2024/08/29

展覧会「ホーム・スイート・ホーム」10月より丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催

公益財団法人 ミモカ美術振興財団 

私たちにとっての「ホーム」「家」「家族」とは何か。地域や社会の変容、あるいは普遍性などを浮かび上がらせる国内外7名の現代美術作家による展覧会。


アンドロ・ウェクア《Levan Portrait》2017年 (C)Andro Wekua, Courtesy of the artist, Gladstone Gallery, and Take Ninagawa

「ホーム」という言葉には、私たちが過ごす物質的な家、また家に集う集合体である家族、そして故郷や祖国という意味があります。本展タイトルの「ホーム・スイート・ホーム」という言葉は、「愛しい我が家」などとも訳され用いられてきました。 一方、2020 年初頭から数年におよんだ新型コロナウイルス感染症によるパンデミック期の「ステイホーム」において、私たちは「ホーム」というものについて意識的、無意識的に思いをめぐらすことを経験しました。あるいは世界各地における難民問題は、国際的な紛争などを背景にますます深刻なものとなり、祖国や故郷というものの意味を突きつけてきます。このようにビターな社会に生きる私たちにとって、「ホーム」とはどのようなものなのでしょ うか。 本展は、歴史、記憶、アイデンティティ、私たちの居場所、役割等をキーワードに表現された国内外の現代美術家の作品をご紹介いたします。それらを通して、私たちにとっての「ホーム」、すなわち「家」そして「家族」とは何かということや、所属する地域や社会の変容、あるいは普遍性などを浮かび上がらせることを試みます。

鎌田友介《Japanese Houses》2023年「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(国立国際美術館、2023年) 撮影: 福永一夫 作家蔵

1.本展の見どころ

マリア・ファーラ「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(国立国際美術館、2023年) 撮影: 福永一夫

アンドロ・ウェクア《Yet to be titled (the house)》2012年 Photo by David Regen (C)Andro Wekua, Courtesy of the artist, Gladstone Gallery, and Take Ninagawa

竹村京「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(国立国際 美術館、2023年)撮影: 福永一夫 Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery

1-1.MIMOCAならではの作品同士の響き合い
本展は、2023 年6月から9月まで大阪・国立国際美術館で開催し、好評を博した展覧会の巡回開催となります。MIMOCAでは、国際的に活躍する建築家・谷口吉生による展示空間の特質を生かし、出品作家それぞれの作品がゆるやかに呼応し、響き合うことを目指します。当館で開催する企画展としても、天井高7mと9mの二つの展示室を使う大規模な展覧会となります。当館ならではの広い展示室で、それぞれの作品越しに見える新たな風景にもご期待ください。
1-2.国際的に活躍する7 名のアーティスト
本展では、国内外のアーティスト7名による表現をご紹介いたします。イギリス在住のマリア・ファーラや石原海、スペインを拠点とするリディア・ウラメン、ドイツ在住のアンドロ・ウェクア、中国出身の 潘逸舟をはじめ日本を拠点に国内外で活動する鎌田友介、竹村京といった国際的な活躍を見せるアーティストによる作品が一堂に会します。リディア・ウラメン、鎌田友介、潘逸舟の作品は、本展にあわせてバージョンアップした展示となる予定です。
1-3.ジャンルをまたぐ多様な表現
絵画をはじめ、彫刻や映像、インスタレーションまで、ジャンルをま たぐ作品をご覧いただけます。壊れた日用品や食器などを用いた竹村京の「修復シリーズ」や、パンデミック期における中国・武漢での リサーチをもとに映像や写真を組み合わせた潘逸舟の作品、ロシアの侵略により故郷を追われた記憶をもとにしたアンドロ・ウェクアの絵画や彫刻、忘れ去られようとする現代日本の歴史を再構築した鎌田友介のインスタレーションなど、多様な表現が並びます。
1-4.現代美術を通して「ホーム」の多様な意味を考察
複雑に絡み合う現代社会の様相を捉えた作品を通して、「ホーム」の多様な意味を再考します。新型コロナウイルスによるパンデミックや国際的な紛争の激化など、「スイート」という言葉だけでは語り得ない現代の「ホーム」をめぐる状況について、交錯する歴史や喪失の記憶、あるいはその先に見える希望をあわせて提示いたします。

