2024/11/21

ミャンマーの人道危機 紛争激化と気象災害で深刻に 【プレスリリース】

公益財団法人 日本ユニセフ協会 

ユニセフ、子どもの保護を訴える


2023年12月上旬、バゴー地域で家業の米作りを手伝っていた時に、誤って地雷を踏んでしまい、爆発で重症を負った15歳のアウンさん。救命治療のため、左足を切断しなければならなかった (ミャンマー、2024年3月19日撮影) (c) UNICEF/UNI549328/Oo

【2024年11月21日 ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)の人道支援活動を統括する事務局次長のテッド・チャイバンは、深刻化するミャンマーの人道状況を受け、以下の声明を発表しました。

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ミャンマーの人道危機は、深刻な局面を迎えつつあります。紛争の激化と気候ショックにより、子どもたちもその家族も、かつてないほどのリスクにさらされています。国内では340万人以上が家を追われ、そのうちの約40パーセントが子どもです。

私は、先日、紛争の影響を受けた地域を訪問しましたが、その際目の当たりにしたのは、現在も続く紛争や、9月に100万人以上が洪水で被災した超大型台風11号(国際名ヤギ)に象徴される深刻な気象災害によって、子どもたちが受けた壊滅的な影響です。現地の方々から聞いた話は胸が張り裂けるようなものばかりでした。保健医療や教育などの必要不可欠な社会サービスから切り離され、暴力や厳しい環境の中での避難生活に苦しむ子どもたちがいました。


カチン州にあるシャマリ国内避難民キャンプを訪れ、避難民の子どもたちと話すユニセフのチャイバン事務局次長(ミャンマー、2024年11月14日撮影)(C) UNICEF/UNI684948/Maung Nya
11月15日、最北部のカチン州で、教会の敷地内に砲弾が直撃。サッカーをしていた子ども7人と、一緒にいた民間人2人が死亡したニュースに、打ちのめされました。カチン州にも伺いました。紛争の影響を受けている地域で子どもや民間人がどれほど脆弱な状況に直面しているのか、そして、このような残虐な攻撃から子どもたちを守るために、国際人道法の遵守が緊急に必要であるということを、直接この目で確かめました。



(ミャンマーでは)、今年だけで、少なくとも650人の子どもが紛争によって命を落とし、重傷を負っています。また、地雷や不発弾などによる民間人の死傷者は1,000人を超え、その32パーセントが子どもです。数多くの殺傷能力が高い兵器が市街地で使われ、その頻度も増しています。民間の家屋や病院、学校を狙った空爆や地雷の敷設が続き、すでに限られていた子どもたちのための安全な場所・空間が、さらに大幅に制限されています。安全と安心な環境で育つことが保障されている子どもの権利が奪われています。状況は極めて深刻です。

紛争当事者たちにも会いました。特に紛争が続く地域で脆弱な立場にある子どもやその家族に、私たちが支援を安全かつ妨げなく届けられるよう、彼らが保証する必要性を強調し訴えました。また、(支援活動の妨げになっている)さまざまな手続きを取り除くこと、子どもたちを深刻な権利侵害から守るための最低限の行動規範(ミニマム・オペレーティング・スタンダード)を守るよう訴えました。国際人道法は、特に民間人および学校や病院などの民間インフラを保護し、暴力から逃れてきた人々の安全な通行を保証することを主眼に、遵守されなければなりません。

武力紛争が続く中、悪化した治安や煩雑な行政上の手続き、加えて通信手段や個人用防護装備の不足により、支援を必要としている子どもたちにたどり着くことは、依然として容易ではありません。こうした大きな課題があるにもかかわらず、ユニセフや人道支援団体は、紛争の最前線や立ち入ることが難しい地域でも、保健、栄養、教育など、子どもたちの命と生活を守る支援を提供するために、懸命な活動を続けています。にもかかわらず、そうした活動は、今、大幅な資金不足から、厳しい状況に直面しています。2024年の活動資金は、必要額の25%しか集まっていません。その一方で、子どもたちや子どもたちの家族の支援ニーズは増え続けています。

子どもの権利を守るというユニセフの使命は揺るぎないものです。すべての紛争の当事者に対し、子どもの保護を最優先し、人道支援団体が、安全で迅速かつ妨げのない形で支援を必要としている人々にアクセスできる環境を確保するよう強く求めます。ユニセフは、これからも、高まり続ける子どもたちの支援ニーズを訴え続けます。子どもたちとその家族を支援するための、より一層の国際的な取り組みを呼び掛けます。これ以上子どもたちが苦しむことを防ぐため、資金面やアドボカシー、そして連帯の心を持って、支援を強化するよう、国際社会に強く要請します。ミャンマーの子どもたちは、“待ったなし”の状況に置かれています。“何もしないこと”の代償は、あまりにも大きいのです。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp

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提供元:PRTIMES

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