第9期研究費部会(第8回) 議事録

2019/03/13  文部科学省 

第9期研究費部会(第8回) 議事録

1.日時

平成31年1月25日(金曜日)10時00分~11時30分

2.場所

東海大学校友会館「望星の間」

3.議題

  1. 科学研究費助成事業(科研費)に係る2019年度予算案について
  2. 平成30年度科研費の審査の総括について
  3. 第9期研究費部会における審議のまとめについて

4.出席者

委員

西尾部会長,甲斐部会長代理,栗原委員,小川委員,小安委員,城山委員,山本委員,射場委員,竹沢委員,橋本委員

文部科学省

磯谷研究振興局長,千原大臣官房審議官,梶山学術研究助成課長,岡本学術研究助成課企画室長,他関係官

オブザーバー

永原学術システム研究センター副所長,西村学術システム研究センター副所長,石田日本学術振興会研究事業部長

5.議事録

(1)科学研究費助成事業(科研費)に係る2019年度予算案について

【西尾部会長】 おはようございます。時間となりましたので、ただいまより第9期第8回の研究費部会を開催いたします。
本日は、実を申し上げますと今期の最後の会議となります。まず、科研費の2019年度の予算案について御報告いただくほか、前回御議論いただきました今期の本部会における議論のまとめについて取りまとめをしたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。また、今年度の科研費の審査の総括についても日本学術振興会より御報告いただくことになっております。
それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【岡本企画室長】 本日の配付資料につきましては、お手元の議事次第に記載されているとおりでございます。会場の都合上、本日は紙で配付資料を配らせていただいております。また、個々の資料名の読み上げはいたしませんけれども、資料の欠落等がございましたら事務局までお申し出いただければと思います。
以上でございます。
【西尾部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、議事に入りますけれども、「科研費の2019年度予算案」について、事務局より報告をお願いいたします。
【梶山学術研究助成課長】 失礼いたします。それでは、私から御説明申し上げます。まず、資料1-1を御覧ください。
科研費につきましては、分科会での御説明、それから報道等で御承知の方は多いと思いますが、本年度におきましては、補正予算を50億円、来年度の本予算におきまして86億円増、併せまして136億円増という近年の中では大きな予算の増の獲得ができたと思っております。先生方の御支援をどうもありがとうございました。
内容でございますが、2019年度事業の骨子のところを御覧いただければと思います。本会議においてもその方向性について御議論いただき、御決定いただきました方向性、中核的研究種目の充実を通じた「科研費若手支援プラン」の実行。それから、国際共同研究の推進(「国際共同研究加速基金」の拡充)。この2つの方向性で今回の予算の増というのが図られております。
具体的に、資料1-2を、こちらの方が分かりやすいと思いますので御覧ください。
先生方にこちらの部会で御議論いただいておりました「科研費若手支援プラン」がございます。基本的な考え方として、御承知のとおり、博士人材育成を軌を一にして、研究者のキャリアに応じた効果的な支援策を切れ目なく展開するというものでございます。この中で今回の予算で拡充を特に図ったものが上から2つ目のところにあります「研究活動スタート支援」、それから「若手研究」でございます。最初に若手の方が取るであろうもの、それから、そこに続いていく「若手研究」というところ、こちらにつきまして格段の拡充というものができたと考えております。「研究活動スタート支援」については多分400件程度、「若手研究」については1,500件程度の増というものが見込まれまして、採択率もかなり上昇することを見込んでおります。
また、それに併せまして、「若手研究」を卒業した方、また若手段階においても一定限の資金が必要な方が取られるという意味で、若手の研究としても非常に重要でございますし、国際ということの中で、競争の中で、高度化に欠かせない基盤研究(B)の部分。それから、学術の研究の多様性と裾野の広がりを支える基盤研究(C)の部分、こちらについても今回の予算において拡充を図ることができました。基盤研究(B)についても多分300件程度、基盤研究(C)についても600件程度の増というものが図れたと思っております。このような「科研費若手支援プラン」というものを着実に進めていくための予算というところで、若手の重点的な支援というものを果たしていくというところが1点あろうかと思っております。
それから、2番目でございますが、国際共同研究のところに関しましては、この「国際共同研究加速基金」の「国際共同研究強化(B)」の部分でございます。この(B)の部分に関して本年度から実施しているところでございます。こちらにつきましては、多くの方に応募いただいたところで、国際共同研究を加速するという意味で大きな意味があるということでございますので、こちらについても、40件程度ではございますが、予算の拡充を図ることができたと考えております。
また、その1つ下にあります「帰国発展研究」、こちらにつきましては、応募要件を本会議におきまして見直していただいたものでございます。こちらにつきましては、まだ完成年度に至っていないということで、着実に予算を見ていかない限り新規採択が下がっていくという、そのような性格のものですが、「帰国発展研究」についてもきちんとその必要な予算というものを確保し、「帰国発展研究」において必要な人数を確保できる、採択できるような金額を確保できたのではないかと思っております。
それから、このような予算的な拡充というものと併せまして、次のページを御覧いただけますでしょうか。資料1-3でございます。もう1点先ほどのポンチ絵のところと併せて御説明申し上げますが、この部会において御議論いただいておりました海外渡航時の研究費の中断制度というもの、こちらについても導入いたしまして、近々に来年の実施のための通知、連絡なりをしたいと考えております。
具体的には、御承知のように、海外における研究滞在等において中断をできる制度というものを設けるものでございます。手続のところを御覧いただければと思いますが、1年以上というところで、まずは最大5年間というものの間を見越して中断期間を設定することを可能とするというものでございます。イメージ的には、下にありますが、大体2年か3年程度海外に行かれた後に帰ってくるというときに、その後の科研費というものを再開できるようにしたいと考えております。また、基本的には5年というふうに考えておりますが、もう1年いたいというようなこと、そういう場合もあろうかと思いますので、そちらに関して再度の申請というものを可能にしようということで考えているところでございます。基本的には、柔軟な制度運用を行うことによって、海外渡航というものがその研究者のキャリアパスにおいてデメリットにならないような形、そのようなことができるように制度の改正を図ってまいりたいと思っております。
このようなことを通じまして、来年度の予算の国会審議を経て、その事業の実施を行ってまいりたいと考えているところでございます。
私の方から科研費の来年度の予算案の御説明は以上でございます。
【西尾部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、ここまでの御説明につきまして、御質問等がありましたら、どうぞ。
【山本委員】 「研究活動スタート支援」を基金化されたということなので、後年度分が積まれていると思うのですね。それはどのぐらいの金額になりますか。
【梶山学術研究助成課長】 「研究活動スタート支援」につきましては、御説明を失念しておりましたが、今回基金化を図っているところでございます。こちらにつきましては、「研究活動スタート支援」は2年種目でございますので、そんなに大きな額を必要とせずにすることができました。「研究活動スタート支援」ということで、最初のところで基金種目にも一番なじみやすいところがあろうかと思います。今後の基金化の1つの一番しやすく、また必要性がある部分について今回着手できたのではないかと考えているところでございます。
あともう1点、済みません、御説明を忘れておりました。
【西尾部会長】 どうぞ。
【梶山学術研究助成課長】 先ほどの若手のところの数字を言うのを忘れておりまして、若手研究支援プランというところで、若手研究に関して今回拡充するというところでございますが、先ほどそれぞれのところで、例えば、「研究活動スタート支援」なら400名、「若手研究」で1,500名、基盤研究(B)だったら300名、基盤研究(C)でしたら600名というお話を申し上げたところでございます。こういうものを含めまして、この中で今若手の方が1万人科研費で支援申し上げているところでございますが、2,000人増の1万2,000人以上の若手の方を支援するような形、このようなことを見込んでいるところでございます。
