2022/12/27

リーダーシップの「資質」は重要じゃない。学校を支える教育指導職が身につけるべき10の信念,物事の考え方とは?『スクールリーダーのための教育効果を高めるマインドフレーム』2022年12月26日書店発売!

株式会社 北大路書房 

リーダーによって異なるHow(方法)。でもその根幹には共通したWhy(なぜ)がある。スクールリーダーによる「なぜ」の問いかけが,児童生徒だけでない教師の学びにもなり,学校を成功へ導く!

心理学書を中心に教育学や社会科学の専門図書を発行する株式会社北大路書房(所在地:京都市北区)は、教育学の専門書『スクールリーダーのための教育効果を高めるマインドフレーム:可視化された学校づくりの10の秘訣』を2022年12月26日に発売しました。




●ジョン・ハッティ,レイモンド・スミス 編著 ●原田信之 訳者代表 ●本体2,700円+税 ●四六判 ●248頁




原著シリーズ累計100万部超えのVisible Learning(R)シリーズ





 本書『スクールリーダーのための教育効果を高めるマインドフレーム:可視化された学校づくりの10の秘訣』(原題 10 Mindframes for Leaders: The VISIBLE LEARNING(R) Approach to School Success )は原著シリーズが全世界で100万部超えのVisible Learning(R)で知られるジョン・ハッティ編著による書籍です。
 Visible Learning(可視化された学習)とは,ハッティがこれまでに行った3億人以上の生徒を対象とした10万件以上の研究のメタ分析にもとづいて考案された学習のことをいいます。ハッティはVisible Learning研究で生徒の学力向上に影響を与える270を超える要因を特定し,その影響によって生徒の学力がどの程度促進されるかについて掘り下げています(本書 p.12)。Visible Learning研究のエビデンスは,授業やリーダーシップの実践に活用することや,教育実践を支えるシステムについて話し合う基盤となるとハッティはいいます(p.13)。



 たとえば,Visible Learning研究によると,教師は教える教科の専門的知識に熟知していることが望ましいように思われますが,専門的知識の効果量は高くないことが示されています(前著『教育効果を可視化する学習科学』 第2章より)。ある分野の専門性が高すぎてしまうと,初心者にとっての課題の難しさを過小評価してしまう傾向や,また初心者に向けたヒントやコミュニケーションも,自身の中だけで成立する知識を伝えてしまう傾向があるとハッティは述べています(前著 p.22)。


 Visible Learningはそうした学習に関わる最も効果的な作用の実証的示唆を試みるハッティのプロジェクトであり,原著シリーズが世界中で続々と翻訳されています。
 本書は日々の業務や研修等で多忙なスクールリーダーのための10のマインドフレームとVisible Learning研究を活かした具体的な実践方法を提示する一冊です。


スクールリーダーのための10のマインドフレーム(物事の見方・考え方)

 本書は生徒,そして教師の両方の学びに影響を与え,学校改善が成功へ向かうリーダーシップを支える10のマインドフレームを示しています。




 ハッティはスクールリーダーのマインドフレームを,行動やその方法のWhy(なぜ)であると述べています。


...読んだり聞いたりするうちに,彼らのメッセージには一貫性があることに気づかされた。各著者は,それぞれ独自の方法をもち,生徒の学習生活に大きな影響を与える最も効果的な方略については異なる考えをもっていたが,スクールリーダーに対するそれぞれのWhy(なぜ)は驚くほど似かよってた。...スクールリーダーが果たすべき役割について,まさに共通の信念をもっているように思えた。 (p.12-3) 



 つまり,スクールリーダーが行う効果的な学校改善の方法は様々ですが,左図のように「なぜ」それを行うかという信念=(マインドフレーム)には共通するものがあるのです。根底にある10のマインドフレームがハッティのVisible Learning(可視化された学習)の研究が示すHow(方法)と組み合わされることで,児童生徒と教師自身の学習を効果的に促し,そして学校運営を成功へ近づけることができるのだと示されています(p.16)。