2.関連イベント
会期中、皆さまにより企画展を楽しんでいただくためのプログラムをご用意しました。

3-1.オープニング・トーク
本展出品作家と企画者・植松由佳氏(国立国際美術館学芸課長)によるトークを開催いたします。
日時:2024 年 10月12日(土)時間未定

3-2.竹村京パフォーマンス
本展出品作家の竹村京によるパフォーマンス《May I enter? scene 1, 2, 3, 4, 5》を行います。
日時:未定

3-3.キュレーター・トーク
本展担当キュレーターが展覧会をご案内いたします。
日時:2024 年 11月3日(日)、12月1日(日)、2025 年 1月5日(日)各日14:00-
参加料:無料(別途、本展観覧券が必要です)
申込不要。1 階受付前にお集まりください。

3-4.親子でMIMOCAの日
高校生以下または18 歳未満の観覧者1名につき、同伴者 2 名まで観覧無料となります。
日時:2024 年 10月19日(土)、20日(日) 10:00-18:00(入館は17:30まで)

*詳細やその他のプログラムは当館 HP 等でお知らせいたします。

3.出品作家プロフィール
マリア・ファーラ
イギリス人の父親とフィリピン人の母親の間に、フィリピンで生まれる。幼少期を山口県下関市で過ごした後、ロンドンに移住。ロンドン大学スレード美術学校修士課程終了後、現在もロンドンを拠点に制作を行う。ファーラの絵画には、日常の中で見た女性の姿や、記憶に残る生活の様子、興味のある動物の姿や食べ物が描かれる。そこには自身が大きな影響を受けた日本文化からの影響、またフィリピン女性コミュニティに見た異国で力強く生きる女性たちの姿を見ることができる。本展では、幼少期に下関で過ごした時の記憶を もとにした《下関海峡でおぼれる両親を救う》(2017 年)や、新作三部作《台風の中、岩にしがみつく》《パンクしたディンギーを救う大型船》《ティーンエイジ・ロマンス》(2023 年) などを展
示する。




マリア・ファーラ《テラスのある部屋》 2021年, 国立国際美術館所蔵

潘逸舟
中国・上海に生まれ、幼少期に青森に移住。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術 表現専攻修了後、現在は東京を拠点に活動する。中国で生まれ日本で育ったというアイデンティティを出発点に、社会と個人の関係の中で生じる疑問や戸惑いを、自身の身体や身近な日用品を用いた映像やインスタレーション、写真、絵画など様々なメディアで表現する。本展のために制作された《家でない場所で豆腐を作る》(2023 年)は、2022 年2月、コロナ禍に参加した中国・武漢でのレジデンス・プログラムでの体験をもとにした作品。 現地でリサーチした中国の伝統的な地方劇「打豆腐」をもとに、潘は現代に生きる自らの身体を用いて再解釈して表すことで、祖国の文化や社会を受容する。



潘逸舟「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(国 立国際美術館、2023年) 撮影: 福永一夫

石原海
東京生まれ、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業後、ロンドンに拠点を移し、現在はロンドン大学ゴールドスミス校に在学しながら活動を行う。愛やジェンダー、個人史と社会などをテーマに実験的な映画や映像を用いたインスタレーションに取り組んでい る。本展出品作《重力の光》(2021 年)は、北九州の教会を舞台に、牧師やそこに集う人々による聖書劇をモチーフにした映像作品。様々な理由や背景から、社会にうまく適合しない人や救いを求める人々がともにつくり上げる居場所や関係性を写し出している。



石原海《重力の光》2021年「ホーム・スイート・ ホーム」展示風景(国立国際美術館、2023年) 撮影: 福永一夫 作家蔵

鎌田友介
神奈川県に生まれ、東京藝術大学研究科先端表現専攻修士課程終了後、現在は福岡を 拠点に活動する。1910 年から1945 年までに国外に建てられた日本家屋についてフィー ルドワークなどによるリサーチを行い、構造物や写真、映像などを用いて、歴史的事象と現在を交差させる作品を制作している。本展のために制作された《The Japanese Houses》(2023 年)は、日本家屋の間取りを展示室に再現し、韓国で実際に用いられていた家屋の部材や写真、資料、また日本でも活躍した建築家、アントニン・レーモンドにまつわる映像を組み合わせたインスタレーションである。