恐縮でございます。付け加えの説明でございます。
【西尾部会長】 どうもありがとうございました。
20%増ということですね。山本委員、御質問をどうもありがとうございました。
どうぞ。
【竹沢委員】 細かなことで恐縮ですけれども、まず若手を含めることが条件化されたということと、それから、海外帰国支援が若手の優秀な人たちも応募できるようになったということは、非常にこれは私もうれしく思っております。
その上で、中断が認められたということで、それもとても良かったと思うのですが、延長した場合、最後の年を今は1年延長できるシステムがあると思うのですけれども、その途中で中断ということが可能なのかということと、それからもう1点、これも私は自信があって言っているわけではないのですけれども、この“More Challenging,More Independent,More Open”というこの英語の表現について、これはネイティブチェックを受けられているでしょうか。というのは、”Challenging”の意味は、日本語では「難しい」という意味で使う場合が多く、意図とは逆の意味にならないかと思いまして。
【西尾部会長】 2点御質問をいただきましたが、いかがでしょうか。
【梶山学術研究助成課長】 まず、1点目のところでございます。延長をすることは当然可能でございます。そのお金をどう使うかというときに、この概念的には、当然これは適用になる可能性はあるのだと思っております。ただ、例えば、ほんの短い間であれば、本当にそれが使われるかどうかという意味では分からないとは思っておるのですけれども、基本的に必要となる期間の中のどこに行っても帰ってきたときにお渡しするということを考えておりますので、そのような制度として考えていきたいと思っております。
それから、先ほどのこの資料1-2というのは、実はこれは前々から、こちらの会議で作っていただいていた資料でございまして、私どもは、ただ、事務局としてネイティブチェックをしたかと言われると分からないところがありますので、確認いたしまして、必要があれば次回なりにこういう方が良いのではないかということをまた御提案させていただきたいと思っております。
以上でございます。
【西尾部会長】 どうもありがとうございました。
では、ネイティブチェックの件をよろしくお願いいたします。どうぞ。
【小安委員】 これだけ若手への助成金が増えたというのは、事務局に非常に頑張っていただいたということで本当にありがたいと思うのですが、一方で、最近いろいろなところでも言われているように、お金だけ付けても研究をする若手がどんどんどんどん減っているということをもう1回我々としてはきちんと見るべきだと思います。ですから、ここまで施策を打っていただいたので、今後は若手が安心して研究に進めるような環境醸成ということに少しかじを切っていただいて、そこを文部科学省の方から強く言っていただくということがないと、気が付いたら助成金をあげるべき若手がどこにもいないということにならないようにしていただきたいと思います。
【西尾部会長】 本当に貴重な御意見かと思いますので、研究振興局、あるいは他の局も含めて考えていただければと思いますが、何かコメントはございますか。
【梶山学術研究助成課長】 ありがとうございます。若手支援というものに関して、若手支援だけではないと思いますが、研究費だけではなく、ポジションであったり環境整備とか、様々なことが必要だということ、この会議においても御議論いただき、御提言いただいているところでございます。
文部科学省といたしましても、予算はとりあえず終わりましたが、来年度以降の予算にどうつなげていくかという議論を内部でしておりまして、そちらにおいては、高等局、私ども、それから科政局、開発局、その4局が一緒になって、政策パッケージとして打ち出していきたいということ、そういうことを考えておりますので、そのような中で、先生がおっしゃっていただいたような若手の話もやってまいりたいと思います。
また、その状況につきましては、先生方の方にもお伝えし、本当にそれで良いのか、また、それをやるためにはこうした方が良いのではないかという御議論を、少し後の話になりますが、次期の部会の方で御議論いただければと思っておりますので、そこはよろしくお願い申し上げます。
【西尾部会長】 力強い御回答をいただき、どうもありがとうございます。
では、先ほどから手を挙げておられた射場委員、どうぞ。
【射場委員】 この科研費が増額になったことは結構大きく報道されましたよね。私はその報道を全部見たわけではないのですけれども、本庶先生の写真とかが付いていたりして。その増額の内容については、余りこの若手とか国際のことが強調されてないような気がしたのですけれども、その辺はプレスリリースとかとの関係が何かあるのですか。
【西尾部会長】 どうぞ。
【梶山学術研究助成課長】 私どもとしては、基本的には、今回の科研費というものに関しまして、「研究力向上加速プラン」という、振興局全体の中でまずプレスリリースをして、その中の大きな要素がうちなのだよという説明を申し上げておりますが、そこを一番の、何のためにそれをやるかというと、若手支援だということを強く打ち出しておりましたので、若手支援というところを、各社書いていただいていたのではないかなと思っております。
ただ、国際の方は若干その陰に隠れていたというのは先生おっしゃるとおりだと思いますので、正確な今回の予算の状況につきましては、今様々な大学等の会議でも申し上げているところでございます。また、来週の月曜にも国立大学の研究担当理事の会議もございますので、そういうところでもきちんと情報発信をしていきたいと思っております。
【射場委員】 ありがとうございます。
【西尾部会長】 どうもありがとうございます。
報道に関しては、国際の方もより強くアピールしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
栗原先生、どうぞ。
【栗原委員】 私も実は同じようなお願いでして、特に「帰国発展研究」については、これは、非常に規模からいっても海外にいるアクティブな研究者が新たに研究室を日本に戻って設立できるための非常に強力な資金になるものだと思うのですけれども、相手は非常に広い世界ところにいる研究者ということで、必ずしもよくそう知られているわけではないと思いますので、できるだけ広報して、必要な人たちに届くように、我々も同様に努力しなければいけないものと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
【梶山学術研究助成課長】 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思っております。「帰国発展研究」に関しましては、既に本年度の応募というものが出ておるのですけれども、必ずしも私どもの今回の決定というものを多分知らない方が多いようで、ほぼ増えておらないというところがございます。海外に対しての発信ということもございますので、学振の皆様方とも御協力させていただきながら、例えば海外のセンターなどで、情報を幅広く発信して、来年度の「帰国発展研究」というものへの応募が増えるように努めてまいりたいと考えております。
【西尾部会長】 どうもありがとうございました。
ほかに御意見等ございませんか。よろしいですか。どうぞ。
【橋本委員】 今の「帰国発展研究」の宣伝ですが、これは非常に重要なことだと思います。最近は、国際公募をかけている大学が多いので、そういう機会に少し入れてもらえるように働き掛けたらどうでしょうか。
【西尾部会長】 非常に良い御提案をいただきまして、橋本先生、どうもありがとうございました。本当に有効なことだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
ほかにございますか。よろしいですか。
どうもありがとうございました。今回の件につきましては、文部科学省において、補正予算も含め、今年度の当初予算に比べて総額136億円という大きな増額を実現できましたことに心より感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
特に補正の50億円のこともございますけれども、本予算の方で86億円増えているということが非常に大きな意義があると思っております。再来年度の予算要求は、来年度の本予算額がベースになって交渉されますので、そこの敷居が上がったということは大変ありがたいことです。
科研費の更なる量的拡充を求める声は依然と大きい状況ですので、来期、第10期の研究費部会では、そのために必要な議論をお願いいたしたいと思っております。どうもありがとうございました。


