年3月期の連結売上高は前年比101.9%の649億円となりました。連結の営業利益は15億65百万円、経常利益は7億95百万円を確保いたしました。なお、本営業利益には、M&Aに関する費用及びオアシス合併に伴う会計処理の変更に伴う損失等、一時的な費用2億7千万円を含んでおります。
親会社株主に帰属する当期純利益は、後述の特別損失を計上した結果、21億6百万円の純損失となりました。

スポーツクラブ事業においては、第2四半期以降の入会が堅調に推移し、既存クラブの在籍者数(2026年3月時点)は前年比101.7%、売上高は前年比103.9%と前年を上回る実績を残しました。今年度新規オープンした2施設については、開業費用等により2億58百万円の営業損失を計上しておりますが、これは初期投資計画の範囲内であり、今後の収益貢献に期待しております。

ホームフィットネス事業については、前年度に想定以上に好調な売れ行きを示した「ステッパー」シリーズが、前年度下期に実施したオアシスからルネサンスへのブランドスイッチの影響から回復基調にあり、販売ペースの向上に努めてまいりました。また、9月に販売を開始した、顔周りのたるみケアと飲み込む力(嚥下機能向上)の両面をサポートする新商品「スタイリーフェイス」は、TV通販等で好評を博し、通期収益に貢献いたしました。

介護リハビリ事業においては、2025年度に直営4施設、フランチャイズ2施設の計6施設を新規開設しました。加えて、成長戦略の一環として12月1日付で株式会社楓の風の株式を100%取得し、子会社化いたしました。同社は全国で通所介護施設を直営で13施設、フランチャイズで23施設展開し、比較的介護度の高いご利用者の支援も行っており、これまで当社がアプローチできていなかった方々の健康課題解決のサポートが実現可能になると考えております。今後も介護リハビリ事業の拡大に向け、M&Aを積極的に推進してまいります。この結果、2026年3月期の介護リハビリ事業の売上高は前年比122.1%の24億67百万円となりました。なお、株式会社楓の風の連結売上高への寄与は、第4四半期の3か月間に限られます。

特別損失および減損損失計上の背景と目的

今回の当期純損失の主な要因は、以下の特別損失を計上したことによるものです。
昨今の諸物価の上昇は、スポーツクラブ事業の運営に大きな影響を及ぼしており、特に都心立地のクラブにおける不動産賃料の継続的な上昇は、クラブ運営の採算性を圧迫する要因となっております。

事業構造改革に伴う退店費用:約16億円
2026年3月末で閉店した恵比寿クラブをはじめ、主に固定費の上昇により将来的な黒字化が困難と判断した6クラブ(恵比寿クラブ含む)の退店を決定し、その費用16億円を特別損失に計上いたしました。これにより、不採算事業からの撤退を迅速に進め、収益性の高い事業に経営資源を集中させることで、将来的な財務体質の強化と収益改善を図ります。 恵比寿クラブを除く5クラブの具体的な退店時期については、今後の事業計画に基づき、最適時期に実施する予定です。

減損損失:約20億円
既存のスポーツクラブにおいては、市場環境の変化や地域特性により収益性が二極化しており、前年度を大きく上回る好調なクラブがある一方で、インフレ下で上昇するコストを吸収しきれていないクラブも存在します。
このような状況を踏まえ、現時点での投資回収が難しいと判断した32クラブ(退店クラブは除く)について、将来的な資産価値の再評価とリスクの早期認識のため、資産除去債務も含め減損損失20億円を計上いたしました。これらのクラブには旧スポーツオアシスのクラブが半分以上を占めておりますが、これは合併後のPMI(Post-Merger Integration)における、システム統合を含む事業構造改革を加速させるための戦略的な判断です。システム等の統合完了とそれに伴う運営効率化により、これらのクラブの収益改善を強力に推進してまいります。

これらの特別損失の計上は、短期的な業績への影響は避けられませんが、将来に向けた事業ポートフォリオの最適化、不採算事業からの撤退、そして資産効率の向上を通じて、当社グループの収益構造を抜本的に改善し、持続的な成長を実現するための積極的な経営判断であるとご理解いただけますと幸いです。