鎌田友介《Japanese Houses》2023年「ホー ム・スイート・ホーム」展示風景(国立国際美 術館、2023年) 撮影: 福永一夫 作家蔵

リディア・ウラメン
アルジェリアに生まれ、ロンドン大学ゴールドスミス校に学んだ後、現在はスペイン・バルセロナを拠点に活動する。関心を寄せる現代の地政学や移民、植民地主義の複雑な歴史を主眼として、映像、彫刻、インスタレーション、音を駆使して独特の言語により表現を行う。本展に出品する《母親たちが不在のあいだに》(2015-2018 年)は、ウラメンが北アフリカ移民のリサーチ最中に、アルジェリアの市場である男に金のチェーンを売り付けられた出来事から着想した作品。歯を全て抜いてアルジェリア 戦争への参戦を避けた祖父のように、ウラメンもまた自身の歯を抜いて、チェーンを溶かしてつくった金歯をインプラントにより 埋めた。
竹村京
東京に生まれ、東京藝術大学大学院美術研究科終了後、ドイツ・ベルリンに滞在、現在は群馬県高崎市を拠点に制作を行う。主に写真やドローイングの上に刺繍を施した布を重ねたインスタレーションを発表している。刺繍による行為により「仮に」という状態を生 み出すことで、かつて家族で暮らした家や親しい間柄にある人々につながる記憶や失われた割ものを具体的な存在として再構築する。本展出品作は、竹村の代表的なシリーズである、壊れた食器や日用品を用いた「修復シリーズ」のほか、インスタレーションによる新作 《入ってもよろしいですか シーン1, 2, 3, 4, 5》(2023 年)など。



竹村京「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(国 立国際美術館、2023年)撮影: 福永一夫 Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery

アンドロ・ウェクア
ジョージアに生まれ、10代の頃にソ連崩壊に伴う内戦で父親を亡くし、その後、スイスに移住、現在はベルリンを拠点に制作を行う。コラージュ、絵画、彫刻、インスタレーション、 映像など、様々なメディアを駆使して作品を制作。アッサンブラージュ的な視覚効果によっ て、個人的、政治的な記憶の断片をステージ化し、個人的な世界を夢想的に構築する作品で知られている。本展出品作《タイトル未定(家)》(2012 年)は、ウェクアの代表的な作品の一つであり、かつて居住し、現在は戻れなくなった故郷スミフの家をモデルに彫刻化したものである。本展には他にも、その家にも見出すことができる《窓》(2010 年)などの 絵画や彫刻を出品する。



アンドロ・ウェクア《Levan Portrait》2017年 (C)Andro Wekua, Courtesy of the artist, Gladstone Gallery, and Take Ninagawa


開催概要
展覧会名:ホーム・スイート・ホーム
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
所在地:香川県丸亀市浜町80-1
会期:2024 年 10月12日(土)-2025 年 1月13日(月・祝)
開館時間:10:00-18:00(入館17:30まで)
休館日:月曜日(ただし10月14日、11月4日、2025年1月13日は開館)、 10月15日(火)、11月5日(火)、12月25日(水)-31日(火)
観覧料:一般 950円(760円)、 大学生 650円(520円)
    高校生以下または18歳未満・丸亀市在住の65歳以上・各種障害者手帳お持ちの方とその介護者1名は無料
    *同時開催常設展「猪熊弦一郎展 (仮称)」観覧料を含む
    *( )内は前売り及び20名以上の団体料
問い合わせ先:0877-24-7755

主催:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団、国立国際美術館

前売り券情報
楽天チケット https://leisure.tstar.jp/event/rlikggm/
美術展ナビチケットアプリ https://artexhibition.jp/ticketapp/

【販売場所(香川県丸亀市)】
あーとらんどギャラリー:0877-24-0927
オークラホテル丸亀:0877-23-2222
おみやげSHOPミュー:0877-22-2400

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提供元:PRTIMES

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