(2)平成30年度科研費の審査の総括について

それでは、次の議題に移ります。今年度から新たな審査システムが本格始動したということで、今年度の科研費の審査を総括し、そのフォローアップを我々としてもこの部会でお願いすることは非常に大事なことだと思っております。ここでJSPSより御報告いただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
【石田JSPS研究事業部長】 日本学術振興会の研究事業部長をしております石田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、このような説明をさせていただくお時間を与えていただきまして、ありがとうございます。
私どもからは、「平成30年度科研費等の審査に係る総括」ということで、資料2を準備させていただきました。これについては、昨年の10月までに取りまとめまして、既に公表させていただいているところでございます。委員の先生方におかれましても、この内容について一部御覧いただいているかもしれませんけれども、本日は、前期の学術分科会における御議論などを踏まえた一連の科研費改革への対応、とりわけ審査システム改革2018を踏まえた審査の初年度ということもございますので、そのあたりの関連の深いところを中心にかいつまんで説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
資料の1ページ目から7ページ目までは、各種目の審査の概況を触れているところでございまして、ここは基本的に省略をさせていただきたいのですが、その中で4ページ目をお開きいただけますでしょうか。
4ページ目にタイトルで「若手研究」という箇所がございます。本日は研究費部会でございますので、この「若手研究」というものが、前期、この研究費部会の「科研費による挑戦的な研究に対する支援強化について」として取りまとめていただいた提言を踏まえた改善事項でございます。
この辺の審査が触れられてございますけれども、「若手研究」全体での新規の応募件数というのは約2万400件ということでございまして、採択の件数は6,300件ほどということでございます。結果的に前年度より応募件数は減少しておりますが、採択件数は増加したという結果でございます。
5行目から記述がございます。「従来の若手研究(A)の応募者が、基盤研究に移行したことや」という記述がございますけれども、御案内のとおり、これは先ほどの挑戦的な研究に対する支援強化の御提言の中で、若手研究者に対する支援の在り方としておまとめいただいた内容を踏まえた対応でございまして、基盤研究に移行されたことであるとか、こちらもその提言の中にございましたけれども、若手研究者の応募要件の変更ということが一因になったと考えられているところでございます。
「今年度の応募に関して」とされておりますが、「平成30年4月1日までに博士学位を取得後8年未満の研究者による応募は1万4,300件」ほどという記述がございます。これも繰り返しになりますけれども、原則としてこの平成30年度の公募から若手研究の要件として、博士の学位取得後8年未満の研究者を対象とするということで、その他、学位取得見込みの方、あるいは産前・産後の休暇、育児休業等の期間を除かれると学位取得後8年未満となる方、こういった方を対象として設定をしているということでございます。また、この取扱いに関する激変緩和措置ということもございまして、従前の応募要件に倣った39歳以下の博士の学位未取得の方も経過措置として対象になるということでございます。
公募をして実際の審査というのは、この属性を分けることなく全て合算した上で審査を進めたわけでございますけれども、結果的に、5ページ目を御覧いただきたいのですが、左側から、博士の学位取得後8年未満の研究者、学位取得見込みの者、産前・産後の休暇等を取られた方、ここまでが博士の学位取得者あるいは見込みであった者と考えられるわけでございまして、右側におられますのが博士学位未取得の方であるということでございます。これはあくまで最終的な審査の結果でございますけれども、これをパーセンテージで表しますと、博士の学位を取られた方の採択率は結果として約35%、未取得の方は約20%を少し切る程度であったというのが結果として出ているところでございます。
ここはこれぐらいにいたしまして、次に、11ページ目をお開きいただけますでしょうか。これも前期の研究費部会で御提言いただいた内容を受けてのことでございます。こちらも一連の若手支援プランの一部として御提言いただいた内容に基づくものでございますが、研究計画最終年度前年度の応募に関する記述でございます。トータルとして、この取組については、応募件数が約550件、採択件数は約170件であったという結果でございます。
5行目後段から、「平成30年度より基盤研究(S・A・B)への応募に限り、継続中の研究課題のうち、3年間の研究計画であっても最終年度前年度の応募を可能とした」というのが、これは「若手研究」を受給されている方のみの措置でございまして、従前のこの制度から対象を広げた。すなわち若手支援プランの一環として若手研究者への基盤研究への移行をより柔軟にするという取組をしたところでございます。「若手研究」を基課題とされる方トータル550名のうち215名がこの形で前年度応募をされたという結果になっているところでございます。しかしながらまだまだこの制度、取組が十分活用されているとは言えないところもあろうかと思いますので、更なる周知に努めてまいりたいと考えているところでございます。
その他、審査システム改革との関連も深いところもございますので、そちらについては審査システム改革の流れで説明をさせていただくことを御了承いただきたいと思います。行ったり来たりでまことに申し訳ありませんが、次に8ページ目をお開きいただけますでしょうか。
8ページ目以降に大きな見出しで主な制度改善等というものを立てておりまして、その1番目として科研費審査システム改革2018の実施ということがございます。科研費審査システム改革2018、本日お集まりの先生方におかれましては十分御案内のことかと思いますけれども、振り返りますとこれはどういうものであったかということでございまして、1つには、審査の区分、従来ありました「系・分野・分科・細目表」というものを廃止し、新しく審査区分表を設定するというものでございました。「大区分・中区分・小区分」、更には、それぞれ研究種目に応じて適用する内容を変えるというもの、これが1つの点でございます。
もう一つは、基盤研究(S)、基盤研究(A)については総合審査を行い、基盤研究(B)、基盤研究(C)、更には若手研究については、2段階書面審査で対応するという形をとっているものでございます。文章に戻っていただきたいのですけれども、「科研費審査システム改革2018に基づき、新たな審査区分、新たな審査方式の下で審査を行った」という記述にさせていただいております。審査区分については、「「小区分・中区分・大区分」で構成される「科学研究費助成事業審査区分表」で審査を行った」というものでございます。
審査方式の詳細については、ここは省略をさせていただきますけれども、まず、総合審査方式についてでございます。まず、基盤研究(A)について、審査会終了後、審査に携わっていただいた先生方、更には学術システム研究センターの研究員双方から、新しい総合審査方式について、かなりの数の肯定的な御意見を頂いたということを述べさせていただいているところでございます。主な御意見といたしましては、書面審査によって研究課題の内容を十分御理解いただいた上で合議に臨んでいただくことで、幅広い視点で研究課題の意義と不足な点を深く議論させ、評価することが可能であったということ。また、審査区分が広くなって、委員も専門が異なるメンバーで構成されて、審査の公正性が増したということ。更には、合議審査を経験し、幅広い分野の学術的意義や方法論を学ぶことができたこと、などの御意見を頂いたところでございます。今後も議論の深化に資するようにということで、私どもとしては、審査資料や合議審査の進め方について、更なる改善に向けた検討を進めていく必要があると考えております。
その下にございます挑戦的研究についても総合審査方式で対応させていただいたところでございまして、おおむね同じような肯定的な御意見を頂いたところでございますが、2段落目、「その一方で」という記述がございます。挑戦的研究の趣旨については、新たな種目導入から2年度目ということもあって、まだ必ずしも十分に浸透していないのではないかという御指摘も頂いたところでございます。学術振興会としても、更にその趣旨の徹底に努める必要があるというふうにまとめているところでございます。
次の9ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらには、これも新たに始めました2段階書面審査方式に関する記述がございます。対象研究種目についてはこちらに記載のとおりでございます。2段階書面審査というのは、第1段階の書面審査をしていただいた結果を踏まえ、ボーダーライン付近の評点状況について、改めて2段階目の審査を行うという方式でございますけれども、このボーダーラインの評点状況について、1段階目の評点が高得点でも2段階目で得点が落ちている事例であるとか、又はその逆になっているケースなどもありまして、これは、結果そうなっているというのを確認できておりますけれども、2段階目で他の審査員の評価結果を参考に再評価する仕組みというのが機能している。どうしても合議審査を行わないということで、なかなか難しい審査の取り回しになっているわけでございますけれども、他の方の審査意見等を参照して、もう一度評価をしていただく仕組みが機能しているのではないかという分析をしているところでございます。
