金融市場調節方針の変更について
日本銀行2026年6月16日
日本銀行
金融市場調節方針の変更について
1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成7反対1)(注)。
無担保コールレート(オーバーナイト物)を、1.0%程度で推移するよう促す1。
2.上記の金融市場調節方針の変更に伴い、以下のとおり、各種制度の適用利率の変更を決定した2(賛成7反対1)(注)。
(1)補完当座預金制度の適用利率
補完当座預金制度の適用利率(日本銀行当座預金<所要準備額相当部分を除く>への付利金利)については、1.0%とする3。
(2)基準貸付利率4
補完貸付制度については、その適用金利である基準貸付利率を1.25%とする。
3.わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している(別紙)。すなわち、原油価格上昇は景気の下押し要因となっているものの、高水準の企業収益や雇用・所得環境の改善などが、経済を下支えする方向に作用している。この間、政府によるエネルギー負担緩和策をはじめとする各種施策の効果が今後も見込まれることに加え、中東依存度の高い原材料の代替調達が進展していることなどから、経済が大きく下振れるリスクは一頃よりも低下していると考えられる。こうしたもとで、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続けるという中心的な見通しに概ね沿って推移している。
1 新たな金融市場調節方針は、翌営業日(6月 17 日)から適用する。
2 補完当座預金制度の適用利率および基準貸付利率は、翌営業日(6月 17 日)から適用する。
3 被災地金融機関支援オペ、気候変動対応オペの貸付利率は、引き続き、補完当座預金制度の適用利率となる。
4 日本銀行法第 15 条第1項第2号に規定する「基準となるべき貸付利率」。なお、同第1号の「基準となるべき割引率」も1.25%とする(手形割引の取り扱いは現在停止中)。
物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、足もとで2%を下回る水準となっているものの、原油価格上昇を起点に企業間取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んでおり、これが、今後、消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性がある。こうしたなか、中長期の予想物価上昇率が引き続き上昇していることも踏まえると、消費者物価の基調的な上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクがある。
わが国の金融環境は、緩和した状態にある。実質金利は短中期ゾーンを中心にマイナスとなっている。企業等の資金需要は増加しており、CP・社債市場でも良好な発行環境が続いている。
こうした経済・物価・金融情勢を踏まえ、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断した。政策金利の変更後も、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている。
4.今後の金融政策運営については、基調的な物価上昇率が2%に近づいているなか、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。そのうえで、調整のタイミングやペースについては、中東情勢の展開がわが国経済・物価に及ぼす影響を注視したうえで、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら、検討していく方針である。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、適切に金融政策を運営していく。
以 上
(注)賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、田村委員、小枝委員、増委員。反対:浅田委員。欠席:植田委員。浅田委員は、中東情勢の影響について、物価の上振れリスクよりも生産・雇用の下振れリスクの方が大きく、金融市場調節方針を据え置くことが望ましいとして反対した。
(別 紙)
経済・物価の現状と見通し
1.わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。海外経済は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。輸出や鉱工業生産は、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。企業収益は、グローバルなAI関連需要の堅調な増加を背景に、高水準で推移している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。個人消費は、家計マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。一方、住宅投資は減少傾向にある。公共投資は横ばい圏内の動きを続けている。この間、労働需給は、引き締まった状態が続いている。わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響もあって2%を上回って推移してきたが、足もとでは、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、1%台半ばとなっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。
