茂木外務大臣会見記録 (4月16日14時44分) - ●日米首脳会談(共同声明における台湾への言及) ●東電福島第一原発ALPS処理水 ●日米首脳会談(共同声明における台湾への言及) ●COVAXワクチン・サミット ●ユネスコ「世界の記憶」事業の制度改善 ●日米首脳会談(サプライチェーン協力)

2021/04/16  外務省  

記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和3年4月16日(金曜日)14時44分 於:本省会見室)

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日米首脳会談(共同声明における台湾への言及)

【朝日新聞 佐藤記者】台湾についてお伺いします。大臣、今日お昼のテレビ番組で、台湾海峡の緊張が高まっていると、日米が明確なメッセージを送ることが、地域の平和や安定にも繋がっていくというふうに指摘をされました。日米首脳会談で、共同声明を作成するということは、既に決定をしているのか、決定をしている場合、台湾の問題というのは盛り込まれるのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

【茂木外務大臣】通常こういった大きな首脳会談は、共同声明を出すことが多いわけでありますけれど、共同声明を発出するかどうか、今の段階で決まっているわけではありません。当然、会談はこれからでありますから、その内容について予断を持ってお話することは控えたいと思います。
その上で、今回の会談におきましては、強固な日米同盟、これを再確認し、また「自由で開かれたインド太平洋」、これに向けた日米間の協力、更にはコロナ対応、気候変動と、こういった問題に対する日米、国際社会での協力、そして中国、更に北朝鮮を始めとする地域情勢等々についても、首脳間で十分な議論を行われると、このように承知をいたしております。

東電福島第一原発ALPS処理水

【NHK 渡辺記者】福島第一原発の処理水の問題で、改めてお伺いしたいと思いますけれども、その後、各国から、周辺国含めて、米国も含めてですけれども反応が出てきておりますけれども、風評払拭、私も福島で取材しているときに、外務省は東京にいる大使館の方々を呼んだりとかして、いろいろそういう努力をすごく積み重ねてきたというのを取材しているんですけれども、結構並大抵の努力ではないと、科学的には安全だとしても、やっぱりそれでもなかなか難しいから風評被害があると思うんですけれども。それを改めて、これから日本として取り組んでいく中で、大臣として、そういった風評の問題を含めて、国際社会からのこういう上がっている声に対して、どうやって答えていくのかという、改めてその覚悟を含めてお伺いしたいと思います。

【茂木外務大臣】ALPS処理水の処分につきましては、これまでもIAEAの情報提供、私(大臣)もグロッシー事務局長とは昨年直接会談し、その後、事務局長も福島を訪れていると思いますが、そういう現地を見ていただいたり、またご指摘のように、外交団への丁寧な説明等を通じて、国際社会に対して、高い透明性をもって積極的に情報提供してまいりました。
今後のプロセスですけれど、東京電力は海洋放出を実際に行う前に、その詳細な計画や必要な設備等の設置について、まず、原子力規制委員会、非常に厳しい基準を持っておりますが、この許可を取得し、その上で海洋放出を実施することになると承知をいたしておりまして、実際に放出が始まるのには、2年かかるということであると思います。
こういった形で、手順を踏んでプロセスを進めていくわけでありまして、安全性を確認しながら、またそれぞれの結果と、そういったものを公表しながら、丁寧に対応していきたいと思っております。
ALPS処理水について、我が国として、このやり方というのは、国際法であったりとか国内外の規制・ルールを確実に遵守して安全性を確保する、こういう考え方の下で、具体的には関連する国際法や国際慣習を踏まえて、実際の放出に先立って、海洋環境に及ぼす潜在的な影響について評価するための措置を採ってまいります。また放出後にも、モニタリングを継続的に実施をして、状況を把握するための措置も講じてまいりたいと思っております。
今回発表されましたALPS処理水の処分に関する基本方針の中でも、風評による影響を最大限抑制するとされておりまして、政府として更に取組を強化していきたい。
科学的根拠に基づいた説明、これはもちろんしっかり行っていきますが、その上で風評の問題、これはご地元の皆さん含めて、非常に重要な問題でありますから、そういった点にも十分配慮しながら、その影響を最小限にすると、この特に2点について、最大限の努力をしていきたいと思っております。

日米首脳会談(共同声明における台湾への言及)

【朝日新聞 佐藤記者】先ほどの関連で、引き続き台湾について伺いたいと思います。台湾海峡の問題に、日米が共同でメッセージを送るということについて、中国側からはどのような反応を想定していらっしゃるか、もしお考えがありましたらお伺いしたいと思います。