また、審査員各位にアンケートを行わせていただいた結果というのは、これは既に公表しているのですけれども、多くの審査員から、適切だ、すばらしいという方から、おおむね良かったのではないかという方まで含めて、約9割の方々が適切な審査方式であるという肯定的な御意見を頂いたところでございます。主な御意見としては、他の委員からの指摘が参考になって、多様な視点から再評価が可能となり評価が充実したとか、自らの評価の妥当性の確認に資することができた。更には、ほかの方の審査コメントを参照することで、若手の審査員の育成にも貢献できるのではないかという御意見を頂いたところでございます。まだまだこちらもクオリティーを高めることができる部分もあろうかと思いますので、引き続き検討を行うことが重要かと考えるところでございます。
こうしたまとめをしておりますと、一見審査システム改革に基づく審査というのが順調に行ったようにも映るかと思いますけれども、せっかくの機会でございますので、12ページ目をお開きいただけますでしょうか。
こちらはなかなか目につかないようなところでございますが、審査組織に関する記述がございます。例えば、(3)番の基盤研究(A)については、これは中区分による総合審査を行っておりますけれども、75に分割した、65の中区分でございますけれども、結果75の小委員会を開催いたしました。更には、(5)の基盤研究(B)、(6)の基盤研究(C)、それぞれ委員会数というのは御覧いただいたとおりでございますけれども、これだけの審査のグループがあるとお考えいただきたいところでございまして、これらを全て1月から3月までに集中的にやっているということでございます。
恐れ入りますが、15ページ目をお開きいただきますと、審査の経過といたしまして、(3)基盤研究(A)「一般」、一例で挙げさせていただきますと、基盤研究(A)については、12月の上旬から1月の中旬まで書面審査を実施し、その結果を集計後、2月7日から3月7日という1か月に欠けるぐらいのスケジュール感で、先ほども申し上げたとおり、75の小委員会を開催して合議審査を実施したということでございます。営業日というのは大体1か月のうち20日間ぐらいですので、大体毎日4つぐらいの審査を断続的に1つも中断などすることなくこなしているということをあえて述べさせていただきたいところでございます。
大改革でございましたので、その初年度で大きなトラブルなく実施できるというのは、学術振興会としては最も重視しなければいけなかったことでして、ここに至った、最終的に3月末までに審査を終了し、取りまとめを行って、4月1日には交付内定通知を多くの研究種目で行うことができたというのは、ひとえに審査に携わっていただいた多くの先生方、約7,000名の先生方に御尽力いただいているところでございます。またセンターの約130名の先生方にも全て審査に立ち会っていただいているところでございます。更には、なかなか目立たないのですが、科研費制度を支えていただいている大学の先生方以外の事務職員の方々にも御尽力いただいて、これが滞りなく行えたという格好になっているわけでございます。ということをもちまして、最終的にトラブルがなく、マイナートラブルというのはあるかもしれませんけれども、トータルとしては滞りなく実施することができたという御報告をさせていただくところで閉めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【西尾部会長】 石田部長、どうもありがとうございました。
最後のところで、石田部長の方からいろいろ謝辞を述べられましたけれども、我々としましては、新たな審査制度を適切に運用していただき、事務局としてバックアップをしていただいた日本学術振興会の方々に心より御礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、今御説明いただいたことにつきまして、御質問等をいただけたらと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。
【小川委員】 科研費の審査ですが、ここ数年少し私は遠ざかっているのですけれども、かつては、できるだけコメントを、落とす場合でも、余り良い部分がないような申請課題に対しても、何とか次の新しい申請のときに改良につながるようなコメントを付けるようにというようなサジェスチョンもありまして、できるだけそういうふうに努めたのですが、最近日本の研究力が非常に落ちているというような評価も先日お聞きしたのですけれども、最近のところではどうなのでしょうか。その科研費の審査に当たって、できるだけ研究者の次のステップアップにつながっていくようなコメントを付けて励ましていただくよう、何もなくて評価だけというのではなくて、そういうようなお願いというか、審査員に対しての働き掛けはなさっているのでしょうか。
【石田JSPS研究事業部長】 ありがとうございます。御案内のとおり科研費制度におきましては、長年制度を運営していく過程で、できるだけその研究課題に対する所見というものを、審査負担も考えながらどこまでやるのが適切かという議論を踏まえて対応してまいりました。現状では、総合審査を行っている種目、代表的な例では、基盤研究(A)につきましては、総合審査を踏まえた課題に対する所見というものをおまとめいただいてお返しする。それも採択に至らなかった研究課題についてそういうお返しをしてきたわけですけれども、今後の予定としては、採択された研究課題についても、審査員の先生方には大変御負担をおかけしますけれども、何とか趣旨を御理解いただいて、どこがどう良かったのかということも含めて開示をさせていただこうと思います。
他方、余りに応募の件数が多い基盤研究(B)、(C)、更には若手研究については、1つ1つの審査所見というものをグループで合意形成をして、この内容で開示するのが良かろうというところまでまとめるというのは、これは困難を極めるところでございます。約10年ほど前に審議会で御議論いただいて、定型的な所見、ここのところは少し不十分ではないか、あるいはここは少し良くないという御指摘を書面審査の過程で頂いて、その内容を開示させていただくということで対応させていただいております。これについても審査負担を考えながら今後改善できるところは改善する必要があろうかと思いますけれども、現状についてはそのようなところで御理解いただいているところでございます。
【小川委員】 そうしますと、全ての申請課題に対して、例えば(B)や(C)で不採択になるような課題に対しては、コメントが付かない場合が多いということなのですか。
【石田JSPS研究事業部長】 所見を、審査の過程では、審査員間でこの課題に対する考え方はどうなのかというのは共有いただいておりまして、原則全ての課題に対する審査所見というのは頂いております。ただ、その全てを取りまとめて応募者に開示をするというところまでは対応しておりませんので、そこについては定型的な所見で、どのような点に指摘があったかというのを応募者には御理解いただくようにしております。
【小川委員】 合議制になったから個々のコメントがカットされたというよりは、何かしら各申請者に返っていっているということですね。
【石田JSPS研究事業部長】 そのとおりでございます。
【小川委員】 合議の良さもあると思うのですけれども、個別の審査のときに、それぞれの審査員のベクトルが違っていても、それはばらばらなコメントであっても、申請者にとっては何かしら参考になる部分もあると思うので、合議制になったためにその辺が簡略化されるということがないように、できるだけ生のコメントが返っていくようにしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【石田JSPS研究事業部長】 ありがとうございます。参考にさせていただきたいと思います。
【西尾部会長】 どうぞ。
【小安委員】 非常に御苦労をされたことがよく分かりました。今後のことで少しお伺いします。ここのところずっと応募件数の増加ということに対してどう対応していくか、しかも審査員の負担が非常に大きくなって、それをどう解消していくかと、いろいろなことをお考えだと思います。今後、特に特別推進研究や基盤(S)などの大型種目の審査は前倒しにしていかないと、なかなか基盤(A)の審査をやっている方々の負担が減らない等々の声も聞いています。そこら辺を含めて、今後どう改善していくのかというところをどのぐらい議論されているかを知りたいのですね。
例えば、総合審査方式も、これは最初に始めるときに、挑戦的研究からとりあえずやってみましょうということで始めて、それが良かったのでほかに広げたと理解しているのですが、現在、萌芽もこれでやっていらっしゃるのですよね。例えば、もし今年の様子、(B)や(C)の2段階書面審査方式が良かったのであれば、萌芽はそちらの方に移すと大分負担が減るのではないでしょうか。基盤(S)に関しても、総合審査方式が非常に良く機能しているのであればヒアリングはやめてしまうとか、いろいろな考え方があると思います。そのあたり、どのぐらい議論されていて、それによってどのぐらい審査が、余り効率ばかり言うのも良くないとは思うのですけれども、スムーズに行けるかということが話題にはなっていると思いますが、現状を少しお話しいただければと思います。
【石田JSPS研究事業部長】 ありがとうございます。実際いろいろな問題意識というのは持っているところでございます。ただ、冒頭お話しいただいた、大型研究種目についてもっと早く審査を行うというのは、現状の公募開始時期との比較で言うと物理的にかなり難しい問題があろうかと思います。そこについては、今後の更なる改善の可能性について、どうやればできるのか、どこにハードルがあるのかというのを文部科学省さんとも一緒になって検討をさせていただきたいと思っているところでございます。
