第130回生涯学習分科会の議事録を掲載致しました。

2024/05/21  文部科学省 

生涯学習分科会(第130回) 議事録

1.日時

令和6年4月18日(木曜日)13時00分から15時00分

2.場所

文部科学省東館3階第1講堂 ※WEB会議

3.議題

  1. 第12期生涯学習分科会の議論の整理
  2. その他

4.出席者

委員

(分科会長) 清原分科会長
(副分科会長) 萩原副分科会長,牧野副分科会長
(委員)内田委員,金田委員,清水委員
(臨時委員)熱田委員,大平委員,沖畑委員,加藤委員,小路委員,古賀委員,澤野委員,関委員,辻委員,野津委員,浜田委員,松本委員,綿引委員

文部科学省

(事務局)望月総合教育政策局長,淵上大臣官房審議官,八木社会教育振興総括官,平野文部科学戦略官,滝波政策課長,石橋生涯学習推進課長,高木地域学習推進課長,安里男女共同参画共生社会学習・安全課長,今村日本語教育課長,高見高等教育企画課高等教育政策室長 他

5.議事録

【清原分科会長】 皆様,こんにちは。定刻になりましたので,ただいまから第130回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。本日は大変御多用のところ御参加いただきまして,どうもありがとうございます。

昨日,高知県,愛媛県で震度6を記録する大きな地震が発生したということで,心からお見舞いを申し上げます。

さて,本会議は,対面とオンラインのハイブリッド方式で開催させていただきます。本日もユーチューブ上で,報道関係者等の傍聴を受け入れております。報道関係者等より会議の全体についての録画を行いたい旨の申出がありまして,許可しておりますので,どうぞ皆様,御承知おきください。

次に,事務局から本日の会議の運営に当たりまして,留意事項の説明及び配付資料の確認をお願いいたします。

【石橋生涯学習推進課長】 ありがとうございます。本日もオンラインを併用する形で開催させていただきます。御不便もあるかと存じますが,何とぞ,御理解のほどよろしくお願いいたします。

1点目でございますが,発言,オンライン会議を円滑に行う観点から4点ほどお願いをさせていただきます。1点目ですが,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいよう,はっきり御発言いただければと思います。

2点目ですが,御発言の際にはお名前をおっしゃってください。

3点目,発言以外のときはマイクをミュートにしていただければと思います。

4点目,発言に当たっては挙手ボタンを押していただき,御発言後はボタンの解除をいただければというふうに思います。お手数をおかけいたしますが,どうぞよろしくお願いいたします。

本日,会場にお越しの委員の皆様方は,御発言の際には挙手又はネームプレートを立てていただくようお願いいたします。

続きまして,資料の確認をさせていただきます。議題1,第12期の議論の整理の関係で資料の1-1と1-2,資料の2,資料の3-1,3-2,3-3,資料の4を御用意いたしております。また,参考資料1を配付しております。資料の確認は以上でございます。

また,事務局に人事異動がございましたので,御紹介させていただきます。

平野教育課程総括官でございます。

【平野教育課程総括官】 平野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【石橋生涯学習推進課長】 事務局からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 ありがとうございます。

それでは,早速本日の議題に入らせていただきます。

本日の議題は1件でございます。「第12期生涯学習分科会の議論の整理について」でございます。この議論に入ります前に,事務局から報告が2件あるということでございます。いずれも本議題の内容を深めるに当たりまして,有意義な報告であると認識しております。

そこで,それらの御報告についてまず事務局から御説明をいただいた後,生涯学習分科会の議論の整理について,議論をしていきたいと思います。

1点目の御報告は,「博士人材活用プランについて」です。博士を目指したい方が安心して学習できる環境を整え,高い専門性と汎用的な能力を有する人材として,生き生きと活躍することを後押ししていきたい。このような思いから,文部科学省において本プランを取りまとめていただいたものでございます。また,このプランは小路臨時委員に御尽力をいただき,お取りまとめられたものと聞いております。

そこでまずは事務局から,本プランについて御説明をいただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。

【高見高等教育政策室長】 文部科学省高等教育政策室長の高見です。私からは,3月26日に文部科学省において取りまとめた「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」について御報告します。お手元の資料でございますが,資料の1-1が博士人材活躍プランの概要,そして,資料1-2が本体となっております。本日は資料1-2の本体を中心に説明します。

まず,資料1-2の16ページ目を御覧いただければと存じます。右下にページ数が小さく振ってございます。博士人材の社会における活躍促進に向けたタスクフォースの開催ということで,昨年の11月から盛山文部科学大臣の下で,タスクフォースを開催し,議論を深めてまいりました。

そして17ページにございますとおり,個人をはじめとしまして企業,大学関係者,また,学生等との意見交換を行いながら,3月26日に本プランを取りまとめたというものです。

2ページ目に戻っていただければと存じます。文部科学大臣のメッセージを示しておりますが,学生,大学関係者,産業界の皆様に向けたメッセージを記載しています。また,この署名にもあるとおり,大臣が2つの博士号を持っております。

そして,3ページ目が意義・目的でございます。博士人材はその深い専門知識と汎用的能力に基づいて,新たな知を創造し,活用することで,社会の変革ですとか学術の発展,また,国際的なネットワークの構築を主導し,社会全体の成長あるいは発展を牽引することができる重要な存在と位置づけております。右下のグラフで労働力人口に占める大学院修了者の比率と,時間当たり労働生産性の関係をプロットしたものですけども,正の相関が見られるところであり,社会全体において博士人材というのは重要な役割を占めているといったことを示しています。

また,我が国では博士=研究者であるといったイメージが一般的になっておりますが,グローバルスタンダードというのは,複雑な課題への解決策を提示できるものに与えられる国際的な能力証明であるということが社会で十分に共有されていない,こういったことが課題であるということで整理をしています。

それから,その上ですけども,社会がより高度化かつ複雑化する中で,大学院教育の充実,また社会全体で博士人材の価値を共有しながら,国内外での様々な場で活躍できる環境を構築することにより,博士人材の増加を図ることが必要と示しています。

続きまして,4ページ目を御覧いただければと存じます。こちらは,目指す姿ということで書いておりますけども,博士人材とはアカデミアのみならず,多様なフィールドで活躍する社会の実現ということも非常に重要な目指すべき姿として,位置づけているところです。

また,次,5ページ目から6ページにかけては,解決すべき課題と現状ということで書いておりますが,5ページ目の左のグラフにあるとおり,人口100万人当たりの博士号取得者は,諸外国で大きく増加しているのに対し,日本は減少傾向が続いております。また,右上のグラフですが,これは博士課程の入学者の推移というものを示したものですが,青がストレートに進学する学生,オレンジ色が社会人学生,緑が留学生となっております。この20年間ほどの間に,社会人学生というのは2割から4割ぐらい増加する一方で,ストレートの学生というのは減少してきているといった傾向があります。

2022年から2023年,右のほうでございますけども,少し増加の兆しは見えておりますが,これは博士課程学生の経済的支援を大幅に拡充したことが寄与していると考えておりまして,今後このプランの周知等も通じて,この増加の流れというのをしっかり継続,拡充していくことが必要だというふうに考えているところです。

また,6ページ目の左のグラフですが,経団連の企業に行ったアンケートのうち,優先的に取り組むべき大学院改革の施策ということで,産学連携の充実ですとか共同研究の促進,また,課題解決型の教育プログラムの充実など,企業側が大学に対して求めていることが分かります。また,右のグラフですが,博士課程修了者の標準修業年限超過率というものを分野別に示したものになっております。特に左の2つ,人文科学・社会科学系の大学院におきましては,標準修業年限を大幅に上回っているといった実態があることも分かるかと存じます。

そして続いて7ページ目からが,これらの課題を踏まえた取組の方針,また,具体的な方策ということで示しておりますが,まずこの7ページ目,ここで4つの柱としまして,産業界と連携した幅広いキャリアパスの開拓を促進すること。そしてまた,教育の質保証や国際化の推進などによって大学院教育を充実すること。そして3点目ですが,博士課程学生が安心して研究に打ち込めるような経済的支援の充実を図っていくこと。さらには4点目ですが,初等中等教育から高等教育段階まで,切れ目のないそのモチベーションを高める取組の推進というのを掲げているところです。

続いて8ページ目ですが,ここからが取組方針を踏まえた具体的な取組ということで整理しております。大きく01,02,03ということで3つの柱を掲げておりますが,まず,1つ目の社会における博士人材の多様なキャリアパスの構築ということに関しましては,インターンシップの推進ですとか,民間企業・大学向けの手引の作成の関係省庁と連携して産業界での活躍を促進するとともに,国際機関ですとか中央省庁,あるいは地方自治体などの公的機関,また,学校教員,リサーチ・アドミニストレーターなど社会の様々な分野での活躍に向けて,取組を推進していこうとしております。

具体的な取組内容としては,このオレンジ色のところに1から3まで示しているところですが,まず,例えばオレンジ色の1の3つ目のポツにありますように,経済産業省とも連携して,民間企業あるいは大学向けの手引・ガイドラインを作成すること。

また,次のページ,9ページの2の2つ目,3つ目にありますように,内閣人事局,人事院とも連携しながら,中央省庁での博士人材の活躍促進を図っていくこと。

また,5つ目の丸にもありますように,総務省とも連携しながら,自治体における博士人材の実態調査,こういったことを実施することで博士人材の積極的な採用を促していくこと。さらには,3にございますようにスーパーサイエンスハイスクールでの博士人材積極的採用ですとか,博士教諭としての活躍促進,こういった形で社会の様々な分野で博士人材が活躍できる土壌を整えていこうということで,具体的な方策を列挙しているところです。

また,次のページ,10ページ目になりますが,こちらは第2の柱としまして,大学院改革と学生への支援充実ということで書いておりますけれども,世界トップ水準の大学院教育を行う拠点形成に向けた大学の支援,また,大学院教育の質保証や円滑な学位授与など,その教育の改善を進めるということとともに,国際化ですとか留学機会の充実,さらに優秀な博士課程学生への経済的支援などに取り組むこととしております。

