積水化学、南カリフォルニア大学およびサイトパスファインダーとの 創薬支援分野における遺伝子導入技術の共同実証を開始
積水化学工業 株式会社 積水化学工業株式会社(代表取締役社長:清水郁輔、以下「積水化学」)は、南カリフォルニア大学医学部(内科学消化器肝臓内科 教授:齋藤剛)および株式会社サイトパスファインダー(代表取締役社長:山本柳二、以下「サイトパスファインダー」)と創薬支援分野における遺伝子導入技術に関する社会実装へ向けた共同実証(以下「本実証」)を開始します。
1.経緯
動物を使った研究はヒトの病気や薬の反応を正確に再現しにくく、創薬の場面でも効果や安全性の予測に限界があることが課題となっていました。そのため、日本に加えて米国や欧州などの規制当局は、動物実験を段階的に減らし、よりヒトに近い研究モデルへの移行を進めています。
こうした流れの中で、薬物代謝の中心である肝臓の研究には、初代ヒト肝細胞が欠かせません。しかし、初代ヒト肝細胞は培養皿に接着しにくく、適切な細胞密度を保って培養することが難しいため、本来の機能や細胞の性質を失いやすいという課題がありました。初代ヒト肝細胞の接着を助けるため、一般的にはコラーゲンなどの生体由来材料を使います。しかし、これらの材料は性質が均一ではないため、細胞の扱いにばらつきが出やすく、改良の余地がありました。
さらに、初代ヒト肝細胞は遺伝子導入が難しいことが知られており、有用な遺伝子導入技術の一つとして知られているサイトパスファインダーの固相トランスフェクション技術と組み合わせた場合においても、培養皿に固定した遺伝子導入試薬を細胞がうまく取り込めず、細胞の品質を保ったまま遺伝子を導入することが長年の大きな課題となっていました。
齋藤教授は積水化学との共同研究を通して、均一性の高いCeglu(TM)を用いることで初代ヒト肝細胞を安定して均一に培養できることを明らかにしました。さらに、Ceglu(TM)とサイトパスファインダーの固相トランスフェクション技術を組み合わせることで、これまで難しかった初代ヒト肝細胞への遺伝子導入を可能にしました。
このように、ヒト初代細胞を用いることで、従来の動物を用いた研究モデルでは難しかった高精度の細胞機能解析や、肝疾患の病態理解の深化、創薬研究の加速が期待されます。本技術が創薬支援分野を中心に広く波及する可能性を検証するため、本実証に取り組むこととなりました。
2.本実証内容
・社会実装に向けた研究機関・企業へのサンプル提供の開始
Ceglu(TM)と固相トランスフェクション技術を組み合わせたテストサンプルを
サイトパスファインダーから提供開始します。
・南カリフォルニア大学において、創薬支援分野および細胞生物学分野で広く使用されているフェニッ
クスバイオ株式会社のヒト化肝臓キメラマウス由来の高品質ヒト肝細胞ならびにその他の初代ヒト肝
細胞を用いて、以下を実施します。
-更なる遺伝子導入効率改善研究と再現性の評価
-遺伝子導入後の肝細胞機能・表現型(細胞アイデンティティ)の維持評価
実証期間:2026年3月16日より1年間
積水化学は、これまで培ってきた材料技術を通して、多能性幹細胞の培養等を安定的に実現する化学合成足場材Ceglu(TM)を開発、2025年に販売開始しました。本実証を機に、これまで重点的に研究開発を進めてきた再生医療分野に加え、創薬支援分野での課題解決への貢献を目指します。
南カリフォルニア大学医学部の齋藤教授は、肝臓生物学・疾患モデリングに精通し、ヒト化肝臓マウスを用いたヒト初代肝臓細胞や、代謝性肝疾患における研究を推進してきました。医師かつ研究者として、米国肝臓病学会やアメリカ国立衛生研究所関連の学術活動において要職を担い、また2024年からはAmerican Society for Clinical Investigation (ASCI)メンバーにも選出されています。本実証を細胞生物学および医学的観点より推進し、学術的貢献を目指します。
サイトパスファインダーは、産業技術総合研究所で開発され独自の特許を有する固相トランスフェクションと名付けた遺伝子導入技術の研究開発と導入難細胞への応用にも長年取り組んできました。本実証を通して、創薬支援分野への更なる貢献とともに、再生医療分野へのアプローチを開始します。
Cegluマルチウェルプレート
初代ヒト肝細胞像
固相トランスフェクションプレート
関連WEBサイト:https://www.sekisui-cell.jp/products/ceglu/
関連WEBサイト:https://sites.usc.edu/saito-lab/
関連WEBサイト:https://www.cytopathfinder.com
以 上
提供元:PRTIMES