2点目、挑戦的研究の萌芽の部分でございますけれども、確かに審査負担、応募の件数に対して、それを全て総合審査で行うことについては学術振興会の中でも問題意識を持っております。審査員からこれは審査負担が大き過ぎるから何とかしてほしいというお声をたくさん頂いているところもありまして、そこら辺は何とかしなければいけないと思っております。
ここに至る過程では、審議会での、先ほど来何度か出てまいりました、前期の研究費部会でおまとめいただいた御提言の中に、方向性としては、挑戦的研究を創設するに際して、総合審査方式で取組むということも含めて記述がございましたので、現状はそれに沿った対応としております。しかしながら、どうしても審査負担が大きいので、場合によっては2段階書面審査への移行も考えなければいけないかと考えております。他方、御意見を踏まえ、2段階書面審査に移行するという方法を仮にとったとしても、それぞれの応募研究課題の挑戦性への考え方について、ある程度委員会の中でコンセンサスを得た上で進めないと、そこがぶれたままに評点を付けていると、必ずしも良い審査にならない可能性もあるのではないかという話をしております。まだ方向性が定まっているわけではございませんので、今後どうするかというのは引き続き検討してまいりたいと思いますけれども、現状この程度でお許しいただければと思います。
【小安委員】 分かりました。ありがとうございます。
1点目に関しては、どうしても公募の時期ということで縛りが掛かっているのは理解しているのですが、逆に言うと、文部科学省にやっていただければ良いと思うのは、大型種目を基金化することができれば、公募をいつ開始しても良いはずなので対応策はあると思います。それをやっていただければ全体が非常にスムーズに動くはずだと思うので、是非検討していただければと思います。
【梶山学術研究助成課長】 おっしゃっていただいたように、それぞれの審査の時期であったり、審査の方法というものに関して、学術振興会と連携して私どもも考えていきたいと思っております。
特に先ほどおっしゃっていただきました大型種目につきましては、この後御議論いただきます新学術領域研究についてどうしていくかという中で、そこを併せて考えていく必要があろうと思っておりますので、そこの中で検討していけば良いのではないかということをまずは思っておるところでございます。
また、それ以外のものに関して、先ほどこちらの部会で決めていただいた審査方式というものの考え方を基に学振の方でやっていただいたということで、こちらの方でも御議論いただく必要があると思っております。できるものに関しては来年度の公募からやることが極めて重要だと思っておりますので、そこは次期の審議会において、8月といいますか、6月か7月に間に合うような形で、振興会においてもとりあえず来年はこういうことではないかということを私どもとすり合わせた上で御提案を差し上げたいと思いますので、その辺をよろしくお願い申し上げます。
【西尾部会長】 よろしいですか。
【小安委員】 はい。
【西尾部会長】 ほかにございますか。では、山本先生、竹沢先生の順でどうぞ。
【山本委員】 その挑戦的研究に関してなのですけれども、これは種目の創設の際の議論で、基盤研究との明白な区別化をするということが基本になっていると思うので、2段階書面審査を使う場合でも、先ほど言われたようなことは非常に大事かと思います。
それとともに、挑戦的研究のうちの開拓研究に関しては件数が少ない。これは、当初は制度、安定的なスタートのためにそういうふうに重複制限を掛けてきたのですが、もし萌芽の方が若干簡略化できるのであれば、逆にそちらの重複制限を部分的に緩めるという形で挑戦を促していくという考え方もあろうかと思うので、その辺の方、事務負担との関係も含めて御検討いただければと思っています。
【石田JSPS研究事業部長】 簡潔にお答えいたしますが、私ども、重複の制限については、前期の研究費部会で示された方向性でも、できるだけ緩和していくべきなのだというのがコンセンサスであったかという認識はございます。こちらについても、その具体的な在り様について、文部科学省さんとも相談しながら進めていきたいと思います。
【西尾部会長】 よろしいですか。どうぞ。
【竹沢委員】 いろいろと次々に改善されていくというのが手に取るように分かりまして、本当に私もありがたく思っております。
いろいろな統計が出ておりまして、これも非常に現状というか、推移をいろいろと把握するのに非常に有益だと思っておりますけれども、以前から気になってはいたのですけれども、人文・社会系というのは、理工系と生物系が分かれているのに対して、人文・社会系が1つになっていて、例えば、大型科研などでも以前は人文系と社会系が分かれていたのですが、最近は人文・社会系が1つになってしまっていて、公表するかどうかはまた別問題として、1度大型科研での人文系での応募に対して人文系の採択率がどうなのか、社会科学系での応募件数に対してどうなのかということをお調べ頂けないでしょうか。私自身は人文系が押されているような、しかも人文・社会科学系で採択されていても、内容的にはかなり生物系のように思われたりする場合があります。少し気になっておりまして、まずは統計からもし頂ければ、将来的に頂ければありがたく思います。
【石田JSPS研究事業部長】 頂いた御意見については、どのような形で表現できるかというのはなかなか難しいところもあろうかと思いますけれども、恐らくおっしゃっておられるのは、基盤研究(S)がターゲットとなっている大区分のくくりあたりが御質問の趣旨に合うのかなと思います。それを大くくり化してきたという流れとの関係も考えながら、できるところはやっていきたいと思います。
【西尾部会長】 よろしいですか。どうもありがとうございました。
ほかにございますか。どうぞ。
【橋本委員】 5ページのところの上のものを見て、今さらながら気が付いたのですけれども、経過措置にかかっている方が5,800件あるということは、若手2万のうちのこのぐらいが対象ということなのですね。つまり、経過措置が終わると、この部分はすぽっと抜けるというふうに考えて良いわけですね。そうすると、先ほど議論がありましたが、若手が本当に減ってしまうというか、先が心配だなという気が非常にします。そこで、この経過措置で応募されている方々のその後がどうなっているかというフォローアップを是非やって頂きたいですね。どうやるかということもありますが、また、分野にもよるだろうし、いろいろ事情があるのだろうと思うのですけれども、一遍に4分の1抜けてしまうというふうに見えるわけですね。若手がね。そういう意味でも少し調べておく必要があるかなと思います。
【梶山学術研究助成課長】 ありがとうございます。おっしゃっていただいたように、この2万件のうちの5,000名程度の経過措置が、今の考え方が終了するのであれば削減されると。私どもとして、この部会としては、若手の時期に特別のものを作って支援しようという対象としてはこれなのだろうけれども、その対象としてこういう方々はどうなのだというものの実態を見て検討しなくてはいけないのだと思っております。本年度の予算の大幅な増加というものを含めて、これを今後本当にどうしていくのかというところは、また御議論いただきたいと私どもも思っておりましたので、必要なデータをできるだけ集めまして、その御検討に資するようなことを準備してまいりたいと思っております。
【西尾部会長】 どうもありがとうございました。
ほかにございますか。では、最後ということで、どうぞ。
【射場委員】 先ほど議論のあった挑戦的研究のところで、8ページにその趣旨が十分浸透していないというお話があったのですけれども、趣旨が十分浸透してないのは、審査員に対して十分浸透していないという意味ですよね。
【西尾部会長】 どうでしょうか。
【石田JSPS研究事業部長】 これは必ずしもそういうことではなくて、応募をされる方。
【射場委員】 その両方ということですか。
【石田JSPS研究事業部長】 はい。「応募者に」というのがまずベースにあろうかと思いますけれども、「審査員の方に」という意見が含まれていないかといったら、そこまでの確認はされておりません。
【射場委員】 これをどうやって浸透させていくかというのは、挑戦的研究というのはこういうものだよということを文章で書いて示すことはもう今までもやっていると思うので、事例だと思うのですよね。こういう研究が挑戦的研究で、特に良かったこの採択事例みたいなものを、審査員もそうだし、新しい応募者にも共有することによって、より良い内容になっていくかと思うので、アプローチもできますよね。
【西尾部会長】 本当に貴重な御提案をありがとうございました。いただいたご提案を御配慮いただければと思います。
先ほどの石田部長の今のお話を伺いますと、この部会で改革を審議し、提案した内容がいかに多いか、ということと、それらのたくさんの事項をJSPSの方でいかにスムーズの実装していただいてきたかということを再認識いたしました。大きな混乱がなく、多くの改革事項がスムーズに実行されていることは、これは本当に多くの方々の御尽力のおかげだと感謝しております。
その上でのことですけれども、先ほど小安先生の方からもお話がありましたように、審査をしていただく方の人数の制約とか、また時間的な制約の中で、フェアネスを保ちながら各種目の根本の考え方を重視した審査をしていく上で、現場の方で更なる改善ができることにつきましては、今後も鋭意進めていただければと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の最後の議題に移ります。「第9期研究費部会における審議のまとめ」について、前回の研究費部会での議論を反映した内容について説明をお願いいたします。これは室長から。