特に,オレンジ色の2の2つ目のポツにもございますように,博士課程修了後の進路状況,あるいは標準修業年限等の情報を公表する,こういったものを促進するための制度改正を行うとともに,次のページ,11ページ目の3の1つ目にもございますように,産業界のニーズを踏まえた,社会人への大学院教育の推進,こういったこともこの中では取り上げているところでございます。

また,12ページに移っていただきまして,今度は第3の柱として学生本人への動機づけと書いておりますけれども,昨年の秋に初めて文部科学省のほうで「未来の博士フェス」といったものを行いまして,好評でしたが,こういった取組を通じて博士人材が社会で活躍する魅力を発信していくとともに,初等中等教育段階への探究学習ですとかキャリア教育の充実,また,大学に入った後も,学部段階から大学院を知ることができる取組の推進など,早期からの取組によって,博士課程進学のモチベーションを高めることとしております。

また,続いて13ページ目ですが,こういったことを企業,あるいは大学,関係者にも求めていくということでございますが,かいより始めよということで,文部科学省から始めますといたしまして,博士人材の採用目標の設定,昇格スピードを早めるための措置,さらには,働きながら修士・博士の学位を取得するための文部科学省職員への支援制度のさらなる活用促進,さらには幹部職員の登用においても,2035年を目途として,修士・博士号の学位取得者の増加を目指していく,さらにはこういった取組を霞ヶ関の各省庁の横展開を図っていくといったことも示しているところです。

また,14ページ目でございますが,こちらは指標でして,一番下にありますように2040年における人口100万人当たりの博士号取得者数,これは先ほど世界に比べて非常に低い状況だというふうに申し上げましたが,2020年度比で約3倍,世界トップレベルに引き上げるということを大目標とした上で,アウトカムの欄にありますとおり,学士号取得者における博士号取得者の割合というのを現在の2.7%から2040年には8%まで引き上げること,さらには就職率も70%から80%に引き上げることとしております。更に右のほうにございますが,文部科学省の総合職採用者に占める博士課程修了者の割合も,10.8%から今後もさらなる増加を図ると,目指すということもこの中で示しているところです。

最後に15ページ目でございますが,産業界への協力のお願いということですが,こちらにも記載のとおり,1番から7番まで,博士人材の採用拡大・処遇改善。また,その博士人材の採用プロセスにおける海外留学経験の評価促進。また,博士後期課程学生を対象としたインターンシップの推進。博士人材の雇用に伴う法人税等の税額控除の活用促進。さらに,5番目にございますように奨学金の企業等による代理返還制度の活用促進。そして,6ポツでございますが,従業員の博士号取得支援。そして,7ポツでございますけども,企業で活躍する博士人材のロールモデルの選定と情報提供。こういったことを経済団体,業界団体,日本で今大体1,300団体ほどありますが,そういった関係団体にも大臣名でお送りすることで,その産業界等の関係者の皆様にも御理解,御協力をいただこうということで,この文書も発出したところです。

なお,資料1-2の表紙に戻っていただければと存じますが,「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」というふうに書いておりますが,その「とろう」という意味は,こちらもありますように,若い人々が今後博士号を取得してほしいという取得の「取る」という意味と,企業等社会におきまして博士を採用してほしいという,その博士を「採ろう」,そういった2つの意味を合わせていることを最後にお伝えしておきます。

私からは以上でございます。

【清原分科会長】 高等教育政策室の高見室長さん,御説明ありがとうございます。

さて,先ほどの資料1-2の17ページに御紹介ありましたように,このタスクフォースの第2回目では,日本経済団体連合会を代表して,本分科会の小路臨時委員がヒアリングを受けられて,御参画いただいたということでございます。

そこで小路委員に,是非ただいまの御報告に関連して,コメントをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【小路委員】 改めまして小路と申します。まずもちまして盛山大臣はじめ文部科学省の皆さんが,この博士人材活躍プラン,産業界への要望ということで大変細かくプランをつくっていただいたことに,産業界を代表しまして御礼を申し上げたいというふうに思います。

経団連が高度専門の中の博士人材について,なぜ注目をしているのかということを申し上げたいと思います。

まず日本のこれからの経済社会の将来像というのを経団連でも今作りつつありまして,1つは,先端技術立国。2つ目は無形資産立国,いわゆる世界特許とか知財,これをたくさん持ってこの活用を図り経済社会の発展を目指していく。2011年まで世界特許は日本がトップだったのですが,3位に転落をし,米国と中国との差は開く一方です。

この先端技術と無形資産,この2つの日本の経済,将来をつくり上げるためには,高度専門人材を増やしていかなければいけない。特にこの博士課程の方を多くしていかなければいけません。

この20年弱,博士課程の人材が漸減をしていますが,海外では逆に増えてきているということで,技術なり無形資産,知財を生み出すもとになる人材が非常に少なくなってきているということに対して,経団連としては,非常に危機感を抱いています。社会人博士,いわゆる一旦修士から企業に就職をして,企業がいろんな支援をして,博士号を取っていく層は増えているんです。修士課程から博士課程に進む人が減ってきていることに大きな課題感を感じています。

特にこの人たちというのは,産業界でのキャリアプランが描きづらい,修士から博士課程に進んで学術ドクターではなくて,経済界,産業界でのドクターになろうというところを目標として持てない,自分の存在価値がなかなか認められにくい,そういう理由から,修士から博士課程に進む人が少ないというふうに見ております。

逆に社会人から博士号を取っている人は,一旦修士を卒業して企業に入ると,企業が何を求めているかというのがよく分かる。自分の専門性の高いところで博士号を取って,もう一回その企業の中に戻って仕事をしようとビジョンが描きやすい。今後はグローバル高度専門人材になっていかないと,国内だけでの高度専門人材では,日本の経済界は通用しません。企業の中ではグローバル化がどんどん進んでいて,グローバルで活躍する博士になるためには何をしたらいいのかということが,一旦企業に入って二,三年するとよく見えてきて,それで博士号に進むということになる。

当然のことながら,その企業に入る前にジョブ型研究インターンシップという2か月のものがあって,ここに来ると,状況が少し分かるのでそれなりに活用はされているんですけども,まだまだ思うような活用がされていない。これはアカデミアと企業と,あるいは経団連含めた経済界とのコミュニケーションがまだまだ不足しているというところがあると思います。

いずれにしても,社会人博士は増えていくというふうに見ております。問題は,修士から博士になる人材をどう増やすか,そのために,特に産業界で博士になっていく人たちの,将来のキャリアプランを産業界がもっともっとアカデミアに示していかなきゃいけないという問題意識を経団連としては強く持っております。

この2月に,経団連として博士人材の実態と博士人材の今後についてということをまとめて発表しまして,今,参加企業等々に説明してきております。当然,盛山大臣はじめ文科省の皆さんにも,その辺の内容について御説明を済ませてきております。

博士人材の人材活躍プランというものに対して,具体的にどういうふうにしていくのかという考え方を,文科省,アカデミア,産業界で合わせていくことが非常に大事だと考えます。

あと最後ですけども,産業界として博士人材に期待していることは,1つは総合知。それから,2つ目は汎用的能力,横文字でTransferable Skill。もう一つはメタ認知能力。

この能力というのは,高度専門課程を経ていないと,なかなか身につくことはできません。我々の会社でも研究部門の3割強が博士で,産業界の中で比較的多い状況ですが,いずれの博士も今申し上げた3つの能力に非常に秀でています。こういった能力は企業に入ると身につかないというところもあり,こういった能力に期待をして博士人材の活用を図っていく。そして先端技術,それから無形資産立国を目指していきたいというふうに思っています。

企業としても,業界ナンバーワンになるよりも,オンリーワンの技術をどれだけ持てるのかということが非常に大事で,今,各産業も業界の中でのシェア争いから少しずつ唯一無二のオンリーワン技術,これをもってビジネス展開をしていこうというふうに今変わりつつあります。

この変化の中で,博士人材というのが非常に貴重な人材になると思っています。文科省の皆さんや各委員の皆さんと協力して博士人材の活躍,博士課程の人材の拡大に向けていろんなことを進めていきたいというふうに思っております。

【清原分科会長】 小路委員,ありがとうございます。

生涯学習分科会としては,国民一人ひとりが生涯にわたってそれぞれの能力と努力が尊重される学びの過程をどのように保障していくかということが重要な課題だと認識しております。ただいま御報告いただきました博士人材の問題について,より一層,教育界とそして産業界が一人ひとりの国民,あるいは社員の学びの保障に向けて連携していくということの重要性を確認させていただきました。どうもありがとうございます。

さて,ここで新たに臨時委員に加えられました加藤早苗委員に一言,御挨拶をいただければと思いますので,よろしくお願いいたします。

【加藤委員】 このたび,生涯学習分科会の委員を拝命いたしました,インターカルト日本語学校,学校長の加藤と申します。よろしくお願いいたします。

本年4月1日に,日本語教育機関認定法が施行され,私たちは今まさに新しい未来に向けて進もうとしているところです。そのタイミングで委員を拝命したことに重い責任と,意義を感じております。どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 ありがとうございます。私たち生涯学習分科会において,日本語教育についてもしっかりと責任を果たしていきたいと思いますので,加藤委員の御活躍を,浜田委員の御活躍とともにくれぐれもよろしくお願いいたします。

それでは,2つ目の御報告をこれからいただいてまいります。「社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方について」です。生涯学習分科会の下に置かれております社会教育人材部会では,社会教育主事,社会教育士等の社会教育人材の養成及び社会教育士等の活躍機会の拡充に関する議論をしていただいております。

令和5年8月には,「社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方について(中間まとめ)」を示していただきました。今回御報告いただく最終まとめ素案では,中間まとめの内容を踏まえて,社会教育人材の養成と活躍促進の在り方に関して,具体的な方策も含めて今後の施策の方向性を示していただいております。

この報告につきまして,社会教育人材部会の部会長である牧野委員に多大な貢献をしていただきました。まず,事務局から概要を御説明いただいた後,牧野委員からコメントをいただきたいと思いますので,よろしくお願いします。

