第6回 不動産投資に対する意識調査 ~価格高騰への強い実感を背景に、区分マンションの勢いが再燃~
株式会社 グローバル・リンク・マネジメントグローバル都市不動産研究所 第39弾(都市政策の第一人者 市川宏雄氏監修)
国内外の運用会社に不動産を提供する株式会社グローバル・リンク・マネジメント(本社:東京都渋谷区)は、(1)東京という都市を分析しその魅力を世界に向けて発信すること、(2)不動産を核とした新しいサービスの開発等を目的に、明治大学名誉教授 市川宏雄氏を所長に迎え、「グローバル都市不動産研究所(以下、当研究所)」を2019年1月1日に設立しました。
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当研究所では、調査・研究の第39弾として、「不動産投資に対する意識調査」を実施しました(本調査は2021年から毎年実施し、今年で6回目)。今回は新たに、不動産を所有する地域の価格動向に対する印象、および外国人の不動産取得に対する規制の影響についても尋ねています。
・「投資に興味あり」43.3% 2024年をピークに減少傾向も高所得層の熱量は顕在
・不動産投資に興味を持つ割合は37%台に回復 若年層でも投資コストは許容傾向
不動産投資の意識を経年比較
グローバル都市不動産研究所では、全国の20~60代約2.3万人を対象に、投資や不動産投資に対する興味・関心を尋ねる調査と、投資用不動産所有者400人に対し投資目的・投資意向を尋ねる調査を実施しました。
当研究所では同様の調査を2021年から実施しており、今年で6回目となります。従来の経年比較に加え、今回の新規設問として、不動産を所有する地域の価格動向に対する印象、および外国人の不動産取得に対する規制の影響について尋ねた結果をまとめました。
1.【一般】投資に対する興味
投資への興味 下降継続も高所得層は意欲的
投資に対する興味を尋ねたところ、前回同様「全く興味がない」(26.7%)が「やや興味がある」(25.4%)をわずかながら上回りトップでした。「とても興味がある」と「やや興味がある」を合わせた興味あり層は43.3%(前回比-1.3ポイント)と2021年(41.4%)に次いで低く、2024年をピークに減少が続いています。属性別にみると、過去の結果と同様に性別では男性、年収ではより所得の高い方が投資に興味が強い傾向です。また今回は、年収2,000万円以上の層で「とても興味がある」が48.7%(前回比+11.2ポイント)と、全体的な投資意欲が落ち着くなかで高所得層の熱量が目立ちました。加えて、年収500~700万円未満、年代別では30代といった可処分所得の伸びが将来的に見込まれる層でも「とても興味がある」に微増傾向がみられます。
2.【一般】不動産投資に対する興味
不動産投資の経験・関心 低迷は底打ちか
不動産投資に対する行動や興味を尋ねたところ、「現在不動産投資の収入メインで生活をしている」は1.5%、「副業として不動産投資を運用している」は3.3%、「興味があり、セミナーや説明会に足を運んだことがある」は4.1%、「興味はあるが実際に行動したことはない」は28.7%でした。前述の層がいずれも微増したため、少なからず興味を持つ層は37.6%(※このうち、実際に不動産投資を行っているのは約5%)と、過去最少となった前回から反転、増加しています。また、「全く興味がない」は前回比1.6ポイント減で4割を切りました。
属性別にみると、年代が若いほど、所得別では年収が高いほど、少なからず興味を持つ割合が高くなっています。また前回比では、30代以下の層で「興味はあるが実際に行動したことはない」「全く興味がない」の減少幅が大きくなっています。
投資全般への興味は薄れる一方で、若年層や高所得層を中心に不動産投資への関心が高まり、情報収集や本格的な検討を始める層が増えている「二極化」の兆しも見られます。
3.【一般】不動産投資をしていない理由
投資自体への関心低下も 費用ネックは軽減
不動産投資に対して非積極的な層に絞り、不動産投資をしていない理由(最もあてはまるものをひとつ)を尋ねました。「投資そのものに興味がない」が32.1%(前回比+2.6ポイント)で、2022年以来1位だった「投資する費用が高い(投資にかける預貯金がない)」(30.0%、同-2.4ポイント)を上回り、最多となりました。なお、第3位の「不動産の知識がない、難しいと思っている」(10.8%)以下の項目はいずれも1ポイント未満の増減幅で、順位・割合に大きな変化はありませんでした。ただし、「資産価値や家賃が下がるリスクがある」が7.9%と過去6年で最少となっています。