(3)第9期研究費部会における審議のまとめについて

【岡本企画室長】 それでは、資料3-1について御説明させていただきます。この「第9期研究費部会における審議のまとめ」につきましては、前回の10月23日の研究費部会におきまして1度御意見を頂いたところでございます。本日は、その頂いた意見につきまして、赤字で修正を加えているという体裁にしておりますので、御覧をいただければと思います。
まず、表紙をおめくりいただきますと目次がございます。このまとめにつきましては、全体を大きく2つの構成にしております。「第9期における制度改善事項等」には、今期御審議いただいたことについて、主なものをまとめています。審議の経過、またその審議の結果をどのように実際に予算や制度改善に反映しているか、そういうことについてまとめております。(1)といたしましては、「科研費若手支援プラン」の実行、(2)国際共同研究の推進、(3)科研費における研究組織の見直し、(4)科研費制度運営の適正化、(5)「新学術領域研究」の見直しの方向性ということで、大きく5つに分けてまとめているところでございます。前回の研究費部会において、ここについての御意見は特段なかったかと思いますので、字句の修正などを行っているところでございます。
2つ目、「今後の検討課題」につきましては、前回3つ出させていただきました。(1)「新学術領域研究」の見直し、(2)応募件数の増加への対応、(3)新たな審査方式の検証及び検証結果を踏まえた見直し。これら3つにつきましても大変重要な課題であるということで、10期におきましても引き続き検討していくということで御了解を得たところかと思います。
新たに加えたところといたしましては(4)でございます。「科研費制度の総合的観点からの検討」ということを前回頂きました御意見を踏まえて付け加えさせていただいております。
参考資料のところについては、一番最後に関連資料集というものを付けさせていただいております。これは、前回は机上配付資料としてお配りさせていただいておりますが、その内容を精査いたしまして、今回報告書の最後に関連資料集として付けさせていただいております。
最初に「はじめに」がありまして、2ページ目に「第9期における制度改善事項等」があります。2ページ目に赤字のところがございますが、「科研費若手支援プラン」についてのところを若干変えてございます。本質的なことは全く変えておりませんけれども、この「科研費若手支援プラン」にいては、本年1月現在で更新した形にしております。今後もこのプランについては、必要なときに必要な更新を行っていくということになろうかと思いますので、このような形にしているところでございます。
字句の修正などは少し飛ばさせていただきまして、9ページ目を御覧いただければと思います。2の「今後の検討課題」のところでございます。ここに、まずなお書きの文章を加えさせていただいております。「なお、科研費制度の充実や制度全体の不断の見直しに当たっては、大学改革推進の方向性やほかの競争的資金の状況等も踏まえ対応する必要がある」ということでございます。
その後、(1)「新学術領域研究」の件、次のページが(2)応募件数増加への対応、そして、3つ目が(3)新たな審査方式の検証及び検証結果を踏まえた見直しということで、11ページに(4)で科研費制度の総合的観点からの検討というものを加えさせていただいております。1つ目の文章につきましては、冒頭に書かせていただいた内容を改めて書かせていただいておりまして、2つ目に書いておりますのが、「研究者に基盤的経費が適切に措置されることや、特に若手の研究者については安定的かつ自律的なポストが確保され、自由に研究ができる環境が整備されることにより、科研費の効果がより一層高められることを強く認識する必要がある」ということです。最後に、今後行っていくことですけれども、「学術研究を巡る環境が変化する中で、科研費が研究費全体の中で果たすべき役割やそれを踏まえた制度の改善点について、その他の審議会・部会等における研究費の在り方に関連する幅広い議論を踏まえて検討を行うなど、総合的観点から検討していく必要がある」という文章を加えさせていただいております。
また2月から新しい期が始まりますので、具体的には、そこでの話になるわけですけれども、今考えられますことは、科研費を考えていく上で、ほかの競争的資金の状況なども当然意識しないといけませんので、他の研究費制度について本部会において現状などを御報告していただき、それを踏まえて科研費について考えるとか、関連の審議会・部会などと連携して、場合によっては合同で部会などを開催していくこと、そのようなことも来期においてはやっていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
本文については以上でございまして、最後、関連資料のところを御覧いただければと思います。39ページでございます。
関連資料集としてお付けしているものでございまして、(1)の「科研費若手支援プラン」関連から(7)の「その他」まで、この2年間の第9期におきまして様々なことを御議論いただいた中で、データ的なもの、数値的なものをこの関連資料としてまとめさせていただいています。これらを今期第9期の研究費部会における審議のまとめとして、最終的に取りまとめをお願いしたいということでございます。
資料3-1の説明は以上でございます。
【西尾部会長】 どうもありがとうございます。
今後の検討課題となっております「新学術領域研究」の見直しについては、小安先生に主査をお務めいただいております科研費改革に関する作業部会において議論を進めていただいております。小安先生より、現在の検討状況を少し御紹介いただけたらありがたく、よろしくお願いいたします。
【小安委員】 では少々お時間を頂きます。この「新学術領域研究」の見直しに関しましては、昨年7月31日のこの部会で中間報告をさせていただきましたが、ただいまの岡本さんから御説明のあった資料の9ページにマル1、マル2、マル3と、「新学術領域研究」見直しの方向性ということで、これまで御報告をさせていただいたところです。これを御了承いただいたということで、これに基づきまして、作業部会において、現在詳細な制度設計を検討しておりますので、若干御報告をさせていただきます。
まず、目的に関しましては、「これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを先導する」という、これもここで昨年度からずっと議論してまいりました「学術変革研究」種目群の中に位置付けるという、この点を明確に目的の中に入れようとしております。それを通じて我が国の学術水準の向上・強化や、若手研究者の育成につながる研究領域の創成を目指す。そして、共同研究や設備の共用化等の取組を通じて提案された研究領域を発展させる。このような方向で目的を明確にしようということで現在検討しております。それに沿って研究種目名をどうするかということも議論を始めたところです。
その次が、「新学術領域研究」の既存の枠組みに加えて、特に次世代の学術の担い手となる若手から中堅の研究者を中心とした小規模な研究グループが、より挑戦的な研究に取組んで、それを将来発展させていく、それを新たなグループ研究につなげる、そういうことを可能にするような、比較的応募総額が少額の新たな区分を設けることも併せて検討しております。
もう一つは、中間評価、事後評価、これに関してもいろいろと御意見もあります。これもそれぞれの目的に応じた実施時期や実施方法、これを検討した方が良いのではないかということで検討を開始しております。
検討状況の詳細に関しては、これから事務局の方から御説明いただくことにしておりますので、よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】 よろしくお願いいたします。
【辻山学術研究助成課課長補佐】 それでは、資料3-2の2ページ目を御覧ください。現在の新学術領域研究との対比の形でまとめております。
まず、目的を御覧ください。現在の我が国の学術水準の向上・強化につながる設備の共用化等の取組を通じて発展させるというグループ研究としての特性は残しつつ、「○○領域研究」、今新しい名称を考えておりますので、仮称の新しいものにつきましては、まず区分として2つ設けております。
区分(A)につきましては、トランスフォーマティブ・リサーチということを大きく明確化するということで、赤字にございます「これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを先導する」というものは入れております。
また、区分(B)につきましては、先ほど小安先生から御紹介がありましたように、若手の比較的小規模なグループがより挑戦的な研究に短期間取組むということで、実現の可能性、フィージビリティを追求するような区分となっております。したがいまして、目的につきましても、将来の区分(A)の応募を志向するような研究というふうに整理をさせていただいております。
応募金額につきましては、新学術領域研究については、1年度当たりということで、現在1,000万円から3億円程度を原則としております。新しい制度につきましては、それぞれの区分において、現行の助成額を踏まえ、それぞれの区分が適切に実施できるような予算規模としたいと思っております。
なお、区分(A)につきましては、現行は3億円程度ということになっているのですけれども、真に必要な場合にはそれを超える、上限を超えた応募も可能とし、そのような場合には、実際に審査の場においてその是非を判断するように考えております。また、区分(B)については、実現可能性を探るということでございますので、原則として1回に限りの受給としております。
研究領域の構成につきましては、まず区分(A)については、計画研究。こちらは、次代の学術の担い手となる若手から中堅の研究者を中心に構成するように留意することを新たに設けたいと思っております。また、(B)につきましては、次代の学術の担い手となる若手から中堅の研究者が取組むことを想定するようなものにしております。
また、公募研究につきましては、現在が件数として10件、又は予算の総額として10%を上回るというように基準を設けているところでございますが、新しい制度につきましてはそれを少し上げまして、15件又は予算総額の15%を上回るようにしたらどうかとしております。また、採択件数の半数程度が若手研究者となるように、こちらも留意事項として加えたらどうかと思っております。
なお、区分(B)につきましては、公募研究を設けずに、領域設定期間についても、区分(A)は従来と同じ5年間とし、(B)については3年間としております。
次のページを見ていただきますと、対象についてまとめております。主に黒字の部分は現行の制度から引き続きの部分でございまして、赤字にあります「新たな変革や転換をもたらし」というところは、新しく両方に加えているところでございます。
また、1)のところについても、「革新的な学術研究の発展が期待される」ということで、トランスフォーマティブ・リサーチというところが明確化になるようにしております。なお、(B)については、目指すということで、「試行する」というふうにしております。
また、2)のところでございますが、現行のローマ数字の(3)のところで、「学術の国際的趨勢の観点から見て重要であるが云々」ということにつきましては、実際のところ、応募や採択の実績が見られないということから、新しい制度については、2)のローマ数字の(3)については削除をしてはどうか考えております。
また、3)の現行の制度におきましては、「社会的な意義・波及効果等をもたらすことが期待されるもの」ということが対象としてございますが、これは、新しい制度においては、対象ということとはせずに、評価の1つの要素というふうにして、新しい制度においては、それぞれ、区分(A)については、個々の研究成果とともに研究領域の成果として十分に期待されるものとして、トランスフォーマティブ・リサーチの事例として、例えば「新しい原理や学理の発見・追求」等というものを、想定されるものは追記しております。また、(B)につきましては、繰り返しになりますが、「区分(A)への展開などが期待されるもの」ということで、可能性であったり、より挑戦的なものに取組めるようなことを対象としております。
次のページを見ていただきますと、ここからが新旧制度の対比表で、審査・評価についてのものになっております。審査の時期等につきましてはまだ検討中でございますが、特に公募研究については、現行の書面評価、合議審査に替えて2段階書面審査。ただ、領域の運営、領域代表者の領域の方針などを配慮できるような形で2段階書面審査のようなものができないかということは考えております。
