高浜発電所4号機の定期検査状況について(蒸気発生器伝熱管損傷に関する原子炉施設故障等報告書の提出について)

2021/01/25  関西電力 株式会社 

2021年1月25日
関西電力株式会社

高浜発電所4号機の定期検査状況について(蒸気発生器伝熱管損傷に関する原子炉施設故障等報告書の提出について)

高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉;定格電気出力87.0万kW)は、第23回定期検査を実施中のところ、3台ある蒸気発生器(SG)の伝熱管全数※1の渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、A-SGの伝熱管1本、C-SGの伝熱管3本の管支持板※2部付近に外面(2次側)からの減肉とみられる有意な信号指示が認められました。
小型カメラを用いて、これらの伝熱管の外観を調査した結果、A-SG伝熱管の信号指示箇所に付着物を確認しました。また、付着物を回収した結果、大きさは、幅約15mm、長さ約9mmであり、伝熱管のきずの大きさは、幅約1mm以下、周方向に約4mmでした。C-SGの3本の伝熱管には、信号指示箇所に幅約1mmもしくは1mm以下、周方向に約2mmから7mmのきずを確認しました。
これら4本の伝熱管のきずの位置は、いずれも、第3管支持板下端付近もしくは、第3管支持板下端から約1mm~8mm下にあることを確認しました。
SG器内で確認された付着物について、工場において化学成分分析、外観観察等の詳細調査を実施した結果、プラント運転に伴いSG伝熱管外表面に生成された鉄酸化物(スケール)と推定しました。
伝熱管にきずをつけた可能性が高いスケールA、C2、C3の性状を確認した結果、密度の高い酸化鉄の層(稠密層)であることを確認するとともに、同様の稠密なスケールを採取し摩耗試験を実施した結果、伝熱管の減肉量がスケール自身の摩滅量よりも大きくなることを確認しました。

  • ※1 既施栓管を除く合計9,747本(A-SG:3,244本、B-SG:3,247本、C-SG:3,256本)
  • ※2 伝熱管を支持する部品

2020年11月20日25日12月15日2021年1月14日お知らせ済み]

当社は、これまでの調査結果や原因と対策を取りまとめ、本日、原子力規制委員会に原子炉施設故障等報告書を提出しました。
今後、原子力規制委員会が当該報告書の確認を行うことから、当社は、真摯に対応してまいります。

1.原因調査

SG外面(2次側)からの減肉とみられる有意な信号指示が認められた伝熱管(計4本)について、小型カメラによる外観調査の結果、A-SG伝熱管の信号指示箇所に付着物を確認したため、異物混入の可能性などもあることから、SG器内外の調査を実施しました。
また、回収した付着物の調査など、伝熱管外面を損傷させた原因の調査を実施しました。