投資そのものへの意欲減退が目立つ一方で、価格(費用)のネックはやや軽減しつつあるようです。また国際的な地政学・経済環境の不透明感や、歴史的円安といった国際政治・経済の混乱、また都心を中心とする物件価格の上昇等を背景に、現物資産としての価値の「底堅さ」が一定の評価を得ているともいえるでしょう。
属性別にみると、概ね全世代で「投資そのものに興味がない」 「投資する費用が高い」の比率が高い一方で、前回比較ではより若い世代ほど「投資する費用が高い」の割合の減少幅が大きくなっています。また年収別では、概ね年収が高い層ほど「投資そのものに興味がない」「投資する費用が高い」の割合が低く、かつ「資産価値や家賃が下がるリスクがある」の割合が高くなる傾向がみられます。
若年代でも投資費用の捻出を許容する層が拡大しつつあること、また高所得層は費用自体より、立地の硬直性や物件老朽化に伴う出口戦略の難度といった不動産ならではの資産特性を懸念していることがうかがえます。
・資産運用目的が7割超を維持 中高年も老後の備えよりアクティブに増やす意欲
・不労所得に加え資産価値の底堅さへの評価高まる 長期的にはコスト増に懸念も
4.不動産投資の目的
「資産運用」微減も7割 50代も攻めの姿勢
投資用不動産所有者に、不動産投資を始めた目的(最もあてはまるもの)を尋ねました。その結果、「資産運用」(71.5%)が他を大きく離し最多、「老後の年金対策」(17.3%)が次ぎ、いずれも前回比では微減しつつもこれまで同様のトレンドを維持しています。なお「生命保険の代用」(3.3%)や「相続税対策」(2.5%)といった“守り”の要素が前回から約1ポイント増加しました。
属性別にみても、概ねすべての性別・年代・所得層で「資産運用」が65%以上でトップでしたが、唯一60代の層で6割を下回っています。
前回からの変化をみると、性別では女性、年代別では30代・ 40代、所得別では年収500万円未満の層と1,000~2,000万円未満の層で「資産運用」の割合がマイナスに転じています。一方、50代と年収2,000万円以上の層では前回からの増加幅が大きく、またいずれも「老後の年金対策」の割合が減少しています。
不動産投資家は基本的に属性を問わず、積極的に資産を動かす・増やすスタンスをとる中で、所得の特に高い層はさらに資産を積み増す “攻め”の手段として投資を行う傾向がより強まっているといえそうです。加えて年代別では、2025年4月に高年齢者雇用安定法が改正され、65歳までの雇用確保が企業に義務化されたことや、75歳まで非課税運用の継続が可能となったiDeCoの浸透等を背景に、50代ではまだ老後資金の保持のような“守り”を本格化するのではなく、アクティブに資産を形成すべく不動産投資を始めているとみられます。
5.不動産投資のメリット
「不労所得」5割超 将来の価値向上にも期待
投資用不動産所有者に、不動産投資のメリットを尋ねた結果、「安定的な不労所得を得られる」が52.3%で最多となり、「老後の備えになる」(33.8%)や「節税になる」(28.8%)を大きく引き離しました。全体の順位に加え、それぞれの割合も概ね前回の結果と同様の傾向といえます。
前回からの変化をみると、減少幅が最も大きいのは「安定的な不労所得」(-6.2ポイント)で、増加幅が最大なのは「相続・贈与税対策になる」(+7.2ポイント)でした。一見すれば、資産の“保全”観が強まり、“攻め”の姿勢がうかがえた『不動産投資の目的』の調査結果と相反しているようです。しかし、「価値が著しく下がることがない」(26.3%)も前回比+5.0ポイントである点をふまえると、投資開始後も不動産ならではの家賃収入の安定性が実感されるとともに、将来的な価値上昇にも一定の期待がなされているといえるでしょう。
6.不動産投資の懸念点
空室への不安根強くも長期的にはコストを懸念
投資用不動産所有者に、不動産投資で懸念していることについて短期(3~5年程度)と長期(10年以上)に分けて尋ねました。短期では、「空室になること」(58.0%)が2位以下の「資産価値が下がること」(29.0%)や「家賃が下がること」(26.5%)の倍以上の割合でトップとなりました。
前回比では、「固定資産税」(23.8%)が+4.8ポイントで「災害」(20.8%)を上回り3位になったものの、その他順位に大きな変動はみられませんでした。ただし、減少幅は「資産価値が下がること」が-4.5ポイントで最も大きかったことをふまえると、供給過剰感があるエリアでの空室長期化や家賃低下を懸念する向きも読みとれます。
