フェムケア・オムケアサプリメント市場 ジェンダー平等社会に向け成長する女性・男性特有の健康課題解決商品

2024/04/11  株式会社 富士経済 

第24035号

フェムケア・オムケアサプリメントの市場を調査

フェムケア・オムケアサプリの国内市場は、2030年に890億円(2023年比29.2%増)
・・・社会全体の意識の変化や理解の深化、フェムテック政策の推進も後押し。
消費者の商品認知度向上、商品数も増加していることから、2024年以降は安定成長・・・

更年期ケアサプリ(フェムケア)は、2030年に284億円

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、女性特有・男性特有の健康課題に対する社会全体の意識の変化や理解の深化を背景に、拡大する健康課題対応サプリメント(以下、サプリ)の国内市場を調査した。その結果を「フェムケア・オムケアサプリメント市場 ジェンダー平等社会に向け成長する女性・男性特有の健康課題解決商品」にまとめた。

この調査では、女性特有の健康課題対応サプリ(フェムケアサプリ)7品目、男性特有の健康課題対応サプリ(オムケアサプリ)5品目の市場を明らかにし、競合や連携する周辺商品との相関関係を踏まえ、各品目の将来性を展望した。※サプリには、一部、明らか食品、ドリンク類も含む

◆調査結果の概要

■フェムケア・オムケアサプリの国内市場

市場は、2020年から2023年にかけて、対人機会の減少など新型コロナウイルス感染症流行の影響や販売手法の見直しなどによって落ち込んだ品目やブランドがあったが、高い伸びを示す品目もあったことから、拡大推移を続けた。高伸長品目の一つである更年期ケアサプリは、「エクエル」(大塚製薬)ヒットによる好調を維持しており、市場拡大をけん引した。なお、「エクエル」のヒットは、女性特有の健康課題に対する消費者意識を「仕方がない」「我慢するしかない」から「我慢しなくてもいい」「ケアするもの」へと変えており、市場に大きな影響を与える要因になっている。

日本は先進国の中でもとりわけ「ジェンダー後進国」であり、長らく女性特有・男性特有の健康課題に対してはタブー視されてきたため対応には後ろ向きであったが、社会全体の意識の変化や理解の深化、フェムテック政策の推進なども後押しして、ようやく消費者意識が変化し始めている。消費者の商品に対する認知度は向上しており、商品数も増加していることから、2024年以降の市場は安定成長が期待される。

◆注目市場

1.更年期ケアサプリ(フェムケア)

「エクエル」や「大豆イソフラボン エクオール」(ディーエイチシー)など、女性の更年期症状・更年期障害の緩和を訴求する商品を対象とする。競合商品には「命の母」(小林製薬)を始めとした一般用医薬品の女性保健薬や、ホルモンに作用する当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸などの漢方処方エキス製剤などがある。

2014年に大豆イソフラボン由来の成分であるエクオールを原料とした「エクエル」が発売された。それまでは大豆イソフラボンを主原料とした商品が主流で、市場も拡大していたが、大塚製薬によるエクオールの働きなどに関する啓発活動と、患者に対しドクターや薬剤師が丁寧に説明する医療機関や調剤薬局などからチャネル開拓が進められたことから、市場が大きく拡大しはじめた。継続した啓発活動や各種メディアを通じたPR活動によってサプリでの更年期ケアの認知度が高まり、また、エクオールを原料とした商品も増加したことから、競合商品の需要を奪いつつ、市場は高い伸び率で推移してきた。エクオール産生能の郵送検査サービスを手掛けるヘルスケアシステムズと提携し、日本人の半数を占めるエクオールを産生できないヒトの需要を誘導していることも有効に働いている。

認知度のさらなる高まり、男性の理解深化、経済産業省によるフェムテックの推進もあり、今後も市場は拡大を続けるが、2024年には200億円超の規模に達すると見込まれることから、伸び率は徐々に鈍化していくと予想される。

2.PMSケアサプリ(フェムケア)

「トコエル」(大塚製薬)や「明治フェムニケアフードα-LunA」(明治)など女性ホルモンに作用し、PMSケアを訴求する商品と、月経時の痛み緩和を訴求する商品を対象とする。競合商品には一般用医薬品の月経前症候群治療薬の「プレフェミン」(ゼリア新薬工業)や、ホルモンに作用する当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸などの漢方処方エキス製剤などがある。

女性ホルモンに作用するサプリの多くは更年期ケアであり、PMSケアを訴求したサプリは少ない。これは「女性なら月経は仕方がない」といった考えが更年期症状以上に強いことによる。このため長年にわたり市場は小規模にとどまっていた。しかし、女性の健康課題に対する社会全体の意識が変わってきていることや、2021年に「トコエル」が発売され、PMSケアに対する啓発活動が進められたことにより、女性の意識が「我慢しなくてもいい」へと変化してきている。これにより2022年に明治、2023年にポーラ、2024年にアサヒグループ食品などが参入を果たしており、市場は成長を続けている。

PMSケアに対する認知が進み始めていることや、フェムケア、フェムテックに対する話題性の高まりによって今後も市場は拡大が予想される。

3.男性妊活サプリ(オムケア)

「メネビット」(バイエル薬品)や「精育支援サプリメント」(TENGAヘルスケア)など妊活を訴求した男性向け商品を対象とする。競合商品には、「宝仙堂の凄十」(宝仙堂)などの成分やコンセプトが近い男性機能改善・男性ホルモンバランスサプリがある。妊活では、精液検査キットや精液観察アイテム(レンズをスマートフォンに装着して観察)を利用するケースもあり、検査結果によって需要を取り込むことがある。

ここ数年で男性の妊活に対する意識は大きく変わったが、男性妊活サプリの認知度はまだ低く、啓発活動など情報発信が今後も必要とみられる。妊活・不妊治療は夫婦で取り組むことが一般的であるため、女性妊活サプリの需要が増加している現在は、男性妊活サプリも相乗効果による需要増加が期待できる。市場規模は10億円に満たないものの、参入企業は増加しており、消費者の関心も高まっていることから、今後も好調な推移が続くと予想される。

◆調査対象

フェムケアサプリメント(7品目)
・更年期ケアサプリメント
・PMSケアサプリメント
・デリケートゾーンケアサプリメント
・妊娠ケアサプリメント
・女性尿トラブルサプリメント
・女性ヘア・スカルプケアサプリメント
・女性向け総合サプリメント
オムケアサプリメント(5品目)
・男性妊活サプリメント
・男性機能改善・男性ホルモンバランスサプリメント
・男性尿トラブルサプリメント
・男性AGA・ヘア・スカルプケアサプリメント
・男性更年期ケア・男性向け総合サプリメント

2024/4/11

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