それでは,地域学習推進課の高木課長,よろしくお願いいたします。

【高木地域学習推進課長】 御説明させていただきます。地域学習推進課長の高木でございます。

資料2でございます。3月19日の社会教育人材部会におきまして,最終まとめの素案を御議論いただきました。そちらのほうを御報告させていただきます。こちら,様々な御意見等いただきましたので,こちらをベースにしまして,再度,5月24日に教育人材部会において御議論いただく予定でございます。

まず,開きまして2ページでございます。目次でございますけれども,「はじめに」の後に,社会教育人材を取り巻く状況と社会教育人材が果たす役割への期待を整理した上で,3ポツで社会教育人材の養成,4ポツで活躍促進について,具体的な改善方策を含めて今後の施策の方向性を示していただいているところでございます。

3ページからの1ポツの「はじめに」は,令和2年の社会教育士創設前後の社会教育人材に関わる状況を説明したものになります。後ほど御覧いただければと思います。

6ページから2ポツとしまして,社会教育人材の取り巻く状況と社会教育人材の果たす役割への期待としまして,社会教育の裾野が拡大している状況で,7ページの27行目から,社会教育主事は,「地域全体の学びのオーガナイザー」として,地域の社会教育の中核を担うことを求められておりまして,35行目から8ページの4行目にかけまして,社会教育士は,「各分野の専門性を様々な場に活かす学びのオーガナイザー」としての活躍が期待されていると整理しているところでございます。

8ページ中段から,そういった社会教育人材の確保の必要性を記載しておりまして,34行目から,社会教育主事講習・養成課程を受講しやすいものとするなど,社会教育人材の量的な拡大を図ることが極めて重要としているところでございます。

9ページから,3ポツ,社会教育人材の養成についてでございまして,社会教育人材に求められる能力・知見としまして,25行目から,社会教育の基本的理解の上で,コーディネート能力,ファシリテーション能力,プレゼンテーション能力など,汎用的に活用し得る能力の取得が求められているとしているところでございます。

9ページの下段のほうから社会教育人材の養成の在り方としまして,10ページに入りまして,3行目から講習・養成課程の修了は,社会教育人材のエントリー条件であり,8行目から,講習・養成課程とその後の段階的な人材養成を経て,社会教育主事として任用していくことが望ましい方向性の一つと示しているところでございます。

また,10ページに行きまして,15行目から,講習・養成課程は,社会教育人材としての必須の共通の内容を踏まえた上で,地域や受講者の様々なニーズに応えられるよう,各教育機関の創意・工夫により,特色ある多様な内容が提供されることが望ましいとしているところでございます。

さらに,10ページの31行目から,講習・養成課程の修了後においても,多様な研修機会等の確保や社会教育人材ネットワークの活用を通じて社会教育人材の資質の向上を図り,その活躍を促進していくことが必要としているところでございます。

10ページ最後の段から,社会教育人材の養成に係る具体的な改善方策を示しているところでございます。

11ページに入りまして,社会教育主事講習の定員拡大,そして,イのほうに行きますけれども,受講補者の選択肢の拡大としまして,11ページの下段のほうから12ページにかけまして,オンライン化,オンデマンド化などによります受講形態の多様化,12ページの下段から13ページにかけまして,受講者が複数機関から科目を選択して受講するなど,柔軟な履修方法による選択肢の拡大,13ページの中段のほうには複数年での開講など講習科目の提供方法の弾力化,13ページの下段のほうから14ページにかけまして,社会教育主事養成課程における取組としまして,各大学における実情を踏まえつつ,全学部への開放やオンライン・オンデマンドの推進などが示しているところでございます。

また,14ページ中段から15ページにかけまして,講習養成課程のさらなる質の向上に向けて,各機関の取組を共有していくため意見交換の定期的な開催,15ページ中段から社会教育主事講習の受講資格の明確化としまして,25行目から社会教育団体や地域学校協働活動等における活動経験などが受講資格要件に参入できることを通知等で明確化すること。

16ページに入りまして,社会教育に関する民間資格等取得者の一部科目代替を認める基準の整備など,具体的な改善方策を示しているところでございます。

16ページの最後のほうから,4ポツとしまして,社会教育人材の活躍促進についてということでございまして,社会教育の裾野が拡大する中で,社会教育人材の活躍場面が拡大できるよう,17ページに入りまして21行目からでございますけれども,ロールモデルの提示等によりまして,新たな人材の社会教育への参加促進でありましたりとか,地域住民に対する社会教育士の認知度向上などによりまして,社会教育士が活躍できる環境を整え,広く住民に社会教育士の有用性が実感できるようにしていく必要があるとしているところでございます。

17ページの下段から社会教育人材のネットワーク化の必要性ということで,18ページに入りまして,2行目から,地域の社会教育人材がつながることで,より一層社会教育活動が活発化し,取組の質の向上や新たな展開への進展が期待されるとしているところでございます。

18ページの中段から,継続的な学習機会の確保の必要性としておりまして,27行目から社会教育人材の活躍促進には,様々なニーズに応じた多様な研修の機会等が確保することが必要不可欠であるとしているところでございます。

そして19ページに入りまして,社会教育人材の活躍促進に係る具体的な改善方策を示しているところでございます。社会教育主事の配置促進としまして,19ページ16行目から具体策としまして,地方公共団体に個別支援を行う社会教育マイスター(仮称)でございますけれども,社会教育主事の配置の好事例等の周知によりまして,地方公共団体における職員配置上の優先順位の向上をしていくと。社会教育主事任用予定者の講習受講枠の優先確保でありましたりとか,任用予定者が受講しやすい講習の開講促進,定員増加を挙げているところでございます。

さらに,25行目からでございますけれども,地方交付税措置が講じられている派遣社会教育主事制度の状況や有用性について理解促進についても挙げられているところでございます。

19ページ,最後から社会教育士の活躍事例の収集やロールモデルの提示につきまして,20ページに入りまして,7行目でございますけれども,より広い分野での様々な活躍事例の紹介,10行目から,各分野におけるロールモデルや主な活躍先の提示などによりまして,社会教育へ携わるイメージや,社会教育士の活用イメージを具体化し,広く周知することなどを挙げているところでございます。

20ページの中段から,社会教育士の認知度向上やその有用性の周知,活躍場所の拡大としまして,19行目から,地域学校協働活動推進員としての登用,23行目から,社会教育施設が指定管理を導入している場合は,公募の際に,社会教育主事の有資格者の選択的条件の一つとすることでありましたり,27行目から,各分野の専門性を例えば「社会教育士×学校連携」,「社会教育士×まちづくり」といった形で付記することなどを挙げているところでございます。

20ページ下段から,社会教育人材のネットワーク化としまして,21ページの23行目からでございますけれども,全国規模のネットワークは国が中心となりまして,地域において指導的な立場を果たすことが期待される社会教育主事が集まる場としての充実をしていくと。

34行目から都道府県・市町村等の地域単位のネットワークにつきましては,地方公共団体の社会教育主事が,地域における幅広い社会教育人材に広く参加を呼びかけて,22ページに入りますけれども,各地域がそれぞれの実情に応じて,ネットワークの運営に取り組むと。

22ページの8行目から「同窓会型」のネットワークでございますけれども,自発的な活動としまして,互いに顔の見える関係性を生かして,機動的に交流を図ることが期待されているということなどを挙げまして,22行目から,令和6年度には社会教育人材ネットワーク構築への貢献の可能性について調査研究を行う予定としているところでございます。

22ページ下段から,旧制度における受講者の社会教育士の称号取得の促進としまして,23ページに入りまして,8行目から旧制度の受講者がさらに社会教育士の受講者が受講しやすい環境を整備するなど,一部指定科目の受講を促進する方策を進めるべきというふうにしているところでございます。

23ページ中段から,修了証書の在り方としまして,28行目から社会教育士の活躍促進の観点から,各講習実施機関が発行する修了証書につきましては,様式の変更等によりまして称号が付与された旨を明確にしていくことが必要。32行目から,養成課程開設大学に対しましては,称号が付与された旨を明確化した修了証書の発行について,協力を求める必要があるとしているところでございます。

24ページに入りまして,継続的な学習機会の確保等としまして,24ページ5行目でございますけれども,国が実施する都道府県・指定都市の社会教育主事を対象とした研修を市町村の社会教育主事も参加可能とすることでありましたりとか,7行目から,社会教育主事以外の社会教育人材に広く有用なものは,オンデマンド配信等により広く公開していくと。10行目から,地方公共団体が行う研修も理解や協力を得られたものは,オンデマンド配信等を行うと。13行目からデジタルバッジの活用につきまして,具体的な調査検討を進めるといったことを挙げられているところでございます。

24ページ,最後中段から「おわりに」ということでまとめておりますけれども,27行目から,社会教育に求められる役割や担い手である社会教育人材の在り方について考え続けることは重要でありまして,社会教育主事と社会教育士の関係や位置づけ,社会教育人材の養成や活躍方策について,様々な観点から議論を継続していくことが期待されるという形で結んでいただいているところでございます。

私からは以上でございます。

【清原分科会長】 高木課長,御説明ありがとうございます。

それでは,部会長をお務めいただいた牧野委員,コメントをお願いします。

【牧野副分科会長】 どうもありがとうございます。高木課長,ご説明どうもありがとうございました。部会長を担当しています牧野です。一言,申し上げたいと思います。

こちらの部会で検討しております社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方については,来月には最終のまとめを出したいと考えております。この場合の社会教育人材ということですけれども,こちらは基本的には,社会教育主事という制度が法的には規定されているわけですが,2017年から社会教育主事任用資格取得者に対して,社会教育士という称号が付与されることになっておりまして,それが2020年から制度化され,実施されています。2020年度から22年度までの3年間で,約6,000名の方が社会教育士称号を取得をされているということで,そういう広がりを受けて,この部会が第12期の生涯学習分科会の下につくられたということになっております。

その後,部会のほうでは,人材の養成に関する議論ということで,先ほど御説明ありましたけれども,昨年8月に「中間的まとめ」を出しまして,まずは養成制度の在り方についての議論の結果をお出しし,その後,最終まとめに向けて,その養成と活躍促進の在り方についてということで,議論の軸足を移してきております。