長期では、上位6位は前回の結果と同じく、トップの「資産価値が下がること」(40.0%)に「空室になること」(36.8%)が僅差で次ぎました。しかし前回からの増減幅をみると、上位2位はいずれも前回比約4.5ポイント減である一方、「固定資産税」(20.0%)が3.0ポイント増となっています。投資家は、長期的には賃貸需要の安定性を信じつつも、物件価格の高騰に伴う評価額の上昇や、将来的な増税リスクをコストとして予測しているといえるでしょう。
短期・長期で比較すると、長期になるほど「入居の有無(空室)」よりも「物件そのものの収益構造(家賃・コスト)」に対する懸念にシフトする傾向がうかがえます。
・区分マンション所有が7割近くに迫る 検討対象は一棟モノ中心にイメージ具体化
・エリアは都心5区と23区への注目続くも2割前後に低下 価格高騰の実感強く
7.所有している物件
区分マンションの勢い再び 過去最高を更新
投資用不動産所有者に所有している物件の種別を尋ねました。前回初めて減少に転じた「ワンルーム区分マンション」が前回比+8.8ポイントで盛り返し、過去最高の47.8%でトップとなっています。上位6位は前回と同様ながら、3位の「ファミリー向け区分マンション」は前回比1.0ポイント増の21.3%で、これまでで最多となりました。また、その他前回からの増加幅では「一棟アパート」(+2.2ポイント)、減少幅では「海外不動産」と「物流・倉庫」がいずれも約3ポイント減で、比較的変動がみられました。
金利の上昇、金融機関の融資姿勢の厳格化が進むなかで、相対的にローンが通りやすい、あるいは手元資金で購入が可能な価格帯の区分マンションや戸建てに投資が集中しているといえそうです。
8.所有していないが興味のある投資用物件
一棟マンションが2割超 関心はより具体的に
投資用不動産所有者に、現在は所有していないが興味を持っている投資用物件の種別を尋ねたました。その結果、「一棟マンション」(22.5%)が3年連続でトップで、前回比+6.0ポイントと増加幅も他の種別を上回りました。
また、前回3位だった「ファミリー向け区分マンション」(19.3%)が前回比+5.8ポイントで、「一棟アパート」(16.8%)を抜き2位に返り咲いています。
なお、『所有している物件』でトップの「ワンルーム区分マンション」は10.5%で14位、所有物件2位の「戸建て」は13.5%で11位にとどまっています。
加えて、「あてはまるものはない」は41.8%で初めて45%を切り、前回比-8.7ポイントで唯一減少した一方で、その他の種別はすべて増加しました。また増加幅をみると、 「賃貸併用住宅」(+5.0ポイント)と「一棟アパート」(+3.0ポイント)の伸びが大きくなった一方で、「ワンルーム区分マンション」(+0.5ポイント)や「シェアハウス」(+1.2ポイント)、「ホテル」(+2.5ポイント)は比較的小さくなっています。
一般に対する『不動産投資に対する興味』を問う調査で「少なからず興味あり」層の減少が底打ちしたこととも呼応するように、不動産投資家においても具体的な物件に対する興味が広がりつつあるようです。とりわけ、すでにワンルーム区分マンションや戸建てを所有する投資家が、より出口戦略の広いファミリー向け区分マンションや収益性の高い“一棟モノ”へステップアップを狙う、攻めの意向がうかがえます。
9.購入を検討したいエリア
都心5区・23区が上位維持も 購買意欲は後退
投資用不動産所有者に、購入を検討したい投資用物件のエリアを尋ねた結果、「都心5区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区)」が20.5%でトップ、「東京その他23区」(18.8%)が次ぎました。ただし、前回比ではいずれも約8ポイント減と、大きく減少し、前回3位の「横浜・川崎エリア」(9.3%)も6.5ポイント減で「東京都下(市部)」(13.0%)を下回りました。なお、前回からの減少幅では「大阪府」(6.8%)が-9.0ポイントで最も大きくなっています。
また、前回から比率が増加したエリアは「海外」(5.0%)や「その他関東(茨城県・栃木県・群馬県)」など6つにとどまった一方、「検討するつもりはない」が37.8%と前回から2倍以上に増加しています。
物件種別のイメージは具体化が進む一方で、新規購入に対しては「様子見」の慎重な姿勢が強まっており、とりわけ都心5区を中心とした都区部や主要都市の物件に対する「高すぎて手が出ない」という意識が垣間見えるようです。
10.所有不動産の価格動向に対する印象
「高騰している」が75%弱 バブル感は3割弱
