河野外務大臣臨時会見記録 (2月10日18時28分) - ●冒頭発言 ●質疑応答

2019/02/10  外務省 

記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成31年2月10日(日曜日)18時28分 於:フィリピン・ダバオ)

冒頭発言

【河野外務大臣】ドゥテルテ大統領の地元であり,日本とも歴史的なつながりの強いダバオを,外務大臣就任後,初めて訪問をいたしました。ミンダナオの和平が進展したこの機会を捉えて,ドゥテルテ政権との連携を一層強化し,基本的価値を共有する「戦略的パートナー」としてのフィリピンとの協力をさらに深めていく機会にしたいと思っています。
今回のダバオ訪問では,ドゥテルテ大統領の他に,ロクシン外務大臣,ドミンゲス財務大臣,ロレンザーナ国防大臣など重要閣僚とかなり中身のそれぞれ濃い会談を行うことができました。ドゥテルテ大統領が戦略的パートナーシップの「黄金時代」と日本とフィリピンの関係を形容されましたが,まさに「黄金時代」と言っていいのではないかと思います。
ロクシン大臣とのバイの会談では,二国間関係,それから北朝鮮,南シナ海の問題などについても議論をいたしました。また,そのほか財務大臣,国防大臣との会談を通じて,インフラの協力,あるいは安全保障協力をはじめとする幅広い分野で日本とフィリピンの協力が深まっているということを確認できました。
また,ミンダナオの和平につきましては,和平プロセスが進展をしているこの機会に,和平プロセスが進展するのに応じて日本としてもしっかり協力をしてまいりたいと思っております。そうした我が国の姿勢に対して,フィリピン側から改めて謝意の表明がありました。特に,ムラド議長との会談で,日本がこれまでどおり一貫して,この和平プロセスを支える考えであるということを申し上げ,直接そうしたことを伝えられたのは非常に意味があったのではないかと思います。ムラド議長からは,医療,教育といった分野で日本の支援に期待をしたいというようなお話がありましたので,我々としても真剣にそこは検討していきたいと思っております。
それから今朝,フィリピン日本人会インターナショナルスクール,それからミンダナオ国際大学を訪問して,日本語を学んでいる幼稚園児から大学生まで熱烈な歓迎をしていただきました。たいへん感動的な歓迎ぶりでありましたが,何世代にもわたり,この地域で日本語による教育,あるいは日本語,日本の文化といったことについて,現地の方々の努力で,自立的にこうした教育が続けられているということは,たいへん素晴らしいことだと思います。日本語の普及,あるいは日本語を基礎とした日本式の教育というものが地域に定着し,しかもそれが,日本からの支援というよりは地元の方々のイニシアティブ,ご努力で続けられてきているということがたいへん素晴らしいなと思いました。そうした教育を受けられた方が,さらに自分の後輩のために支援をされているというお話もございました。本当にこれは素晴らしいことだと思います。
この後,ダバオ総領事館の開館記念式典に出席をいたします。フィリピン側からも,ロクシン外務大臣,ドミンゲス財務大臣を始め,ドゥテルテ大統領の御令嬢になりますサラ・ドゥテルテ・ダバオ市長にも御出席をいただくことになると思います。ドゥテルテ大統領の地元でもあり,日本と歴史的なつながりの深いダバオと,そしてこのダバオを中心とするこの地域との日本との関係が,この総領事館の開設を機会にさらに深められることを期待していきたいと思います。

質疑応答

【記者】ミンダナオの和平プロセスにですね,日本が関与する意味なんですけれども,特にこの時期まだテロと見られる爆破事件などが相次いでいますが,日本の治安や安全にとってこの時期の安定というのはどうして必要だったのでしょうか。