リーダーシップの特性や資質,一連のスキルは重要ではない

 近年では学校だけではなく職場や家庭,友人などあらゆる場所におけるリーダーシップに関する本が大量に世に出ています。その中ではリーダーシップの特性や資質,一連のスキルを身につけることを勧めていることでしょう。個人の能力を高める組織をつくる,学校構想を構築して維持する,データを活用して指導上の決定を行うなど。また,変革を導くリーダー,奉仕するリーダー,影響力をもつリーダー,教育するリーダー,共感するリーダーなど特定のリーダーのタイプを推奨するような本も多くあります。また,さまざまなリーダーシップ実践をそのまま身につけようとしても,多くの教師やスクールリーダーには,定期的に専門家会議に出席する機会も,さまざまな著者の研究を学ぶために割く時間もないぐらい,日々の負担が大きいことでしょう(p.13)。
 しかし,本書で強調されるのは,そうしたリーダーの表面的な行動を越え,その行動を生み出す価値観に迫ることです。本書は一貫したマインドフレーム(考え方の枠組み)と改善の取り組みを前進させる具体的な実践的方略を提供し,学習科学研究と実践との間に存在するギャップを埋める,学校改善のために賢明に働く教育関係者にとって貴重なツールとなる一冊です。


主な目次

Chapter0.はじめに:行なうことの影響をいかに考えるかは、何を行なうかにこだわるよりも重要である
1.お役所仕事と理屈より実践
2.サイモン・シネックとゴールデンサークル
3.診断、介入、実施、評価に関する専門能力を有するスクールリーダーの確保
4.可視化された学習のモデルとは何か
5.なぜこの本なのか
Chapter1.私は教師や生徒の学習に及ぼす影響の評価者である
エピソード:私の学校は学力が低い―私に何ができるか
1.本章の概略
2.「可視化された学習」研究のどの要因がこのマインドフレームをサポートするか
3.何から始めればよいか
チェックリスト/エクササイズ
Chapter2.アセスメントは自身の影響と次のステップを知らせてくれるものである
エピソード
1.本章の概略
2.「可視化された学習」研究のどの要因がこのマインドフレームをサポートするか
3.何から始めればよいか
チェックリスト
Chapter3.進歩させたいと考えていることや自身の影響について同僚教師と協働する
エピソード
1.本章の概略
2.「可視化された学習」研究のどの要因がこのマインドフレームをサポートするか
3.何から始めればよいか
チェックリスト/エクササイズ
Chapter4.私は変化をもたらすエージェントであり、すべての教師や生徒が改善できると信じている
エピソード
1.本章の概略
2.「可視化された学習」研究のどの要因がこのマインドフレームをサポートするか
3.何から始めればよいか
チェックリスト/エクササイズ
Chapter5.私は「最善を尽くす」だけでなく、チャレンジに努める
エピソード
1.本章の概略
2.「可視化された学習」研究のどの要因がこのマインドフレームをサポートするか
3.何から始めればよいか
チェックリスト/エクササイズ
Chapter6.私は教師や生徒にフィードバックを提供して理解できるように支援し、私に与えられたフィードバックを解釈して行動する
エピソード
1.本章の概略
2.「可視化された学習」研究のどの要因がこのマインドフレームをサポートするか
3.何から始めればよいか
チェックリスト/エクササイズ
Chapter7.私は一方向の説明と同じくらい対話を取り入れる
エピソード
1.本章の概略
2.「可視化された学習」研究のどの要因がこのマインドフレームをサポートするか
3.何から始めればよいか
チェックリスト/エクササイズ
Chapter8.何ができたら成功なのかを最初から教師と生徒に明確に伝えている
エピソード
1.本章の概略
2.「可視化された学習」研究のどの要因がこのマインドフレームをサポートするか
3.何から始めればよいか
チェックリスト/エクササイズ
Chapter9.間違えても他者から学んでも安心して学習できるように人間関係と信頼関係を築く
エピソード:終端速度
1.本章の概略
2.「可視化された学習」研究のどの要因がこのマインドフレームをサポートするか
3.何から始めればよいか
エクササイズ/チェックリスト
Chapter10.学習と学習中の言葉に集中する
エピソード
1.本章の概略
2.「可視化された学習」研究のどの要因がこのマインドフレームをサポートするか
3.何から始めればよいか
チェックリスト/エクササイズ
Chapter11.マインドフレーム:スクールリーダーの「なぜ」の問いかけが学校を成功に導く
1.マインドフレームは私たちがどのように行動するかを積極的にかたちづくる
2.マインドフレームに関する章の概略
3.Visible Learning(R) inside
4.可視化されたスクールリーダー:改善計画の可視化

