国内の地下鉄車両において、初めてアルミニウム水平リサイクルを実現
東京地下鉄 株式会社~廃車車体を車両内装部品へ循環利用し、CO2排出量を約8t削減~
東京地下鉄株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役社長:小坂 彰洋、以下「東京メトロ」)、メトロ車両株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役社長:中澤 英樹、以下「メトロ車両」)、株式会社ホンダトレーディング(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 :夏目 達也、以下「ホンダトレーディング」)、日本総合リサイクル株式会社(本社:富山県高岡市、代表取締役社長:高倉 康氏、以下「日本総合リサイクル」)、日軽金アクト株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:五百竹 秀夫、以下「日軽金アクト」)、住江工業株式会社(本社:京都府京田辺市、代表取締役社長:小野 博富、以下「住江工業」)は共同で、半蔵門線8000系車両から半蔵門線18000系車両へのアルミニウム水平リサイクル※1を実現しました。
2024年度に着手した「アルミニウム車体の水平リサイクルに関する共同研究」において、廃車となった東京メトロ半蔵門線8000系車両の車体をアルミ合金種別ごとに選別したアルミスクラップとし、ダウングレードさせることなく水平リサイクルし、半蔵門線18000系新造車両の車両内装部品へ循環利用することに成功しました。これにより、国内の地下鉄車両において、初めてアルミニウム水平リサイクルを実現し、CO2排出量を約8t削減できました。
今後は、地下鉄車両のアルミニウム水平リサイクルの適用範囲の拡大を目指すために、今回の研究で得た知見を活かし、より一層の品質管理が必要となる車体構体への循環利用の実現に向けた共同研究を推進してまいります。
本共同研究を通して、新造車両製造時のCO2サプライチェーン排出量の削減等※2、鉄道業界におけるさらなる脱炭素・循環型社会の実現に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
※1 水平リサイクル
同一純度や同一組成の合金に還流させ、純度や合金組成を維持するリサイクル。劣化を抑えるために、厳密な選別・調整が必要。
※2 アルミニウムのリサイクル効果
アルミニウムはボーキサイトから新地金を製造する際に多量のエネルギーを必要とし、CO2を多量に発生させる。リサイクル
する際には新地金製造時と比較して、必要エネルギー量3.4%、CO2発生量は2.8%で済むと言われている。
(2023年3月 一般社団法人日本アルミニウム協会LCA調査委員会「展伸材用スクラップ溶解のインヘ゛ントリ分析報告書」より引用)
(参考)2025年1月29日付けニュースリリース
「アルミニウム車体の水平リサイクルに関する共同研究の基本方針に係る覚書」を締結しました ~アルミニウム車体の水平リサイクルの取組み検討着手~
半蔵門線8000系車両から半蔵門線18000系車両へのアルミニウム水平リサイクルを実現 詳細
1.研究背景
東京メトロでは現在、国内最大級の約2,700両以上の車両を保有しており、そのすべてがアルミニウム合金を使用した車体を採用しています。一般的に、アルミニウムは新地金の製造時に大量のエネルギーを必要とし、大量のCO2を発生させますが、リサイクルした場合には新地金の製造時と比べて、CO2排出量の約97%相当を大きく削減させることが可能※2です。
このことから、東京メトロでは、多くの車両を保有し事業活動を展開する企業として、地球規模で拡大する気候変動問題に率先して取り組み、環境負荷の低減を強く推進していくために、これまでも廃車車体のリサイクルを推進してまいりました。
その一方で、水平リサイクルに求められる鉄・ステンレス・樹脂等の除去やアルミ合金種別ごとの分別等が技術的に困難であり、これまで東京メトロの廃車車体のリサイクルは、成分管理の比較的容易な鋳造材等へのカスケードリサイクルに限定され、鉄道車両へのリサイクル材の使用用途も限定される状況でありました。
今回、本共同研究に取り組む各社が連携し、廃車車体の精緻な解体・分別方法を確立することで、廃車車体のスクラップからこれまで水平リサイクルが困難であった押出形材等を使用した新造車両の車両内装部品へのアルミニウム水平リサイクルを実現しました。
図1 今回の水平リサイクルの取り組みに関する研究体制
2.取り組み内容
(1) 廃車車両の解体・分別
廃車となった東京メトロ半蔵門線8000系車両の車体を、解体時に鉄・ステンレス・樹脂
等を可能な限り除去し、車体の部位毎で用途に応じて使い分けられているアルミ合金種別ご
とに概ね分別することで、水平リサイクルに適用するアルミ合金種別(5000番台、60
00番台)のみを各々選別したアルミスクラップとしました。
(2) 水平リサイクル材の製造
選別されたアルミスクラップを使用して、溶解(不純物除去・詳細組成確認)し、水平リサ
イクルされた1.板材(5000番台)、2.押出ビレット製造の上、アルミ押出形材(600
0番台)を製造しました。
また、製造した水平リサイクル材の品質が、新塊から製造した部材と同等であることを、
各々確認しました。
(3) 車両内装部品の製造
車両内装部品用の材料に水平リサイクル材を活用して、1.腰掛部の背もたれに使用する背
板(5000番台)、2.妻パネルの側面板に使用する形材(6000番台)を製造し、半蔵
門線18000系新造車両(18119編成)の車両内装部品として適用しました。
図2 今回の水平リサイクルの取り組みイメージ
3.今回の取り組みによる成果
廃車車両の解体・分別において、水平リサイクルに適用するアルミ合金種別(5000番台、6
000番台)のみを、各々選別したアルミスクラップとすることができることが確認できました。
水平リサイクル材の品質確認を実施し、地下鉄車両の車両内装部品へ適用可能なアルミ形材や板
材を製造することができました。
また今回、水平リサイクル材の使用により、車両内装部品に使用するアルミ二ウムを製造する際
のCO2排出量を約8t削減することができました。
4.今後の展望
今後の新造車両にて、アルミニウム水平リサイクルの適用範囲を拡大するために、強度部材であ
り、より一層の品質管理が必要となる車体構体への循環利用の実現を目指し、今回の研究で得た知
見を活かして、さらに共同研究を推進してまいります。
これにより、新造車両製造時のCO2サプライチェーン排出量のさらなる削減を目指していきます。
5.その他
今回、水平リサイクル材を適用した半蔵門線18000系車両には、PRステッカーを車両内に掲出
いたします。
「廃車車両→解体・選別(Sorting)→再溶解(Remelting)→車両部品製造(Manufacturing)
→新造車両」のアルミニウム水平リサイクルのプロセスをデザインしたものとなります。
今後、東京メトロ車両にて、アルミニウム水平リサイクル材を適用した際には、同様に車両内に
掲出していくことを計画しております。
以上
提供元:PRTIMES