【茂木外務大臣】それぞれ様々な対外的な発信を行う、それに当たりましては、関係国含め国際社会、これがどのような受け止めをするか、また反応するか、そういったことについては、しっかりと検討した上で行っております。
ただ、こういう発表をしたらどこがどうなるか、こういうことについては、まさに外交全体に関わる問題ですから、コメントは控えたいというふうに思います。

COVAXワクチン・サミット

【TBS 樫元記者】ワクチン支援についてお伺いいたします。昨日、COVAXの会議に参加されて、その中で6月にGaviとともに、ワクチン・サミットを共催するというふうな発表をされました。単に参加するだけではなくて、主催する・共催する、そこに込めた意義とですね、それから日本として、その資金面等でどのような支援を行っていくか、現在の考えをお聞かせ願えますでしょうか。

【茂木外務大臣】これまで申し上げていることでありますけれども、ワクチン、国内でも最優先で接種することを進めることによって、一日も早くこの感染状況を収束に向かわせると、このことは極めて重要だと思っておりますが、同時に世界中のどこかにウイルスが残っていたら、この感染の拡大、再拡大という懸念があるわけでありまして、そういった意味におきまして、特に医療体制、ワクチンの接種も含めて脆弱である途上国への支援、これは極めて重要だと考えてまいりました。
こういった観点からGavi、そしてCOVAXファシリティ、この組成に向けても日本は中心的な役割になってまいりましたし、すでに2億ドルの拠出と、こういったことも行っております。今回、6月の会議におきましては、まさにそういった日本がとってきた対応、この一環として日本として共催をさせていただくという形であります。
そういった中で、今後COVAXファシリティにつきましても、恐らく全体の確保する量というのが、今の20%から、3割程度引き上げられると、こういったことを考えますと、資金ギャップというものが出てまいります、更に広がってまいります。これを埋める手段について、日本もできる限りの貢献をしていくと、こういったことは必要だと思っておりますが、当然、具体的にどれぐらいの額とか、そういったことにつきましては、今後財政当局等とも詰めた上で、できる限りのことをしてまいりたいと思っております。

ユネスコ「世界の記憶」事業の制度改善

【読売新聞 福田記者】ユネスコの「世界の記憶」について伺います。ユネスコの執行委員会が「世界の記憶」をめぐり、異議申立制度を新設し、当事国間の対話で合意できなければ登録しない仕組みを承認しました。大臣、この改革の受け止めとですね、これまでどのような外交努力をされてきたのか、この点についてお聞かせください。

【茂木外務大臣】昨年の10月でしたか、私もパリを訪問しましてユネスコの本部を訪問して、アズレー事務局長とも、直接、ユネスコの様々な運営の問題等々について、意見交換を行ってきたところであります。これまでの我が国の主張、こういったことについてもきちんと説明をさせていただきました。
その上で、今回承認をされました制度の改善内容については、加盟国政府の関与など、我が国が主張してきた主要な改善点が盛り込まれて、また「世界の記憶」事業が再開される見通しとなり、政府としてこれを歓迎しております。個人的には良かったなと思っています。

日米首脳会談(サプライチェーン協力)

【朝日新聞 佐藤記者】話題変わりまして、日米関係について、日米首脳会談の関連でお伺いします。

【茂木外務大臣】あんまり変わってないような気がします。(会場に笑い)

【朝日新聞 佐藤記者】すみません。一部報道では5Gなどの通信技術についてですね、日本が米国と連携をして20億ドルの計画に取り組むということも報じられておりますが、こうした、先端技術ですとか半導体とかのサプライチェーン、こういったものについて、今後の日米協力の方向性について、もし、お考えがありましたら、是非お伺いします。

【茂木外務大臣】具体的な報道等について、一つひとつコメントすることは控えたいと思いますけれど、今回のようにコロナの世界的な拡大によりまして、特定の地域等々にサプライチェーンを依存する、この危険性、これが改めて強く認識をされたのではないかなとそんなふうに思っております。
半導体もそうでありますし、レアアース、医薬品と、様々な重要な部品から始まり、更には製品・サービスというのもあるわけでありまして、このサプライチェーンというものを多重化・強靭化していく、こういったことは極めて重要であると思っておりまして、米国をはじめ関係国とも、しっかり連携して進めていきたいと思っております。
その上で、今回の首脳会談において、こういった経済安全保障にも関わる問題、どういう形で取り扱えるかと、まさにこれからの議論といいますか、会談の中で議論されることだと思っております。

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