高周波特性を向上させた超低誘電損失フィルムを開発~Beyond 5Gの実現に貢献します~

2022/01/18  三菱ケミカル 株式会社 

2022 年 1 月 18 日

高周波特性を向上させた超低誘電損失フィルムを開発
~Beyond 5G の実現に貢献します~


三菱ケミカル株式会社

三菱ケミカル株式会社(本社:東京都千代田区、社長:和賀 昌之、以下「当社」)は、高周波領域における誘電損失*1を低減した、高周波通信向けの超低誘電損失フィルムを新たに開発しましたので、お知らせいたします。

次世代通信規格として普及が見込まれているミリ波帯 5G や Beyond 5G などは、波長が短い高周波帯を利用します。高周波帯は送信過程で電波が減衰する誘電損失が大きいため、近年、通信機器に適用されている変性ポリイミド(MPI)や液晶ポリマー(LCP)などの素材では、電波を損失させ通信に支障をきたすおそれがあり、低誘電損失の新素材の開発が求められております。

こうしたニーズに対応するため、今般、当社が持つ材料設計技術や合成のノウハウを活かし、誘電正接*2を業界トップレベルである 0.001 以下まで抑え、高い誘電特性を持ったフィルムを新たに開発いたしました。

本フィルムはミリ波帯 5G(28GHz)における伝送ロス*3を、従来品と比べ約 50%低減することが可能で、透明性や耐熱性が高く、銅密着性にも優れていることから、電子回路基板やアンテナ基板・外装材などへの活用が期待されます。

熱可塑性・低誘電フィルム
特徴:
・高周波帯(10GHz、28GHz)でも低い誘電損失を達成
・誘電特性、高い透明性、熱特性の両立
誘電正接:0.0007 以下
想定用途:高周波通信向け回路基板、アンテナ基板など

熱硬化性・低誘電フィルム
特徴:
・誘電特性、耐熱性の優れたバランス
・銅密着性の担保
誘電正接:0.0010 以下
想定用途:ボンディングフィルム、ビルドアップフィルムなど

当社は、幅広い材料ラインナップと成型技術を融合して開発を行い、通信環境の急速な発展に伴うニーズの多様化・高度化に対応することで、超低誘電損失フィルムの普及と事業の発展を目指してまいります。

*1 誘電損失:誘電体に交流電場をかけた際に、エネルギーが熱として失われること
*2 誘電正接:誘電体内での電気エネルギー損失(誘電損失)の度合いを表す数値
*3 伝送ロス:通信経路において電気や光、音などの信号が距離に応じて減衰する度合い

お問い合わせ先
三菱ケミカル株式会社 広報本部
TEL: 03-6748-7161

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