2026/05/18

2025年の「新設法人」、最多の15.6万社 「港区」設立が全国最多 60歳以上の「シニア起業」割合、過去最高 起業年齢は平均50歳にせまる

株式会社 帝国データバンク 

2025年「新設法人」動向調査




株式会社帝国データバンクは、保有する企業データベースのほか、登記情報などを基に2025年に全国で新設された法人を対象に調査を行った。


SUMMARY
2025年(1-12月)に全国で新たに設立された法人は15万6525社(前年比1.8%増)判明し、3年連続で増加した。2024年の15.4万社を上回り、集計可能な2000年以降では年間最多を更新したほか、10年前の2015年(12.6万社)に比べて年間の設立数は1.25倍に増加した。現役を引退したシニア層など多様な世代へ起業の門戸が開かれており、新たに市場へと参入する企業の増加が続いている。 
[注]設立時点の代表者情報や本社情報は、最新のデータベースを基に、最も古い情報を基に算出・推計した。2021年~2025年の5年間のデータについては、最新のデータを基に再集計している
2025年の「新設企業」 全国で15.6万社、年間最多を更新 
2025年(1-12月)に全国で新たに設立された法人は15万6525社(前年比1.8%増)判明し、3年連続で増加した。2024年の15.4万社を上回り、集計可能な2000年以降では最多を更新したほか、10年前の2015年(12.6万社)に比べて1.25倍に増加した。現役を引退したシニア層など多様な世代へ起業の門戸が開かれており、新たに市場へと参入する企業の増加が続いている。

事業会社として設立が一般的な株式会社では、2023年をピークに減少傾向が続いた一方、低コストで手続きが簡便な合同会社や、福祉事業などで多い社団法人で増加した。特に株式会社は、2023年に発生したインボイス(適格請求書)制度への対応を目的に法人格を取得する小規模事業者の動きが一巡したほか、より設立が容易な合同会社にニーズが移っていることも影響した可能性がある。

なお、2025年の休廃業・解散件数(6万7949社・前年比1.6%減)、企業倒産件数(1万261社・同3.6%増)の合計と比較すると、新設法人数は2.00倍にのぼった。


「シニア起業」拡大 起業年齢は平均48.9歳、過去最高
起業時点での代表者年齢(判明分)をみると、2025年に新設された法人の代表者の平均年齢(起業者平均年齢)は48.9歳(速報値)だった。前年の47.7歳から1.2歳上昇し、2000年以降で最高齢を更新した。起業・法人化する代表者の年齢は近年急速に上昇している。

年代別にみると、最も多いのは「40代」で全体の29.1%を占めたものの、3年ぶりに低下したほか、速報値ながら2011年以来14年ぶりに20%となった。コロナ禍前には4社に1社を占めていた「30代」は18.8%と、前年に続き低下傾向が続いた。また、「20代以下」(5.0%)も、6%台での推移が続いたコロナ禍に比べて低下するなど、総じて若年層・現役世代の起業割合が低下傾向で推移した。

他方で、現役を退いたシニア層・早期リタイア層の起業割合が上昇傾向で推移した。「50代」(26.6%)は7年連続で上昇したほか、「60代」「70代」「80代以上」は共に2000年以降で最高だった。特に、一般企業の多くで定年退職のボーダーラインとなる「60歳以上」の割合は20.5%を占め、前年(17.3%)を上回り、初めて20%台に到達した。インターネットの活用に比較的慣れている世代であることに加え、大手企業を中心に副業・兼業を解禁する動きが広がり、趣味や特技を生かした起業の心理的なハードルが低くなっている。また、政府による「スタートアップ育成5か年計画」、県・自治体による資金・実務面のサポートといった、官民一体での起業支援が充実してきた。そうした情勢も背景に、退職後のセカンドライフとしてフリーランスなどのスモールビジネスを志す中高年世代の起業を後押ししているとみられる。

資産運用の「特定目的会社」が急増、マンション高騰など背景 
法人格別にみると、最も多いのは「株式会社」の10万591社で、全体の3分の2を占めた。3年連続で10万社を超えたものの、2023年をピークに2年連続で前年を下回った。他方、低コストでの設立が可能で、利益配分面などで経営の自由度が高い「合同会社」は4万4998社と、前年から6.8%増加し、2000年以降で最多を更新した。その結果、株式会社と合同会社で全体の9割を超えた。

法人格別に前年からの増加率をみると、不動産などの資産管理・運用を目的に証券発行のみを行う「特定目的会社(TMK)」が最も高く、前年比17.9%の増加(162→191社)となった。東京23区を中心に高層マンションが新築価格で平均1億円に達するなど、不動産の高額化・金融資産化が進み、証券化スキームが組みやすくなったことも影響したとみられる。「合同会社」(6.8%増)のほか、「財団法人」(4.3%増)、「社団法人」(3.4%)なども増加した。(対象:2025年に50社以上設立された法人格)