今回、投資用不動産所有者に対する新たな設問として、不動産を所有している地域の2024~25年の価格動向について印象を尋ねました。その結果、「不動産価格は高騰しているが、バブルではない」が47.3%で他を大きく引き離してトップ、「不動産価格は高騰し、バブルだと思う」(27.5%)が次ぎ、高騰している(計)が75%弱となりました。また、「不動産価格は安定している」は17.8%、「不動産価格はまだ安い」は7.5%にとどまっています。
属性別にみると、年代別では、20代で高騰している(計)が62.5%と最も低く、さらに「不動産価格はまだ安い」が18.8%と他の年代層より顕著に高くなっています。
また年収別では、概ね所得が高いほど高騰している(計)の割合が高い傾向がみられ、とりわけ年収2,000万円以上の層では「不動産価格は高騰し、バブルだと思う」の割合が半数超となっています。
なお、居住地と不動産の所有地域は必ずしも連動しないためあくまで参考ですが、地域別にみると高騰している(計)の割合は北海道(83.4%)が最も高くなりました。
実際の不動産価格動向としては、公示地価は2024年の前回比+2.3%(全用途・全国平均)に続き、2025年はさらに+2.7%とバブル崩壊後の1992年以降で最高となりました。特に大都市圏の伸びが大きく、東京の商業地は10.4%、住宅地では5.7%の上昇となっています。またメディアでも、都心の新築物件を中心にマンションの平均価格の値上がりが連日大きく報道されていることから、実際の上昇トレンドに加え、体感トレンドとしても高騰していると捉える層が大半を占めたようです。ただし昭和・平成のバブル期は、地価上昇率が10%超ながら消費者物価の伸び率は最大2~3%台と大きく開いており、 “資産インフレ”感が強くありました。一方で現在は両者の伸び率がほぼ同水準のため、生活コストや物価の上昇と比較すると不動産の「実質価値」が急騰したとは感じづらい状況といえます。投資用不動産所有者としては「自分の資産も上がっている“はず”だが、実感としては薄い」と捉えやすいため、昨今をバブルだと思わない層が思う層を大きく上回った可能性があるでしょう。
11.外国人に対する不動産取得規制の影響
「影響あり」3割弱も 可能性を含むと半数超
投資用不動産所有者に対して、外国人の不動産取得に対する規制の影響について尋ねました。これは昨今、不動産価格高騰や国土保全・安全保障の観点から、外国人による土地取得に対する批判や不安の声が強まっていること等を背景に、国交省が2025年7月から個人の土地取得時に国籍の届出を義務化し、26年4月からは法人に対しても大規模な土地の取得時に代表者の国籍の届出を義務化するという動きをふまえた設問です。
その結果、投資家自身が投資している不動産に対して「影響を受けている(実際に売買があった)」が28.5%、「まだ影響はないが、将来的に影響があると思う」が23.3%、「特に影響はない」が38.0%となりました。すでに影響を受けている層は3割弱であるものの、今後の影響を懸念している層を含めると、投資家の半数以上に『自分ゴト』として捉えられているといえます。
また、属性別にみると、最も特徴が表れたのは年代別で、概ね年代が若い層ほど「影響を受けている」の割合が高く、20代では45%超となった一方で、 50~60代では10%前後にとどまっています。これと呼応するように、50~60代は「特に影響はない」が約5割と他の年代より顕著に高くなりました。ただし今後については、50代は26.5%、60代は35.3%が影響の可能性を懸念しています。
一方、所得別ではさほど目立った特徴はみられないものの、概ね年収が高いほど将来的な影響の発生について懸念する傾向も読みとれます。
日本では現時点で、居住・投資の目的を問わず外国人による不動産購入に対して特段の制限はなく、永住権や在留資格の有無も問われません。しかし近年、東京都心部の新築マンションを中心として、海外在住者や外国人投資家による投資目的での不動産取得数が伸びているといった国交省の調査結果等をふまえ、政府内でも実態把握や制度見直しの議論が活発に進められている状況です。今後、日本人の不動産投資にどの程度のインパクトをもたらすか、注目が集まるでしょう。
会社名 :株式会社グローバル・リンク・マネジメント
会社HP :https://www.global-link-m.com/
所在地 :東京都渋谷区道玄坂1丁目12番1号渋谷マークシティウエスト21階
代表者 :代表取締役社長 金 大仲
設立年月日 :2005年3月
資本金 :6億10百万円(2025年12月末現在)
業務内容 :不動産ソリューション事業(投資用不動産の開発、販売、賃貸管理)
提供元:PRTIMES