また、表3にございます、こちらは中間評価・事後評価でございますが、現行であれば中間評価を3年度目、事後評価を6年度目ということでございますが、例えば、新しい制度については、中間評価を4年度目に実施して、次に新たな応募がされた場合に、この中間評価を評価資料として活用できないかということを考えております。なお、4年目に実施するということになりましたら、中間評価前に領域の運営状況等のフォローアップも必要だと思いますので、そういった何らかのフォローアップができるということも併せて4年目に実施する場合は考えたいと思っております。
また、事後評価は、現行、書面評価とヒアリングを実施しているところでございますが、新しい制度については、書面評価を原則として、ヒアリングは必要に応じて実施するということがよろしいのではないかと考えております。
説明は以上です。
【西尾部会長】 どうもありがとうございました。
審議の進め方としましては、まず、ただいま小安先生と辻山課長補佐の方から御説明いただきました後半部分の「新学術領域研究」の見直しの検討状況につきまして、先に審議したいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
【甲斐委員】 小さな質問ですけれども、最後の評価実施時期の新しい方の「○○領域研究」の中間評価と事後評価ですが、これは、大きい方の区分(A)のことだけなのでしょうか。区分(B)だと研究期間が3年間なので、これは6年度目だと随分後になってしまうのですけれども、その区分(B)に関しては事後評価を行わないということでしょうか。
【辻山学術研究助成課課長補佐】 申し訳ありません。表3については区分(A)についてまとめておりまして、区分(B)については、まだ全体をどうするかというのは、併せてまだ検討中でございます。
【甲斐委員】 今後のことですか。ありがとうございました。
【西尾部会長】 よろしいですか。ほかにございますか。この件は、第10期の研究費部会においても引き続き議論をしていきたいと思っておりますけれども、現時点で説明に対しての御質問とかはございませんか。
小安先生は、補足的なことはございませんか。
【小安委員】 特に補足することはないのですが、今自分で見ていて、3ページ目の区分(B)の、対象のところの1)の一番下のところに「革新的な学術研究の創成を試行するもの」、試み行うと書いてあるのは、これは指が向かうだったのではないかと思って、どっちだったかなと今悩みましたので、後でもう1回見ておいてください、事務局。
【西尾部会長】 どうかよろしくお願いいたします。今の段階でお答えできることはございますか。よろしいですか。どうぞ。
【梶山学術研究助成課長】 申し訳ございません。おっしゃるようにこれは試み向かうの方で、そのような、私の手元にあるものは試み向かうになっておりまして、今配られているものが、そうなっていますよね。2ページ目と3ページ目に同じ言葉がございまして、2ページの試み向かう方が正しいということで、恐縮でございます。
【西尾部会長】 では、そのようなことで御了解いただけましたでしょうか。
どうぞ。
【栗原委員】 少し細かい言葉なのですけれども、その下にある赤字のところで、「長期的視野に立った不確実性の高い研究への挑戦を可能」と書いてあるのですが、「長期的視野に立った不確実性」というのは少し分かりにくいので、「不確実性」は取って、「長期的な視野に立った挑戦性の高い研究」という方が良いのではと思います。変に「不確実性」を入れて、それが高いというのも分かりにくいのでは、と思いました。
【小安委員】 なるほど。ありがとうございます。
【西尾部会長】 御納得いただけますか。小安先生、よろしいでしょうか。
【小安委員】 ありがとうございます。意味はそちらの方が通じるかなと思いますので、引き続き検討させていただきます。
【西尾部会長】 どうぞ。
【甲斐委員】 質問ですけれども、これは大変おもしろい変換の仕方で良いアイデアだなと思って読みました。区分(B)と区分(A)に分けて、区分(B)は、むしろ区分(B)がこれから新しい研究を創成してチャレンジしてみるということで、(A)はどちらかというとそれを発展させるというイメージでよろしいのでしょうか。
【小安委員】 いや、区分(A)も本当にトランスフォーマティブなものをがっちりいろいろな人と議論してスタートしようというのをここからやっていただいて良いと思います。
【甲斐委員】 そこからでも良いという。
【小安委員】 全然構わないと思っています。
【甲斐委員】 ただ、そうすると大きさが違うというだけですか。
【小安委員】 ただ、例えば、始めようと思っても、もともとそれほどの大人数がいないような分野というのはあると思います。
【甲斐委員】 本当の創成がそうでしょう。
【小安委員】 ええ。ですからそういうものは(B)の方からスタートしていただくというのが1つの考え方ではないかというふうに議論していました。
【甲斐委員】 必ずしも金額は(B)の方が小さくしなければいけないという、そういうことではない。
【小安委員】 今のところは、サイズの問題からいって(B)の方は小さくする方向で考えています。
【甲斐委員】 大体幾らぐらいですか。
【小安委員】 今、上限を3億円でやっているので、それを5,000万円なのか、1億円なのか、どこら辺が最適かというのはまだまだ議論のところです。
【甲斐委員】 分かりました。
【西尾部会長】 今、JSTで行われている戦略研究のCREST等でそういう体制をよくとられているような状況だと思います。まず、フィージビリティ・スタディを行い、研究グループの組み替えなどを行って、より成果をあげる工夫をするようなことが行われており、同様のことが考えられているのかなと思いました。大切なことは、この領域全体としてのきっちりとした考え方が(A)と(B)で適切に踏襲されているということだと思いますので、よろしくお願いいたします。
ほかにございますか。
そうしましたら、続きまして、審議のまとめそのものについて、前回の本部会での議論を反映いただいたものになっているのかというようなことも含めまして、御質問がございましたらよろしくお願いいたします。どうぞ。
【甲斐委員】 このまとめの11ページの「科研費制度の総合的観点からの検討」という赤字のところを入れていただいて、まとめの方向の3つのポイントを書いていただいたことに感謝いたします。とても大事なことが書いてあると思いました。
文部科学省の審議会の中で、研究費全体について議論できるのはここの部会だけだと思っております。毎年ここの部会でこそ、科研費は中心で良いですけれども、研究費全体を是非議論してほしいと申し上げておりますが、それが本当に生かされていて、総合的観点からということで、科研費を中心として、ほかの競争的資金、それから大学改革推進の方向性、そういうことを述べていただいて、最後、ここには記載されておりませんが、御説明の中で、次の研究費部会では、関連のほかの審議会や部会と合同で開催して広く検討していただけるという方向性を言っていただいて、本当に重要なことだと思います。ありがとうございます。
日本の制度の改革というのは、すごく細やかなことに1つ1つ対応して改革していくという大変良い方向性を持っているのですけれども、ここまでいろいろなことが集まってくると、そういう細やかな対応だけでは、もはやいかないのではないかと最近ひしひしと感じております。若手支援と言っても、科研費の中で若手支援のものを設けてあげるとか、若手のポストを取ったときに少し支援してあげる、それはとても大事なことなのですけれども、実際に若手が来なくなっている、大学院生が来ない、若手が残らない。それはもっと大きな問題でして、科研費で少し助けてあげたら来るかと、私はとても危ないと思っております。
本当に緊喫な課題でして、若い人が研究現場に残ることに夢がなくなっているのですね。それが最も大きなことです。それは、給与制度ももちろん大事だと思いますが、給与をもらっても残らないと思います。時限付きのポストしかない。これは、若者にとって本当に大きな問題ですし、それから、大学の先生方が、運営費交付金がなくなって小さな遊び研究ができない。義務はすごく多い。大学に残っているシニアの先生たちがハッピーな感じではないのですね。これは若者の夢を潰します。そういう方たちを見て、その次代を私たちが継ごうとは思わないのですよね。そういう状況を放置して、少し若者にお金を足してあげれば来るのではないかというのは、もはやもう無理だと思います。
ですから、この最後の11ページの方向性は本当にありがたいと思いまして、そういう幅広い議論とか、総合的観点からほかとも協力してというのがとても大事な課題だと思いますので、そういうことを打ち出してくださったことに感謝いたしますし、来年の、次期の研究費部会に本当に期待したいと思います。ありがとうございました。
【西尾部会長】 甲斐先生には、今、学術研究を行う現場がどのような危機的状況かということをきっちりとお話しいただいた上で、文部科学省における審議が1つの部会だけで閉じるような状態ではこの状況を打破していけないのではないか、とおっしゃってくださったのだと思います。そのような観点からも、ここに書かれていることを第10期では実践していくということが大事かと思います。是非とも研究振興局内のみならず、場合によっては局を超えるような広い視野での施策を何とぞよろしくお願いいたします。
どうぞ。
【磯谷研究振興局長】 遅参して済みません。
まさに今、甲斐先生と西尾部会長がおっしゃったことは大変重要なことだということで、私どもの今回の科研費を中心とした若手の「研究力向上加速プラン」というのは、決してそれで何か全部変わるということで打ち出したのではなくて、事務局の説明の仕方が悪かったら申し訳なかったのですが、当然大学改革と連動してやっていくという話でありますし、今まさに西尾部会長がおっしゃっていただいたように、高等教育局と研究3局で連携しながら、今、甲斐先生がおっしゃったようなことについて、研究者のキャリアパスですとか、運営費交付金の話ですとか、それから若手のポストの話、そういったものに更に踏み込んで体系的にやっていくべく今省内でも検討を進めております。また研究費部会でも御議論いただきたいと思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。今御指摘いただいたことを我々はそのつもりでこの1年間やってきておりますので、よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】 力強いお答えをどうもありがとうございました。
竹沢先生、どうぞ。
【竹沢委員】 今のお話、全く私も同感です。でももう御議論いただいたので別の話題になりますが、運営費交付金のことに関しては誰かが発言すべきだと思いますので、一言申し上げます。
もうメディアでも随分取り上げられておりますし、文部科学省の御尽力だけではどうにもならないということもあろうかと思いますし、私の周りの人には、文部科学省は守ってくださっている方なのだというふうに申してはいますけれども、運営費交付金が今回10%競争資金になることが決まったことは、大きく分けて3つ支障が生じると私は思うのです。
1つは、運営上の問題。人件費も場合によっては年度途中にならないと予定が立たないとか、あるいは、科研費では買えないものが運営費交付金では買えたとか、使い方に困るということ。
2つ目は、指標が人文科学系から見ると非常に理系的な指標で到底納得のいくものではなく、この指標ではとても頑張っているか頑張ってないかということの目安にはならないだろうという点。
それから3つ目は、そもそもこの競争原理を運営費交付金に持ち込むということ自体に問題があると思っています。と申しますのも、競争原理で評価される研究と、競争原理では必ずしも評価されないけれども、でも地道にやっている研究。私の身の回りでも人文学において長い時間が掛かるというのもありまして、そこに競争原理を、それもかなり理系のバイアスが掛かった原理を持ってくると、そうするとますます、今の話ではないですけれども、特に人文学系の衰退がいよいよ深刻化して、若手もいないし、今の研究者も非常に深刻な状態だという。この状況自体に関しても、私だけがそういうふうに思っている場合ではないと思いますし、反対の御意見の方もあるかもしれませんけれども、記録として、次期につなげてこの問題を考えていただけたらと思います。
【西尾部会長】 どうもありがとうございました。
