渋谷で居場所づくりに取り組むNPOが、都会っ子に向けて「大島キャンプ」を9月に実施。自然ふれあいで体験格差の解消へ
NPO法人 フリースクールまいまい都会っ子の冒険島旅「こどもキャンプ」の実践報告
NPO法人フリースクールまいまい(本部:東京都渋谷区、代表:鴻池 友江)が夏の子ども向け企画として2024年9月14日(土)から9月15日(日)まで「大島キャンプ」を開催しました。
元気な火山島、伊豆大島は東京都の島です。火山から流れ出た黒い溶岩が風に吹かれ、坂を下り、小さく形を変えながら海岸までたどり着き、黒い砂浜を作ります。海へ一歩足を踏み入れれば膝の深さでもカラフルな魚に会えます。貝殻拾い、屋外炊事、星降る夜空には月の道。波の音や虫の声を聞き眠りにつきます。帰京し保護者との再会をする頃には一回り大きく逞しい姿になっている子どもを見ることが出来ます。
【Webページ】https://irukayainfo1.wixsite.com/home
まいまいは20年前から子どもとキャンプをしてきています。
【キャンプの全容】
イベント名称:「こどもキャンプin大島」
開催期間:2024年9月14日(土)~15日(日)
行程:竹芝埠頭から東海汽船の高速船で1時間45分。大島到着後はレンタカーを借りてキャンプ場へ移動。キャンプ場でテント設営の後、海の体験をします。シャワーを済ませたらいよいよ野外炊事開始!キャンプには外せない火を使う体験です。翌日は朝食の後にテントをたたみ、海岸で貝殻拾い、さらに貝の博物館にて世界の貝を勉強しました。帰りはゆったりの大型客船に乗船です。貸し切りの船室内ではキャンプの思い出を振り返りながら思いのままに工作タイム!竹芝までの4時間があっという間でした。お迎えの保護者と合流すると、こども達は帰宅するまでマシンガンのようにこの2日間のことを話し続けたそうです。
参加者は小学2年生と4年生のきょうだい。開催時期の課題や日時の再調整などあり当初の募集段階とは違う流れでの開催になりましたが、この2人のためのスペシャルキャンプは当団体の夏のしめくくりとしてとても有意義な2日でした。
メインの体験は島ならではの透明度高い海!
遠くの台風の影響を受けながらも海中散策が出来るトウシキのタイドプール
海中ではソラスズメなどカラフルな魚に出会えました
島はその周りをぐるりと海に囲まれているため、その日の風によって、泳げる海岸が変わってきます。この日テント泊をするトウシキの海では、多少荒れた海況でも左右から幾重にも入り組んだ岩礁のおかげで潮だまりが出来ていて、水の中を覗いたり、打ちあげられた貝殻を探してあるいたり、とそれぞれに楽しめます。
遠目に高い波が砕けるのを見て、こども達は海の中に入ることは躊躇しています。ここの安全感を知っている大人は、とりあえず魚がどれほどいるのか、海の中をチェックします。「いたいた!」と子どもたちに知らせます。一人はちょっと見てみたい。もう一人はまだ「貝を探すー」と離れてしまいました。ちょっと見てみたいほうの子が勇気を出して浅い溜まりの海の中を見てみました。「あ、さかな!!」と嬉しそう。こうして海の中を見てしまえば、その先がもっと見たくなりますね。次は深い方にチャレンジすることになります。大人が浮きを持って、子どもの身体を支えて「絶対離さないからね!」と約束します。子どもが覚悟を決めていざ岸から手を離し、顔を付けてみました。慌てた様子ですぐに岸に上がりました。しっかりその目で深い深い海の中を見たのです!!
初めて見る深い海。怖いとは感じたようでしたけれど、とても印象に残ったようです。帰りの船の中でその様子を絵にして表現してくれました。
火起こし、調理、そして飯盒炊飯。テントで森と一体になって眠る体験!