2.先行きのわが国経済を展望すると、中東情勢の影響を受けた原油価格上昇が、交易条件の悪化などを通じて企業収益や家計の実質所得に対する下押し要因となることから、成長ペースは減速すると考えられる。もっとも、企業部門で高水準の収益が続いてきたことなどに加え、政府による各種施策や緩和的な金融環境などが経済を下支えするため、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続けるとみられる。その後は、原油高のマイナスの影響が減衰し、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まっていくことから、わが国経済は成長率を緩やかに高めていくと考えられる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きが続くもとで、原油価格上昇が、エネルギー価格や財価格を中心に押し上げ方向に作用することから、2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を高めていくと予想される。その後は、原油高の影響が減衰していくもとで、2%程度に向けてプラス幅を縮小していくと予想される。この間、人手不足感の強い状況が続くなかで、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくと見込まれる。こうしたもとで、消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まっていくと予想され、2026年度後半から 2027 年度にかけて「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となり、その後も同程度で推移すると考えられる(注)。
3.リスク要因としては様々なものがあるが、当面は、今後の中東情勢の展開が、金融・為替市場やわが国の経済・物価に及ぼす影響をとくに注視する必要がある。このほか、グローバルなAI関連需要の動向や今後の為替相場の変動が、わが国の経済・物価に及ぼす影響にも留意が必要である。
以 上
(注)物価の見通しについて、高田委員は、基調的な物価上昇率を含め、消費者物価は既に概ね「物価安定の目標」に達する水準にあるとして、田村委員は、基調的な物価上昇率は「物価安定の目標」と既に概ね整合的な水準で推移しているとして、反対した。
(参考)
・開催時間――
6 月 15 日(月) 14:00~15:57
6 月 16 日(火) 9:00~12:12
・出席委員――
議長 氷見野 良三 (副総裁)
内田 眞一 ( 〃 )
中川 順子 (審議委員)
高田 創 ( 〃 )
田村 直樹 ( 〃 )
小枝 淳子 ( 〃 )
増 一行 ( 〃 )
浅田 統一郎 ( 〃 )
上記のほか、
6 月 15 日
財務省 前田 努 大臣官房総括審議官(14:00~15:57)
内閣府 林 幸宏 内閣府審議官(14:00~15:57)
6 月 16 日
財務省
中谷 真一 財務副大臣(9:00~11:38、11:51~12:12)
内閣府
水田 豊 大臣官房審議官(経済財政運営担当)(9:00~9:05)
城内 実 経済財政政策担当大臣(9:06~11:38、11:51~12:12)
が出席。
・公表日時
金融市場調節方針の変更について――6 月 16 日(火)12:19
主な意見――6 月 24 日(水)8:50 予定
議事要旨――8 月 5 日(水)8:50 予定
以 上
公式ページ(続き・詳細)はこちら
http://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2026/k260616a.pdf
日本銀行
金融市場調節方針の変更について
1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成7反対1)(注)。
無担保コールレート(オーバーナイト物)を、1.0%程度で推移するよう促す1。
2.上記の金融市場調節方針の変更に伴い、以下のとおり、各種制度の適用利率の変更を決定した2(賛成7反対1)(注)。
(1)補完当座預金制度の適用利率
補完当座預金制度の適用利率(日本銀行当座預金<所要準備額相当部分を除く>への付利金利)については、1.0%とする3。
(2)基準貸付利率4
補完貸付制度については、その適用金利である基準貸付利率を1.25%とする。
3.わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している(別紙)。すなわち、原油価格上昇は景気の下押し要因となっているものの、高水準の企業収益や雇用・所得環境の改善などが、経済を下支えする方向に作用している。この間、政府によるエネルギー負担緩和策をはじめとする各種施策の効果が今後も見込まれることに加え、中東依存度の高い原材料の代替調達が進展していることなどから、経済が大きく下振れるリスクは一頃よりも低下していると考えられる。こうしたもとで、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続けるという中心的な見通しに概ね沿って推移している。
1 新たな金融市場調節方針は、翌営業日(6月 17 日)から適用する。
2 補完当座預金制度の適用利率および基準貸付利率は、翌営業日(6月 17 日)から適用する。
3 被災地金融機関支援オペ、気候変動対応オペの貸付利率は、引き続き、補完当座預金制度の適用利率となる。
4 日本銀行法第 15 条第1項第2号に規定する「基準となるべき貸付利率」。なお、同第1号の「基準となるべき割引率」も1.25%とする(手形割引の取り扱いは現在停止中)。
物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、足もとで2%を下回る水準となっているものの、原油価格上昇を起点に企業間取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んでおり、これが、今後、消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性がある。こうしたなか、中長期の予想物価上昇率が引き続き上昇していることも踏まえると、消費者物価の基調的な上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクがある。
わが国の金融環境は、緩和した状態にある。実質金利は短中期ゾーンを中心にマイナスとなっている。企業等の資金需要は増加しており、CP・社債市場でも良好な発行環境が続いている。