過去,社会教育に関しては,大きく2つの大きな転換点があったのではないかと受け止めています。一つは,こちらのまとめの案の中にも入っておりますけれども,平成25年,2013年に第6期の中央教育審議会の生涯学習分科会で,教育行政のネットワーク化という議論がありまして,特に社会教育行政を,教育行政を基盤にしながらも,それを超えるような連携をする形に組み換えていく,つまり,一般行政ですとかそれから市民,さらには経済界とも連携をとりながら,社会基盤をつくっていく社会教育というような方向性が出されたと理解しております。

さらに,昨年の6月ですけれども,教育振興基本計画の策定の過程で,この分科会からも清原分科会長をはじめ数名の委員が参画をしておりますが,その中で社会教育というのは,いわゆる社会基盤としての人的なつながりや関わりの土壌を耕すものであるという表現が入ってきております。いわゆる教育行政の範疇を超えながら,むしろ教育行政を基盤にしながらもそこを超えて,社会の基盤づくりをしていくのが社会教育であるというような表現が入ってきているのです。

それを受けて,人材部会,昨年の5月からつくられておりますけれども,人材部会でその耕す役割を推し進めていく担い手論という形で,人材の議論が進んでいったのだと理解しております。特にこの過程で,教育振興基本計画では,日本社会に根差したウェルビーイングという議論があり,一つは個人のウェルビーイング,つまり獲得型の,といいますか,個人が自ら努力しながら自らのウェルビーイングを獲得していくという議論があり,さらにもう一つ,社会のウェルビーイングといいますか,個人がそういうことを追求できるような社会環境をどう整えるのかといったことが議論になったと受けとめております。

これを,こちらの生涯学習分科会の議論と重ねて解釈しますと,一つは個人のウェルビーイングということがむしろ生涯学習といいますか,個人が必要に応じて生涯にわたって,いつでもどこでも学びを続けていく,学び直しを続けていくというようなことにつながっていきますし,さらに社会のウェルビーイングといったことが,社会教育が社会の人間関係を整える形で,人々が自らのニーズに基づいた学びを続けていくための基盤をつくっていくことにつながっているのではないか。そして,この双方がうまく相互媒介をしながら,社会が個性豊かで,しかも誰一人取り残すことのないような社会をつくっていく。そのための担い手としての社会教育人材だという位置づけになってくるのではないかと考えております。

その意味では,今回のこの議論が,先ほども高木課長の御説明のほうで,活躍の在り方について様々な施策を打っていくという議論がありましたけれども,社会教育人材と呼ばれている方々,特に社会教育主事,さらには社会教育士という方々が社会で活躍することで,その方々に社会教育をもっと日常生活の中に埋め込んでいっていただく。そういうことの中で,人々が自らの生活の当事者として社会を担っていく,そして生活を営んでいくことを励ましていくような方向性が出てくるといいと考えております。

今後,委員の皆さんからも御議論いただきながら,最終まとめに向けて議論を進めていきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

【清原分科会長】 牧野委員,ありがとうございます。

これまで「博士人材活躍プラン」と,「社会教育人材の養成及び活躍促進の在り方」について,最終まとめ素案について共有をしながら,小路委員,牧野委員にそれぞれコメントをいただいて理解を深めてまいりました。

それでは,その内容を参考にしつつ,本日の議題に入らせていただきます。「第12期生涯学習分科会の議論の整理について」です。前回は,事務局から議論の整理のイメージ案を示していただきまして,それを踏まえて,意見交換をしていただきました。

今回,お見せする資料は,前回の会議における委員の御意見を反映して,事務局で内容を充実していただいたものでございます。議論の整理につきましては,今後の予定では5月24日とされております次回の会議で,最終的に取りまとめの御判断をいただきたいと思っております。委員の皆様におかれましては,この議論の整理の内容が充実したものになりますよう,これから活発な御議論をいただければと思います。

それではまず,前回の皆様の御意見を反映して,まとめていただきました資料につきまして,事務局の石橋課長から御説明をいただきます。

それでは,よろしくお願いします。

【石橋生涯学習推進課長】 ありがとうございます。資料は2点ございまして,概要ということで少しカラフルな横書きをつくらせていただきましたものと,それから,議論の整理の冊子と御覧いただければというふうに思っております。

まず,全体像をつかんでいただくために概要で御説明させていただきまして,残りは実際どういうところで文章にさせていただいたかというのを簡単に御説明させていただきます。

まず,概要を御覧いただければと思います。12期の分科会の議論の整理についてということで,「はじめに」ということで今回の柱は2つ,リカレント教育と社会教育人材のあり方について取りまとめさせていただいたというところでございます。また,その前提として,我々は第4期教育振興基本計画は令和5年閣議決定を踏まえているということは,多くの先生方からも御発言ございましたので,そのことは触れさせていただいております。

まず,初めにこの状況をめぐる状況と今後の方向性ということでございますけれども,生涯学習をめぐる状況と目指すべき姿ということで,やはりそのウェルビーイングを目指し,誰もが生涯を通じて意欲的に楽しく学び続けられる社会をつくっていきたいと。それと併せて,デジタル社会への対応ということ,それから,社会的包摂への対応ということを入れさせていただいております。

右側へ行きまして,生涯学習社会を実現するための社会教育人材の在り方というところでございますけれども,先ほど,高木課長から御紹介させていただきました,部会の取りまとめを踏まえたものというふうにさせていただいておりまして,地域コミュニティの基盤を支える上で,社会教育人材には大きな役割が期待されるということを触れさせていただいております。

また,生涯学習を進める上で当然のことながら,初等中等教育,高等教育,そしてリカレント教育と,この3段階が非常に大事になってきてまいりますので,初等中等教育におきましては,自ら学びに主体的に取り組む力,最適な学習方法を選択する自己調整力を育むということ。それから高等教育においても,自ら課題を設定し,解決を発見できる自律性を伸ばし,学びを活かして社会を牽引するということ。そして,リカレント教育においては,成果を社会に還元するための仕事と学びの好循環ということにさせていただいております。

それから今期,重点的に議論した事項ということで青い部分からでございますけれども,社会人のリカレントにつきましては,企業,それからまさに学習をする社会人,そして高等教育機関それぞれについて御議論いただきましたので,その旨を書かせていただいております。企業に関しては人的成長投資が大事ということ,それから,社員の学び直しの成果に対してより一層高い評価と処遇で対応する必要があるということを入れさせていただいておりますし,社会人に関しては,主体的にキャリアを形成・選択することが必要ということ,そして幸福や生きがいにつなげていくということを書かせていただいております。高等教育機関におきましては,企業のニーズを捉えた魅力的な教育プログラムを開発していくということと,「学びと成長のエコシステム」をしっかりと構築していくということを書かせていただいております。また,地域社会の知の基盤としての役割も書かせていただいたところでございます。

次,めくっていただきまして,さらにこの重点的に議論した事項が続きますけれども,放送大学,専門学校,学習歴のデジタル化というところでございまして,それぞれ御発表いただいた部分を中心に入れさせていただいております。放送大学は,時間や場所の課題に対応するということで,誰もが遠隔で質の高い高等教育にアクセスできる高等教育の機会の実現が必要ということ。

それから,専門学校もリカレント教育プログラムの開発ということが大事になってまいりますので,明日,あさって,国会で法案審議いたしますけれども,制度整備も今順調に対応を進めさせていただいております。その点も書かせていただいております。

また,学習歴のデジタル化のところでは,修了証明のデジタル化での取組をしっかりとやっていきたいということを書かせていただいております。

そして2番目が,障害者の生涯学習ということで,やはり多様な主体が連携して人生のあらゆる段階における多様な学びづくりが必要であるということ。それから,様々な学習機会の提供ということを書かせていただいているとともに,大学の履修証明プログラムを活用した学び,それから,多様な主体が連携していただいて,ライフワイドの視点での生涯学習機会の提供が必要ということを書かせていただいております。

それから,外国人の日本語の学習というところでございますけれども,外国人の急激な増加にしっかりと対応していくということで,日本語教育機関認定制度の着実な実施により,外国人に対する日本語教育の環境整備に取り組むということを書かせていただいております。

社会教育人材のところは,先ほど御説明しましたので割愛させていただきますが,こういう観点でまとめさせていただいております。

今後の展望でございますけれども,社会教育が必要とする社会情勢は,社会教育法が制定されたときから大きくさま変わりしておりますので,今後ですけれども,この新たな在り方を見詰め直し,社会教育が果たすべき役割,その担い手である人材や受皿としての施設,国としての推進方策について,さらなる検討が進むことが期待ということで,今後の展望をまとめさせていただいております。

具体的な文章でございますけれども,まず,簡単に御説明させていただきますが,めくっていただいて「はじめに」のところでは,教育振興基本計画をまるっと関連部分を入れさせていただくということで,しっかり踏まえていることを表させていただいております。それから,少し早めに行きますけども,8ページ以降,先生方のお名前も実は書かせていただく形で,それぞれの先生方のいただいた御意見を反映させていただいております。

基本的に全ての御意見を反映させていただいた形になっておりますので,大変先生方には恐縮でございますが,さらっと見ていただきながら,御自分の御意見がきちんと反映されているかというのを御確認いただければというふうに思っております。

説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 石橋課長,説明をありがとうございます。

それでは,これから,第12期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理の概要や,本文の資料に基づきまして,皆様から御意見をいただきたいと思います。会場の委員の皆様はネームプレートを立てていただくようにお願いいたします。そして,オンラインで御参加の皆様は,挙手ボタンで挙手を示していただきますようお願いいたします。

どなたからでもどうぞ。お気づきの点がありましたら。それでは,浜田委員,どうぞ御発言をお願いいたします。

【浜田委員】 ありがとうございます。外国人の日本語教育について,加えていただきまして本当にありがとうございます。発言についても加筆をいただいて,大変ありがたく思っております。

24ページからの外国人の日本語の学習というところについて,法を踏まえて今後の展開が必要であるということを書いていただいて,現在,好事例も出てきているということで,25ページのところに示していただいているんですけれども,もう少しこの部分について意見を述べさせていただければと思っております。

