2024/02/01

高速負荷応答技術「QuiCur(TM)」搭載により、業界最高レベル(※)の負荷応答特性を実現した車載プライマリLDO「BD9xxM5-C」を開発

ローム 株式会社 

入力電圧や負荷電流の変動が大きい車載アプリケーションでも安定した出力が可能


車載信頼性規格AEC-Q100準拠プライマリLDO「BD9xxM5-C」
要旨ローム株式会社(本社:京都市)は、車載バッテリーで動作する車載電装品やECU(電子制御ユニット)等の電源に最適な、定格電圧45V耐圧、出力電流500mAのプライマリ(*1)LDOレギュレータ(*2)(以下、LDO)「BD9xxM5-C」(BD933M5EFJ-CBD950M5EFJ-CBD900M5EFJ-CBD933M5WEFJ-CBD950M5WEFJ-CBD900M5WEFJ-C)を開発しました。



HTSOP-J8パッケージ
新製品は、ロームの高速負荷応答技術「QuiCur(TM)」を搭載しており、負荷電流(*3)変動に対する応答特性が優れています。このため、入力電圧や負荷電流が変動した際でもアプリケーションの求める安定動作(出力電圧変動100mV以内:負荷電流変動0mA⇔500mA、Tr/Tf=1µ秒時)が実現可能です。また、消費電流9.5µA(Typ.値)という低電流動作も実現しているため、車載アプリケーションの低消費電力化にも貢献します。さらに、新製品は小型のHTSOP-J8パッケージから、高放熱のTO252系パッケージ(TO252-3/TO252-5)、HRP5パッケージまで4種類のパッケージを展開予定であり、使用環境に応じたパッケージ選択が可能です。



新製品「BD9xxM5-C」と一般品の応答性能比較
新製品のHTSOP-J8パッケージ品は、2023年12月より当面月産2万個の体制で量産(サンプル価格200円/個:税抜)を開始しています。なお、TO252-3及びTO252-5、HRP5の3パッケージを含め、2024年度中に合計18製品までラインアップを拡充する予定です。生産拠点は前工程がローム浜松株式会社(浜松市)、後工程がROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)及びROHM Integrated Systems (Thailand) Co., Ltd.(タイ)となります。インターネット販売も開始しており、チップワンストップやコアスタッフオンラインなどから購入することができます。



プライマリ電源用途LDOレギュレータの性能比較QuiCur(TM)搭載「BD9xxM5-C」
ロームは今後も得意とするアナログ技術を中心とした製品開発を進め、自動車の信頼性向上や低消費電力化に貢献します。

ニュースリリースページ:https://www.rohm.co.jp/news-detail?news-title=2024-02-01_news_ldo&defaultGroupId=false
背景
近年、自動車の電装化に伴って車載電源系統も増加しており、ECUに使われるマイコン等にバッテリー電圧から直接降圧可能なプライマリLDOの需要が増加しています。しかし、車載バッテリーから供給される電力には、急激な電圧変動が起こりやすく、プライマリLDOには入力電圧変動に対する優れた入力応答特性が求められます。同時に、ECUをはじめとしたLDOの後段デバイスでは動作時に負荷電流変動が起こりやすく、優れた負荷応答特性も求められます。一方、これらの特性向上には周波数特性の高周波化が重要ですが、電源の応答性能に寄与する位相余裕を確保しながら、周波数特性を高域に伸ばしたLDOの実現は困難でした。この課題をロームが克服した技術が高速負荷応答技術「QuiCur(TM)」であり、新製品の高い応答性能にも大きく貢献しています。
製品ラインアップ
新製品「BD9xxM5-C」は、車載製品に求められる150℃動作や車載信頼性規格「AEC-Q100」準拠など、基本要求を満たしています。その上でQuiCur(TM)搭載による優れた応答性能や低消費電流を備え、搭載環境に応じて選択可能な幅広いパッケージを展開予定です。

製品ラインアップ表
アプリケーション例
ECUをはじめとした、車載プライマリ電源で動作する幅広いアプリケーションに採用可能です。
- 燃料噴射装置(FI)やタイヤ空気圧監視システム(TPMS)などのパワートレイン系
- ボディコントロールモジュール(BCM)などのボディ系
- クラスタ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)などのインフォテインメント系

高速負荷応答技術「QuiCur(TM)」について
QuiCur(TM)は、高速負荷応答を実現するロームの独自回路「Quick Current」から名付けられており、電源ICの帰還回路において、不安定にならない極限までの負荷応答特性(応答性能)を狙い通りに実現することができます。
また、最小限の出力コンデンサ容量で電源ICの安定動作が可能となります。さらに、電源ICの一種であるスイッチングレギュレータにおいては、容量と出力電圧変動の線形な調整が可能となり、仕様変更に伴う静電容量変更時でも簡単に期待する安定動作を実現できるため、部品点数と安定動作の両面から、電源回路設計工数の大幅削減に貢献します。
QuiCur(TM)技術の詳細は下記URLをご覧ください。
https://www.rohm.co.jp/news-detail?news-title=2022-02-03_news_quicur&defaultGroupId=false
「QuiCur(TM)」は、ローム株式会社の商標または登録商標です。

サポートツール新製品の検証用シミュレーションモデルでは、ローム独自のモデルベース技術を駆使して、IC実物の電気的特性と温度特性を忠実に再現することで、IC実物とシミュレーション値の完全一致も可能にする高精度SPICEモデル「ROHM Real Model」を完備。確実な検証により、実機試作後の手戻りを防止できるなど、効率的なアプリケーション開発に貢献します。



負荷電流変動に対する実機・SPICEの応答性能検証
このSPICEモデルは下記、ローム公式Webから入手可能です。
https://www.rohm.co.jp/products/power-management/linear-regulators/single-output-ldo-regulators?page=1&PS_ProductSeries=BD9xxM5%20series&PS_SpiceLink=1.0#parametricSearch

インターネット販売情報販売ネット商社:チップワンストップ、コアスタッフオンライン
それ以外のネット商社からも順次発売していきます。
(販売開始時期:2024年2月から)



チップワンストップ、コアスタッフオンライン
製品情報
販売対象品番:BD950M5EFJ-CBD933M5WEFJ-CBD950M5WEFJ-CBD900M5WEFJ-C
用語説明
*1)プライマリ
電源ICにおいては、バッテリーなどの電力源から見て1段目の変換を担当するものをプライマリと言い、その後の2段目の変換を担当するものをセカンダリと呼ぶ。
*2)LDOレギュレータ(Low Drop Out レギュレータ / 低飽和レギュレータ)
電源ICの一種で直流(DC)から直流へ電圧を変換する。入力と出力の電圧差が小さく、リニアレギュレータ(入出力電圧が線形動作する)と言われる区分に該当する。DC-DCコンバータIC(スイッチングレギュレータ)と比較して、回路構成が簡単でノイズが少ないなどの特長を持つ。
*3)負荷電流
電源ICにとって、マイコンやセンサなど後段の電子回路はすべて「負荷」と考えることができる。この負荷が動作した際に電流(負荷電流)が流れて、電源ICの出力電圧を変動(ドロップ)させてしまう。負荷応答特性は、負荷電流の影響により変動した電圧を元に戻すまでの応答時間および電源としての安定度をさす。

※2024年2月1日現在 ローム調べ

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提供元:PRTIMES

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