(1)SG器内外の調査
・SG器内の調査
AおよびC-SGの管板、流量分配板、第1~2管支持板の上面および減肉が認められた伝熱管近傍の第3管支持板下面について、小型カメラ等を用いて点検した結果、スケールやスラッジ以外の異物は確認されませんでした。
・SG器外の調査
SGブローダウン系統およびタービンサンプラインの仮設ストレーナの開放点検や、SG2次側管板上の清掃(スラッジランシング)などの結果、スケールやスラッジ以外の異物は確認されませんでした。
(2)AおよびC-SGから回収したスケールの調査
・A-SGで回収したスケールの調査
A-SGで有意な信号指示があった伝熱管の減肉箇所に付着物(A)を確認したことから、これを回収し、外観観察を行った結果、伝熱管減肉部と接触していたと想定される部位に接触痕および光沢を確認しました。
付着物Aの形状を計測した結果、直径約22.5mmの円筒状に沿った形状であり、伝熱管(円筒)の外周(直径約22.2mm)に近い形状であることを確認しました。
このため、電子顕微鏡による観察を行った結果、その部位に筋状痕が確認されたことから、伝熱管との摺動によりできたものと推定しました。また、化学成分分析の結果、主成分はマグネタイトで、SG器内で発生するスラッジと同成分であることを確認するとともに、接触していたと想定される部位に伝熱管の主成分であるニッケルおよびクロムの成分を検出しました。
・C-SGで回収したスケールの調査
A-SGの伝熱管にきずをつけた原因がスケールの可能性が高いことから、C-SGの第1、第2管支持板や管板の上からスケールを回収し、外観観察等を行った結果、3個のスケール(C2、C3、C4)の外周部に接触痕を確認しました。また、スケールの表面の一部に平滑な面が認められましたが、拡大観察の結果、筋状痕は確認されませんでした。
スケール(C2、C3、C4)の形状を計測した結果、それぞれ直径約22.3mm、約22.6mm、約22.2mmの円筒状に沿った形状であり、伝熱管(円筒)の外周(直径約22.2mm)に近い形状であることを確認しました。
電子顕微鏡による観察を行った結果、伝熱管減肉部と接触していたと想定される部位に筋状痕が確認されたことから、伝熱管との摺動によりできたものと推定しました。
また、化学成分分析の結果、主成分はマグネタイトで、SG器内で発生するスラッジと同成分であることを確認するとともに、接触していたと想定される部位に伝熱管の主成分であるニッケルおよびクロムの成分を検出しました。
なお、スケールの表面に認められた平滑な面には、管支持版の材料に多く含まれるクロムの成分を検出しました。
(スケールA,C2、C3、C4の形状)
  • A 幅:約15mm、長さ:約9mm
  • C2幅:約18mm、長さ:約10mm
  • C3幅:約23mm、長さ:約11mm
  • C4幅:約11mm、長さ:約3mm(伝熱管から剥離後に破損したスケールの一部と推定)
・AおよびC-SGから回収したスケールの性状調査
スケール(A、C2、C3、C4)について、それぞれ一部を切断して断面を観察した結果、スケールの厚さは0.2~0.3mmであり、大部分が密度の高い層(稠密層)になっていることを確認しました。
・管支持板下面へのスケールの付着状況の想定
スケール(A、C2、C3)について、管支持板下面に付着した場合のきずの位置との関係について調査した結果、スケールの筋状痕ときずの位置や、スケールに認められた平滑な面と管支持板表面の接触痕の位置が整合することを確認しました。
スケール(C4)は、その筋状痕の位置や支持板の接触痕などから、伝熱管にきずをつけたスケールの一部が破損したものと推定しました。
(3)スケール生成のメカニズム
・伝熱管のスケール付着状況の調査
SG伝熱管のスケールの性状については、1996年に高浜発電所3号機SG伝熱管の健全性確認を目的とした抜管調査を実施した際に、スケールの付着状況の調査を行っており、その結果、伝熱管の場所によりスケールの性状が異なり、伝熱管上部のスケールは厚みがある一方で密度が比較的低い層(粗密層)が主体であり、下部のスケールは層厚が薄いものの稠密層が主体であるとの結果を確認しています。
これらを踏まえ、高浜発電所4号機の伝熱管上部および下部のスケールの付着状況を調査するため、SGの上部(第7管支持板上)および下部(第2管支持板から管板上の間)のスケールを採取し、断面観察を行った結果、高浜発電所3号機の調査結果と同様の結果を確認しました。
・SGの運転履歴調査

