NECと自律調整SCMコンソーシアム、AIを活用しNECグループ会社の部品購買業務における納期調整を自動化する検証を大規模に実施
日本電気 株式会社NECと自律調整SCMコンソーシアム(注1)は、NECグループ会社の調達関連システムに自動交渉AIを連携させ、サプライヤからの部品購買業務における納期調整を自動化する検証を2024年9月に以下のように大規模に実施しました。
● NECグループ会社の日本全国の拠点に自動交渉AIを適用
● 参加サプライヤ数を10社以上
● 自動交渉対象品目数を約1300品目
検証の結果、NECグループ会社の調達担当者が実施していた業務をAIが行うことで、従来は数時間から数日要していた調整業務時間を数分単位に短縮し、適用範囲を拡大しても業務効率を大幅に向上できることを確認しました。
【背景】
近年、多くの産業のサプライチェーンにおいて、企業間取引における納期、数量、価格や、物流の配送条件など、様々な調整が日々大量に発生・遂行されています。中でも電子部品の購買では、部品の種類が膨大かつメーカーも多数におよび、製品ライフサイクルも短くなっています。加えて、世界情勢の変化によるサプライチェーン不安定化の影響を受けて、購買側と販売側の間でイレギュラーな調整が増加するなど業務の負担がますます増えています。
従来、このような個々の条件が異なる調整や交渉は人でなければ対応できない領域と考えられてきましたが、人でしかできない交渉はあるものの、AIに任せられる領域もでてきています。
こうした背景を踏まえ、NECは自律調整SCMコンソ―シアムの活動の一環として、昨年は電子部品購買の実業務に調整・交渉自動化を適用する実証を行いましたが、今回はその規模を拡大し、適用範囲を大幅に拡げても効果があることを検証しました。
【検証概要】
<検証期間>
2024年9月、10月
<検証内容>
自動交渉をしたケース
NECグループ会社がサプライヤに対して発注済みの部品に関して、サプライヤの納期回答が注文納期よりも遅延している場合、あるいは、生産計画の変更を受け、納期に前倒し依頼が必要になった場合。
自動交渉AIが実現したこと
購買側(NECグループ会社側)に導入した自動交渉AIが、部品の在庫状況や生産計画情報などを活用して、チャットボットを介して販売側の担当者(人)と納期調整を行いました。NECグループ会社の実ラインで稼働しているシステムと連携して、納期変更が必要となったPO(購買発注)について納期調整を行い、変更された納期で処理できることを確認しました。
<検証結果・期待効果>
自動交渉AIにより、在庫不足確認、納期計算、販売側担当者とのやりとりが自動化され、取引先との納期調整がスピードアップしました。これにより購買担当者は、部品在庫の適正化や予期せぬ需要変動への対応などに取り組むことができるようになり、変動対応力の向上につながることが期待されます。
【簡易検証実施について】
今回の検証においては、実システムと自動交渉AIをシステム連携しましたが、検証時の実システムとの連携は自動交渉AIの導入を検討するお客様の負荷が大きいため、検証用ファイル(品目情報などを定義するファイルでExcelファイルやCSVファイル)を作成するだけで、自動交渉の検証ができる環境を構築しています。2025年1月以降、お客様に簡易検証を実施できるよう準備を進めており、販売側が人で購買側に自動交渉AIを適用するだけでなく、購買側が人で販売側に自動交渉AIを適用するケースにも対応可能予定です。
なお、自律調整SCMコンソーシアムは会員募集中(会費無料)であり、会員には本自動交渉システムのお試し版体験を提供中です。
今後は検証結果を踏まえ、納期調整における自動交渉の社会実装を加速させていくとともに、納期調整以外のケースへの適用も検討を進めていきます。
(注1)自律調整SCMコンソ―シアム:2021年9月設立。サプライチェーンにおいて日々発生している「企業・組織・個人間での利害や挙動の調整業務」を劇的に効率化することを目指し、先進技術を活用した実用的な調整業務フローの整理と検証、その発展と普及活動を行う。 https://automated-negotiation.org
<技術の詳細>
利害の異なるAI同士が交渉し、Win-Winな関係へ
自動交渉AI技術
https://jpn.nec.com/rd/technologies/202203/index.html
<本件のお問い合わせ先>
NEC グローバルイノベーション戦略統括部
https://jpn.nec.com/cgi-bin/cs/opinion_form4.cgi
自律調整SCMコンソ―シアム
E-Mail:contact-auto-nego@mlsig.jp.nec.com
提供元:PRTIMES