風が吹き抜け、光は降りそそぎ、雪解けの冷たい水は流れ出す。自然を捉える写実の旗手、百瀬智宏の2024年の新作までを網羅した、画業を一望できる初画集。

2024/06/28  株式会社 求龍堂 

写実画、風景画、美術ファンへ向ける『百瀬智宏画集 光と風の影』

百瀬智宏が描く風景は、どこか懐かしく既視感のある心象風景。 それは、アメリカの画家ワイエスが描く風景画にも通じるノスタルジックな世界。




        2024年制作の新作から15歳のときに描いた作品まで、描いた軌跡を辿りながら
        百瀬智宏の画業を一望できる初画集です。

《氷面鏡》2024年


自然を捉える研ぎ澄まされた観察力と卓越した表現力で、他に類を見ない清涼感溢れる写実の旗手として人気を集める画家百瀬智宏。





《遠雷》2000年


写真と見紛うくらいに精細な風景画。しかしここには、写真では捉えられない風景の温度や湿度がある。風景を前に佇む画家の静かな息遣いがある。そこに観る者はリアルを感じる。





《夕涼み》2023年


画面の中を風は吹き抜け、光が降りそそぎ、 雪解けの冷たい水が流れ出し、月の夜は花を照らし出す。その情景のなかに佇んでいるかのような錯覚に陥らせる写実力は唯一無二。




《風を見るトミー》2005年


正確に描写するだけではない詩情豊かな作品たちは、観る者を画面の中にいざないます。








《正午》デッサン、2002年


現地に赴き写生する時間と労力を惜しまない画家の姿を映しだすスケッチや水彩も掲載。










光を描きたくて風を描きたくてひたすら1ミリにも満たない点だけを1日中描いている時もある。否が応でも自分と対峙することになる。
孤独な作業でもある。しかしその孤独な時間や空間は嫌いではない。
光が、風が、描けたとき、磨き続けていた石がまるで琥珀のように美しく輝き始めたかの様な喜びを覚える。
わたしはアーティスト(芸術家)よりアルチザン(職人)になりたいのかもしれない。
――百瀬智宏(本文より抜粋)


◎商品情報
『百瀬智宏画集 光と風の影』
発売日:2024年6月18日
定価:3,850円(税込)
著者:百瀬智宏
発行:株式会社求龍堂
主な仕様:並製本、B5変型(257×188mm)、192頁


◎目次
輝きと陰  高橋秀治(豊田市美術館館長)

第1章 風の舞台 十勝 2020-2024
第2章 風の舞台 十勝 2001-2019
第3章 逍遥 1993-2008
第4章 吹いていた風 2000-2008
第5章 像 1991-1999
第6章 紡ぐ暦 1972-2023
『百瀬智宏画集』の刊行に寄せて  橋本政昭(橋本総業ホールディングス株式会社 代表取締役社長)
爽やかな風を感じて  徳田千鶴子(公益社団法人俳人協会理事・馬醉木主宰)
掲載作品リスト
略歴


◎著者プロフィール
百瀬智宏 Tomohiro Momose
1957年、愛知県犬山市に生まれる。1982年に多摩美術大学美術学部油画科卒業、同校大学院に進学。恩師宮崎進の鎌倉のアトリエを訪ね、制作の現場を見て以降薫陶を受ける。1984年に多摩美術大学大学院美術研究科絵画科修士課程修了。
1992年に初個展(ギャラリーイセヨシ/銀座)を開催。1997年には「第32回昭和会展」(日動画廊/銀座)で昭和会賞受賞。1998年には「前田寛治大賞展」(倉吉博物館/鳥取、日本橋高島屋)で市民賞受賞。
2002年より毎年、季節ごとに北海道の十勝を訪ねるようになり、2013年には十勝にアトリエを借り、制作を始める。2020年には六花亭アートヴィレッジ中札内美術村に百瀬智宏美術館が開館する。
現在、日本美術家連盟会員。1992年の初個展以降毎年、各地の画廊、百貨店で精力的に個展を開催。
佐久市立近代美術館(長野)、倉吉博物館(鳥取)、百瀬智宏美術館(六花亭アートヴィレッジ中札内美術村/北海道)、橋本総業ホールディングス(東京)に作品が収蔵されている。


◎編集者より
百瀬さんの作品を初めて見たときの驚きは、まだよく覚えています。大きな作品で、その作品の前に立って見ていると、画面のなかに吸い込まれていくような感覚になり、まわりが無音になって、目が離せなくなっていました。我に返ると、今度はその細かな描写にくぎ付けとなり、反射したり透過したり、風景のなかでの光の描き方に思わずため息が出ました。百瀬さんご自身が「光が、風が、描けたとき、磨き続けていた石がまるで琥珀のように美しく輝き始めたかの様な喜びを覚える」とおっしゃっていますが、この作家の言葉を実感することができました。
本書には、そんな光や風を感じることができる風景画が満載です。この画集を眺めているだけで、自然を見に出かけたような気持ちになります。忙しない毎日をお過ごしのみなさん、ぜひ本書を開いて、しばし現実逃避して、自然のなかでひと休みしませんか。
本物の作品をご覧になりたい方は、下記で個展を開催中です。
個展開催:2024年5月29日~6月3日日本橋三越本店、9月4日~9月9日名古屋栄三越、10月1日~10月7日札幌三越


◎求龍堂について
求龍堂は1923年創業、昨年2023年、100年を迎えた美術書出版社です。社名の求龍(きゅうりゅう)はフランス語の「CURIEUX」からとったもので、「芸術的あるいは知的好奇心を求める」「常に新しきを求める」ことを意味し、名付け親は画家の梅原龍三郎です。東洋の「龍」に理想を求め、時代という雲間を縦横無尽に飛び交いながら、伝統美からアート絵本まで、常に新たな美の泉を発掘すべく出版の旅を続けています
【会社概要】
社名:株式会社 求龍堂
本社所在地:東京都千代田区紀尾井町3-23 文藝春秋新館1階
代表取締役:足立欣也
創業: 1923年
事業内容: 美術品・生活文化関連図書の出版、美術印刷物の企画製作、美術品売買
HP:https://www.kyuryudo.co.jp/

他の画像

関連業界