【河野外務大臣】まずこのミンダナオというところは日本と非常に歴史的なつながりが深いところでありますし,資源を始め様々経済的発展の潜在能力があるところだと思います。しかしその反面,独立闘争が長い間続き,ISの影響も及んできた,マラウィの事件など,このISとの影響ということがあったということを考えると,やはりこの地域から,過激的暴力主義の影響を一掃することが,やはり東南アジアの治安,ひいては日本を含むアジアのテロ対策,治安の強化ということにつながってくると思いますので,この和平プロセスによって地域の方々が平和の果実というものをきちんと感じることができるような経済発展を支援していくということは,ひいてはテロ対策,そして今年の一連の重要な外交行事,来年の東京オリンピック,2025年の大阪万博に向けて,日本のテロ対策としても非常に重要だと思っております。

【記者】もう一件この地域の問題ですけれども,中国は日本に先立って総領事館をダバオにオープンするなど関与を強めていますけれども,中国とのこのフィリピンに対する支援のあり方,協力関係なのか,ある程度牽制し合う関係なのか,どのようにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】中国とは質の高いインフラ,もしそのインフラプロジェクトが透明性,開放性が維持され,ライフサイクル全体の経済性,あるいはこのフィリピンの債務といったことについて,質の高いインフラであればですね,これは日本と中国が協力するということは十分検討の余地があるというふうに思っております。今日ロクシン外務大臣とも様々話をいろいろさせていただきましたけれども,日本とフィリピンは様々な分野で協力をしていくこと,そして北朝鮮あるいは南シナ海の問題でしっかりと外交的にも共同歩調をとっていくことがだいじだということを確認いたしましたので,このアジア全体の平和と経済の繁栄ということのためにはですね,しっかりと国際秩序を守った経済発展あるいは政治的な安定というものを日本として様々な国々と協力して維持していきたいと思います。

【記者】別件でお伺いいたします。今月末の米朝首脳会談に向けて,来週また米朝の実務者協議が行われるということですけれども,ぎりぎりの調整が行われていますけれども,改めてそれに向けて日本としては,どのように,特にアメリカにだと思いますが,働きかけて何を一番求めていくのかということを改めてお願いいたします。

【河野外務大臣】日本とアメリカは常に北朝鮮問題について意見交換をしておりまして,我々は一枚岩と言っていいかと思います。北朝鮮が持っている核兵器をはじめとするあらゆる種類の大量破壊兵器並びにあらゆる射程のミサイルを,CVIDという形で完全に放棄をさせるということと,アメリカも拉致問題についてトランプ大統領を始め非常に理解をしていただいておりますので,この拉致問題の解決に向けて日本と北朝鮮としっかり協議を開始する,そういうことにつながっていくことを期待をしていきたいと思います。

【記者】今回開催地がベトナムのハノイと発表されまして,これは北朝鮮が求めてきた都市ということになって,アメリカが譲歩したと言えると思いますけれども,今後交渉に向けてでですね,北朝鮮ペースで交渉が進んでアメリカが譲歩するのではないかという懸念が出てきていますが,それについて日本としてはアメリカに何をどう求めていくのか。

【河野外務大臣】アメリカが何か求めていることに関して譲歩するということは全くありませんし,今度のベトナムも,ベトナムは共産党の一党支配が続いているなかで国際的にも門戸を開き,これだけの経済発展をしてきたところでございますので,それを金正恩委員長が目の当たりにするということは,我々が狙っていたことでございますので,北朝鮮側にはベトナムが同じような体制の中でも正しい決断をすることによってしっかりと経済発展を実現することができたということをですね,見ていただいて,正しい決断をすることの大切さというものを認識してもらおうという本来の狙いどおりになったというふうに思います。

【記者】そのような狙いは日米で共有していると・・・

【河野外務大臣】共有しています。

【記者】フィリピンの南シナ海に関係しての中国に対する姿勢というのが,今回ロクシン外相になったことで,何らかの変わったところがあるのかどうか大臣にお伺いしたいんですけれども。

【河野外務大臣】フィリピンはこれからASEANの中で対中国の調整国という役割を担うことになります。ロクシン外務大臣とも今日地域情勢を含め,様々な意見交換をさせていただきましたけども,今行われている南シナ海に関するCOCの交渉など,フィリピン側の考え方,立場というものを説明いただいて意見交換をしました。南シナ海の問題などについてしっかりと法の支配に基づいた自由で開かれたインド太平洋,こういう考え方が大事だということについて一致できたと思います。