今、先生の方からおっしゃっていただいたことは重要なことでして、来年度の国立大学の運営費交付金に関しましては、運営費交付金全額で約1兆円あるうちの10%の1,000億円について、特にその中の700億円については共通指標という下での評価がされて、そこで傾斜配分がなされるということが第3期の中期目標の期間中に始まることになってしまっております。これは、国立大学法人化された後の運営費交付金等の配分については、中期目標期間の最初に、その期を通じての配分方針が定められて、その方針の下で6年間、つまり、1つの期の間は全うされるということが前提でした。今回の来年度の予算でそれが崩れてしまいました。
さらに、共通評価指標を定めるということは大きな問題があります。今まで、各大学は個々の大学の個性であり特長に応じて中期目標、中期計画期間中の計画、目標、関連するKPIを立て、その達成度で評価される限りにおいては、各大学の個性とか特長が生かされることになっていました。ところが、共通評価指標が定められるとすべての大学がその評価指標の向上に向かいますので、そのような多様性が失われていきます。更に、竹沢先生がおっしゃったように、自然科学系的な共通指標をもって評価されて、その結果で傾斜配分されていく状態になっています。実は、大学において重要な教育に関する評価指標が1つもありません。
更に、1兆円のうちの1,000億円の部分、つまり、10%部分が更に今後拡大されるとか、その傾斜配分するときの傾斜率を更に大きくする、つまり、大きな差をつけることが予告されています。そのような国立大学の基盤的経費の深刻な問題、さらには私立大学に対する基盤的経費に関してもいろいろな課題があると思います。そのような状況の中で、科学研究費補助金、あるいは他の研究経費と、それらの基盤経費を総体的にきっちりと連携して考えないと、日本の学術研究というのはもう守れない。ありていに言えば、デュアルサポートシステムが、現在、崩壊してしまっておりますので、それを我々がどう取り戻して日本の科学技術・学術をいかに向上させるかという、これはまさに正念場に来ていると思っております。そういう点での問題点を竹沢先生に御指摘をいただいたものと思っております。
これに関しましては、我々学術に関わる者としてきっちりとした対応を考え、声を上げていかなければなりませんし、この部会における審議においてもそういうことと関連させた審議をさせていく必要があると思っております。どうもありがとうございました。
どうぞ。
【磯谷研究振興局長】 今の竹沢先生と西尾部会長がおっしゃったことは大変重要な御指摘でありまして、1つだけ付け加えさせていただきますと、インスティテューショナルなファンドと言いますか、ファンディングと、それから個人に対するファンドということで、釈迦に説法ですけれども、科研費は個人に着目をしているわけでありまして、その方がどこに所属していてもその人は申請ができるわけですし、そういう意味で、間接経費みたいなところがインスティテューショナルなところにリンクしているというふうに考えています。そういったファンディングの性質の違いも十分考慮しながら、先ほどのインスティテューショナルな方についての研究費の在り方についても御議論いただくことももちろん大事ですし、それから、全体として学術振興をどういうふうに図っていくかと、これは重要な視点だと思っております。どうもありがとうございました。
【西尾部会長】 どうもありがとうございました。
ほかに。どうぞ。
【城山委員】 今の甲斐先生、局長をはじめとする議論で、心は大体読めたのですけれども、その表現なのですが、「科研費制度の総合的観点からの検討」というこの枠は抜けられないのかなという点についての意見です。つまり、あくまでもこれは科研費制度の検討で、周辺状況も当然そのインスティテューショナル・コストとか運営費も含めて考えますよという話なので、これはかつて、これも甲斐先生から御議論があったと思いますけれども、研究費部会の分掌は、メーンは科研費なのだけれども、研究費の在り方全体について議論できる場所だということを言うのであれば、本来であれば科研費制度をはじめとする研究費の在り方の総合的観点からの検討とかというところまで踏み込むということもロジカルにはあり得る話だと思います。多分今御議論していただいたようなことのインプリケーションは、多分中の人は当然分かっていると思うのですが、外に伝えようと思うと、若干今までとは違って科研費以外にも踏み込むのだよという形で、そこはどこまで踏み込むかは当然曖昧にせざるを得ないと思うのですけれども、科研費だけはない研究費の在り方についても議論するのだよというメッセージが一言あった方が良いのかなという感じがします。
そこが今までのプラクティスとの関係で本当にやって大丈夫かどうかということは、担当の方に御検討いただければと思いますけれども、そこまで踏み込むということも多分あり得るのかなと。やるとすると、多分今申し上げたように、科研費制度をはじめとする研究費の在り方の総合的観点からの検討にするとか、あるいは、多分一番下のパラグラフで言うと、例えば「その他の審議会・部会等における研究費の在り方に関連する議論を踏まえ」というよりかは、むしろ先ほどの甲斐先生の御趣旨を考えると、「その他の審議会・部会等との研究費の在り方に関する議論を踏まえ」と、つまりこの部会が他の部会等とも議論するのだという、少しそういうニュアンスを入れていただく表現というのがあり得るかどうかですね。もし可能であれば御検討いただければというような印象を持ちました。
【西尾部会長】 どうぞ。
【磯谷研究振興局長】 整理させていただくと、ここは、学術分科会の研究費部会ということになりますので、学術の振興に関しての研究費ということだと思います。その最たるものが当然言わずもがな科研費であります。ですから、学術の振興に関係するようなほかの研究費についても、もちろんその全体の中での議論というのは当然していただくと。ただし、今いろいろな世の中の動きが相当、先ほども西尾部会長、甲斐先生がおっしゃったように、それだけで閉じていてすら立ち行かない状況になっているので、そのほか関連するものについても言及をしていただくことはやぶさかでないと理解をしております。
それから、基盤的経費は高等教育局が措置をしております。それは、基盤的経費というのは、教育研究、一体的な運用をされているわけなので、それに対して、研究費部会として、何かこういうこと、観点が必要だ、あるいはデュアルサポートが必要だという形での議論というのは当然あるというふうに考えています。ざっくりそういう整理ですので、後は、城山先生がおっしゃったような表現方法について、頂きながら、最終的には部会長の御判断ですけれども、表現については修正することはやぶさかではないと思いますが、担当課長から。
【梶山学術研究助成課長】 おっしゃっていただいたとおりだと思います。学術研究の中の研究費という意味で、ほかの研究費も含めてやっていくということを、表現を分かるようにするということで、私ども、案を考えて、西尾部会長と相談させていただければと思っているところでございます。
【西尾部会長】 整理の最終的な仕方として、磯谷局長から今御説明いただいたようなことでよろしいですか。
運営費交付金のこととも関わって言及せざるを得ないということは、今科学研究費補助金が運営費交付金を補填するような経費として間違って捉えられているというところからも必要だと思います。今そういうような間違った捉え方がどんどん強くなってきているので、本来、科研費はそういうものでないことを強く申し述べておく必要があります。そういうこともありまして、先ほどのような言い方をしております。
よろしいですか。どうぞ。
【栗原委員】 今、研究でも自然科学系と人文系とか、教育との対比として科研費の位置付けのようなものが議論されましたけれども、自然科学系の場合でも、その研究のステージによって比較的説明しやすい場合があります。非常に萌芽的なものは、従来ですと運営費交付金というような基盤的な経費でサポートされていたものも多いと思いますので、余り単純な組分けではなくて、それぞれ研究にもいろいろステージがあるというようなことも含めて議論していただけると大変ありがたいと思います。
【西尾部会長】 ありがとうございます。
橋本先生、どうぞ。
【橋本委員】 全く同じことを申し上げようと思いました。このタイトルだけでも科研費ではなくて研究費制度というふうに変えていただくだけで随分印象が違うという気がしますので、それを提案申し上げようと思いました。検討いただければと思います。
【西尾部会長】 どうもありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
どうもありがとうございました。本日いただきました御意見は、また局長をはじめ文部科学省の方からいただきました見解、そういうものを今後どういう形で取扱わせていただくのかということに関しましては、本日が最終回でございますので、当方に御一任いただければありがたく思っておりますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【西尾部会長】 どうもありがとうございます。
それでは、本日の議事は終了しますけれども、今回は今期の最終回の部会です。局長からお言葉をいただけるということですので、局長、何とぞよろしくお願いいたします。
【磯谷研究振興局長】 恐れ入ります。お言葉という本当に丁寧な言葉を西尾部会長から頂いて恐縮しておりますが、簡単に皆様方に感謝の御挨拶を申し上げたいと思います。
本日は、第9期の研究費部会の最後の会となりましたことを踏まえての御挨拶でございますけれども、まずは、何よりも西尾部会長、甲斐部会長代理をはじめ委員の皆様方には、本当に御多忙で、各界で御活躍の先生方にお集まりいただきまして、2年間にわたりまして精力的に御審議いただきましたことを本当に深く御礼を申し上げたいと思います。
とりわけ前期に形を作っていただいた科研費改革を軌道に乗せるための御審議という流れの中で、例えば、先ほども少し御紹介がありましたが、「科研費若手支援プラン」に加えまして、また更には「研究力加速向上プラン」の中での科研費のメニューですとか、科研費制度改革について御審議をいただいてまいりました。それから、まさに今御議論いただいたように、研究費全体についての視野ですとか、デュアルサポートに対する御指摘とか、あるいは、他の競争的資金との関係といったことについても議論することは重要であるという御指摘を頂いたものと認識をしております。
なかなか日本の学術・科学技術、特に基礎研究、基礎科学の分野において、先生方お一人お一人のパフォーマンスは大変高いものがあるのですけれども、環境の面ですとか、若手研究者ですとか、キャリアパスといった、今御指摘のあったようなところで様々な問題があるということで、私どもも非常に危機意識を持っておりますので、先生方のいろいろな御議論を踏まえて更に我々としても政策向上をさせていただきたい。
それから、この2年間のいろいろな議論を踏まえまして、私どもも行政的には頑張らせていただいて、平成31年度予算案において科学研究費補助金が対前年度比86億円増と補正予算で50億円の案を計上させていただくことができました。これも皆様方の御審議と御支援の賜物だと考えておりまして、改めて御礼を申し上げたいと思います。
文部科学省としましては、学術界と政府はもちろん、この委員会にも参加していただいているように、産業界の方たち、様々な各界の方たちと連携・協力をしながら日本の学術研究を、多様性とか、継続性とか、卓越性とか、それから国際性といった観点を重視して振興を進めてまいりたいと思いますので、今後とも様々な形で先生方の御支援、御助言、御指導を賜りますようお願いを申し上げます。
大変ありがとうございました。
【西尾部会長】 局長、どうもありがとうございました。
それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。
【岡本企画室長】 本日の配付資料につきましては、机上にそのままお残しいただければ後ほど事務局より郵送させていただきます。
以上でございます。
【西尾部会長】 それでは、今期の研究費部会はこれにて終了させていただきます。
私からも皆様に、本当に熱心な御審議をしていただきましたことに対しまして、心より御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
これにて終わりにしたいと思います。

―― 了 ――

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-- 登録:平成31年03月 --