キャンプ場に着いたらまずすることは「住処作り」です。快適な寝床を作るために大人も子どもも協力します。そして、夜ご飯も自分たちの力で作り上げます。熱い/危ない、などのリスクを予想しながら慎重に危険と向き合っていく、大事な時間です。しっかり火のお世話をしてちょっとおこげのついたご飯、そして今回のキャンプでは定番のカレーの代わりに肉野菜炒めを作成。火から離れても熱々のフライパンに気を付けながら、味付けはこども達の担当です。スープも完成して、「いただきまーす!」
普段食べているような食べ物ばかりですが、「おいしい!」「おいしい!!」と繰り返し言いながら、みんなでキレイにたいらげました。アルミにくるんで火種の横に置いておいた焼きバナナと焼きリンゴが切られると、こども達の手が勢いよく伸びてきます。「甘くなった!」「おいしい~」とこれも大好評でした。食べ終えると食器洗いも率先して動いてくれる子どもたち。まだまだやりたい事はありますからね。どんどんいきましょう♪
夜の散歩に魅了される
食事のころから雨はやまず、星空観察や食後の散策が難しくなりました。日記を書いて今日の海のこと、食事作りのことなど思い出しながら、少し語らいます。そして歯磨きを忘れずに。とりあえずテントの寝床を整えて就寝タイムとなりました。ここからが長~い夜の始まりです。子どもたち、少し寝付くものの慣れない土の上の環境と、雨風の音、テントがバタバタする音、そして雨をよけるためにかけたテントカバーのおかげでむしむしと暑いテントの中で何度も目を覚まし、うちわで自分を仰いだり、水を飲んだり、喧嘩したり・・・
その都度大人が色々対応しながら過ごしたわけですが、そうこうするうちに夜半には雨は完全にあがり星空がぐんぐんと広がってきます。子どもが目を覚ますたびにテントの外に誘い、月の道や天の川を説明して、気持ちを穏やかにしてまた眠りに誘いました。
帰りの船内も余すところなく楽しみます
雨があがったあとはカバーを外して網戸状態でぐっすり眠りました。その分、朝の光で早朝から目がぱっちり開きます。朝焼けの色に感動しつつ、静かに荷物の片付けです。他のグループよりも早くから朝食を食べ、テントを片づけたらキャンプ場を撤収!大島で一番長いとされている「砂の浜」を目指します。目的は貝殻拾いです。思い思いの可愛い貝殻や流木を集めた後に、「貝の博物館(ぱれ・らめーる)」に入り、世界の貝について色々なことを学びました。
あっという間の大島。帰りの船に乗りこむと、船室が貸し切りのようです!
ゆっくりごろ寝をするのも良し、ではありましたが、子どもたちは貝殻の工作や、思い出のお絵かきに夢中で、全く眠る気配はありません。東京に着く少し前に、最後のグループワークを行って旅の総括をし、東京湾の景色の撮影など楽しむうちに竹芝ふ頭に接岸となりました。船を降りる時に「自分の荷物は自分で持つ!」と、小さな体で頑張っている姿がとってもかっこよかったです。お迎えに来ていたお母さんの姿を見たとたんに荷物を降ろして駆け寄っていましたけどね^^
こどもキャンプへの想いと、継続の難しさ
当団体は、2002年設立当時から子どもキャンプを実践しており、長年実践に携わってきたスタッフの年齢層が上がってきています。2023年に渋谷の地で再開した時、ゼロから協力者を募って、少しずつ若手の層が出来てきている所ではありますが、そのほとんどがキャンプ経験無しという人々です。キャンプを学ぶには、それなりの時間とお金もかかるため、このような要素もNPOが若手の育成をするという難しさに直結しています。そして、こどもが見通しを持って楽しめる手づくりのキャンプを作るためには、こども会議など準備段階も大切であり、こういった労力のかかる作業を継続するというハードルをどうしていくのか?が近々の課題となっています。
普段の「居場所」の活動で出来ることは「安心感」の醸成が大きいですが、こどもキャンプで出来ることは間違いなく「チャレンジ」の心を育むことです。その他に「協力」や「タフネス」や「知る意欲」などもありますが、普段の環境を飛び出してこその経験を叶えるのが大自然の下でのキャンプです。人員や労力の問題に負けて無くなってしまうのはとても残念、という思い。一方で、主催者の想いだけで出来る話でもない、という現実。その両端に揺れながら、フリースクールまいまいのキャンプの在り方は今後も検討されていくことになります。この現状を知ってくださった読者の皆様から、ご協力の様々なお力をいただけますと幸いです。
大自然と都会をつなぐサルビアが大好き
NPO法人フリースクールまいまい ”いるか家”について
★2002年に代表鴻池がNPOとしてフリースクールを伊豆大島に立ち上げました。
★フリースクールは9年ほど継続。その後鴻池が東京に戻り、行政でこどもと家庭に関わる側に立ち、様々な家族の形、生きづらい世界、社会側の課題を見る中で「里親」になることを決意しました。里親として、生きづらい、そして行き場を失った子どもの「家」を作ることにしました。「居る場所、帰る家」を略した“いるか家”が場所の愛称です。
★2023年に、大島から法人を引き取り、渋谷区幡ヶ谷で居場所として活動を再開。この時点で「フリースクール=不登校」という小さな枠を取り払い、障害、親子、ジェンダー、国籍など問わず多様な人々の心を整える情報のハブとなるべく、活動を続けています。
★活動例
「居場所」・・工作、学習補助、おやつ作り、食堂、ケアリーバーとのお食事会など。
「企画」・・こどもキャンプ、文化イベント出展、ゲーム大会や親子火遊び企画など。
「啓発」・・「社会的養護を知る」「多様な生き方座談会」「こころ講座」「命を守る講座」など開催。
★今後の展開
里親同士のサポートの仕組み作り、有事に取り残される人の居ない、顔の繋がった町づくりの土壌作りなど、この世界から生きづらさを減らすためのあらゆる可能性に手を伸ばしていきます。
【団体概要】
団体名:NPO法人フリースクールまいまい
団体所在地:渋谷区幡ヶ谷
代表理事:鴻池 友江
設立:2002年9月5日(登記)
事業内容: 青少年の健全育成、親子支援、環境保全、コミュニティ作り、国際協力、障害者支援、社会的養護出身者のケアなど
HP:https://irukayainfo1.wixsite.com/home
提供元:PRTIMES