先ほど,加藤委員の御挨拶もありましたように,この4月から日本語教育機関の認定というものの作業が始まっておりまして,その作業も進んでいるところなんですけれども,実は今メインに作業が進んでいるのは主に留学生,いわゆる日本語学校と言っておりますけれども,その留学ビザをもらって日本語を勉強する留学生に対する教育を行っている機関が中心かなというふうに思っております。

一方で就労者ですとか,あるいは生活者という部分については,ここにありますように幾つか好事例,先進的な事例も出てきてはいるんですけれども,やはり体制としてはあくまでボランティアの方にお任せであったり,あるいは学習者自身の自主的な努力に任されているといったようなところがございます。例えば地域のボランティアの方が,学習を支援してくださることそのものはここにもありますように,地域の活力を形成していくという意味で非常に意義があることではあるんですけれども,例えば地域にお住まいになって生活しておられる方が週に1回,ボランティアの方とおしゃべりをするといったような形では日本語の能力を伸ばしていくことについては限界がございます。実際,例えば就労とか生活にどんな日本語が必要かということを考えますと,仕事の場面で細かな指示を理解したり,指示を出したりということですとか,生活の場面でも例えばいろんなトラブルに対応するといったことが必要になってきますので,ボランティアの方に頼っているというだけではなかなか難しいというところがありますので,今後,この就労者,それから生活者の方に対して質の高い日本語教育をどのように保障していくかという部分が緊急の課題ということになっているかと思います。

そのためにはやはり企業ですとか地方公共団体の皆さんに,日本語教育の分野に対して必要な財政的な投資というのをしていただいて,要するにちゃんとお金を払って,必要な日本語教育の体制整備ということをしていく必要があるんですけれども,今も申し上げたようになかなかそういった部分の理解が十分ではないと。日本語教育推進法では,事業主あるいは地方公共団体の責務について書いてくださっているんですけれども,なかなかその部分の認識が変わっていかないというのが現状ということでございます。

この現状を何とか打破していかなければいけないわけですけれども,やはりこの就労者とか生活者の日本語教育に必要な投資をして,実施するということの取組のモデルといいますでしょうか,そういったものを是非とも実施をしていただけないかなというようなことを考えております。

例えばですけれども,今,そういった日本語教育のリソースとかノウハウが一番蓄積されているのは,冒頭にもありました認定を受けた日本語教育機関ですので,そういった機関と自治体とか,それから企業が連携をしながら,あるいは大学などの研究機関も関わってもいいかもしれませんけれども,そういった形で日本語教育を展開していくといったような体制の整備を後押ししていくようなことを是非とも施策として進めていただけたらと希望しております。

長くなりました。以上でございます。

【清原分科会長】 浜田委員,ありがとうございます。

今の点については,25ページの記述についてもう少し具体的あるいは積極的な方向性で記載するということで,反映ができるのではないかなと受け止めさせていただきました。

それでは,今後,大平委員,辻委員,関委員の順番で御発言をお願いします。それでは,大平委員,お願いします。

【大平委員】 大平でございます。よろしくお願いいたします。

具体的にどのページというわけではないですが,前回,石橋課長様からお話をいただいた専門学校の単位制導入,これは明日,あさって審議でしょうか。そちらに対する期待で,専門学校から大学への編入ということも当然考えられますけれども,大学から逆に専門学校に単位を取りに行くというようなことも,また,専門学校はほかの専門学校への編入といった進学や学びの機会が多様化とか複線化していくだろうと考えます。

社会人にとってもその人のスキルアップとかスキルチェンジに必要な一定の単位数を短時間で取得可能になってまいりますので,リカレント教育とかリスキリングというのが進みやすくなるのではないかなと考えています。

企業にとって,例えば人材育成の一環として,DX基礎,統計基礎といったスキルの取得を推奨しやすくなってくると思いますし,また,履修証明等,そういったものを基に配置とか報酬,それから評価,処遇にも反映されるような制度を設けたら,生産性の向上や従業員のエンゲージメント向上にもつながっていくと思っております。

大いに期待しております。期待を込めて,織り込んでいけたら,という提案でございます。

以上でございます。

【清原分科会長】 どうもありがとうございます。

専門学校については,20ページに一定の記述がございますけれども,今後,法律が審議される予定でございますので,それが反映された,今おっしゃったような「単位制のメリット」であるとか,「他の高等教育機関との連携の在り方」ですとか,その辺をこの専門学校のところに加筆できたらなというふうに受け止めました。

いずれにしましても,学ぶ人の選択肢が増していくという望ましい状況については,本当にPRをしていく必要があると思います。ありがとうございます。

それでは,辻委員,お願いいたします。

【辻委員】 よろしくお願いいたします。

先ほどの社会教育人材養成部会の御報告とも関わらせて,意見を述べたいのですけれども,大変幅広い議論をしていただいて,また,私がずっと言い続けている障害者のことなども入れていただいて,大変ありがたいと思っております。その上で,これだけ幅広くなってきたときに,一番のポイントをもしかするとちゃんと押さえないということをあり得るかなと思って発言するんですけれども,社会教育人材の能力で,ファシリテーション能力とかプレゼンテーション能力,こういうようなものを駆使して,学習活動を支援していく。これを広げていくという大変いいわけですけれども,経験的には中には自分の価値観で住民の方を引っ張っていこうとするような社会教育のリーダー的な方もいらっしゃって,当然今の世の中は論争的な課題はいっぱいあると思うんです。

そういうときに,この社会教育の養成を受けた人が,それをかさに着て自分の価値観で人を引っ張っていくというようなことがあってはいけないと思うんです。だから,その意味ではファシリテーション能力だとかプレゼンテーション能力よりももっと根源的ところで,何か一人一人の学びたいことをきちんと保障するとか,きつい言葉で言うと,学ぶ権利を保障するとか,何かそういうような形にならないかなというふうに思っております。

例えば議論のまとめのほうでは,学習活動の支援とさらっと書いていただいているんですが,一人一人が求める学習を支援するとか,何か論争的なことがあったときにある方向に加担する形でファシリテーション能力などを使ってしまうと,大変まずいことになるのではないかと,こんなふうに思っております。

もう文科省の方はお分かりだと思いますが,何年か前,比較的最近,さいたま市のほうで憲法9条を取り上げた俳句を取り上げないという,こういう9条俳句訴訟というようなものもあったわけですから,そういう自由な学びというところを少しポイントとして入れていただけるとありがたいなと思っております。

以上です。

【清原分科会長】 ありがとうございます。

ただいまの御指摘というのは社会教育人材の箇所だけに必要なことではなくて,私たちが,今期,生涯学習,社会教育の在り方について審議をする際に,よりどころとしたのはもちろん「第11期までの生涯学習分科会での検討」でございましたが,併せて昨年6月に閣議決定されました「教育振興基本計画」というのもきちんと踏まえて検討してきたわけです。その中には,今,御指摘になりました一人ひとりの国民を「誰一人取り残さない」とともに,一人ひとりの「学びの保障を」ということでございますので,それをどの箇所というか,全体的に通底する大変重要な理念といいましょうか,説明していく必要があるということだと思いますので,しかるべき場所にそうした大事な点について配慮して記載ができればと受け止めさせていただきました。

人材のところで懸念されたのは,ファシリテートとかコーディネートするときに一定の方向性に,極端に誘導するようなことがあってはならないという御趣旨というふうに受け止めましたが,辻委員,それでよろしいでしょうか。

【辻委員】 そのとおりです。議論のまとめのほうでは,冒頭のほうで学習活動の支援という言葉があったんですけれども,それは一人一人が求める学習を認めて,それを支援するというニュアンスにしていただけるとありがたいと思っております。

ちょっと言い忘れましたが,社会教育学会のほうで,私,この人材の特別プロジェクトというのを9月までやっておったんですけれども,今は人が替わりましたけれども,その中で出た意見として,社会教育士の倫理綱領みたいなものがいるんじゃないかと。例えば,ソーシャルワーカーだとか図書館の職員とか,そういうようなものが関係団体の中でそういうものをつくっている。その中の冒頭に人権を守るというのがきちんと出ているなということを議論したこともありましたので,そんなことを申しました。どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 御発言ありがとうございます。

それでは,続きまして,関委員,お願いいたします。

【関委員】 ありがとうございます。関でございます。

社会教育人材部会で発言した内容を少し膨らませて,社会教育人材に関してお話しさせてもらえたらと思います。社会教育主事や社会教育士というのは,大人,社会人をターゲットにした活動になります。それとは別にそれ以前の世代,高校生あるいは中学生,そういったところに対して,何かアプローチが必要ではないかなという観点でお話をさせていただけたらと思います。

最近,全国各地で,中学生あるいは高校生が社会課題解決に向けていろいろな取組を進めていると思います。しかし,その事業はほとんど学校教育の範疇で展開されることが多いのではないかという印象を持っています。教師の指導の下で動くのが今の高校生,中学生の活動ではないかと思います。現在,運動部や文化部の活動については,地域への移行という方向に流れています。このような流れの中で社会教育の領域,あるいはボランティア活動の領域も,地域移行に流れていってもいいのではないかと考えます。そういった活動が進むようになれば,その際に若い世代と地域の大人たちをつなぐ役割を担ってくれるのが,社会教育士ではないかと私は考えます。

その取り組みを通じて,これまで様々な領域で活動してきた社会教育士が自分の人生経験の中で蓄えてきた専門性や,社会教育主事講習を経て習得した社会教育の知識や技法を次世代につなげていく役割を担っていただけるのではないかなと思っています。若者世代が人生の先輩である社会教育士をロールモデルにして,多感な青春の時代に社会教育と縁を結ぶことができれば,将来につながる持続可能な社会教育人材の育成に結び付くものではないかと考えます。

その事業の一環としてなのですが,例えば高校生をターゲットにして,社会教育主事講習の基礎的なもの,本当に初歩的なものになるかもしれませんけれども,ユース社会教育士講習のようなものが,全国展開で高校生あたりをターゲットにして展開できないものかなということをイメージしました。現在,オンラインやオンデマンドでいろんな講義が展開されております。生涯学習概論であったり,社会教育経営論であったり,あるいは生涯学習支援論のような座学対応可能な部分の,エッセンスとなる講義をオンラインで全国に展開していただいて,その後,各地域のレベルで,その地の社会教育士を交えてリアルな社会教育演習的な事業にチャレンジする。そこで,若者の視点に社会教育士の知見が加味され,地域の課題発見や課題解決に取り組むことができるのではないかなというイメージを持っています。

