移民・難民危機/イタリア:18歳という岐路に立つ移民の若者たち【プレスリリース】

2019/11/12  公益財団法人 日本ユニセフ協会 

ユニセフ他国連機関報告書


シチリア島の廃墟となった教会に集うオマールさん(2列目右・17歳)と移民の男の子たち。 (2018年12月撮影) (C) UNICEF_UN0264448_De Luigi VII Photo
【2019年11月8日 ローマ(イタリア)発】

ユニセフ(国連児童基金)は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と国際移住機関(IOM)と共に本日発表した新しい報告書の中で、2014年から2018年の間におとなの同伴者のいない子どもとしてイタリアに到着し、18歳になった推定6万人の若い難民・移民たちには、きちんとおとなになっていくための継続的な支援が必要であると述べました。

報告書『岐路に立って:イタリアで成人期を迎えるおとなの同伴者のいない子どもたち』(原題:At the crossroad:Unaccompanied and separated children in the transition to adulthood in Italy)は、難民・移民となった若者たちが18歳を迎える中で直面する、青年期からおとなへの移行、ある国での生活から違う国への移行、そして故郷を離れ危険な旅路で経験した心の痛みやトラウマを克服するための移行という、“三重の移行”に焦点を当てています。

報告書『岐路に立って:イタリアで成人期を迎えるおとなの同伴者のいない子どもたち』(原題:At the crossroad:Unaccompanied and separated children in the transition to adulthood
「紛争や暴力から逃れた17歳の難民や移民と、同じ経験をしてきた18歳との違いはごくわずかです」と、イタリアで活動するユニセフ移民プログラム・コーディネーター、アンナ・リアッティは述べました。「年齢によって人為的に区別することが、何万人もの若者に対する継続的な支援を妨げ、その結果彼らは社会的な孤立、暴力、虐待、将来への不安といったリスクに晒されるのです」


本報告書は、若い難民・移民がおとなになる過程を阻む要因を概説しています。それには、法的文書を手に入れる手続きが複雑で時間がかかること、人種差別、教育や訓練を受けることや仕事を見つけることの難しさ、心に抱えたトラウマの克服や、特に女の子が直面する暴力のリスクなどが含まれます。

一方、人生の重要な時期にある若い難民や移民を支える要素には、仲間や保護者との良好な関係性、学校へのアクセス、職業訓練や雇用機会、さらに安全で適切な住居などがあります。

報告書の中で、3国連機関はイタリア当局と欧州委員会に対し以下の重要な提言をしています。

イタリア当局への提言

18歳になったばかりの若い難民や移民が受け入れられる社会を築くための、分野を越えた国家戦略と人種差別、排他主義、差別に対する国家行動計画を採用すること
同伴者のいない子どもの保護対策に関する法第47/2017の完全な履行を確実にすること
若者が心理社会的支援、保健ケア、教育、ジェンダーに基づく暴力防止と対応、研修、雇用サービスにアクセスできるようにすること
人身売買や性的搾取などの非公式かつ違法行為に巻き込まれる危険性に関する情報を若者に提供すること
外国人資格の認定手続きを加速すること
若い難民や移民の社会的活動やレクリエーション活動への参加を増やすこと


欧州委員会への提言

すべての子どもの最善の利益を見極め、家族の再統合手続きを実施する上で、加盟国間の効果的な協力を促進すること
保護システムを強化するために、現在および過去の同伴者のいない難民、移民の子どもたちに関する正確なデータと情報を収集するシステムを確立すること
欧州移民ファンドの下で、この報告書の中で明らかになった良い事例を強化し、拡大するために資金を分配すること


2014年から2018年の間に、7万人以上の保護者の同伴のない子どもたちが海路でイタリアに到着し、その90%が15歳から17歳でした。過去5年間で少なくとも6万人が18歳になったと推定されています。

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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )

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