「士業」関連の新設は減少傾向
法人格別に前年からの減少率をみると、前年から最も減少した法人格は、共用部分の維持管理といった機能を担う「管理組合法人」(67社→50社、25.4%減)だった。管理組合法人は2023年(84社)をピークに減少傾向が鮮明となった。マンション建設ラッシュが続いた2023年に比べ、工期の延長による供給までの期間が長期化し、発売戸数が減少したこと、住民の高齢化で理事のなり手がいないといった問題、マンション管理会社が事務代行をするため設立が不要など、法人化のメリットが薄れていることも影響したとみられる。このほか、「土地家屋調査士法人」(15.7%減)、「社会保険労務士法人」(3.4%減)など、士業関連法人の減少が目立った。(対象:2025年に50社以上設立された法人格)

「東京都」が最多4.9万社、うち23区が9割を占める 
都道府県別(本社所在地、設立当時)にみると、設立数で最多は「東京都」で4万9274社だった。このうち、「23区」が4万4975社を占め、東京都全体の約9割を占めた。次いで「大阪府」(1万7807社)、「神奈川県」(1万53社)と、社数上位の都道府県はいずれも大都市部が中心だった。このうち、神奈川県は2023年以来、2年ぶりに年間1万社となった。

前年と比べて増加率が最も高いのは「鳥取県」の12.9%増(319社→360社)だった。鳥取県では近年、スタートアップなどの創業支援を強化していることも、同地での法人設立数が増加に転じた要因の一つにあげられる。「山口県」(10.4%増)も、前年度から1割増加した。以下、「大阪府」(9.4%増)、「高知県」(7.8%増)、「岐阜県」(5.2%増)が続いた。


市区郡別「港区」が全国最多、「東京ノース」少なく
市区郡別(本社所在地、設立当時)にみると、設立数の最多は「港区」の7472社だった。年間7000社を突破したのは、単独の市区郡としては初めて。以下、「渋谷区」(5795社)、「中央区」(4968社)、「千代田区」(4471社)と、上位6位までいずれも東京都だった。ただ、23区の新設法人は都心5区以南に偏っており、練馬区や北区、板橋区など住宅街が多い都区部北側エリア=通称「東京ノース」では新設法人数が相対的に少ない傾向がみられる。東京都以外の市区郡で10位以内となったのは、7位の「大阪市北区」(2038社)、8位の「大阪市中央区」(2009社)の2区のみだった。大阪市北区は、2000年以降の集計で初めて年間2000社を超え、前年7位だった大阪市中央区を上回った。

前年からの増加率が最も高いのは「球磨郡(熊本県)」で、前年比117.2%増(29→63社)だった。年間で60社を超えたのは2000年以降で初めて。以下、「越前市(福井県)」(53社、96.3%増)、「羽生市(埼玉県)」(71社・69.0%増)、「大阪市西成区」(777社・65.3%増)となった。大阪市西成区は、特区民泊などの観光関連事業や、外国人投資家による不動産関連の新設・進出が活発なエリアでもあり、関連する企業の設立なども増加したとみられる。(対象:2025年における新設法人が50社以上の市区郡)

他方で、前年からの減少率が最も高かったのは「三豊市(香川県)」で、50.0%減(52社→26社)だった。以下、「諫早市(長崎県)」(51社、46.3%減)、「結城市(茨城県)」(33社、42.1%減)、「那珂川市(福岡県)」(40社、42.0%減)が続いた。(対象:2024年における新設法人が50社以上の市区郡)
「シニア起業」のトレンド、2026年も続く公算 
2025年も引き続き前年を上回る法人数が新設されたほか、増加率も上昇した。近年は新しいビジネスを展開する「起業」に加え、給与収入の延長線上で副業的に事業活動を行う「パートタイム」起業、定年退職でリタイアしたシニア層の「1人起業」といったスモールビジネス化も進行し、起業の中身は多様化している。企業の倒産や休廃業・解散といった淘汰の数が高水準で推移する一方、それらの2倍に達する法人新設の動きは、日本経済における新陳代謝のサイクルが着実に進みつつある証左ともいえる。

近年は政府による「スタートアップ育成5か年計画」をはじめ、ベンチャーキャピタルや企業、行政など官民一体で起業支援が行われている。加えて、地域金融機関をはじめとして新設法人の経営者保証を不要とする創業支援融資を取り入れる事例が増えているほか、事業計画の策定や取引先の開拓など、幅広い経営サポートを展開することで経営悪化のリスクを最小限に抑制する取り組みも官民一体となって進んでいる。こうした創業支援の追い風も背景とした、起業に対する心理的・金銭的ハードルの低下は、「起業が身近なものとなり、新たなビジネスチャンスが生まれる」という点でプラス効果を及ぼしていくだろう。

他方で、新設法人の動向は、若い起業家の育成プログラムや、投資先を探しているベンチャーキャピタル・金融機関の数が圧倒的に多い東京都に集中するなど、起業地の偏在化も進んでいる。近年は、地方自治体でも創業支援に注力する動きがみられるなか、地方において起業の芽をどう育むかが課題となる。
 

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提供元:PRTIMES

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