社会教育士は,先ほどの辻先生の話にもございましたけれども,社会教育士がこのような事業で若者たちとともに学び合うことができれば,若者にいろんな思いを伝えていくことができ,ユース世代によき社会教育の種まきができるのではないかなとも思っております。そして,将来的にはジュニア社会教育士,あるいはユース社会教育士のような称号を子供たちが持つことができれば,実際に同世代のメンバーの中でリーダーシップを発揮していくことも可能かと思いますし,多分そのような若い世代は,デジタルネイティブですから,いろんな人のつながりも,我々のようなオールド世代よりはるかにスムーズにつくっていってくれるのではないかと期待いたします。

私は就職して,教育委員会に配属されてから社会教育に出会いました。もっと若い時期に社会教育に出会っていれば,また違う社会教育人としての活動ができたのかなと,今になってみればそんなふうにも思います。また,ここで学んだ高校生が進路選択の際に,社会教育主事の養成課程がある学校に行って学ぶ,そんな道筋もつくれるのではないかなと思います。今,全国には高校生の時代の活動体験を経て,社会人になってからNPOなどに入り,様々な分野で活躍している若者たちに接することが多くなってきた気がします。今後,今,活躍中の大人の社会教育主事,社会教育士だけではなくて,その次の世代につなげていくための新しい学びの機会ができたらいいという話でございます。

以上です。

【清原分科会長】 関委員,ありがとうございます。

確かに今期の審議の背景として重要なのは,昨年の4月1日に「こども基本法」が施行されまして,この「こども基本法」には,「こども・若者の意見表明の保障」だけではなくて,「社会参加活動を保障すること」が第3条には明記されていることです。子供たちの基本的人権を尊重するということは,子供たちが社会に参画することを保障して,責任をとる機会も提供するということも含まれているというふうに承知しています。そういう意味では,今,「ジュニア社会教育士」という・・・。

【関委員】 ジュニアかユースかどちらかなんですけど。

【清原分科会長】 ジュニアか,ユースか,いずれの表現にするにしても,子供・若者が社会教育の事業の対象になるだけではなくて,そうした機会をつくっていく,そういう存在になっていくような機会もつくっていけばどうかという御提案であり,これは確かに生涯学習の視点として,小さな子供のときから長寿に至るまでの学びの保障の中の一つの具体的な御提案だというふうに受け止めました。それをどのように反映していくか,ちょっと考えてみたい思います。何かありますか,大丈夫ですか。

じゃあ,高木課長,どうぞ。

【高木地域学習推進課長】 ありがとうございます。地域学習推進課長の高木でございます。

御指摘ごもっともでございまして,中学生,高校生段階から社会教育士に必要な資質能力を育んでいただくというのは重要な観点かなと思っています。ちょっと称号という形はちょっとなかなかあれかなと思っていますので,ちょっと工夫して考えていこうと思っています。よろしくお願いします。

【清原分科会長】 ありがとうございます。

それでは,沖畑議員,どうぞ御発言をお願いします。

【沖畑委員】 沖畑でございます。よろしくお願いいたします。

今ほどの関委員の御発言は,私も本当に同感で同じことを思っております。前回のときにもジュニア世代の学びは学校教育だけじゃないということをもっと強く押し出したいと申し上げたんですが,そのことの中におっしゃられたこと,受け身のものだけではなく,受講者としてではなく,主体的な参加者としての今の御発言はとても賛成いたします。よろしくお願いします。

もう1点,そのことに似たようなことでございますが,11ページから12ページにかけまして,生涯学習を進める上で各学校教育施設,学校教育段階で目指すべきものの中の12ページの記述が私は本当に,とてもうれしい思いで読ませていただきました。私が思っていることがまさにそのとおり記載していただいているということ,子供たちの教育を地域で考えていくことは,大人の学びでもあるということがしっかりと明記されていて,そして,そこに参画したいと願う住民が自らのニーズに応じて参加していくことが,学び続けていることにつながるというこの記載がとてもうれしく思いました。ありがとうございます。

と同時にここのところにもう少し,もう一文というか,と思っていますのは,4ページの教育振興基本計画の中の文章に書かれておりますが,その4ページの最後のところ,生涯学習社会を実現するためにはというところですけれども,その3行目に,「学習内容を人生や社会の在り方と結びつけて深く理解することや」とそれが大切だということが書かれてあります。先ほどのところの学校段階の中に,このことが人生や社会の在り方と結びつけて深く理解するという学びにつながっているということがあるとよいのではないのかなと思いました。

学校の中でも,関委員がおっしゃいましたように,今は社会と結びつけた学びをたくさん創り出していますが,それが社会の側からその学びがつくられていくならば,もっともっと子供たちは自分のやっていること,学びが,人生や社会の在り方と結びついていくんだという認識を持ちながら,能動的な学びへとなっていくのではないかと考えてかおります。

以上でございます。

【清原分科会長】 ありがとうございます。

学習内容を人生や社会の在り方と結びつけて考えていく機会というのをきちんと盛り込んでいくという方向性を御指摘いただきました。ありがとうございます。その他については,記述に対して評価をしていただいたものと受け止めます。

それでは,松本委員,御発言をお願いいたします。

【松本委員】 松本でございます。皆様,聞こえていらっしゃいますでしょうか。ありがとうございます。

私からはまず,論点の整理の12ページ目になりますけれども,初等中等教育の箇所に,幼児教育からというような文言を入れていただきましてありがとうございます。本当にこのことは,学びのスタートというのはまさに乳幼児期から始まっているわけですので,入れていただいたこと,感謝申し上げます。

と同時にもしできればですけれども,様々な今コンテクストがあるわけなので,保育・幼児教育からというふうに入れていただいてもよいのかなと,少し思うところもございますけれども,その辺りは少し感想として述べさせていただきました。全体としてというか,初等中等教育,それから高等教育の箇所にも言えるかなというふうに読みましたけれども,もしかするとその子供の側から見たときに,いわゆる自ら主体的に学び続ける経験については,比較的触れていただいているものの,もしかするとその学習者としての子供からこの文章を読んだときに,いわゆる他者と協働するというような領域。例えばエージェンシーに対してコ・エージェンシーと言われるようなところもございますけれども,いわゆる他者や社会との相互作用から引き出されるような主体性というようなところが実はもしかしたらこの文章の中には抜けて,我々としては結構議論してきたと思うんですけれども,抜けてしまっているような感覚を覚えました。共に学び合うコミュニティへの参画をするというようなところを,これまで結構議論してきたと思うんですけれども,ここに入れていけるともっとよくなるのではないかというふうに思いまして,先ほど,清原会長言ってくださいましたように,まさに子供の社会参加活動の推進にもつながっていくようなところだとも思っています。結構,大人の参画については,比較的触れていただいているようなところが,その領域,文章が増えたという印象はあるんですけれども,もう少し子供の参画,子供が社会に参加することについて触れていってもいいのではないかなと。それが生涯にわたって学び続ける学習者としての基盤にもつながってくる,つまり市民社会に参加することによって,よき市民としての子供たちが自分たちで意識を持っていくということ自体が,その社会との関わりの中でその学びの,生涯学び続ける,いわゆる相互性みたいなものが引き出されていく。それが個人のウェルビーイングにも社会のウェルビーイングにも大事なのではないかと考えていたりもいたしますので,自分の感想として述べさせていただきました。ありがとうございます。

【清原分科会長】 松本委員,ありがとうございます。

まさに生涯学習分科会では,常に学び合う,共に学び合うというところが大変重要な理念として流れていたと思うんですが,それについての記述が,ここの幼児教育の段階,初等中等教育の段階にはちょっと薄かったのかもしれません。まさに「他者との共存」,「共生」,そして,「よき市民としての学び合い」というところは,日頃,子供たちと接していらっしゃる松本委員だからこそのご発言です。子供を対象としてだけ捉えるのではなくて,子供たちが主体的に他者を尊重しつつ,自分も成長していくというそのプロセスに寄り添っていらっしゃるので,初等中等教育のところから,先ほどの関委員が御発言された社会教育人材においてすら,「子供・若者の参画を」ということがあるのです。私たちの考え方は共通して「全ての人の世代を超えた学びと社会参画の保障の基盤が社会教育ではないか」というところにあるはずですので,ちょっと全体を見て適切なところに,今,関委員あるいは松本委員に続けて御指摘いただきました社会性とか参画性とか,担い手としての在り方とかを補強したいと思いますが,事務局,よろしいでしょうか。ありがとうございます。

それでは,ありがとうございます,加藤委員,お願いします。

【加藤委員】 加藤でございます。この今の議論の最初のところで発言がありました浜田委員がおっしゃった,外国人に対する日本語教育というところにちょっと戻らせていただきます。

先ほど浜田委員がおっしゃったところはまさに本当にそのとおりと思うところでした。その上で,さらに私の観点から2点述べさせていただきたいと思います。

まず1点目,留学が就労や生活に先んじた形で,今,法律の中でも決められ始めており,現実問題もそうであるのですが例えば生活者としての外国人のための日本語教育を担っていらっしゃるボランティアの方たちが苦手とするところは,日本語の初期教育というんですか,全くゼロの人たちに教えるということだということが,文化庁の報告書にも課題として記されています。

そういった中で,既に留学生を対象とした機関では,初期の日本語教育を担う者がたくさんおります。今後,その機関は認定日本語教育機関に,そして教師は登録日本語教員というふうになっていくわけですが,これらがいい形で地域と連携をしていけたらよいと強く思っているところです。例えば私の学校がある東京都などでは,既にそういった連携が動き出していますけれど,いい形で連携することで,両方が両方の得意な部分を発揮していくことができます。そういった連携の推進をと思っているのが1点目です。

もう一つ,これは挨拶でも申し上げたところなんですが,今,日本語教育機関認定法ができ,令和元年には日本語教育推進法成立しているわけですが,そこに書かれていることについてです。そこには,機関や日本語教師たちの社会的認知を高めるということ,それから,待遇改善というようなこともそのままの言葉で書かれています。