スケールの生成には、SG器内への鉄イオンや鉄微粒子の持ち込み量が関係していることから、運転時間や水質管理の履歴等について調査を行いました。

(運転時間)
高浜発電所4号機のSGは、運転開始以降22.2万時間の運転を行っています。また、高浜発電所3号機のSGも22.3万時間の運転実績があり、大飯発電所3、4号機やSGの交換を行った美浜発電所1~3号機、大飯発電所1、2号機、高浜発電所1、2号機よりも運転時間が長いことを確認しました。
(水質管理履歴)
2次系冷却系統は、溶存酸素、電気伝導率等を管理し、またpHを高く維持することで給水設備からの溶出による鉄イオンや鉄の微粒子の持ち込みを抑制しており、これらの履歴からも水質管理に問題がないことを確認しました。高浜発電所3、4号機は運転年数も長いことなどから、SG器内に持ち込まれた鉄分の積算量についても、他プラントに比べ多いことを確認しました。
なお、大飯発電所3、4号機は、SG伝熱性能などのプラント性能指標の回復を目的として、SG器内の薬品洗浄を実施しており、スケールの除去、粗密化を図っています。
・長期停止の影響
福島第一原子力発電所事故後、高浜発電所4号機は2011年7月に定期検査のため停止し、その後、2017年5月に発電を再開するまで約6年間、長期停止しています。その間、SG器内は、腐食防止のためヒドラジン水による満水保管にしていました。
この状態がスケールに与える影響を調査するため、SG器内から回収したスケールをヒドラジン水に浸す試験を実施した結果、時間の経過とともにスケールを構成する鉄粒子が結合し粒径が大きくなることを確認しました。
高浜発電所4号機では、他の発電所と同様に、定期検査毎に管板上の清掃(スラッジランシング)を行い、スケール等を回収していますが、長期停止前後の定期検査における回収量を調査した結果、長期停止前は約20kgに対し、長期停止後は約40kgと増加していることを確認しました。
これらのことから、長期停止に伴い、スケールの粒径が大きくなることで、伝熱管との接触面積が減少し、プラントの運転等に伴い伝熱管から剥離しやすくなったものと推定しました。
(4)回収スケールによる摩耗試験
・過去の摩耗試験結果
高浜発電所3、4号機では、至近の定期検査においてSG伝熱管損傷が発生しており、原因調査の中でスケールに起因する可能性についての調査を行うため、SG器内からスケールを採取し摩耗試験を実施しています。
高浜発電所3号機では、スケールの厚さが大きいほどスケールが折損しにくいと想定し、比較的厚みのあるもの(約0.6~1.0mm)を7個、比較的薄いもの(約0.3~0.4mm)を2個選定しました。
これらの摩耗試験の結果、いずれもスケールが先に摩滅したため、スケールが伝熱管を減肉させる可能性は低いと推定していました。
・今回の摩耗試験結果
スケール(A、C2、C3、C4)は厚さが約0.2~0.3mmであり、稠密層が主体であることから、SG器内から回収したスケールのうち、厚さが約0.2~0.3mm程度かつ稠密層が主体のスケールを複数用いて、摩耗試験を行いました。その結果、伝熱管の減肉量がスケール摩滅量よりも大きくなることを確認しました。
2.推定原因

伝熱管の外面減肉が認められた原因は、これまでの運転に伴い伝熱管表面に生成された稠密なスケールが、プラント運転に伴い剥離し、管支持板下部に留まり、伝熱管に繰り返し接触したことで摩耗減肉が発生したものと推定しました。

3.再発防止対策の検討

スケールは、薬品洗浄を行うことで稠密層が粗密化し、脆弱化できることが他プラントの事例から実証されており、SG器内から採取した稠密なスケールを薬品で洗浄しました。
その後、このスケールを用いて摩耗試験を行った結果、伝熱管をきずつけることなく、試験開始直後にスケールが折損したことから、薬品洗浄の効果があることを確認しました。
また、これまでの調査の結果、高浜発電所4号機と3号機のスケールの性状が同様であることを確認しているため、今後、高浜発電所3号機のSG器内を薬品で洗浄し、その後、SG器内のスケールを取出し、脆弱化していることを確認する予定です。

4.対策
・SG器内の薬品洗浄
スケール全体の脆弱化を図るため、SG器内の薬品洗浄を行います。
・伝熱管の施栓
当該伝熱管4本について、高温側および低温側管板部で閉止栓(機械式栓)を施工し、使用しないこととします。

以 上

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