こうした経済・物価・金融情勢を踏まえ、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断した。政策金利の変更後も、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている。
4.今後の金融政策運営については、基調的な物価上昇率が2%に近づいているなか、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。そのうえで、調整のタイミングやペースについては、中東情勢の展開がわが国経済・物価に及ぼす影響を注視したうえで、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら、検討していく方針である。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、適切に金融政策を運営していく。
以 上
(注)賛成:氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、田村委員、小枝委員、増委員。反対:浅田委員。欠席:植田委員。浅田委員は、中東情勢の影響について、物価の上振れリスクよりも生産・雇用の下振れリスクの方が大きく、金融市場調節方針を据え置くことが望ましいとして反対した。
(別 紙)
経済・物価の現状と見通し
1.わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。海外経済は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。輸出や鉱工業生産は、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。企業収益は、グローバルなAI関連需要の堅調な増加を背景に、高水準で推移している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。個人消費は、家計マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。一方、住宅投資は減少傾向にある。公共投資は横ばい圏内の動きを続けている。この間、労働需給は、引き締まった状態が続いている。わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響もあって2%を上回って推移してきたが、足もとでは、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、1%台半ばとなっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。
2.先行きのわが国経済を展望すると、中東情勢の影響を受けた原油価格上昇が、交易条件の悪化などを通じて企業収益や家計の実質所得に対する下押し要因となることから、成長ペースは減速すると考えられる。もっとも、企業部門で高水準の収益が続いてきたことなどに加え、政府による各種施策や緩和的な金融環境などが経済を下支えするため、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続けるとみられる。その後は、原油高のマイナスの影響が減衰し、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まっていくことから、わが国経済は成長率を緩やかに高めていくと考えられる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きが続くもとで、原油価格上昇が、エネルギー価格や財価格を中心に押し上げ方向に作用することから、2%をはっきりと上回る水準まで伸び率を高めていくと予想される。その後は、原油高の影響が減衰していくもとで、2%程度に向けてプラス幅を縮小していくと予想される。この間、人手不足感の強い状況が続くなかで、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくと見込まれる。こうしたもとで、消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まっていくと予想され、2026年度後半から 2027 年度にかけて「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となり、その後も同程度で推移すると考えられる(注)。
3.リスク要因としては様々なものがあるが、当面は、今後の中東情勢の展開が、金融・為替市場やわが国の経済・物価に及ぼす影響をとくに注視する必要がある。このほか、グローバルなAI関連需要の動向や今後の為替相場の変動が、わが国の経済・物価に及ぼす影響にも留意が必要である。
以 上
(注)物価の見通しについて、高田委員は、基調的な物価上昇率を含め、消費者物価は既に概ね「物価安定の目標」に達する水準にあるとして、田村委員は、基調的な物価上昇率は「物価安定の目標」と既に概ね整合的な水準で推移しているとして、反対した。
(参考)
・開催時間――
6 月 15 日(月) 14:00~15:57
6 月 16 日(火) 9:00~12:12
・出席委員――
議長 氷見野 良三 (副総裁)
内田 眞一 ( 〃 )
中川 順子 (審議委員)
高田 創 ( 〃 )
田村 直樹 ( 〃 )
小枝 淳子 ( 〃 )
増 一行 ( 〃 )
浅田 統一郎 ( 〃 )
上記のほか、
6 月 15 日
財務省 前田 努 大臣官房総括審議官(14:00~15:57)
内閣府 林 幸宏 内閣府審議官(14:00~15:57)
6 月 16 日
財務省
中谷 真一 財務副大臣(9:00~11:38、11:51~12:12)
内閣府
水田 豊 大臣官房審議官(経済財政運営担当)(9:00~9:05)
城内 実 経済財政政策担当大臣(9:06~11:38、11:51~12:12)
が出席。
・公表日時
金融市場調節方針の変更について――6 月 16 日(火)12:19
主な意見――6 月 24 日(水)8:50 予定
議事要旨――8 月 5 日(水)8:50 予定
以 上
公式ページ(続き・詳細)はこちら
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