2026-2030中期経営計画

本日、当社グループは、2026年から2030年を対象とする新たな中期経営計画、そして2035年を見据えた長期ビジョンを発表いたしました。

私たちは、過去の中期経営計画において、増収減益という結果となり、環境変化に対する事業構造の適応の遅れ、そして高コスト構造に対応しきれない不採算施設の増加という厳しい現実を直視いたしました。特に、「スポーツクラブ施設数は営業努力により維持する」という前提や、「スポーツクラブに依存した収益構造」が、現代の社会経済環境に適応しきれていないことを痛感しております。

新たな中期経営計画では、「脱・スポーツクラブ依存」を旗印に、抜本的な事業構造改革と成長戦略を推進してまいります。

<スポーツクラブ事業の収支構造改革>
「運動する場所」から「生活を豊かにする場所」へと価値を向上させ、全施設を収益化できるよう、稼ぎ方の進化、顧客ターゲットの拡大、徹底したコストダウン(不採算施設・サービスの廃止、DX活用による効率化)を図ります。

<スポーツクラブ周辺領域>
当社のノウハウとアセットを活用し、PPP事業、地域健康推進事業、BtoBソリューション事業を拡大します。

ホームフィットネス事業および介護リハビリ事業等の他事業の成長加速:
<ホームフィットネス事業>
運動器具から「休養・美容・栄養」領域へ拡張し、ターゲット顧客も非アクティブ層へと広げ、収益基盤を強化します。

<介護リハビリ事業>
「元氣ジム」の拡大に加え、「楓の風」の子会社化により重度領域へと事業モデルを進化させ、M&Aも積極的に活用し成長を加速させます。
これらの事業は、スポーツクラブ事業と相互に連携し、シナジーを創出します。

<本部コストの抑制・効率化>
デジタルやAIの積極的な活用により業務プロセスを変革し、事業規模が拡大しても本部コストは抑制・効率化を推し進めます。

<財務体質の強化と資本効率の重視>
新リース会計を見据え、投資の厳選と有利子負債の圧縮をおこない、毀損した財務体質を改善することを最優先とします。
本計画は、2026-2027年度を「財務体質の回復を最優先とするフェーズ①」、そして2028-2030年度を「再成長への投資と積極的な株主還元に移行するフェーズ②」と位置づけ、段階的に企業価値の最大化を目指します。

本中期経営計画では、2030年度において、以下の連結財務目標を掲げております。
売上高: 770億円
営業利益: 35億円
営業利益率: 4.5%
ROE (自己資本利益率): 10%
ROIC (投下資本利益率): 6% (WACCは4-5%を想定)
配当性向: 40%
自己資本比率: 20.5% (新リース会計導入の影響を加味せず)

単なる売上高の追求ではなく、資本コストを上回るリターンを創出し、資本効率を最大化する経営への転換を図るとともに、投資は創出するキャッシュ・フローの範囲内に厳格に抑制し、利益とキャッシュ・フロー重視の経営を徹底してまいります。

キャッシュ・アロケーションにおいては、今後5年間で生み出す営業キャッシュ・フロー260億円のうち、有利子負債の圧縮に140億円、事業への投資に100億円を充当し、株主還元として20億円(配当性向40%)を実現いたします。さらに、計画以上の営業キャッシュ・フローが創出された場合には、株主還元を優先する方針です。

長期ビジョン(~2035):Well-being共創カンパニーへの進化

私たちは、企業理念である「生きがい創造企業」のもと、長期ビジョンを「人生100年時代を豊かにする健康のソリューションカンパニー」から、「人生100年時代のWell-being共創カンパニー」へと進化させます。スポーツとヘルスケアを通じて人と人をつなぎ、生きがいを共に創ることで、全世代の健康、シニアの活力、介護・医療周辺のサポート、そして地域コミュニティの創出といった社会課題の解決に貢献してまいります。

2035年度には、売上高1,000億円、営業利益50億円を目指し、特にスポーツクラブ以外の事業が売上構成比率の50%を占めるという、抜本的な事業ポートフォリオ変革を実現いたします。これにより、筋肉質な収益構造を確立し、持続的な成長を盤石なものといたします。

「新生ルネサンス」として大きく変革し、持続的な成長を実現するため、全社一丸となって邁進してまいりますので、引き続き皆様の温かいご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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