訳者代表あとがき


著者,訳者

【編 著】
ジョン・ハッティ
(John Hattie)
オーストラリア・メルボルン大学名誉教授。「学習の可視化」研究に基づく一連の著書を刊行し,その総発行部数は100万部を超えている。「学習の可視化」3部作は,日本語のほかドイツ語,フランス語,デンマーク語,スウェーデン語,ノルウェー語,中国語,イタリア語,スペイン語,ポーランド語,オランダ語等に訳され,世界の研究言語人口をほぼ網羅するにいたっている。

レイモンド・スミス(Raymond Smith)
フロリダ・アトランティック大学リーダー養成プログラム担当者。長年にわたり,教育機関(高等学校校長),中央官庁(中等教育局長),大学に勤務する。リーダーシップやリーダーシップ開発に関する執筆活動に加え,可視化された学習コンサルタントの一人として,ハッティの「可視化された学習」研究に基づくワークショップで指導的な役割を果たす。

【訳者代表】
原田 信之
(はらだ・のぶゆき)
名古屋市立大学大学院人間文化研究科 教授(博士・教育学)
日本学校教育学会会長,日本協同教育学会理事
〔研究滞在〕 ドイツ学術交流会(DAAD)客員研究員(1994年エッセン総合大学,2000-01年ヒルデスハイム大学),オルデンブルク大学招聘客員教授(2004-05年),ハレ大学招聘客員教授(2010年)
〔主要著訳書〕
『教師のための教育効果を高めるマインドフレーム:可視化された授業づくりの10の秘訣』ジョン・ハッティ,クラウス・チィーラー著(訳者代表)北大路書房 2021年
『教育効果を可視化する学習科学』ジョン・ハッティ,グレゴリー・イエーツ著(訳者代表)北大路書房 2020年
The Teaching of the History of One's Own Country(分担執筆)Wochenschau 2020年
『カリキュラム・マネジメントと授業の質保証』(編著)北大路書房 2018年
『学習に何が最も効果的か』ジョン・ハッティ…

【訳者】
田端 健人
(たばた・たけと)
宮城教育大学教育学部准教授

宇都宮 明子(うつのみや・あきこ)
島根大学教育学部准教授

高旗 浩志(たかはた・ひろし)
岡山大学教師教育開発センター教授

書誌情報



【書 名】スクールリーダーのための教育効果を高めるマインドフレーム:可視化された学校づくりの10の秘訣
【著 者】ジョン・ハッティ,レイモンド・スミス 編著 原田信之 訳者代表
【定 価】2,970円(本体2,700円+税10%)
【判 型】四六判 248頁
【発行所】株式会社北大路書房
【発売日】2022年12月26日
【コード】ISBN:978-4-7628-3213-0 ,C3037
【概 要】教育指導職が「指導および自身の役割をどう考えるのか」は,生徒と教師「両方」の学びに大きな影響を与える。ビジブル・ラーニングの研究成果をふまえ,教育指導職が身につけるべき10の「心的枠組み」を示す。学級・教室や職員室,教員研修等の場面で,学校を内側からの改革に導く実践的なアイデアを提案。
【リンク】
https://www.kitaohji.com/book/b616921.html
【Amazonでのご購入はこちらから】
https://www.amazon.co.jp/dp/4762832138/

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提供元:PRTIMES

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