こういったこともこれからの大きい課題としてあるというふうに認識しているというところを述べさせていただきました。ありがとうございます。

【清原分科会長】 ありがとうございます。

浜田委員の御意見に連動して外国人の日本語の学習というところに,学習ということでいえば,「留学生を対象にした日本語の教育」ということでありますが,実は,留学生は「生活者」でもあり,地域で働く「就労者」でもある場合もあるので,そういう存在をただ「日本語を学ぶ人」ということだけに狭く捉えない記述が適切ではないかということと,日本語を教えていらっしゃる機関の方たちについて,やはり正しい認知度を向上することと,社会的な役割や地位を向上させるということについても,私たちがもっと認識を強める必要性ということに御指摘をいただきました。

その部分は,今後,日本語教育を預かる分科会として重要な御指摘だと思いますので,反映をどのようにできるか,ぜひ検討したいと思います。ありがとうございます。

それでは,牧野委員,御発言をお願いします。

【牧野副分科会長】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

全体の議論の整理の構造ですけれども,最初に生涯学習・社会教育をめぐる状況と今後の方向性ということで大きくまとめていただいて,その後,それを実現するためにという形で,今回この生涯学習分科会で重点的に議論したことがまとめられていて,とても分かりやすいものになったのではないかなと受け止めています。

その上で,今,各委員がおっしゃったこととも重なってくるのですけれども,一つは,リカレントという場合に,特に生涯学習との絡みということもあるかと思いますけれども,やはりどちらかというと職業キャリアといいますか,現役世代を重視をするような形の記述になっている面が少し強いかなという印象があって,これは当然大事なことなのでこのまま入れていただければと思いますけれども,やはり人生100年を生きなければならないということ,さらには,人口の構造が変わってくるといったことの中で,やはりいわゆる現役世代以降をどう受け止めていくのか。この方々の社会参加をどう受け止めて,人生キャリアといいますか,そうしたことをどう受け止めて学びということに組み込んでいくのかといったことはどこかでやはり議論をしておかなければいけないだろうと思いますので,うまく入れられれば,どこかに入れていただきたいという気持ちがあります。

それから,もう一つは先ほど関委員がおっしゃったように,いわゆる社会に職業人として参画する前の段階で,これは新しい世代が出てきていますので,彼らの社会への参画といいますか,もっと言えば職業的な参画ではないのだけれども,社会の一員として,担い手として,彼らがどう活躍をするのかといった議論も当然出てくると思いますので,その辺りの記述もやはり必要になってくるのではないかと思います。さらに,委員の方々がおっしゃったことにも関わるのですが,全体のトーンとして,やはり多様性という問題と包摂性といいますか,そういうことをどう記述するのかが問われているように思います。言い方を変えれば,個人と社会の関わりをどう受け止めていくのかということで,こちらも第4期の教育振興基本計画のことが書かれてあって,先ほど松本委員もおっしゃいましたけれども,いわゆる個人のウェルビーイングと社会のウェルビーイングの在り方をどう受け止めて,考えていくのかといったことに関わってくるのだと思うのです。

それを,私が人材部会の部会長だからということではないのですけれども,今回特に人材について取り上げていただいていますので,ある種,担い手論として,いわゆる個人と社会をつないでいく役割,担い手としてこれをどう受け止めていくのか。多分,過去の様々な例えば生涯学習の施策や社会教育の施策であっても,多分この担い手論が十分機能してこなかったことによってうまくいかなかったという面があるのではないか,と思います。

それで今回,特に担い手論について議論をしてきましたので,その辺りで少し共に学び合うコミュニティのつくられ方といいますか,そんなことも含めて議論ができればというふうに思っています。

その上で,先ほど辻委員がおっしゃった人権の保障といいますか,これは今回の私たちのこの分科会,さらには人材部会のほうもそうですけども,やはりこれはもう大前提の話だと思うのです。特に憲法,それから教育基本法,さらに社会教育法に規定されているような権利保障の体系がありますので,それを前提として私たちは議論をしてきているはずですから,その辺りも少し何か注意を促すような形のものがとれればと思いますし,さらにもっと言えば,いわゆる人権の問題というのは尊厳と関わっていて,それは当然共に認め合うという関係をつくっていくこと,とその自由である,これは個人の自由であると同時に,やはりそれを保障できるような社会関係といいますか,簡単に言えば共生関係のようなものがきっちりある,その中で尊厳をお互いに認め合いながら,きっちりとこの社会の中で取り残されずに,位置づけがある,というような形での議論になっていく必要があるんだろうと思いますので,その辺りを少し,どこまでというのはなかなか難しいと思うのですけれども,今後の展望のあたりできっちりと書き込んでおくといったことが,これから大事になってくるのではないかと思いますので,少し御検討いただければと思います。私たちもお手伝いしますので,検討していただければと思います。

もう少し言いますと,リジットに考えて,何か基準をつくっていくという方向がよく出がちだと思うのですけれども,この社会教育に関してはそういうことはしないほうがよいのではないかとも思いますし,もう少し言うと,人材部会でも議論になりますのが,例えば養成カリキュラムをどうするかという議論がよく出るのですが,これは今,各大学または実施機関の,ある種ちょっと変な言い方をしますけど,良心に掛けがねがかけられているといいますか,どういう科目だとか,基本的な基準や方向性は示されていますが,詳しい中身については基準がないのです。ですから,ある意味では特色を出していくといったこととも関わって,やはり各実施機関の自己判断に任せていく,そしてよりよい社会をつくろうという,この思いをベースにしながら,お互いがよりよい講習や課程の中身をつくっていくということに,ある種の信頼を置いているというつくり方になっていますので,それは大事にしたいと思うのです。その意味では,あまりリジッドに何かこうすべきだ,とか,基準を設けていくという議論には,したくない感じもありますので,その辺りも少しまた議論をお願いできればと思っています。

すみません,議論が少し拡散してしまいましたけれども,ご検討よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 ありがとうございます。

今の御指摘の点,つまりリカレント教育について今回私たちは「社会人のリカレント教育」としましたが,「職業人のリカレント教育」とはしていないわけで,職業をしている方を含め,社会的生活をより充実していくためのリカレント教育もあると思いますし,少し何か限定的ではない方向での取りまとめにはなっていると思うんですが,より配意したいと思います。

それから,私たちは「多様性」と「社会的包摂性」を考えていく中では,やはり一人ひとりの基本的人権を尊重し,そして,学習する環境を保障していく,そのよりよい環境整備のために提案をしてきているというふうに思います。したがいまして,今おっしゃったように学ぶことの保障,基本的人権の保障は法治国家である日本国において前提で,所与のことになっているわけで,その中で議論はしてきたわけです。例えば,そのことを忘れないように「はじめに」というところに,私たちは,全ての国民の学びの保障ということを念頭に置きながら,検討をしていますということをきちんと触れておくということ,それから,生涯学習・社会教育というのはそうは言っても,やはり自由度の高いものであって,学校教育においては制度が非常にかちっと決まっていて,各段階において,単位制であるとか,そういうことも限定的に規定するという「系統的,体系的,継続的な学びの保障の制度」でございますけれども,それに比して生涯学習・社会教育は,総体的には柔軟性を担保されているということはもっともなことだと思います。

その点について全体を見て,本当に皆様がこれを読んでいただいて,自ら取組をしていただきやすいような記述にはしていきたいと思います。

それでは,清水委員,御発言をお願いします。

【清水委員】 ありがとうございます。

この中のお話ではなくて,このお話の冒頭で御説明がありました博士人材の活用で,相通ずるところが実はございまして,博士人材を増やしていくということで,いろんな学生への支援というのはお考えだと思うんです。

もし博士課程を卒業した学生さんが一条校の教員になったら,昔私たちの時代は,日本育英会という名称でしたけども,今は廃止されていますが,4年間いただいた奨学金については一条校の教員を8年間行うと免除職というのがございました。

博士課程を出られた学生さんの中で,これから専門学校で実際に教壇に立つという学生さんも当然いないわけではないと思うんです。もし学生さんに,その支援をするのであれば,過去,日本育英会のときにあった一条校だけではなくて,あの当時は私たちは82条の2というところにおりましたけども,124条の専門学校または高等専修学校の教員になっても,支援がいただけるような,そんな整備をしていただかなければ,過去あった格差がまた発生すると,学生も悩むと思いますし,また,専門学校,高等専修学校の教育現場もいろんな苦労が発生すると思いますので,その点についてはぜひ前向きに,もし支援をするのであれば,一条校,124条関係なしの対応をしていただければと思います。よろしくお願いします。

【清原分科会長】 この点についてはどうしましょう。育英会の奨学金のことにも関連するんですが,御意見として,すいません,受け止めさせていただきます。

それで私,今の清水委員の御発言もそうですし,先ほど博士人材のときに小路委員がおっしゃってくださったことを,私たちがどのように受け止めようかなと思うときに,28ページの今後の展望というところで,特に第2段落目なんですけれども,「リカレント教育については,その必要性について徐々に認識が浸透しつつあるが,国内にある大学,専門学校をはじめとする高等教育機関のポテンシャルを最大限に発揮しているとは言えない現状が見られる。その原因としては,高等教育機関のみにあるというよりは,むしろ,高等教育機関と企業,社会人のそれぞれの意識のずれによるものではないかと考えられる。したがって,その三者が協働してプログラム開発を行い,それぞれが持続的に成長していく『学びと成長のエコシステム』を構築することが必要である」とあったんですが,小路委員がおっしゃったまさに「博士人材」に対してもあるいは「社会人博士」に対しても,あるいは「修士課程から博士課程に円滑に進学する」にしても,より一層,「高等教育機関と企業と社会人のまさに共通認識」というのが必要かなと思っています。その御意見はこの中に大体反映していると思ってよろしいでしょうか。もう少し記述を強めたほうがよろしいでしょうか。その点について,ちょっと今清水委員の発言に触発されて,小路委員に再確認をさせていただければと思います。すいません。

【小路委員】 清原会長がおっしゃったところは,私は十分反映していただいていて,それぞれの出た意見も非常にうまく反映をされているんじゃないかなということを概要を見て感じました。

ですから,私は十二分に論議された内容が反映され,かつまた,文科省の皆さんのお考えもこの中に含まれているというふうに感じております。高度専門人材,特に博士ばかりではありませんが,高度専門人材についてどうするかということも,この中には反映をされているというふうに捉えています。

ちょっと3点だけ,簡潔に申し上げます。一つは,生涯学習を考えるに当たっては,政府も産業界もアカデミアも人への投資ということを今後どう考えていくのかと。例えば経済界で言いますと,ヒューマンリソースからヒューマンキャピタルへと,どう投資していくかというのが今の経営の一つの大きな課題です。いわゆるここに人的成長投資とありますが,例えばここに括弧して人的資本経営という言葉も書いてもいいんじゃないかなと思います。この生涯学習分科会で産業界に求めるという意味合いでも,言葉を出してもいいんじゃないかなと考えます。

自分自らが自分の成長のための投資をどうしていくのか,また,産業界なり企業が社員の成長に対して,投資をどう考えて具体的にしていくのか。それから,経済社会全体が人への成長,国民の成長に対してどういう施策を組んでいくのかと。こういったことがこれから非常に重要になる,これが1点目です。

それから2つ目は学校教育と社会人教育,ここが途切れることなくシームレスにつながって流れていくことが必要じゃないかなと思います。私は勝手に全世代型教育システムと呼んで話をしているんですけど,若い人も生涯学習ということに関心を持ってほしいし,何もある一定年齢を超えた方たちが対象ではないですよということです。特に学校教育にはキャリア教育だとか,スタートアップを含めた起業家教育だとか,そういったことを教えることと併せて特に初等教育については,個性をどう生かすかと,多様性をどう学んでもらうかということも大事です。

それから社会人教育の中では,一つはリベラルアーツということもこれから非常に重要になってくる。今まではスキルアップとリスキル,これが社会人教育のほぼメインだったのです。企業教育の中で,リベラルアーツという,一般教養的なものを学ぶということ,これは学校教育に任せるというのが今までの考え方でしたが,これは社会人教育の中でもやっていかなきゃいけないという認識を強く持つ。それによってこの一貫性が出てくるのではないのかと思います。

それから3点目は,やはり超高齢化社会への対応ということから生涯学習をどう考えるか。ここにデジタル社会と社会的包摂への対応と書いてありますが,高齢者層が35%を占める2040年,さらにその先の2060年には,高齢者とそうじゃない人たちはほぼ半々になっていきます。産業界から見ると労働力が不足する。そうなると女性とか高齢者,障害を持つ方々,外国人,こういった方たちを働き手としてどう活躍してもらうのか,また,意欲的にどう労働市場に参画してもらうか。そのためにはいろんな学びがモチベーションアップにつながるというふうに思っています。高齢化社会への対応ということから,生涯学習ということをどう考えるかと,こういったことが必要かなと思います。

【清原分科会長】 ありがとうございます。

先ほど牧野委員が御発言された,リカレント教育といったときに,どうしてもその職業人教育に重点があるのではないかということをむしろ企業のお立場から小路委員が,いや,それだけではありませんと,もちろん高度の人材というのは先端技術の面でも,もちろん求められてはいるけれども,「リベラルアーツ」も必要というキーワードをいただきまして,これ極めて重要だと思うんです。人間として生涯100歳まで,健康であるだけでは生きられないと思うんです。やっぱり自分の中に,生きる力を湧き上がらせるように「生きる意味」を考えて,そして,「社会との関係の中での自分の役割を認識」して,自分の「存在意義」,「存在価値」というものを確かめる上では,単なる知識とか技術だけではなくて,幅広い意味での「リベラルアーツ」とおっしゃった教養,まさに人間の学びというものが必要になってくるというふうに思います。

そういう意味で私たちが,今回,検討した中で,今後の展望の中に牧野委員や今,小路委員が言ってくださったようなことを今後,生涯学習・社会教育については深く検討することが必要です。「社会教育法」も相当な年月を経ていますので,その中で,今を生きる私たちに,社会教育をまさに生かしていくための在り方を検討するときのキーワードを,今日は皆様からそれぞれいただきました。「こども・若者」の視点についても,複数の方が発言をしていただいたので,「全ての人が参画する社会のための生涯学習,社会教育の在り方」が,今後の展望に向けて描かれてきたと思います。

それでは,ちょっと時間の関係で,最後の御発言になると思いますが,萩原委員,御発言をお願いします。

【萩原副分科会長】 今,清原座長がキーワードとおっしゃいましたけども,やはり,全体を通して見ると主体性,主体的であるとか,もっと言うと当事者性を持つであるとか,そういった言葉が最後のまとめのところに,例えば概要の中にもしっかり入ってくるといいと思いました。

例えば個人の主体的な学びの意欲を向上させるという,先ほど牧野委員もおっしゃっていらっしゃっていますけど,個人のウェルビーイングをしっかりと支えるための社会的なウェルビーイング,そのためには様々な社会環境を支える企業や,市民団体,学校,地域など,あらゆるステークホルダーが主体的に社会教育あるいは生涯学習を充実させていくという意識を持つことが必要だと思います。

先ほど,松本委員がエージェンシーの話をされたと思いますが,まさにこのエージェンシーが求められていて,主体的に選択,そして意思決定できる力をつけることは,学びを通してだというふうに思いますので,主体性,主体的のような言葉を入れていただきたいです。

それから多様性と包摂,そして,先ほど牧野委員からは公正という言葉が出てきましたが,最近ではダイバーシティー・エクイティ&インクルージョンですが,特にエクイティ,一人一人に寄り添うことが求められています。一人一人がどういう学びをしたいと思っているのか,どういう学びが必要とされているのかということを寄り添うことによって,障害者,外国人といった枠組みにとらわれずに,一人一人に寄り添っていく,そういった社会教育を推進していくということがとても大事なんじゃないかなと全体を通して思いました。何かそういうキーワードも出していただければいいかなと。

以上です。ありがとうございます。

【清原分科会長】 ありがとうございます。いくつかのキーワードをいただきました。

「主体性」,「多様性」,「包摂性」,そして,「寄り添う」ということ,最近では,「伴走」というような言葉を使われることもありますけれども,7ページの,これは「はじめに」の最後の段落なのでございますけれども,ここに,出発点として,「生涯学習分科会は第11期分科会までの議論を基に,教育振興基本計画を踏まえ,生涯学び続ける社会の実現及びすべての人のウェルビーイングを目指したリカレント教育と社会的包摂,そして,そのリカレント教育と社会的包摂を実現する環境の整備や機運の醸成を通じてすべての人のウェルビーイングにつながる地域コミュニティや学校教育との連携等の基盤を支える社会教育人材のあり方について,以下とりまとめる」と,ちょっと長い文章なんですけど,出発点に書かれていることを通して,最後に「今期の議論の整理を踏まえ,すべての人のウェルビーイングを支える『学び』が,それぞれの生涯にわたって行われる社会の実現のために,国及び地方自治体,教育関係省の具体的なアクションを期待する」。この部分に企業を入れたいですし,教育関係者というと何か全部入っちゃうような気がしますけれども,もう少し具体的な記述のほうが,私たちの検討には対応しているかなと思いました。

そして,その上で,今,萩原委員が御提案いただきましたように,今後の展望の中には,今列挙していただいたようなキーワードが実現されるような在り方を私たちとしてはさらに継続して検討しながら,充実していきたいというようなことにしたいと思いました。加えて,今,ちょっとひらめきまして,萩原委員ありがとうございます。私たちが,この取りまとめを出すときに,「第12期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理」という表題だけではあまりに無機的という感じがします。この表現はそのとおりでございますが,私たちは歴代,第11期のときも,ウェルビーイングを入れた副題というのをつけさせていただいたんです。副題がないと,自治体の市長をやっていた立場とすると,あまりにこれは市民に読んでもらえないタイトル,要するに国民に読んでもらえないタイトルになってしまうように思います。

そこで,ここで御相談ですが,副分科会長の牧野委員,萩原委員と,次回までに私たちが副題として皆様に御提案できるものをちょっと検討させていただきます。「三人寄れば文殊の知恵」でございます。3人でちょっと検討させていただいて,次回に御提案をさせていただいて,内容だけではなくて,内容は今日皆さん,もう本当に総合的にお気づきの点をいただきましたので,それをしっかり反映した上で,副題は正副分科会長が提案させていただいて,それを皆様に御同意いただけたら付けさせていただくと,こんな形でよろしいでしょうか。

うなずいていただきましたが,拍手までいただいてありがとうございます。ありがとうございます。ぜひそのようにさせていただきます。

それでは,時間があと僅かとなってまいりました。皆様の中でこれだけはという方はいらっしゃいますか,大丈夫でしょうか。ありがとうございます。

それでは,最後になってまいります。本日も大変に熱心な御審議をいただきまして,かなり前回の御意見を反映した本文の案にはなっておりましたが,それを補強する,あるいは加筆する御提案をいただきましたので,できる限り事務局と正副分科会長で,それを反映した案を次回までにまとめさせていただきます。

それでは,本日の審議はこの辺りといたします。事務局から,今後の日程等について御発言をお願いします。

【事務局】 事務局でございます。今後の審議スケジュールについて御案内いたします。資料4を御覧ください。

次回の開催日程については,5月24日金曜日16時30分から17時30分を予定しております。事務局からは以上でございます。

【清原分科会長】 ありがとうございます。

次回も本日御審議いただきました,「第12期生涯学習分科会の議論の整理」を議題として,最終的な取りまとめをしたいと考えております。順次資料については,また,事務局から御連絡をさせていただきたいと思います。

それでは,今年は桜の花が遅く咲いたにもかかわらず,その後は20度を超えたり,25度を超す夏日になるなど,本当に寒暖差の激しい春となっております。桜も戸惑うほどの季節は,人間である私たちは本当に体がついていけないというような状況でございますが,どうぞ皆様,くれぐれも御自愛をいただきまして,5月に,また元気に会議で再会したいと思います。

本日の御審議への御参画に感謝をして,閉会といたします。長時間の御審議どうもありがとうございます。

―― 了 ――

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